定着から放浪へ 放浪から定着へ

自転車の旅、そのほかの旅について書いています。

2006年7月25日 an American cafe

アラスカに来る前からアンカレッジからはParks Hwyを北上し、まずはアラスカ中部の都市フェアバンクスを目指すことに決めていた。

アンカレッジからフェアバンクスをつなぐParks Hwyは2つの都市を結ぶ主要なハイウェイである。
途中、マッキンリー山で有名なデナリ国立公園を通るこの道は
ハイウェイ上に街が点在していることから
アラスカに慣れるにはいい練習になるだろうと考えた。

アンカレッジから郊外に出るまでにかなり時間を要した。
というのも、都市部は自動車専用道が多く、自転車は側道のバイクトレイルを行かなくてはならず、
途切れ途切れのバイクトレイルを見つけるのに苦労した。

 

アンカレッジの次の街、Wasillaまではアンカレッジから42マイルほどだが、
ひどく長く感じた。ペダルを踏んでんも踏んでも進まないような気がした。


道の向こうに橋が見えてきた。川だ。

昔、野田知佑の本で見たスケールの大きな川がそこにあった。
河口はグレーに濁った川が殆どだ、
野田知佑が書いていたように思うがまさにそんな感じだ。

本でしか見たことのない世界に来たんだと思った。
 
自然に写真を撮った。長い長い橋を渡る。

 
ワシラで遅めの昼食を取り、再び走り出した。  
 






天候もすぐれず、雨が降ったり止んだりといった状況で、
ハイウェイも大きな街の近くということもあり
バイクトレイルが途切れ、ハイウェイの端を車がビュンビュンとばす中、
走るのは楽しいとは言えなかった。

昼食後、休憩らしい休憩も取っていなかった。

そろそろ休憩するか、と思いながら数マイル走ると
ハイウェイ沿いに「CAFE」とデカデカと太い字で看板を掲げた店を見つけた。

80年代のにおいがする少し古びた佇まいだ。
「おっ、いかにもって感じじゃないか。」 私は迷わず店に入った。


店は正面にカウンター、右手奥がバーになっており、ビリヤード台が見えた。

地元の客だろうか、壁際のテーブルではテンガロンハットを被った
初老の男性がポテトをむさぼっていた。


さして腹が減ってなかった私はナイフフォークのセットされたテーブルを避けて、
正面のカウンターに腰を下ろした。

「ハイ」
30代後半ぐらいだろうか、店の女性が元気に声をかけてきた。

「コーヒーを」

いつもはコーヒーはブラックだが、ツーリング中は体が求めるので、
ミルクと砂糖を入れることが多い。
このときもミルクと砂糖を加えて、カップを口に運んだ。

「薄!!!!」

これは、、、、麦茶だろ?
あまりのコーヒーの薄さに私は驚いた。
なるほど、これがまさに「アメリカン・コーヒー」という訳か。
(その後、多くのカフェやレストランでコーヒーを飲んだが、ここが一番薄かった。)
驚きながら、コーヒーを半分ほどあけると先ほどの女性がすぐにおかわりを注いでくれた。

あぁ、なるほどみんなこうやって薄いコーヒーを何杯も飲むわけだ。



店の中を見回すと、時間は三時を少し回ったくらいだったが
殆んどの人が食事をしていた。

正面のホワイトボードに「Today's special $7.5」と書いてあった。
運ばれていく料理を見ているとボリューム満点、ポテト盛りすぎ、ソースかけすぎの
アメリカンディッシュだ。

そんなカフェの様子を見ているだけでおもしろかた。
他の客がテーブルにチップを置いて出て行く。
そうか、この国はチップが要るんだ。

私は店の女性に聞いた。
「なぁ、日本にはチップってものがないんだ。普通はどうすればいいんだ。教えてくれ。」

店の女性は少し考えて
「そうねぇ、食事した人はだいたい1ドル置いていくわ。
あなたは75セントだから…どちらでもいいわ。」
と答えてくれた。

「ふーん、そういうものなのか。どこでもそんなものかい?」と私は重ねて聞いた。

すると、私の隣で黙々と食事をしていたイレズミの男が、
食事の手を休めず、一言、


「代金の15パーセントだ」といった。



結局、私は1ドル置いてカウンターを離れた。

カフェを出るときに男が声をかけてきた。
片言の日本語を話す男で北斎のTシャツを着ていた。
なかなか面白い男だったので帰国後、北斎のポストカードを送ってやると
忘れたころに「I love SAKE!」の一文で始まるたどたどしい日本語のハガキをくれた。
いいやつだ。




カフェを出るとバイクトレイルを再び走る。
睡眠不足のせいか、あろうことか走りながら寝てしまい、
バランスを崩して目をさました。
危ないところだった。



やがて雨が降り出す。

この日の目的地、Willowに到着。
小さな街だったがビールは買うことが出来た。
キャンプ場へ行く。

雨の中、テント張るのは憂鬱だったので
キャンプ場の受付の男性にキャビンの料金を聞くと100ドルだという。
論外だ。
「でも、今日なら50ドルでいいよ」と言われるが
諦めてキャンプサイトにする。

ここはランドリーとシャワーがあり快適。

ランドリーでチェックインでいっしょになった親子連れの父親と話す。
彼の兄は日本語とタイ語を話すヨガの先生らしい。
彼が私に「Nice English」と言ってくれたのがうれしかった。
人によって聞き取りやすい英語とさっぱり聞き取れない英語があるのはなぜだろう。


洗濯が終わると屋根があるところで食事をつくり、テントで日記を書いた。
前日寝ていなかったので早めにテントに入った。

降ったり止んだりを繰り返す雨音にときおり目を覚ましながら眠りに落ちた。
明日は晴れるといいな。


****************
この日の出費

コピー代(エアチケット他) 0.28ドル
ガソリンスタンド(軽食)   4.28ドル
カフェ                1ドル
昼食              9.51ドル
ビール              2.8ドル
キャンプ場           16.7ドル

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