定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

土曜日の朝 - ライド新城 -

この前の土曜日の朝、お世話になっているバイクショップ「glocalbike bike」の土曜日走行会に参加した。

グローカルバイクが毎週土曜日に走行会を開催してくれるおかげで、家族も土曜日の午前は私は自転車に乗る、というのが普通になっている。

 

私は一人で走るのは実はあまり好きではない。思いっきり遠出をして、一人旅をするのは好きだが、家からスタートして走るような場合は、誰かとワイワイ走る方が好きだ。

 

いつも金曜日の夜にグローカルバイクのfacebokページで開催の告知が出て、それを見てお客さんたちが集まる。

 

土曜日の8時に集合し、11時くらいまで走る。夏場は1時間早い集合になる。

 

この日、私が店に行くと何人か既に店の前に待っていた。

 

今回は10人ほど。だいたいいつも5〜10人くらいまで集まる。少ないと店主のバスマンさんと2人、なんてこともある。

 

県道69号を豊橋から新城に向かう。

 

新城の桜淵公園で小休止の後、吉川峠へ。

 

吉川峠はグローカルの土曜日ライドの定番コースの一つである。

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クライマー系のライダーたちがガンガン上っていく。以前はあんな風に走っていたが、近頃は膝の痛みや練習不足もあってなかなかそうはいかない。全く衰えたものだ。

 

南側からの吉川峠は比較的緩い斜度になっていて、そこまで長い距離ではない。峠の頂上だけ斜度が少しきつくなる。

 

何とか頂上までに何人かパスし、下りに入る。後でストラバでタイムを確認したが、走れていた頃より1分近く遅い。仕事の関係で乗る時間も減っているので仕方ない。

 

 

吉川峠からは山吉田のファミリーマートまで各々走って行って集合する。私は下りはスピードが伸びないのでいつも下りで抜かされていく。

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吉川峠で出し切っているので、踏めないというのもあるが、山吉田の風景が好きなので、いつも心拍を整えながら、急がず下ることにしている。

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集落の道を川に沿って快適な速度で降りてゆく。

 

特に何かある、という風景ではないのかもしれないが、このルートを走るたびに何気ないこの景色とその季節の変化を楽しんでいる。

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山吉田のファミリーマートに到着。仲間たちはすでに補給している。私もで軽く補給を買う。

いつもドリンクを一つ買う程度。この日はキャラメルラテにした。いつもより疲れている気がして甘いものが欲しかったのだ。

 

補給をしながら、この日のクライムの様子や最近のライドについて話す。今年は暖かくて走りやすいという話なった。今年はグローブも一番厚いものは出してないし、まだウェアに余裕がある。

 

全員が補給を取った後、山吉田のファミリーマートを出発。

ここからは乗本を経由して、県道69号で一鍬田から国道301号へ。さらに新城カントリークラブの横を抜け、県道81号でグローカルバイク最寄りのセブンイレブンまで走る。

 

たいてい乗本までバスマンさんが前を引いてくれる。ライドのあと仕事なのにありがたいことだ。

乗本からは速いライダーが前を引いて5、6人のトレインが形成される。

出来るだけこのトレインに乗るようにしているが、いつも最後までついていけず、途中で降りてしまうことが多い。

 

この日はこのエリアで最速クラスのIさんと女性クライマーのSさんが前に出て先に行ってしまった。ほんとあの二人は速い。

 

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私は後ろを走っていた消防士ライダーのOさんと共に長めのローテーションを回してなんとかセブンイレブンに到着した。

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セブンイレブンでは新作のチョコミントアイスを見つけて購入。私はチョコミントに目がない。

ほぼピノのチョコミント味だが、冬にこのサイズ感で個包装売りはいい。

 

セブンイレブンの外に出ると続々と仲間たちが到着した。

 

バスマンさんはすぐに店を開けるため、そのまま店に向かった。

 

我々は補給をして、一息つくとグローカルバイクに戻った。

 

 

グローカルバイクに戻ると看板犬のダンケが出迎えてくれる。私は犬猫の類は大好きなのでたくさん撫でてやる。ダンケは私の子供たちにも優しくしてくれるいいやつだ。

 

いつも店に戻るとバスマンさんがコーヒーを出してくれる。私は紙コップを毎回使うのに抵抗があるのでornotのマイカップを店に置かせてもらっている。

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お昼までバスマンさんの入れてくれたコーヒーを飲みながら、仲間たちとこの日のライドについてや、新しい機材の話などしているこの時間は私の休日の大切な時間だ。

 

そのまま、また走りに行く人、ずーと店にいる人、人それぞれだ。

 

私は昼になる頃、みんなにお礼をいい、店を後にした。昼からは家族と過ごすのだ。

もっとも、子供を連れてまた戻ってくることもよくあるのだが。

 

冬にしては暖かい日差しの中、私は家に帰った。

 

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さよなら、私のヒーロー

私の大切な人がこの世を去った。

ロングライドの巨匠、石原さんだ。

正直まだ、私は混乱している。あの人の笑顔が何度も脳裏をよぎり、まるで現実感がない。

 

石原さんは親友であり、時に父であり、そして間違いなく、もっとも身近にいた等身大のヒーローだった。

 

石原さんとは、地元のショップ、カントリーモーニングで知り合い、すぐに意気投合し、休みの日にはマウンテンバイクやロードバイクでいろんなところに走りに行った。

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それからブルベにいっしょに出たり、トレイルランやマウンテンバイクのレースのスタッフをしたりした。

 

イベントのスタッフで会場に前日入りすると、他の仲間を交えて、よくビールを飲んだ。

 

飲むと決まってクロモリフレームの話が始まって、大学の講義のような、クロモリのパイプの話などを真剣な顔をして話していたものだ。石原さんはとにかくクロモリの自転車が大好きだった。

私も石原さんに感化されたのか、気がつけばクロモリフレームの自転車が増えていった。

 

石原さんはとにかくよく食べていた。細い身体のどこにご飯が入っていくのか謎でしかなかったが、ラーメンもカツ丼もいつも大盛りだった。

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あと、峠の上や山の上で休憩していると、荷物からオレオの小袋を出して食べていたのを思い出す。

 

「ワシ、アメ車並みに燃費悪いじゃんね。」

 

そう言っていつも笑っていた。

 

私や仲間たちはたくさん食べる石原さんを見て、半ば呆れながら、なんだか幸せな気持ちになったものだ。

 

大食いのほかにも、寒い日のブルベではロードバイクのリアディレーラーが凍ってしまい、ワイヤーが切れてしまったのでフロントの変速だけで完走したことや、地元開催のブルベでミスコースしたことや、とにかくエピソードに欠かない人だった。

 

 

石原さんは確かに鉄人だった。パリ〜ブレスト〜パリ1200キロ完走。ロンドン〜エジンバラ〜ロンドン1400キロ完走と輝かしい記録を持っている。

でも、決して走りが速い人ではなかった。自分の実力をよく分かっていて、どうしたらもっと遠くまでいけるか、物事を冷静に考え、自分に足りないものは何か。そうした組み立てをして、計画的にブルベで完走メダルを次々に増やしていった。

 

石原さんはいつも冷静に、そして先を見ていた。

 

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私たちは長い時間を共に過ごした。

一緒にいろんな景色を見た。

一緒にいろんなものを食べた。

 

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伊良湖岬の先端から茶臼山の上まで走った。

豊橋からカツ丼を食べに富山村まで行った。

24時間耐久のマウンテンバイクのレースに出た。

ランドヌードルクラブ名古屋のスタッフとして、数々のブルベの試走を共にした。

晦日には地元の山をマウンテンバイクで走って、これでもかというぐらい年越し蕎麦を食べた。

 

辛いことも一緒に乗り越えた。

400キロの試走でランドヌードルクラブ名古屋の代表、金井さんと3人で豊田〜京都往復に行ったとき、帰りが向かい風と雨で、どれだけ補給をしても消耗する酷いコンディションの中、制限時間ギリギリで走り切ったのは思い出深い。石原さんは軽い低体温症だったのか、唇を紫にしていた。 

 

そんな石原さんは優しかった。

豊田から伊良湖岬を往復する300キロのブルベを石原さんと一緒に走っているとき、強風で私は前を行く石原さんから、段々と遅れて行ってしまった。

私は石原さんに向かって「これ以上、ついて行けません!私はゆっくり行きますから、石原さんは先に行ってください!」と叫んだ。

すると石原さんはペースを落として「シマダくん、そんなことを言っちゃダメだ。僕と一緒にゴールまで行こう。」そう言って結局、ゴールまで一緒に走ってくれた。

弱いものに手を貸し、勇気を与えてくれた。

ゴールしたあと、石原さんにお礼をいうと

「ワシあんたとゴールしたかったんだって」

と言って笑ってくれた。

 

強い人は優しい、石原さんはまさにそんな人だった。

 

 

2013年にロンドン〜エジンバラ〜ロンドン1400キロのブルベに出たときの話が石原さんという人を語るのにふさわしいエピソードが残っている。

 

完走間近のところで何度目かのパンクしてしまい、もう制限時間に間に合わないというときに、普通の人であれば挫けてしまうところだが、石原さんはこう思ったという。

 

「制限時間に間に合わないなら、タイムオーバーしてからどれだけ短い時間でゴール出来るか、これが自分のブルベだ」と。

 

