定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

山岳の日 Branxholm 2008年12月20日

セントへレンズを8時ころに出て走り出す。

セントヘレンズは小さいが、必要なものはだいたいそろう街で、
通りも海も空もとてもいい印象の街だった。また来たい街の一つだ。

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セントはレンズからハイウェイA3を西へ。あまり走らないうちに、一軒の店が見えた。

手前に看板があり、赤と黄色の看板の印象がなんだかいかが

わしい感じで、一瞬、アラスカの「Skinny & Dicks」を思い出したが、全然違った。

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アンティークのお店だ。

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中に入ると感じのいい老人がカウンターにいた。


 

 

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整然とカトラリーが並ぶ。店主の許可を得て写真を撮った。

 

 


こういう店には一度来てみたいと思っていたので、店の中を何度も見て回った。
整然と並ぶクリスタルガラスやコーヒーカップ。見ているだけで嬉しくなってきた。

自転車旅でなく、普通の旅行だったら、きっとたくさん買い物をしていたところだろう。

使い方の分からない小さいナイフのような道具があり、店主に聞くと爪の生え際の皮を切る道具だそうだ。

ははっ。面白いな。

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悩んだ末、古いコルク抜きとテーブルクロスを購入した。

会計の際、店主に「カップが欲しいが、自転車の旅で荷物はあまり持てないし、それに割れてしまいそうだからやめておくよ」と言うと、

「大丈夫、ちゃんと梱包するよ」と言ってくれたのでコーヒーカップのセットも購入した。
カップはいわゆる「プチプチ」できれいに包んでくれた。

こういう商品を扱う店の店主は「欲しければ売ってやる」的なものかと勝手に思っていたが、
全然そんな感じではなかった。

せめて日本国内であれば、買い付けに行きたい店であった。


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非常に感じのいい店主

 

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素敵なアンティークショップを出て、再び走り出す。
上りがひたすら続く。今日、宿泊を予定している街までは70キロほどなので
そこまで急ぐ必要はないが、なかなか辛い。

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ある坂の上に着くと、二人の年配のサイクリストがいた。

オランダ人の夫婦である。もう老人と言っていい年齢の二人だ。
ワォ!

7週間旅をする予定で、タスマニアを3週間、
後の4週間はオーストラリア本土を旅するらしい。

いやはや。

私も年を重ねたらあんな風になれるのだろうか。
自分がお手本にしたい年の重ね方がそこにはあった。


それから余談だが、オーストラリア本土のことは"Main land"でいいようだ。



オランダ人老夫婦を追い越した後、そこからもずっと道は上りだ。



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途中、集落に入ったところで一旦、平坦になるもののその後も上りが続く。

ここまでくるとさすがにへばってくる。

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休憩をはさみながらだが、2時間ほど上り続け、WELD PASSの頂上に到着。

日本の感覚では標高1,500mぐらいまで上がった感じだが、
峠の看板をみるとわずか373m。

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ウソだろ?たった400m弱って。

この先も続くことになるが、
タスマニアの峠はがんばって上った割に、実際の標高は低い峠が多い。


峠で昼食を摂った。
前日、夕食の際に作っておいたテリヤキサンドをペロッと3個平らげ、コーヒーを淹れる。

コーヒー豆の粉を携帯用のドリッパーにセットし、コーヒーを淹れている時間は
私にとって旅の日常であり、一番大事なことの一つでもある。

外で食べる食事は格別だ。

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峠から次の街までは下りだった。
さらにその次の街までの道は、周囲に広大な丘が広がり、
圧倒される景色だった。

私はなぜか、かつて旅したニュージーランドと北海道を同時に思い出した。

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丘の間を走るのはとても気持ちがいいのだが、なかなかスピードが出ない。


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Derbyという少し大きな集落まで、時間がかかってしまう。

ダービーは川沿いの谷に作られた街だ。
住宅はそこそこあるが、店は多くない。

思ったより時間にゆとりがあるので、休憩。

ジェネラルストアに外にアイスの看板があり、
思わずアイスを購入。3.4ドル。

ビールより高いとは。。さすが田舎。

それでも欲しかったから仕方がない。
朝からとても暑いのである。

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アイスを食べた後、すぐにギャラリーカフェを発見したので入ってみる。

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落ち着くいい場所だ。

ずっと太陽の下にいたので、カフェの中がとても涼しく感じられた。

いつものようにカプチーノを注文し、しばらく日記を書く。

 

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カフェの入り口。この透明のビラビラはスーパーの入り口とかでも目にする

 

カフェの後はしばらく平坦な道が続いた後、再度アップダウン。
 
 

しばらく走って今日の宿泊地、Branxholmの街に着いた。
街の入り口の長い坂を下ると、街の中心地だ。

まだ日は高いが、今日はここまで。
次のScottsdale まで行くと、キャンプ場が開いている時間につけるか微妙なところだろう。



まあ、ビールでも飲んでゆっくりすればいい。



キャンプ場は街のプールの隣にあり、道を挟んだ向かいのスーパーで支払いをする。
テント泊は8ドル。水は使えるが、飲む場合は沸かさないといけないそうだ。
そのくらいは問題ではない。


私は芝生に悠々と立つスペード型の木の下にテントを張った。



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やはり明るい時間にテントを張るのが楽でいい。

荷物をテントに置いて、ブランクスホルムの街を歩いた。

ビールを買いにバーに入ると、もうビールを飲んでいる人が何人もいた。
他の街でも見かけたが、缶ビールに保冷用のカバーを付けてビールを飲んでいる人が多い。みんなマイカバーを持っているようだ。


奥のビリヤード台が騒がしい。

正しい田舎のバーだ。

私はタップでビールを注文し、バーテンと特に話す訳でもなく、カウンターで一杯飲むと、
一本テイクアウトしてキャンプ場に戻った。


キャンプ場でシャワーを浴び、洗濯をする。

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夕食。キャンプの日はいつもパスタを食べた



食事を作っていると白い犬がやってきた。

特に何かをねだるでもなく、キャンプ場の敷地内を走り回りながら、ときどき私の前にやってきて、頭を撫でてやると、しばらく私のテントの横で座っていた。

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犬は暗くなるとしばらくして、何処かに行ってしまった。

きっと近所に住んでいる犬なのだろう。毎日こうしてキャンプ場を見回りしているのかもしれない。

 

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上りと日差しがきつかったが、旅らしい一日だった。
明日も晴れるといいな。


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