定着から放浪へ 放浪から定着へ

自転車の旅、そのほかの旅について書いています。

キーナイ半島の自然 2006年8月16日

北極海を離れてからずっと天気が悪かった。
雨は降ったり止んだりを繰り返した。

 
一説には帰国まで断続的に続いたこの雨は日本からの影響という説があるが定かではない。

雨の中、ベトベトのままテントを撤収。朝からいい気持ちはしない。
帰国の時にもこのスピナードホステルに泊まる予定だが、
値段も考えると相部屋の宿泊が無難だ。
 
 
 
 

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キーナイ半島の位置
 



残った日程は三日。
アンカレッジからスワードという街までスワードハイウェイを走ることにした。

今回もアンカレッジ中央部から郊外に出るまで一時間以上かかった。
自動車専用道があったりしてハイウェイと自転車の相性が悪い。
横に自転車道を作れば済む話だと思うのだが、そこまで需要はないのだろう。

スワードHwyに乗るまでそのそばを走るOld Seward Hwyを行く。
アラスカの基準でいえば狭い道路だが、交通量もそこそこで行くにはちょうどよかった。



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アンカレッジから続く海。極北の海より穏やかに見えた
 


道はやがてスワードHwyと合流した。
終日曇り空だったが、スワードハイウェイは大都市アンカレッジから観光地に向かう道だけあって舗装はきれいで休憩所も多く、全てが旅人にやさしかった。

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何もなく、荒れたダルトンハイウェイを走った後ではなお更そう感じた。


南部と北部では大きく自然が違う、ということに気が付いた。
どちらも自然が濃いが、北部のそれは、短い夏を必死に生きているのが伝わってきたが、南部のそれはもっと大らかな、豊かな自然がそこにあった。

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ビーバーの姿が見えなかったがビーバーダムがあった。

 

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川には多くのサーモンが見られた




花が咲いている。
雨にぬれる淡いピンクのポピーの一輪がとてもうれしかった。


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道端に咲くポピー

 

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道は途中からバイクトレイルになる。
キャンプ場の横を通るが、閉鎖されていた。

「Go North Hostel」でニュージーランドから来たジョッシュとメレウィンとクマの話をしていたとき、隣にいた男が新聞を投げてよこして「毎年、一人ぐらいキャンプ中にクマに襲われて死ぬんだ。今年はもうキーナイ半島で一人やられたみたいだから今年はもう大丈夫だろう」とあまり納得のいかない説明をしていたのを思い出した。

キャンプ場閉鎖の看板とともに今年の事故についても書かれており、どうやらこのあたりで事件が起きたことが分かった。

 クマは怖かったが、バイクトレイルの周辺はたくさんのラズベリーが実っており、私は夢中になってベリーを集めた。

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袋一杯に集まったラズベリー





ベリー狩りを楽しんだ後はひたすら向かい風と戦っていた。

スピードが時速8枚マイルまで落ちる。

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キャンプ場手前のクリーク。淡い乳白色の水が美しくて何枚も写真を撮った

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キャンプ場入口の橋から。クリークの水は氷河から来るらしい


夕方五時ごろ、当初の予定していたキャンプ場とは違うがちょうどいいところにキャンプ場があったので今日はここに宿泊することにした。

キャンプ場は1泊20ドルと少し高め。
これまでの相場は15ドルぐらいだからちょっと悩む金額だった。
しかし、これまで泊ったアラスカの民間のキャンプ場と比べてもでもここはかなりよかった。
ニュージーランドのキャンプ場はたいていキッチンスペースで水と火、もしくは電気の調理器具が使えることが多かったが、アラスカではランドリーはあってもそうしたことはほとんどなかった。

調理器具はちゃんと持っていたが、ガスカードリッジ(英語ではgas canister)は昨日宿泊したスピナードホステルのフリーラックに置いてあった誰かの使いさしのものを一個持っていただけだったので、ガスの心配をしないのはありがたかった。
 

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キャンプ場のキッチンスぺース

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チェックインをしてクマの情報を確認する。
このあたりはブラックベアしか出ないが、用心はしてほしいとのこと。
また、食糧のバッグは預かるので夕食が終わったら持ってきてほしいと言われる。
朝は早く食糧を取りに来ても大丈夫らしい。

途中で採ったベリーを見せて念のため食べられる種類か聞くと、ラズベリーとサーモンベリーで問題ないと教えてくれた。


天気は曇りだったが、風があったので今朝ドロドロのまましまったテントを乾かしていると風で飛んで行ってしまい、あろうことか水たまりに着水した。


一日走った後の疲れと相まって、かなりぐったりしたが30分ほどかけてテント全体を何となく乾かした。


私がテントで苦戦している間にファイアーピットにオーナーが焚火を起こしてくれた。
写真で見ると小さいがこのファイアーピットはかなり大きく、オーナー入れてくれる薪がまた大きかった。実にアラスカ的だ。

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当日の日記を引用する。
「今、焚火の前で日記を書いているが、実はかなり寒い。吐く息が白い。でもいい時間だ。このままずっといたい。」


実際、フリースを来て、ウィスキー片手に焚火の前に座っていた。そうしていないと寒いのだ。

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寒い。でもこの心地よさはなんだろう。
焚火の前にいる。ゆれる炎と時折はじける薪を眺めていると時間を忘れる。
他のキャンパーがたまに通るが、私が自分の時間を過ごしているのを理解してくれるのだろう、「ハイ」と軽く声をかけてくるだけだった。

 



日本にはなかなかない、静かなキャンプ場。
焚火が気軽にできるキャンプ場は皆無に等しい。
こうやってパブリックスペースにすればいいのに。

もっとも、アラスカのキャンプ場には日本のキャンプ場にない「BEAR WARNING」の看板があるのだが。。


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