そうでなくてもロングライドのパンクは辛い。それが続いた上に制限時間に間に合わないなんて、投げやりにならないほうがおかしい。

しかし、石原さんは違った。

 

 

これが石原さんという人の凄さだと思う。

 

 

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石原さん。

どうしたらそんなに優しくなれるのですか。

どうしたらそんなに強くなれるのですか。

 

 

もっとたくさんのことを教えてもらいたかった。

石原さんともっと遠くに行きたかった。

 

石原さんにはたくさんよくしてもらったのに、全然お返しが出来なかった。

 

もっとたくさんの峠を一緒に越えて行きたかった。もっといっしょにたくさんご飯を食べたかった。

 

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石原さん、天国までは自走ですか。

 

石原さん、ちゃんと補給のオレオは持ちましたか。

 

石原さん、いくらお腹が減ったからって、信号待ちでブロンコビリーの客席をガン見しちゃだめですよ。

 

石原さん、寒かったらPCでウィスキー飲んでもいいですよ。

 

石原さん、ちゃんと着いたらロンドンのときみたいに「お尻は痛くもなんともないよ」ってメールしてくださいね。

 

石原さん、よいライドを。

 

The sense of wonder - 秋の奥三河 -

毎週土曜日、私がお世話になっているバイクショップ「glocalbike」では開店前の午前中にお客さんを集めてロードバイクで2、3時間程度の走行会を開催している。私は時間の許す限り参加しているが、雨天時は中止だし、最近は都合の合わないことも多くて今回、久しぶりに参加することにした。

glocalbikeは豊橋市の郊外、石巻にあり、新城市浜名湖方面へのアクセスがいい。そのため、土曜日の走行会もそうしたところへ行くことが多かった。

 

集合時間の8時に店に行くと、いつもは何人も待っているお客さんがいない。前日の開催告知が遅かったせいだろう。結局、この日来たのは私だけだった。

 

glocalbikeの店主、バスマンさんと相談し、ルートを決める。私は鳳来寺山の表参道、旧門谷小学校で開催されるイベント「The sense of wonder」に行く予定で、新城桜淵公園あたりまでいっしょに行き、そこで分かれることにした。

 

急に季節が進み、冬物のウェアを着てきたが、ちょうど良い感じだ。バスマンさんは冬でも薄着だが、この日も夏物のウェアにジレとニーウォーマーをしただけだった。

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二人だけなので、ルート開拓も兼ねてふだんの走行会で走らないルートを行く。

走り出しは寒いが、体が暖まってくれば、少し寒いくらいの空気が気持ち良い。遠くの山の形がはっきりと見える。寒さの到来とともに空気が澄んできたのだ。

「いい季節だな。」バスマンさんが言った。

 

桜淵公園を過ぎたところで、バスマンさんと別れる。バスマンさんはこのまま走行会の定番ルートの峠を見て帰るという。

私はそのまま東に向かい、途中、友人である奥三河案内人の真由子の働くもっくる新城の観光案内所に立ち寄った。しばらく振りだったので、最近の奥三河の話題をいろいろ教えてもらう。30分ほど話し込んで、「The sense of wonder」の会場に向かう。

 

もっくる新城から旧門谷小学校までは普段あまり使わないルートを選んだ。もっくるからなら、本長篠まで出て、県道32号で北に上がるのが一般的だが、今回は国道257号から県道436号を行くことにした。川沿いの436号は国道257号からの抜け道で地元の人ぐらいしか使わないルートだ。もしかしたら紅葉が見られるのでは、と期待したが436号の紅葉は期待したほどではなかった。

 

県道436号から32号に入り、鳳来寺の表参道の入り口に来る。新城市の観光課の職員の方が駐車場整理をしている。この時期の観光課の職員は毎週末イベントでとても忙しい。

軽く挨拶して「The sense of wonder」の会場に向かう。

 

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 毎回ここに来るたびに思うのだが、門谷小学校の入り口に立つと、どこか違う世界の入り口ではないかと思えてくる。イベントがあればイベントの世界観があるし、何もなくてもどこか懐かしい小学校の風景がある。ここは非日常な空間への入り口なのだ。

小川にかかる橋を覆うように周囲の木々がトンネルを作っていて、その先に何かある、と期待が膨らむ、そんな幻想的な道だ。

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会場に足を踏み入れる。

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焚火の匂いと何か肉の焼ける美味しそうな香りが鼻をくすぐる。

紅葉した木々に囲まれた校庭に並ぶ、お洒落で個性的なテントたち。

 

校門の横の受付に友人がいた。いつもは何か出店側の彼女だが、今回はのんびり手伝っているらしい。こうして緩くイベントに関わるのはいいな、と思った。

 

今回のこの「The sense of wonder」は「冬を愉しむ道具とクラフト」ということで、キャンプにまつわるクラフトのお店やナチュラルな食事を提供する店が出ており、門谷小学校の柔らかい雰囲気と相まって会場を眺めているだけで何だか優しい気持ちになってきた。この雰囲気だけでも来た価値があるな、と思った。

 

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さて、私の家族はどこだろう。

実は家族は別行動で、私がライドしている間に車で先に来ていたのだ。

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いたいた。

校舎に近いブースの前で、妻がバイト先の同僚であるりょーこさんと話をしている。

 

「お父さん!」長女が私に気がついて、こちらにやってきた。

 

聞けばとくにまだ何か食べたりしていないらしい。少し家族とブースを見て回る。

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食事を出しているブースはこの辺りのイベントなどではよく見かけるところが多かった。

 

まずは豊橋でジャムを作っている「Nui」さんを覗く。

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うちはフルーツがあるとたいてい妻がジャムにするので、たまにしかジャムは買わないが、Nuiさんのジャムは洗練されていて美味しい。もともと餡子屋さんなので、今回は小瓶に入れたぜんざいも売っていた。長女がぜんざいが食べたいというので、ぜんざいを購入。それからジャムをいくつか試食させてもらい、梨のジャムも頂くことにする。

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長女は喜んでぜんざいを食べていた。長女は本当に嬉しそうに食べる。ぜんざいは私も少し食べたが、少し寒い屋外で食べるのは最高だった。

 

それから、りょーこさんオススメのフォレストファームの焼き鳥、山のハム工房GOBERのソーセージ、そしてツバメ食堂のパテのオープンサンドを買う。

ツバメ食堂は実店舗になかなか行くタイミングがなく、こういう機会には必ず何か買うようにしている。

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今回、飲食だけではなく、各ブースでは様々なワークショップが開催されていた。設楽町のAoyamaさんのワークショップが気になったがしばらく待たないといけないようだったので見送った。

 

出店者には友人も何人かいて、久しぶりに会う人もいた。

「Toei good witch project」として東栄町でハーブ農園をやっている角さん。地域おこし協力隊として東栄町にやってきて、任期終了後もそのまま東栄町で暮らしている。夏に一度、家族で農園に行こうと思ったのだが、ちょうど角さんが怪我をして農園に出られないときで、この時は残念ながら訪問は叶わなかった。

 

 

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角さんに挨拶して、そのときのことや、農園のことなど少し話す。角さんはハーブティーやクラッカーなどを販売していた。いくつか試食させてもらう。全く角さんはセンスがいい。

ワインのつまみにオススメという酒粕とハーブのクラッカーを購入。

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角さんのプロダクトはどれも体にいいものばかりだ。このクラッカーも酒粕東栄町の酒蔵「森山酒造」の酒粕を使っていて、それ以外の素材も国産のものにこだわった安心なお菓子だ。それてわいてちゃんと美味しい。私も最近はこういうものを選ぶようになってきた。

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今回のイベントで何気に楽しみにしていたのは、「kisten」の焼き芋である。

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キステンは、新城市の鳳来東部小学校の特認校制度のPRを行っている地元有志の団体である。

今回は、落ち葉で焼き芋を焼く、と聞いていたのでで楽しみにしていたのだ。

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最近、落ち葉で焚火というのもほとんど見なくなった。本当はうちでも焚火したいくらいなのだが。

私が注文しておいた焼き鳥を取りに行く間に焼き芋を買ってきてくれていた。

 

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ホクホクの芋を口に入れる。

熱い。なんと正しい焼き芋だろうか。また芋がブランド芋とかではなく、普通の芋なところがいい。

二つ買った焼き芋は一つを家族で分けて、もう一つはおやつで食べることにして持ち帰ることにする。

 

会場をもう一回りする。

食事はいろいろ楽しんだが長女がイチゴのホットドリンクを飲みたいというので買ってみる。

私は飲食以外のブースをもう一度見てみる。

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アイアンの焚火道具などに魅力を感じなかったかと言われれば嘘になるが、現実問題として家族キャンプにもう荷物を増やすゆとりはない。春キャンプですら車に荷物満載なのである。海外のキャンプ場のように庭にファイヤーピットがあれば買うところだが。

ここで無理に買うものでもないし、ピンとくればいつものお店でも旅先でも買うときは買うから今回はそういうことだっただけだ。

 

子供のお腹が満たされたところで帰ることにする。

 

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特に案内らしい案内をしていない緩い受付に行くと、ダモンデ山田さんの奥さんのミオさんとりょーこさんがいた。

 

しばらく他愛もない話をして、会場を後にした。

 

