定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

Tamar Valley 2008年12月

ローヘッドのキャンプ場を後にして、ジョージタウンまで戻る。
ジョージタウンで昨日立ち寄ったインフォメーションセンターに行く。
ジョージタウンからロンセストンに広がるタマーバレーは両岸に道があるが、
ロンリープラネット』によれば、谷の西側の道ほうがおすすめらしい。


今いるジョージタウンは谷の東側である。
対岸の街、Beauty Pointへ渡るフェリーがあるというので、
タイムテーブルを確認して、都合が会えば使いたいところだ。


インフォメーションセンターには昨日のペンギンツアーのスタッフの女性が働いていた。
インフォメーションがツアーもやってるのかもしれない。

フェリーについて尋ねると、「クリスマス休暇かも。確認しますね。」と電話してくれた。


フェリーはやはり、クリスマス休暇だそうだ。まだ一週間は動かないらしい。


いやはや。


フェリーと言ってものんびりしたものである。
これぐらい日本もゆっくりしていてもいいのにな、と思った。

インフォメーションにはサイクリスト向けのタスマニア全土の主要な道路と参考ルートを網羅したマップが置いてあった。
地図には参考ルートだけでなく、ルートの高低差が記載してあり、かなり充実した内容であった。きっと作った人は自転車を分かる人だろう。
アクティビティ全般でオーストラリアは進んでいる。



インフォメーションを後にして、しばらくタマーバレーの東岸を南下する。
フェリーは使えないが、タマーバレーには一本橋があるので、そちらに向かうルートを取ることにした。


橋はその名を「Batman Bridge」といい、『ロンリープラネット』によれば
1968年に開通したこの橋はこの手のつり橋としては世界で初のものらしい。



バットマンブリッジの下はちょっとしたレクリエーションエリアになっていた。
駐車場に果物を売る店が出ていた。



バットマンブリッジを渡る。


日本で本州~四国間にかかる橋を多く渡っているが、
大きな橋を渡るのはとてもわくわくする。

橋の上からの景色もいい。

 

橋の向こうの道はどんな道だろう?

バットマンブリッジを越え、タマーバレーの西岸に出る。  雲ひとつない快晴。
今日は青い空が眩しい。


強く陽射しが、剥き出しの腕を容赦なく焼いていく。暑い。

谷を抜ける風が強く吹くかと思っていたが、
思ったほど風はなく、順調に進んだ。
とはいえ、道はいつもの楽とは言えないアップダウンだ。
今日は水ぐらいしか飲みものを持っていないが、思ったより大丈夫そうだ。

タマーバレーを行くハイウェイからは
大きく湾曲するタマーリバーと対岸の緑がとても美しい。
また、ワイン街道であるこのハイウェイにはぶどう畑が点在していた。


いい道だ。

ハイウェイはLeganeの街に入る。 街で昼食にするつもりでいたが、店を探しながらハイウェイを進んでいると左手におなじみの大型スーパー、ウールワースがあった。
 スーパーの飲食店じゃなぁ、と思って、ウールワースの横を通り抜けると、すぐに街の外れまで来てしまった。
 
日本の感覚でいると、こういうことがよくある。街がコンパクトで、次に店があったら入ろうと思って進むと結局何もなくてそのまま街の外に出てしまうのだ。
 
腹は空いていたが、まずまずのペースで走っていたこともあり、戻るのも面倒なので、そのままロンセストンへ向かうことにした。

 

ロンセストンまでそんなに距離はないはずだが、
だんだん腹が空いてきた。


「どうしたものかな」


道はいつの間にか川と同じ高さになっていた。

このあたりは湿地帯になっており多くの鳥を見ることができた。


ハイウェイ沿いにちょうど保護区の入り口があったので
ここで昼食にすることにした。

今日は街が点在するルートなので、

どこかのカフェで昼ごはんかなと思っていたので特に昼食は用意していない。

 

自転車のフロントキャリアから食料の入ったパニアバッグごと外し、

強烈な日差しを避けて日陰に行く。

 

いつも食料はパスタとツナ缶、パスタソースになるようなもの、

香味野菜(たいていタマネギ、ニンニク、ショウガぐらい)、

朝食用のトーストブレッド、あとインスタントラーメンを欠かさないように持っている。

 

簡単に済ませようと、ラーメンとピーナッツバターを塗ったトースト、

ビスケットにコーヒーでランチにした。

 

 
 

 

 

水辺の木陰で湿地に集まる鳥たちを見ながら食事をするのは悪くなかった。 

穏やかなランチタイムであった。

  

湿地の保護区から10キロも行かずにロンセストンに入る。

 

予想したよりもかなりの都会だ。

さすがタスマニア北部最大の都市。

中心部はすごい賑わいだ。久々の都市でこれはこれでなんだかうれしかった。

 

まずはトランジットセンターに向かう。

 

実は、これから先、タスマニア全土を回ろうとすると
どう考えても日数が足りず、
タスマニアでもっとも有名なクレイドルマウンテンへ行こうとすると
日程に無理が出るため、クレイドルマウンテンへは自走で行くのは諦め、
ロンセストンに数日滞在し、ロンセストンからクレイドルマウンテンへ出ている
バスが使えないかと思ったのだ。


トランジットセンターの入り口で青いワンピースを着た女性に声をかけられた。


東海岸で出会ったレベッカだった!

スポーツウエア姿しか見たことがなかったので、見違えた。

 

となりにアダムスもいた。

「ハイ!今着いたのか?」アダムスが矢継ぎ早に質問してくる。


彼らは東海岸のセントヘレンズで私と別れた後、
セントヘレンズにもう一泊し、ブランクスホルムで一泊!し、
(ちょうど私の一日あとだったようだ。)

そのままスコットデールからロンセストンに入ったらしい。

 

彼らはこれから、メルボルンへ飛び、親戚とクリスマスを過ごすそうだ。

 

「もうタスマニアで会うことはないな。次はどこだ?フランスか?スペインか?」
私がそう言うとアダムスは笑った。

 

旅する者たちはこうあるべきだと思う。

 

彼らは結婚したのだろうか。そんなことを想像するのも楽しい。

 

トランジットセンターでバスについて聞いてみたが、
都合良く行って帰ることができる便がないことが分かった。
係の女性に「レンタカー使えばどう?」と言われたが、
今回は国際免許を持ってきていない。

たかが一か月と思い、国際免許を取ってこなかったことを後悔した。

 

結局、当てになるのは自分の足ということか。

 

トランジットセンターの女性に「おすすめのバックパッカーはあるかい?」と訊くと
「とてもprettyなところがあるわ」と言って「Arthouse Backpakers」を紹介してくれた。

場所も値段もいい。そこに泊ることにした。

 

アートハウスは歴史的な建物らしく、その概観はとても美しかった。
中はぼろくても仕方ないと思ったが、とても清潔だった。

しかも一泊23ドル(2000円弱)と普通のバックパッカーと変わらない値段だった。

これなら非常に安いと思う。

 

 
 

近所のスーパーで買い物をし、久しぶりに夕食に米を炊く。
宿での楽しみの一つだ。今日は親子丼を作った。

 

 

宿泊客に日本人の女性がいたので、親子丼をおすそ分けし、
ビールを飲みながらしばらく話す。日本で助産師をしていたそうだ。

 

日本語の会話を聞きつけて、若い日本人の男性も会話に加わった。
結局、三人で遅くまで話し込んだ。

 

内容は特に覚えていない。

だが、このときはそれでよかったのだ。

明日は一日、ロンセストンの街を回ろう。