定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

Nenanaの休日 2006年7月30日

 

 
 




この日は休息日にあてた。



当面の目標であるFairbanksまでは58マイル(約90キロ)。
普通に走ることが出来れば一日の距離だが、旅はまだ長い。
イマイチ冴えない体調も考慮して、一日のんびり過ごした。

Nenanaの街、というか小さな集落を散策する。

ガイドブック『Milepost』によれば2006年当時で人口549人。

Nenanaはおおむね碁盤の目のように東西南北にストリートが何本が走っており、
南北方向のストリートは西からA Street、B Streetとなっており
東西方向のストリートは北からFirst Street、Second Streetといった具合で何とも分かりやすい。


『Milepost』の話題が出たので書いておくが、
この旅で私は『Milepost』というガイドブックを主に使っていた。
これはアラスカと隣接するカナダの一部のハイウェイを解説したもので
かなり詳細な情報が記載されている。

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ハイウエイ上の街の概要から道の状況までが、基点から情報のあるマイルごとに書かれており、
登りが○○マイル続くとか、ここから制限速度何マイルといった道路情報から
横切る川で釣れる魚のことまで、情報量豊富なガイドブックである。

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ただ、問題はタウンページぐらい大きいということだが、
そこは必要そうなページだけ切り取って持っていくことで解決した。


ちなみに2006年当時、世界的に一般的であろうガイドブック『Lonely Planet』のアラスカ版は発売したばかりで日本では手に入らなかった。

また、一応『世界の歩き方』を持っていたが(これまた軽量化のため必要ページだけ)
こちらはサッパリ役に立たず、Wisemanという街の宿で宿泊料金が『地球の歩き方』優待割引になったぐらいだ。


『Milepost』のおかげで旅からかなり不安要素が減り、計画も立てやすくなったので
とても助かった。もしアラスカのハイウェイを旅することがあれば是非使っていただきたい。




街を散策した後、アラスカ鉄道の駅構内にある資料館を見学し、土産を少し買った。


そのあとカフェでチーズサンドイッチと薄いコーヒーで昼食。
トーストにはお約束のようにバターが塗ってあり少々くどかったが、
添えてあったピクルスが酸っぱくてちょうどよかった。

 

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ビジターセンターに立ち寄る。

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ビジターセンターの前。アラスカではこうした四輪バギーをよく見かける  

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ビジターセンターにつりさげられたオオカミの毛皮。ちなみに売り物

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ビジターセンター内のデスク。ここでアイスクラシックの申し込みが出来る。過去数十年の解氷日の資料がある。


Nenanaには「Nenana ice classic」という伝統的な賭けごとがある。
これは近くを流れるネナナ川が春になって凍結した氷が割れる日と時間を当てるというもので
一口2ドル50セントで申し込みできる。
私もせっかくなので一口購入した。
万が一、当たるといけないと思い、連絡先電話番号にご丁寧に国番号まで書いたが連絡は来なかった。残念だ。

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Nenana Ice Classicの監視塔。ここから解氷を見守る。

 

 

 

 



テントに戻ると、テントに小さなメモが張りつけてあった。
この日のランドリールームの暗証番号だ。
管理の人は一応私のことを覚えていたようだ。

キャンプ場では本から持ち込んだ時代小説を読み、日記を書いて過ごした。

まだどこか頭がぼっーとしていた。

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冴えない頭でこうして時の流れに身を委ねるのも悪くない。
何十年も経って、Nenanaのキャンプ場でこうした時間が存在したことを思い出すのだろうか。

この旅は何も生まないかもしれない。

そんなふうに思うこともあったが、こうした時間に身を任せて過ごしたという経験、これが今後の人生の中でどれほどの意味を持つか分からないが、なんだがこれはこれで重要なことに思えてきた。

この私の過ごした時間は、今後の私の人生に一つの確かな経験、私の中の誰も奪えない、貴重なものであるならば、この旅も意味をもつかもしれない。

ときおり近くを走る列車の、ゴォーという地鳴りのような音と力強い汽笛が鳴るのが聞こえた。