なんだか好きなものを食べていただけの「The sense of wonder」になってしまったが、まあある意味我が家らしいなと思った。


駐車場に向かう道すがら、出産予定日の奥さんを連れたエナジーバー研究家の脇くんともっくる新城で仕事をしていた真由子と行き合った。


彼らもあの空気感を感じたことだろう。


私は乗ってきた自転車を車に積み込むと、家族と共に家路についた。

 

作手高原 - ライド新城 -

友人のタツマくんがライドに誘ってくれた。最近は一人では積極的にライドにいかないので、誘ってくれる仲間がいることは全くありがたいことだ。

 

いつものように行先は奥三河

ダモンデメンバーでライドをするときの定番ルートは、新城市内スタート、旧田口線跡から四谷千枚田へ上がり、設楽町東栄町を抜けて望月街道からまた新城市内に戻る、というものだ。

このルートは車の交通量も信号も少ない。それから景色のいいところや飯田線のすぐ脇を走れたりと、奥三河を走ったことがない人を連れてライドに行くには非常にいいコースだ。

 

今回のライドはタツマくんと設楽町のエーシ、ダモンデトレイルのMC早川さんの4人のダモンデのメンバー4人。そのため普段あまり行かないルートに行くことにした。

 

目的地は新城市の北西部、作手地区である。作手地区は標高500mあり、本宮山スカイラインが走っていることもあり、上りを練習しに走るサイクリストが多い。今回は珍しく私がコースを引いたが、いきなりガツンと上るプランは却下されたので、仲間と相談し、川沿いの道から作手にアプローチすることにした。

 

どういう訳かこの週末はとても暑く、私はここぞとばかりに新しくなったダモンデのチームジャージを着て行った。タツマくんもエーシも同様である。しかし、一番チームジャージを着てきて良さそうな早川さんがジャージを着てこないという展開。

 

「だって、半袖じゃ絶対寒いって!」早川さんはそう言っていたが、スタートしばらくはやや暑そうだった。

 

桜淵公園から長篠方面に向かい、更に257号で北に向かう。只持から塩瀬に入る。このあたりの集落と川の風景は奥三河らしくて好きだ。

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薄暗い林道を走っていくと、少し視界が明るくなる。川沿いの紅葉が美しいところでしばし休憩。

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特に名所という訳ではない。

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しかし、美しい。素晴らしい季節だ。

 

しばらく各々が写真を撮った後、再び走り始める。

 

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こんなところを走れるなんて最高だ。私は贅沢な時間を堪能した。

 

県道の分岐で、どちらに行くかみんなで検討する。せっかくなので知らない道を行くことにする。

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比較的奥三河の道には詳しい我々だが、まだまだ走ったことのない道は多い。走ったことがない道が多いということはそれだけまだ未知の風景があるということ。奥三河には行くべきところがまだまだある。

 

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名もない道はいきなりの上りだったが、大した距離ではなかった。ピークから緩やかに作手のメインロードに向かって下りていく。

調子良く走っていたが、寒くなってきた。

ウィンドブレイカーを着なくてもなんとかなるレベルだ。

作手は標高500メートルほどあり、夏でも涼しいことで有名である。早川さんのウェアのチョイスは正しかった。

 

作手のメインロードを北に進む。

目的地は旧菅守小学校にある「レストランすがもり」だ。地域おこし協力隊としてやってきた佐伯さんという方が地域の人たちと始めたレストランで週末だけ営業している。地元のジビエを使った料理を出していて、とても評判がいい。しかし、作手の中でもかなり北に位置しており、フラッと行くには少し遠いところである。

 

北に向かい出してから、地面が濡れている。それにまた更に寒くなったように感じる。すがもりまであと少し、そう判断した私はペダルをこぐ脚に力を込めた。

ほどなくして旧菅守小学校に到着。

すがもりに来るのは久しぶりだ。一年くらいは来ていないのではないだろうか。

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思った以上にお客さんが多い。

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佐伯さんに挨拶する。元気そうだ。彼女は協力隊の任期は終わっているが、地域に残ってくれている。ありがたいことだ。

 

レストランのメニューは自然薯の定食や鹿のカレー、猪鍋など地域の食材を生かしたものばかりだ。私はせっかくなので、奮発して猪鍋1800円を注文した。

 

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猪鍋には鍋の他にさしみこんにゃくに煮物、野菜の天ぷらが付いていた。これでごはんお代わり自由なので非常にお得感がある。正直なところ、鍋が煮える間に、天ぷらでごはんがかなり進んだ。

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さて、猪鍋である。

味噌仕立ての濃い味付けでスライス猪肉にゴボウ、肉厚の椎茸、春菊などが入っている。猪の臭みは気にならなかった。春菊やゴボウの風味と良くあう。もっとお腹が空いていたらごはんお代わりするところだった。大変美味しかった。奮発した甲斐があったというものだ。

 

我々が食事をしている間、ひっきりなしにお客さんがやってきていた。サイクリストも我々以外に2組すれ違った。作手のグルメスポットとして認知されているようだ。やはり、多少アクセスが悪くても、行く理由さえあれば、人はやってくる。それだけの魅力をきちんと作り上げている佐伯さんやすがもりの人々はすごい。地道な努力の結果だろう。私もまたぜひ来ようと思った。

 

すがもりを後にすると、すぐ近くにある「涼風の里」に寄ってもらう。地元のおばあちゃんたちがやっているお店で、前にここで買ったヨモギ餅が美味しかったので、土産にと思っていた。しかし、この日はおいていなかった。ちなみにここの蕎麦は美味しい。

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前に来たとき、あまりに値段が安いのでどうなっているかと思ったが、料金表は以前のまま「平成23年定価表」の張り紙である。消費税増税もどこ吹く風だ。値上げはすればいいとは思うが、そのままの感じが奥三河だな、とどこか安心した。

 

すがもりからとにかく寒く、私はウィンドブレイカーを着ていたが、タツマくんは上着の類を一切持っていない。半袖ジャージが寒そうだ。

 

身体を温めるため、タツマくんが先行する。

作手の中心部に近づくと主要道を外れる。

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そこから来た道に戻るルートにしたが、その後は国道を南下し、新城市街に戻った。

 

まだ奥三河には行くべきところがたくさんある。そして今回のすがもりのように、実際に行ってみてわかったこともある。本当に当たり前のことをだが、実際に自分の足で行かないと分からなかったことだ。

三河も今回の作手や津具あたりは何度も車では行っているが自転車ではまだ未開拓に近い。もっと奥三河の北部も探検しないとな、と思った。

 

 

 

 

 

 

水窪から無人駅を巡る - 飯田線輪行ライド -

下りの風が冷たい。全く急に寒くなったものだ。

ホウジ峠を降りていくと城西地区の国道152号にぶつかる。そのまま国道で北に上がっていく。水窪までは数キロだった。

水窪橋の交差点で止まり、ケンタが昼ご飯の店を調べてくれた。水窪橋の横に立派なもみじとイチョウがあり、目を引いた。

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「ここにしよう」ケンタは「磯平」という店を選んだ。

水窪の商店街をゆっくり抜ける。

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昔、このあたりの宿で泊まったはずだか、当時は夕方に着いて暗かったから覚えていないだけなのか全く記憶に残っていない。静かな商店街だった。

 

少し迷ったが、磯平に到着。

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入り口に掲げられたメニューを見て驚く。

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コーヒー200円はまあいいが、定食やラーメンが300円とはどういうことなのだろう?

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ともかくお腹も空いたことだし、入ってみる。

店内は10数席の席数で、2組ほど先客がいた。お店はご夫婦でやられているようだ。外の看板に「還暦食堂」とあるので趣味でやっているのかもしれない。

我々は麻婆定食300円を注文した。店内にはウグイの泳いでいる水槽が隅に置かれていた。ウグイなんて久しぶりに見た。

またテーブルにはやや古そうな水窪の観光の本があった。巨木や城跡などが中心に紹介されていてなかなか玄人好みの本だった。

店の奥さんが麻婆定食を運んでくる。量は少なめだがちゃんとした定食だった。

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二人ともペロッと平らげると、店の奥さんに300円払い、店を出た。本当に300円でよかったのか、つい思ってしまう。

 

磯平の後、水窪橋まで戻り、橋のとなりにある「みさくぼ路の里」に立ち寄る。

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何か土産になるものをと思って覗いてみたのだが、外に並べられた野菜を見ていると、店のおばちゃんに突然、「寒いでしょ?温かい素麺の試食あるから食べていきなよ!」と言われ、そのまま店の奥のテーブルに通された。間髪入れず、紙コップに入った素麺と箸が出される。

素麺を出すと、店のおばちゃんはそのまま、店の入り口のほうに戻っていった。

あっという間の展開で、出された素麺をケンタと食べながら笑ってしまった。

素麺には戻した椎茸が入っており、椎茸出汁の素麺だった。

店のおばちゃんに素麺のお礼をいい、ゆっくり店内を見渡す。地域の特産品がいろいろ並んでいる。私は手作りのこんにゃくと安かった柚子を購入。土産でデイバッグがやや膨らんできた。

 

土産を買った後は、高根城跡に向かう。駐車場までの登り坂はなかなかの斜度だ。マウンテンバイクのクロスカントリーの選手であるケンタはサクサク上っていく。流石。

 

道の突き当たりから城跡に向かう階段にとりつくが、城跡まで20分と看板にある。往復40分で上で景色見ていたりすると小一時間というところだろう。電車の時間が気になる。夜は用事があるので、予定の飯田線を外すわけにはいかないのだ。

「やめるか。」少し階段を上ったところで我々は引き返した。

 

ここから国道152号で中部天竜に戻る。しかし、ただ戻るだけでは芸がないので、飯田線の駅を順番に回りながら帰ることにした。飯田線に乗って飯田線の駅巡りをしようとすると電車の本数が少ないので、一度駅に降りようものなら1時間以上次の電車を待つ、ということになりかねない。

しかし、自転車なら沿線沿いに走ると次から次に駅に行くことができる。実は数年前にも愛知県と長野県の県境でそんなことをしたことがあった。

 

まずは向市場駅

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駅の前は水窪中学校だ。こういうことは車窓から見ているだけでは分からないこともある。

 

次は城西へ。ちょうど昼前にホウジ峠から降りてきた場所だ。

 

しかし、先を行くケンタが途中で道を逸れた。

橋の上で止まる。

「ここ知ってる?」ケンタが言う。

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何かで見た覚えがある、しかし、なんだったか。

ケンタが教えてくれる。元々橋を渡して、その先にトンネルを掘ろうとして断念したらしく、橋はまた川を渡るという珍しいところで、飯田線好きの人には有名な場所だ。そういえば私もその手の本で読んだな。

 

その橋、第六水窪川橋梁を後にし、城西駅

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このあたりの飯田線の時刻表はビックリするほどスカスカだ。それでも電車が走っているので、我々としては大変ありがたいことだ。
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城西からはトンネルを一つ超えて相月駅へ。

相月駅は道路から少し高いところにあった。いつも車窓からは斜面に張り付いた民家が僅かに見えるだけでどうなっているかと思ったが、そういう訳か。

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相月駅は立派な待合室がある。

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無人駅にしては待合室が立派なのは、駅舎がないからだろうか。

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しばらくすると下り列車がやってきた。

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下り列車を見送ると我々も相月駅を後にした。

相月駅からしばらく行くと国道152号は飯田線から離れる。次の駅はもう佐久間だ。佐久間を目指して水窪川沿いに南下していく。川沿いの道は走りやすい。国道とはいえ交通量は多くない。気持ちよさそうに走っていくケンタの後ろを追った。

 

水窪川が天竜川と合流するところで、国道473号に入る。天竜川を渡ったところの分岐で、先で祭りをやっているようで、道路の入り口で交通整理をしているおじさんがいた。

 

飯田線駅巡りはサッと回れたので時間にゆとりがある。ケンタと相談して、祭りを見に行くことにした。

 

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祭りは国道から少し上がった集落の中心部で行われていた。地元の農協や団体がテントを出して地元野菜や蕎麦などを売っている。

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ステージでは地元の有名人なのか法被を着た爺さんが「今を去ること40年前!秋になると○△商店にサンマが出できて、そのサンマのしょっぱいことと言ったら」などとの昔の集落のことをなかなかいい調子で語っていた。

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また奥のテントでは聞いたことのない女性演歌歌手がCDを売っている。CDが売れないのか、となりの地元議員っぽいオッサンにワンカップをお酌していた。

 

サイクルウェアを着ていた我々は完全に浮いていた。

 

地元の人のための地元の祭りだな。

そう思った。

 

我々は何か買うでもなく、この圧倒的なローカル感を堪能すると、そのまま祭り会場を横切り、集落を後にした。

 

再び佐久間に戻ってきた。まだ時間は余裕だ。

ケンタが大学亭という店に行きたいというので、行ってみることにする。

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大学亭は鯛焼きや焼きそばなどを売る店で、一見、店の中で食事が出来そうな佇まいだが、入り口は普通に民家の玄関らしい。民家の窓がそのまま売店というなかなか斬新な店だ。

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ケンタが鯛焼きとたこ焼きを買う。佐久間駅まで移動して食べることにした。

 

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日陰は寒いので日なたに出てたこ焼きを食べる。私はホウジ峠で買った「とじくり」を出す。素朴な甘さのお菓子だ。甘く煮られた大豆が入っていておいしい。ある意味エナジーボールだな。

大学亭のたこ焼きはおいしかった。今回は食べ物はなかなか当たりではないだろうか。

 

まだ時間が微妙にあったので、佐久間駅に併設された図書館に寄る。

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郷土の本で、巡った場所のことを調べる。

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午前中上った二本杉峠の二本杉は明治時代に切られてしまったらしい。たいそう立派な杉だったそうだが、地元の郷士が切って東京に売ろうとしたらしい。しかし、二本杉を運んでいた船は沈んでしまったそうだ。いかにも、という話である。また二本杉峠に行くことがあれば、在りし日の二本杉を想像してみよう、と思った。

 

そろそろいい時間だ。我々はスタート地点の中部天竜に戻った。

 

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サッと自転車を輪行バッグに納める。

 

ホームで電車を待つ。ほどなく電車がホームに入ってくる。乗客は我々と男性が一人だけだ。中部天竜発の電車なので、車掌さんもホームにいる。

 

豊橋駅で降りた後のことを考えて前の車両に行こうとしたが、車掌さんが「トイレの前が広いですから、そこに自転車置くといいですよ。」というので、それに従うことにした。

 

車内は貸し切り状態だ。

 

飯田線輪行ライドのいいところは、その移動時間も楽しめるということだ。

 

ケンタと私は順番に現れる駅についてあれこれ言いながら、車窓の景色を飽きずに眺めた。

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自転車に乗った時間はわずか4時間程度だったが、非常に内容の充実したライドだった。

 

やはり、飯田線輪行ライドは最高だ。

次の飯田線輪行ライドはどこの駅から始めようか。そんなことを考えているうちに私は眠りに落ちた。

 

 

 

 

ホウジ峠へ - 飯田線輪行ライド -

今年の奥三河の紅葉は遅い、という。

 

週末一日使って奥三河へライドに行こうか考えていたが、紅葉を楽しもうと思うと奥三河もかなり北に上がる必要がある。どうしようか迷っていたところ、「紅葉サイクリングに行きませんか。」と自転車仲間のケンタから誘いがきた。ケンタは根っからの自転車好きでロードもマウンテンバイク、シクロクロスにも乗り、また奥三河南信州にも詳しく、ツーリングも好きなので、時間が合えばときどき一緒にライドに行くのだ。

 

ケンタと相談した結果、今回はJR飯田線豊橋から静岡県浜松市天竜区中部天竜駅まで移動し、佐久間、水窪周辺に行くことにした。

 

タイミングのいいことに、ちょうどその日はJRのさわやかウォーキングの日で、8時発で豊橋駅から飯田方面に特別列車の快速が出ることになっていた。

この電車を使わない場合は始発かその次の7時台の電車に乗ることになる。飯田線には基本的に快速は走っていないので、遠くまでいく場合は特急を使うか普通電車でのんびり行くしかない。まあ、のんびり行くのはそれはそれで贅沢なのだが。

 

こんな機会は滅多にないので、我々は豊橋からの臨時列車を使うことにした。

 

ケンタと集合し、豊橋駅で自転車を輪行袋に入れホームに向かう。

臨時列車が豊橋駅の2番ホームで待っていた。東海道線の快速列車と同じ車両だが、3両編成だ。

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自転車を持ち込むため、臨時列車がどのくらい混むのかが気になっていたが、あまり告知がされていないのか、3両編成でもさほど混んではいなかった。さわやかウォーキングに参加する人たちだろうか、一人で乗っている年配の男性が多かった。

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我々はベンチシートに座った。

飯田線の話をあれこれしていると、向かいのシートに座った男性が話しかけてきた。様子からすると鉄ちゃんのようだった。

 

豊橋駅から中部天竜駅までは 29駅あるが、臨時快速が停車するのは、豊川、新城、本長篠とほんとうにわずかだ。湯谷温泉に停車しないので、中部天竜までだと実は特急のワイドビューより停車駅が少ない。ちょっと反則な快速である。

少し前まで通勤で飯田線を使っていたので、快速のスピードに驚いた。とはいえ、途中の駅で何度か行き違いのために停車したりして、そのあたりは飯田線であった。

もう少しで本長篠駅というところで電車が急停車した。また鹿とでも接触したか、と思っていたら、向かいの男性が窓の外を指差しているので見に行く。

散歩なのか、数人の老人が線路脇に何事もないように座っていた。やがて車内にアナウンスが流れる「線路内に人が立ち入ったため緊急停止しました。」数分止まっただけで、すぐに走り出した。

 

「さすが飯田線。このくらいのトラブルは日常茶飯事だな。」私がそう言うとケンタが笑った。

 

中部天竜駅到着。

 

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我々以外に輪行していた二人のサイクリストが降りた。どこに行くのだろう。

 

中部天竜駅飯田線にしては珍しい有人の駅だ。切符を駅員さんに渡すとき、「どちらに行きます?」と聞かれる。「水窪方面です。また戻ってきますよ。」私は答えた。「ならいいんです。南の原田橋は渡れないもので。」駅員さんが言った。

 

原田橋のことは承知している。数年前に崩落事故があり、仮設橋はあるものの、自転車は通してくれない。駅員さんがわざわざ声をかけてきたということは知らずにここまで電車でやってくるサイクリストがいるのだろう。

 

駅前の色褪せた大きな観光地図の前で自転車を組み立てる。ケンタも慣れたものだ。

 

今回は、中部天竜から水窪を越え、大嵐駅まで行くという野心的なプランも立てたが、早く戻る予定ができたので、中部天竜水窪を往復するプランに変更した。

 

二人ともロードバイクだが、ガツガツしないペースで走って、景色のいいところや気になるところでは止まって、いろいろ見る、ということにした。

 

中部天竜駅を出発。

まずは中部天竜駅からとなりの佐久間駅まで移動。ケンタが鉄橋の狭いところを進んでいく。

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よく知っているな、ほんと。鉄橋の先の小道が国道まで続いているか疑問だったが、行ってみることにした。ダメなら戻ればいい。今回のライドはそんな感じだ。

案の定、道は途中で民家とぶつかった。まあこんなもんだろう。

佐久間から我々は二本杉峠に向かってのんびり上り始めた。

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実はこの道は20年近く前、走ったことがある。学生のころ、自転車部の合宿が水窪集合でこの道を通って水窪まで行ったのだ。なぜ川沿いの国道を行かずわざわざ峠越えのルートを選んだのか謎だが。

 

だが、今走ってみても全く記憶にない。キツかったという印象以外は。

確かにアプローチからなかなかの斜度だ。ケンタと話しながら上っていく。

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どうやらこの道は昔から街道として使われていたようだ。いろんなところに言い伝えなどを書いた看板があった。

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滝や淵に降りていく道があったが、上がってきた道を考えるとわざわざ降りて戻ってくるのが億劫で看板を見るだけだった。

 

ケンタが自転車を止める。

なるほどいい景色だ。

 

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「ドライブしていい景色のところ行っても、自転車で来たらよかったのになってよく思う。」とケンタ。全く同感だ。感動が全然違う。大抵、我々がいう「景色のいいところ」は高いところが多い。つまり、苦労の先の風景なのだ。だから毎回、文句を言いながら山を上っていく。

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更に峠をめざして上っていくと、中央構造線の断層谷に出る。

 

佐久間の町が眼下に広がる。

数キロ上ってこの景色なら悪くない。


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振り返ると赤く色付いた木が見えた。このあたりの紅葉も遅いようだ。

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断層谷から二本杉峠まではあまりかからなかった。

二本杉峠のいわれが書いてある看板はあったが、二本杉はない。どういうことなのだろう。

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二本杉峠の先は割と平坦基調で、続くホウジ峠まであっさり着いた。

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峠に来て思い出した。あの遠くの景色を望む崖のところで、昔写真を撮ってもらったのだ。あのときは豊橋から水窪まで自走だったからとにかくこのホウジ峠がキツかった、ということも思い出した。

ケンタにその話をすると、「じゃあ今回も写真を撮ろう」ということになり、一枚撮ってもらう。

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ホウジ峠には移築した古民家が民俗文化資料になっており、中では地元のおばさんたちが蕎麦を出していた。

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昼には少し早いので、蕎麦は見送る。

 

資料館の中を少し見せてもらう。昔の道具や雛人形などがいろいろ展示されていたが、解説が何も書いていないので、ふーんという感じだった。ちょっともったいないな。

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資料館を出るとき、家族に土産を買う。

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甘く煮た大豆を小麦とお米とまぜて団子にした「とじくり」と餡子の入ったまんじゅう「いろりっこ」を買う。いろりっこは生地が蕎麦、ヨモギ、きびとあったが、蕎麦ときびを購入。うちの家族にはなかなか好評だった。

 

「自転車で来たの?山上がってくるの大変だったでしょ?どっちから来たの?」と店のおばちゃんに聞かれる。佐久間から、と答えると「それは大変だわ。水窪からのほうが坂が緩いのよ。」と教えてくれた。

 

資料館を出て水窪に向かう。

ケンタと私はウィンドブレーカーを羽織るとそのまま峠を降りて行った。

 

「ケンタ、昼ご飯のあてはあるのか?」私が尋ねると「よさげなところがありそうだよ。」と言う。

ローカルな食堂に行けるといいな、と勝手に期待しながら、峠の下り坂に身を委ねた。

 

 

人の集うところ - ヤングキャッスル -

三河の玄関口、新城市に「ヤングキャッスル」というところがある。元々カレーが名物の純喫茶だが、先代のオーナーが体調を崩して店をたたみ、最近になって先代の親戚であるダモンデの山田さんが新たに店を始めた。

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新しくなったヤングキャッスルは、ダモンデとも関わりの深いBUCYO COFFEE筧さんの支援もあり、ネルドリップのガツンと濃いコーヒーとモーニング、パスタランチを出すお店になった。

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新城にはサッとランチが食べられる店が少ない、そういうニーズに応えようというところらしい。

 

オープン前、山田さんは先代の残したものを少しずつ整理し、ダモンデの仲間たちと長年溜まった汚れをきれいにし、今年10月、グランドオープンを果たした。

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店内の大型モニターでは海外の自転車レースが流れており、wifiも完備、また自転車タイヤが売られているという新城らしからぬ(いや、売られているタイヤがIRCというのはある意味新城らしい。)一面もあってそのあたりはさすがダモンデ、といったところか。

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そんな店には、毎日誰かしら知り合いがやってくるそうだ。普通にランチを食べにくる人、山田さんに会いにくる人などなど。

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それから前の店のままだと思ってカレーを食べに来た、という人も多いらしい。元々のお店はそれだけ地域に愛された店だったようだ。

 

 

先日、そんなヤングキャッスルで「OPEN FOR DaMONDE」と称して、秋のDaMONDE TRAILに関わった人たちのお疲れ様会が開かれた。

 

「特に何をする訳ではありませんが、みなさんと緩やかにコミュニケーション図れるのを楽しみにしています。」

 

DaMONDE TRAILに関わる人たちに届いた案内はこんな言葉で結ばれていた。

 

我が家は昼間に親戚の結婚パーティーがあり、それが終わった足でそのまま参加した。

ダモンデクルーたちはラフな格好なのに我が家だけ浮いているが、まあそういうこともある。

 

我々がヤングキャッスルに着くと見慣れた仲間たちがすでにそれぞれの輪を作っていろいろ話をしている。

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私も友人たちと新しいマウンテンバイクが欲しいけどイマイチこれというのがない、とか、シーズンインしたシクロクロスの練習はしてるのか、とかそんなどうでもいい話をする。

ダモンデの仲間は子供連れも多い。よその子を他の大人たちが遊んであげたりしている様子はまるで親戚の集まりのようだ。

 

ビールを飲んで気分よくなっていると、ある人から「奥三河でこういう属性の人からアンケート取りたいけど、どうしたらいい?」と相談を受けた。奥三河に住んでいる訳でもないのにそんな相談をしてくれるのは非常に嬉しかった。私は何人かのキーパーソンと役に立ちそうな団体を紹介した。こうやってダモンデクルーもその中でいろいろ情報交換ができたりして、いい場だと思う。

 

ヤングキャッスルは純喫茶の看板を掲げているが、山田さんはヤングキャッスルはどちらかといえばコミュニティスペースだと言う。

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山田さんはまさか自分が飲食店をやるようになるとは思っていなかったそうだ。たまたま縁のある物件が出たこと、飲食業のノウハウを手解きしてくれる仲間がいたこと、そして、それまでのダモンデの活動をしている中で、人が集まれる場所が必要と感じたというのが動機になったという。

 

人が来て、いろいろな話をしていく。日々の些細なことから、ごくごく個人的な話、地域の未来のことなど。何を話してもいい。山田さんが作ろうとしている場所は、人が集まって何かを話し、そこから「ワクワクする」化学反応が起きるようなところになるだろう。

 

 

気がつけば子供たちには遅い時間になっていた。楽しい時間はあっという間に過ぎていく。

みんなに「またね!」と言ってヤングキャッスルを後にした。

 

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ヤングキャッスル

【住所】新城市西入船5-2(新城市役所そば)

【営業時間】月曜日〜金曜日 

      モーニング 午前9時〜11時頃まで

      ランチ   午前11時〜2時頃まで(なくなり次第終了)

Instagramhttps://instagram.com/youngcastledamonde?igshid=q2w16ahtyqt6

 

 

 

 

 

山粧の市 サンソウノイチ - 秋の奥三河 -

暑かった10月が終わると急に涼しくなって突然秋が来たような感じだ。今回、鳳来寺山の表参道で「山粧の市」という骨董やクラフトなどの店が出るイベントがあるいうことで出かけることにした。

予定では家族で出かけるはずだったが、子供たちが風邪っぽい様子だったので、私だけ車で出かけることになった。

 

会場となる鳳来寺山の表参道は普段は静かなところだ。参道の途中にある旧門谷小学校は宿泊もできるところで、私と子供たちは何度かイベントなどで泊まったことがある。またテレビのロケが行われたりもして、奥三河のちょっとした有名スポットだ。ここ何年かは11月上旬に「イ・マエストリ」というクラフトと芸術のイベントが開催されていたが、こちらは昨年で終了し、今年は新たに「山粧の市」が開催されていた。11月2日からの連休三日間の開催で私は連休最終日の月曜日に行ったが、どうやら土日のほうが出店者が多かったようだ。

 

会場近くで駐車場を探していると、知り合いの新城市観光協会の方が駐車場警備をしていたので、声をかけると会場近くの駐車場を教えてくれる。

車を動かそうとしたら、向こうからマウンテンバイカーがやってくる。誰だろう?と思ったのは一瞬で、なんてことはない。ダモンデ代表の山田さんだ。向こうも何だ島田くんか、と言った様子。

 

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車を駐車場に置いて入り口から見て行く。いきなりオオスズメバチの焼酎漬けが売られていた。昔、豊根村に住む先輩に頂いたことがあるが、飲むと頭にカッと熱いものが込み上げてくる。見た目だけではなく飲みごたえもインパクト大だ。売っていたのはイベント主催者のカフェ爾今のご主人だった。一緒に蜂の巣も売っており、しばらく話を聞く。

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イベントで蜂の巣を売っているのはなんとも奥三河らしい。さらにはマムシの焼酎漬けもあり、こちらについても詳しく説明してくれた。

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周囲の店を眺めてみる。アイアンの雑貨の店が気になった。デザイン性の高い椅子などがあり、一輪挿しがなかなか良かったが、ちょっと予算と折り合わず見送った。

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イベントのエリアは3か所に分かれており、私は鳳来寺山の表参道を進んでいった。

去年までの「イ・マエストリ」で見たようなベレー帽やボーダー系の人がたくさん歩いている。それから鳳来寺山に向かうと思われるハイカーの姿も。

そんなお客さんの様子を見ながら進んでいくと、五平餅屋さんのことろで山田さんが話し込んでいた。数年前まで新城市の地域おこし協力隊として活動していた山田さんは、新城市内に知り合いがたくさんいる。それだけ精力的に地域の人と対話を繰り返してきたからこそであるが。

そんなことを思っていると「やまびこの丘」の大石さんが通りかかる。「自転車の格好じゃないから一瞬だれか分からなかった。」と言われる。

私が奥三河に出没するときは自転車かアウトドアの格好が多い。この日は珍しく、皮のジャケットにハンチングだったのだ。大石さんはブースを出していたので後で寄る、と約束した。

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山田さんと話ながら、次のエリアに向かう。

 

毎月のようにイベントなどで山田さんとは会っているが、ゆっくり話す時間は意外になかったりする。久しぶりにゆっくり話ができた。

 

次のイベントエリアには設楽町で家具と革製品のオリジナル製品を作っているAoyamaさんがブースを出していた。テントのリースが洒落ている。今年の冬は真似してみようか、と思った。

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山田さんとAoyamaさんが地域の事情などについて意見を交わしている。私もそのあたりの話は仕事で関わったことがあるので、少し私見を述べさせていただいた。この日の結論はシンプルだった。「Give and Take」。

Aoyamaさんからアトリエで開催するイベントのお洒落なフライヤーをいただく。Aoyamaさんのアトリエは定期的にイベントを開催しており、奥三河の友達が出店したりしていて、前から興味があるのだが、なかなか行く機会に恵まれない。そろそろ行ってみたいな。

 

Aoyamaさんのブースをあとにして表参道を更に奥に行く。

表参道の突き当たりは鳳来寺の本堂まで続く石段である。

このあたりまで来るのは久しぶりだ。

 

一番奥のエリアは飲食ブースのエリアだ。

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焼き菓子にパン、カレーなど買いたいものがたくさんあった。

東栄町唯一のパン屋さん「ピッコロパン屋」が出店していた。前に東栄町のゲストハウスdanonでイベントがあったときにも出店していて、そのとき子供に買ったらおいしいと言っていたので土産に買うことにした。購入したのはサツマイモのパンと栗のパン。栗餡は自家製と書いてあったが、栗餡は餡子に栗が混ぜてあるのではなく、栗で作った餡で、美味しくてびっくりした。もう一つ買えばよかった。

 

焼き菓子のお店でクッキーとスライスを買う。「スライス」という書き方が海外のカフェみたいで洒落ている。スライスはラズベリーとココナッツ。私はココナッツのお菓子が好きだ。まあ甘いものは全般好きだが。こちらで買ったお菓子も土産にした。

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店の方と話す。11月30日に旧門谷小で開催されるイベント「The Sense of Wonder」について教えてくれた。tool、craft、camp、foodのイベントだそうだが、アウトドアギアだけではない、キャンプのお供になるクラフトも出るという。「ほうき屋さんが出て、テントを掃除するのにいいほうきを提案してくれたりするのよ。普通、そういうところって安いもので済ませてしまうでしょ?」ほうきは妻が好きなのできっと言えば行きたがるだろう。

「イベントの名前がいいですよね。センスオブワンダー。その名前だけで、なんとなくイベントの雰囲気が伝わってきますもんね。」そんなことをもっともらしく言った私だが、レイチェルカーソンを読んだのは遥か昔のことだ。

しかし、キャンプ道具としてのクラフトなんて実に良さそうではないか。ぜひ行かないとな。

 

山田さんと元来た道を戻っていく。山田さんがやっているコミュニティスペース「ヤングキャッスル」の話、以前相談があって検討したイベントの話など話は尽きない。

 

やまびこの丘の店の前まで戻ってくる。

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やまびこの丘のお菓子やドリンクはどれも美味しい。クッキーやスコーンを試食させてもらう。やはり美味しい。

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しかし、土産に選んだのは、塩キャラメルマフィンだ。ショーケースに並んでいるのを見つけた瞬間にこれに決めていた。これもお土産にして家で食べたが、大変美味しかった。

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山田さんがドリンクを飲んでいたので、私もドリンクを貰うことにした。

 

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私が頼んだのはクラッシュゼリーとフルーツの果肉たっぷりのシロップのソーダで、私はイチジクのシロップを選んだ。イチジクは櫛形にカットされており、大きな果肉が嬉しい。

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やまびこの丘の商品はセンスがいい。

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数年前から奥三河では愛知の星空の聖地としてPRをしており、奥三河特産の乾物と星をかけた「奥三河の星干」というシリーズの土産を売り出している。

その商品の一つがやまびこの丘のドライフルーツのフレイバーティーだ。味も香りもパッケージもお洒落だ。ぜひお土産に買っていただきたい。


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やまびこの丘のブースの後、入り口のブースで大きななめこを土産に購入すると、そのままマウンテンバイクで走っていく山田さんと別れ、会場を後にした。

 

帰り道に道の駅「もっくる新城」の観光案内所に寄る。案内所を管理する奥三河観光協議会の安彦事務局長が出迎えてくれた。最近の奥三河の事情などを伺う。今年は紅葉は遅めらしい。

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いくつか奥三河の紅葉スポットで行きたいところがあるが、今年は行けるだろうか。

 

案内所を出ると日差しと風が心地いい。

次に奥三河に来るときは自転車で来よう、そう思った。

 

 

富士山を望む場所 - 甲州・富士山ソロキャンプツーリング -

昨夜の喧騒が嘘のように朝のキャンプ場は静かだった。私は寝袋から出て、テントのジッパーを開けた。周囲のテントとあまり離れておらず、荷物の中からコーヒーセットを探す音が妙に大きく聞こえる。まあ夜遅くまで騒いでいたようだし、朝が早くて多少音を出しても文句を言う人もいないだろう。

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私はコーヒーを淹れ、マグカップを持って山中湖畔に出る。思いの外、寒い。全く知らなかったが、山中湖は標高900mほどあるらしい。

湖畔にはすでに何人かの人が出ていた。

 

だんだんと空が明るくなってくる。西を見ると富士山の広い裾野が見える。山頂付近は雲がかかっているが、やがて流れていきそうだ。

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東の空を振り返ると、朝日が昇ってくる。

 

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昨夜のキャンプ場はあんなに騒がしかったのに、朝は静寂の世界だ。

湖面に映る太陽が淡く輝いている。眩しいが何度も何度も見てしまう。見る見る日が高いところに昇っていく。こんなふうに朝を迎えることができたことに感謝した。

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雲が少しずつ晴れてきた。

富士山の方を見る。富士山はようやく雲から少し頭を出した。

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私の住む街は遠いが一応、富士山が見える。

しかし、冬のよく晴れた日でないと見えない。そうして見るのは雪を被った富士山だ。

雪が降る前の富士山を見るのはとても新鮮だった。私は写真を撮り、早朝だったが、妻に写真を送った。次女はどんな感想を言うだろうか。

 

キャンプサイトに戻り、朝ごはんを、と思ったが、米を買うのを忘れていたことに気がついた。だからと言って朝からコンビニも味気ない。

私は緊急時用のインスタントラーメンを朝ごはんに作ることにした。中華三昧味噌味だ。朝からキャンプ場に味噌ラーメンの香りが漂う。なんだか周りに申し訳ないが、仕方がない。

 

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ラーメンを持って日の出を見たのとは反対側の湖畔に行く。このみさきキャンプ場はその名の通り、山中湖内に突き出た小さな半島にあるのだ。こちらの湖面はとても静かで鏡のようだった。

 

湖面を眺めながら朝ラーメンを食べる。

バスフィッシングの人が何人か見える。釣り人は朝が早い。

そんな景色を眺めながら食べる朝食は味噌ラーメンではなくて、せめて塩ラーメンだな、とどうでもいいことを思った。

 

ラーメンを食べ終わる頃には、キャンプ場は騒がしくなってきていた。昨日は暗くて分からなかったが、様々なキャンパーがいる。最近のキャンパーはギアもウェアもおしゃれだ。またキャンプブームが来ているというが、こうしたアイテムの充実があるのかもしれない。

 

荷物をまとめて出発。

 

今日も朝から素晴らしい快晴だ。日の出の頃出ていた雲もほとんどない。まず目指すのは、三国峠に続く山中湖パノラマ台。山中湖畔沿いに走っていく。

振り返ると富士山がドーンと見えた。

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嬉しくなって湖岸のそばまで行って記念撮影。

 

湖畔を離れ、三国峠のアプローチにとりつく。

昨夜、今日訪ねる予定の松本さんとメッセージをやりとりする中で、山中湖側から三国峠は大したことない、という情報をもらっていた。

思いの外、すぐにパノラマ台に到着。

 

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一生懸命写真を撮っているご夫妻にケータイを渡して、写真を撮ってもらった。

「カッコいいですね」旦那さんがわたしにケータイを手渡しながら言う。久しくそんなことを言われたことがないので、素直に喜んでしまった。

 

三国峠までのアプローチはとても気持ちが良かった。

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ススキの原を風が抜けていく。

三国峠に到着。あっけなかった。

 

ここから道は一旦神奈川県で、すぐに道また県境を越えて静岡県に入る。

 

三国峠をどんどん降っていく。オリンピックのロードレースのコースにもなっているはずだか、かなりの斜度だ。正直、静岡側から上る気にはならない。

だが、多くのヒルクライマーが向こうからやってくる。よくやるな。

 

途中、眼下に富士スピードウェイが見えた。

 

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更に道は南に向かってどんどん降っていく。

だいぶ平坦なところまで降りてくると国道246号線にぶつかる。国道沿いに行けば、今日の目的地である小田原までは早く着けるかもしれない。しかし、国道は確実に混雑するだろうし、まだ時間も早い。

私はツーリングマップルを見て足柄峠を越えて行くことにした。足柄峠からは富士山がよく見える、とツーリングマップルには書いてあった。

 

小山町の役場のそばで和洋菓子屋さんを見つけて入る。カフェでもあればよかったが、そんな都合よくはないものだ。

 

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入ったお店は地方によくある和菓子も洋菓子も売っているところで、私はブッセに黒砂糖のわらび餅、それから店の看板商品らしい「金太郎の熊どら」を買う。

店内にテーブルがあったので中で食べさせてもらう。店の奥さんがお茶を出してくれる。

「10月からお客さんみたいに中で食べていく人には消費税10%にしないといけないのかしら。」と困った様子だ。毎日、真面目に商売をしていそうな小さいお店の人を悩ませるなんて、どんなもんだろうな、と思った。

 

和洋菓子屋を後にして足柄峠へ向かう。

 

しばらくは緩い上りだったが、途中のゴルフ場のあるエリアが激しい上りだった。これは一昨日の四尾連湖といい勝負だろう。途中、止まってしまおうかとも考えたが、なんとか耐えた。

 

ゴルフ場の建物まで来ると結構な標高を稼いでいた。

峠のてっぺんまでもう少しだろう。

 

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走っていると前の方を女性のランナーが走っている。

すごいな。どこから来たんだろう。

追い抜きざまに声をかける。

「こんなとこ走るなんて凄いですね!」私がそう言うと「そちらこそ!」と返してくる。「いやいや、自転車のほうが楽だと思いますよ。頑張って!」

もう抜き去ってしまってランナーは後方だったが、「そっちも頑張って!」と声をかけてくれたので、彼女から見えるように私は右手を振った。

 

こういう一期一会はいいな。

 

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足柄峠に到着。

ここは駿河国相模国の国境だったらしい。また城もあったようだ。城跡へ登っていく。

 

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雲に隠れていたが、わずかに富士山が見えた。

ここに城があった時代、人々はどんな風に富士山を見ていたんだろうか。

あんなに雄大な山を見たら思わず手を合わせたことだろう。

 

いい場所だった。

 

足柄峠を降りていく。この先は神奈川県になる。

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神奈川県側の下りの斜度もなかなかだ。

 

降っていると多くのランナーに出会う。どうやらここはランナーには有名な練習地らしい。やはり同様にサイクリストも多い。南足柄市の市街地近くまで降りると、傾斜もだいぶ緩くなる。

そんなところをとても辛そうに上っていくサイクリストを見かけた。そこはまだ序の口なんだよ、と心の中で声をかけた。

 

目的地の小田原まであと少しになり、松本さんに連絡を入れる。お昼をご馳走してくれるらしい。せっかくのご好意なので甘えることにした。

 

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市街地を抜け、松本さんとの待ち合わせ場所に向かう。思ったより時間がかかり、少し遅れてしまった。

待ち合わせ場所に着いて、松本さんに連絡する。

松本さんのお宅はすぐ近くだった。

 

松本さんは昔、私がアラスカを旅していたときに出会ったカメラマンだ。今はなくなってしまったフェアバンクスの「GO NORTH」という宿で我々は出会った。私が北極海から戻り、帰国までの残された時間をどう過ごそうか考えていたときのことだった。結局私はアラスカに詳しい松本さんの勧めでアンカレッジの南、キーナイ半島へ行き、その後帰国の途についた。

 

松本さんが家の前で出迎えてくれた。松本さんと会うのは何年振りだろう。まだ次女が妻のお腹にいた頃に北杜市で開催された松本さんの写真展に行ったのが最後だから7年くらい前か。

 

松本さんは昔と印象が変わっていない。

 

今年建てたばかりの松本さんの家は、周囲を田圃に囲まれた場所で、風が吹き抜けるとても素敵なところだ。黄金色に染まった田圃が美しい。

そして富士山に連なる山々が見える。極北の自然を愛する松本さんらしいところだと思った。

 

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家の中には薪ストーブがあった。

「まだ火入れしてないんだ。楽しみだよ。」

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松本さんはお昼にお手製のパスタをご馳走してくれた。みずみずしいブドウも出してくれる。

 

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食事をしながら、家の話、アラスカの話などいろいろ話す。何年も会っていないのに、自然と話ができた。

 

北極海に続くダルトンハイウェイの話は特に盛り上がった。Foxという街の先にあるカフェの話など、松本さんに聞かれるまで忘れていたことをたくさん思い出した。

 

家の中を見せてもらう。家具など随所に松本さんのこだわりが見て取れる。

「窓からキジが歩いてるの見つけてさ、思わずアラスカでグリズリーを撮影するときに使うデカいレンズのカメラだしてきちゃったよ。」

田圃のほうを指差して教えてくれる。

 

そのまま庭を案内してもらう。

「この薪置き場の屋根に苔が生えないかなって。アラスカみたいにさ。」

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松本さんは家のことが楽しくて仕方がない様子だ。私もよく分かる。

 

話に夢中になって時間があっと言う間に過ぎていく。出かけていた松本さんの奥さまが帰ってきて、奥さまも交えてさらに話す。

 

その後、私はお暇させてもらうことにした。

 

松本さんご夫婦が見送ってくれた。

本当に会いに行ってよかった。

また会いに行こう。

 

私は小田原駅に向かった。あとは来た時のように自転車をしまい、電車に乗るだけだ。

 

春から仕事が大きく変わり、このところ、今後の生き方を、転職も含めて、いろいろ考えていた(まだ考えているが)。そんなとき、旅で出会った人々はその後、どう暮らしているのか、実際に会って確かめたくなったのが、旅に出た動機の一つだ。

旅の中に少しでも人生を見出してしまった人はどうやって日本の社会の中で生きていけばいいのか。私はそのことを毎日考えていた。

 

松本さんは自然体だった。松本さんらしい新居も元々そこにあったようだった。

 

 

小田原駅から新幹線に乗り込み、売店で買ったビールを飲む。

地元の駅からは妻が迎えに来てくれるので駅から先は心配ない。ケータイを見ていると、となりに座っていた年配のご婦人が声をかけてきた。

 

「富士山、とてもよく見えますよ。」

 

通路側に座っていた私は少し身を乗り出し窓の外を見た。

山裾からてっぺんまで綺麗に富士山が見える。

 

「日本人はやっぱり富士山が好きなんですよね。」とご婦人。

 

「昨日、富士吉田のあたりにいたんですけど、雲で隠れて全く見えませんでした。今日の富士山は素晴らしいですね。」私は昨日、今日と富士山の周りを旅したことなどを話し、しばらくご婦人と会話を楽しんだ。

 

地元の駅に新幹線が着くと、ご婦人に富士山のことを教えてくれたお礼を言い、新幹線を降りた。

 

最後の最後までいい旅だった。

 

家に帰ったら、妻と子供たちにささやかな土産を渡し、この数日どんな風に過ごしていたか聞いてみよう。そして私が見て感じたものを伝えようと思った。

 

四尾連湖から富士五湖へ - 甲州・富士山ソロキャンプツーリング -

 

前回のブログで話が飛んでしまったが、旅の続きの話をしたい。

 

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早朝、テントが明るくなって自然と目が覚める。テントから這い出して、四尾連湖を見る。朝の四尾連湖は張り詰めた朝の空気に包まれている。空は素晴らしい快晴だ。

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コーヒーをたっぷり淹れ、コーヒーの入ったマグを持って湖畔に出る。

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山の斜面に朝日が照らす。湖面に陽が刺した場所からは朝霧が立ち始める。

 

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静かだ。



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コーヒーを口にしながら、四尾連湖を一周散歩する。私は歩き出した。

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私が泊まった龍雲荘のキャンプ場のとなりにはSUPをやっているショップ兼カフェがあった。紺色のお洒落な建物が目を引く。

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カフェを通り過ぎ、そのまま湖沿いに進んでいく。猫じゃらしのような白い花が咲いている。見たことない綺麗な花だった。

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四尾連湖は周囲1.2キロしかないのでゆっくり回ってもすぐに半分ほど来てしまった。

 

ちょうど水明荘のキャンプサイトの前である。まだ6時前だが、こちらのお客さんは起きていて、湖の方を向いて椅子に座っている。わかっているな。

私は「おはようございます」と声をかけて前を通り過ぎた。

 

四尾連湖はとにかく水が綺麗で透明度が高い。泳いでいる魚の種類が分かるほどだ。

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歩いてきたところを振り返ると朝日が昇ってくる。

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ああ、朝よ。

 

これほど心が穏やかで、そして満ち足りた静かな朝は本当に久しぶりだ。

 

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水明荘の建物の前を横切り、私は自分のテントに戻った。

 

朝の素晴らしい散歩のあとは朝食。

フリーズドライのスープにご飯を入れるだけの簡単雑炊を作る。

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私は朝食のコッフェルを持って桟橋に行った。湖を間近に見ながら食べる朝食は格別だった。

 

洗い物を済ませ、テントを撤収。

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意外とすぐに撤収出来そうだ。

水明荘のお客さんを見かけたのでそちらに行ってみる。もう売店は開いているようだった。中に入ると「ゆるキャン△」のキャラクターのパネルがあった。

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他にもいろいろゆるキャン△関係のものや商品が置いてあった。好きな人にはたまらないだろうな。

他にも地域のパンフレットが置かれており、ほったらかしキャンプ場のパンフレットなど、私はいくつか気になったパンフレットを貰っていくことにした。

 

朝から素晴らしい時間を過ごすことができた四尾連湖を後にする。

 

まずは精進湖に向かう。

 

四尾連湖から昨日上って来た道を降りていく。キャンプ場からいきなり加速していく。なるほどこの斜度はきつい。

 

昨日は見ている余裕はなかったが、道から谷の下の集落が見える。

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下りの景色を楽しんでいると、ピストバイクで登ってくる人がいた。この斜度をピストか…朝からすごいものを見た。

 

山を降りると県道36号で西へ。道からは甲府盆地を望むことができた。天気も素晴らしい。

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道はやがて川沿いになる。

 

川沿いの道でやや上り基調だが、車も少なく走りやすい。日差しが強くどんどん気温が上がっていくが、日陰は涼しくて気持ちが良かった。

 

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川がよく見えるところで少し休憩する。たまたまあった郵便局が「下九一色郵便局」だった。

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上九一色は有名だが、なるほど下もあるわけだ。田舎の静かな川沿いの集落といった趣きだった。

 

下九一色の郵便局からしばらく走り、飲み物を補給した。山間で飲み物を補給するときのお馴染みダイドーの自販機である。自販機の置いてあった建物がいい感じだ。日本の田舎のという感じがたまらない。

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やがて川沿いの道が終わり、国道358号に入る。急に車が増える。考えてみれば三連休の初日だ。車が多くて当然である。

 

上九一色で温泉に併設された直売所に入る。手作りのヨモギ餅と炊き込みご飯のオニギリ、それから枝から外れたブドウのパックを購入。オニギリとヨモギ餅はすぐに食べてしまう。

ブドウは数粒食べてハンドルバッグに入れておいた。みずみずしくて皮も薄くて食べやすい。贅沢な補給食だ。

 

ここまで来れば精進湖まであと少しだろう、とタカを括っていたが、大間違いだった。

道はどんどん上りになっていく。暑さと狭い国道を走るたくさんの車が辛い。これはかなり上るな、私は覚悟を決めた。幸いというか何というか、昨日の四尾連湖までの上りで免疫が出来ており、何とかなる、と確信していた。

 

実際かなりの上りだったと思うが、止まることなくずっと一定ペースで上り続けた。連休初日ということもあってか、車も多い。それから観光バス。道は決して広くないので、大型バスが通るとヒヤヒヤする。

 

小1時間ほど上っただろうか。やっとトンネルが見えた。路肩は広くないが少し休憩。先程買ったブドウがうまい。

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トンネルを抜け、少し行くと湖が広がる。精進湖だ。

 

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精進湖の湖畔を少し走り、そのまま西湖へ向かう。ロードバイクに乗ったサイクリストと何人もすれ違う。富士山一周か富士五湖巡りをしているのだろう。私も一度やってみたいな。

 

西湖に出る。

 

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観光地らしいお店が周囲に増えてくる。湖畔沿いの道を行き、更に河口湖へ。

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河口湖は正に観光地といった感じだ。バスフィッシングも盛んなところで釣り客も多いが、サイクリストも相変わらず多い。私は河口湖を西から東へ。南側から回った。

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道の駅で買い物をしていると何人もサイクリストを見た。ロードバイクかレンタルがあるのかebikeの人も見かけた。

 

河口湖からは富士吉田に向かう。今日の昼は吉田うどんに決めていた。しかし、思ったより時間がかかってしまい、昼を随分過ぎてしまっていた。富士急行富士山駅の前に観光案内所があったので入ってみる。観光案内所の前に置かれた青いカラーコーンが富士山柄になっていて可愛い。

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観光案内所にどんなパンフレットがあるか、応対がどうかなどついつい観察してしまう。さすがに富士山エリア、英語のパンフレットが充実している。そういえば富士吉田に入るぐらいから急に外国人旅行者を多く見るようになった。

カウンターの女性に今から食べられる吉田うどんの店と山中湖方面の温泉を訪ねる。昨日お風呂なしだったので今日は入りたかった。

温泉は山中湖のそばにあるそうで、うどんのほうは目の前の富士急のビルの中にあるらしい。

 

富士急のビルはよくある駅ビルで、地下のイートインスペースに吉田うどんの店はあった。

自転車に乗っている日は躊躇なく大盛りを頼める。

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太いうどんはつるっといくというより「食べる」といった感じだ。悪く「すりだね」という唐辛子と山椒の辛味調味料が味噌仕立てのつゆとよく合ってうまい。バッチリ完食した。昨日に引き続き満足なランチだ。

 

ビルの屋上に富士山の展望デッキがあるようなので、行ってみる。昨日次女に富士山の写真を頼まれたが、方角が悪いのか全く見えない。さすがに展望デッキに出れば見えるだろう。

 

デッキに出る。富士山が見えるはずのところには、厚い雲しか見えない。なるほどそういうことか。

 

私は写真を撮り、イメージを描いて妻のケータイに送った。すまん、次女よ。明日晴れたらちゃんとしたのを送るからな。

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富士急のビルでちょっとした買い出しと家族への土産を買っていたら思いの外、時間を取られてしまった。今日泊まるキャンプ場は予約を受け付けておらず、先着順なので早目に着きたかった。

 

遅めの昼食と買い物のあと、山中湖に向かう。だんだんと雲行きが怪しくなって少し降られる。山中湖まで平坦かと思っていたが、じわーっと長く上っている。

ここの上りも予想していなかったので、なかなかぐったりした。

 

山中湖の手前で日帰り温泉に寄る。

ここも天気がよければ富士山が見えるはずだが、富士山は雲に隠れたままだ。温泉には外国人も多かった。温泉を堪能した後、少し行くと山中湖に出る。目指すキャンプ場は山中湖の東にある、みさきキャンプ場というところだ。

 

キャンプ場に到着。

 

受付に行き、チェックインを済ませる。ゴミは持ち帰りで一泊3000円。奥のほうは空いている場所があるはず、と言われたが、それらしいところがなく、敷地の中かよくわからないところにテントを張った。

キャンプ場はきのうの四尾連湖と打って変わって、大混雑だ。テントとテントの間が狭い。それに音楽をかけたり、なかなか騒がしい。翌日の移動距離を考えてこのキャンプ場にしたが、こんなに人がいるとは思っていなかった。東京圏からの客が多いようだが、これでキャンプして楽しいのだろうか。もっと区間を広く取ることもできるのだろうが、それでも客が来るからいいということか。なかなかボロい商売だな。

 

テントを張ったあと、ビールを買いにコンビニへ行く。何かの大会があるのかジャージ姿の大学生くらいの人でコンビニはごった返していた。

 

ビールだけのつもりだったが、揚げ物コーナーにポテサラちくわ天があったので思わず購入。晩ご飯は充分にあるのだが。

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テントに戻り、少し薪を集める。今日は一人用の小さなネイチャーストーブでささやかな焚火だ。

 

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ビールを飲みながらゆっくり夕食を作る。

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今夜はトマト系ソースにドライハーブを入れたペンネだ。

いつもどれだけ茹でたらいいか分からない。次からは100グラムずつに小分けにしてこよう。

 

やや多かったペンネを食べる。まだビールとつまみがあるのだが。

そうだ、次女に謝らないと、私は家に電話した。

次女に富士山の写真撮れなくてゴメン、と言うと「お父さんあの写真ケータイで描いたの?」と送った写真のほうが気になったようでその話ばかり聞いてくる。次女らしい。明日晴れたら本物の富士山の写真を送ると約束した。

 

焚火の火を強くし、真空パックになった鶏肉を焼く。

脂が燃えて火が大きくなる。

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小さい焚火でもなかなかいいな。

相変わらず周囲は騒がしいが、疲れているので、ビールが回ってすぐに眠れることだろう。

 

明日は富士山が見えるといいが。