定着から放浪へ 放浪から定着へ

自転車の旅、そのほかの旅について書いています。

Lake St.Clair 2008年12月28日

7時過ぎにゆっくり目覚めた。
キッチンで朝食を摂っていると、キッチンにいたおっさんが「今日は雨だぜ」と脅してくる。
窓の外を見れば、なるほど、そんな天気だ。


まずは次の集落、Bronte Parkを目指す。
グレートレイクから離れると道は再びダートになった。


道は再びダートに
 

走っているうちに体が温まってきたので、着込んでいたレインギアを道の端で脱いでいると通りがかった車が止まって、ドライバーの若い男性が「おい、トラブルか?」と声をかけてくれた。

「いや、何でもない。大丈夫だ」私が答えると、安心したのか走り去っていった。
やさしい人もいるものだ。ささやかな好意はいつでも大歓迎だ。





道は川と交わるところで、一度川の高さまで下った後、再び上りになる。
川に橋を架けるのに一番橋が短くて済むところに橋を作っているのだろう。
日本のように谷にそのまま橋をつくってしまわないのがいい。



自然にはやさしいが、サイクリスト泣かせの道だ。
この先の数日間、こうした道が続くことになる。

川のアップダウンがあったもののブロンテパークまでは思ったより早く着く。

ブロンテパークのジェネラルストア


ジェネラルストアでいくつかパイを買い、食べていると「Good morning」と声をかけられたので時計を見るとまだ、10時半だった。ここまでいいペースで来たな。


行儀のいい犬
 








ブロンテパークからは昨日に続いて、吹きっさらしの向かい風。
長い下りと上りも笑ってやり過ごせるようになった。人間変われば変われるものだ。



そう思っていたが、途中から道に飽きてきた。それに加えて雨が降ってくる。
次の集落Derwent Bridgeまで13キロという看板からがひどく長く感じられた。


いつもこんな感じでアップダウンだ



途中から今回の旅で初めて、雨対策としてレインオーバーグローブを投入した。
レインウェアのおかげで体が濡れることはなかったが、雨に長いこと降られれば気が滅入ってくる。そして体も冷えてくる。

ダーベントブリッジの手前に「The wall」というミュージアムを見つけ、入ることにした。



「The wall」はパイン材の板を彫刻・研磨し、
人物や道具などをリアルに表現した作品が展示されていた。



「The wall」の名前のとおり、壁一面に板に彫られた作品が並び、圧巻だった。


Web上から転載。場内は通常、撮影禁止


また、革手袋を題材にした彫刻作品があったが、木で作っているのにもかかわらず、皮の質感が見事に表現されており、ほんとうに素晴らしかった。

私は自分が旅をしていることを忘れてひたすら作品に見入っていた。

帰りがけにポストカードを2枚買った。そのうちの1枚で友人に手紙を書いた。



ミュージアムを出ると、雨はだいぶ弱くなっていた。
「The wall」からダーベントブリッジまではあまり遠くなかった。
ダーベントブリッジでビールを購入。少し高いが仕方ない。

ダーベントブリッジから今日の目的地であるLake St.Clairまでは目と鼻の先だ。

さりげなく世界遺産だ。どこかの国のように「世界遺産にようこそ!」とか書いてなくていい。



レイクセントクレアに到着。
寄り道をした割に、思ったよりも早く着くことが出来た。

ここは国定公園で多くのトレッキング客がやってくる。
インフォメーションセンターの建物も立派だ。



インフォメーションの入り口に指定キャンプ場とバックパッカーの空き情報が出ていたが、
ともに「No Vacancy」となっていた。

インフォメーションで話をすると、キャンプ場はいっぱいだが、バックパッカーは空きがあるという。キャンプ場でよかったのだが、仕方が無い。
当然のように国定公園内は指定地域以外キャンプ禁止である。


ビジターセンターに行く。ビジターセンターの職員に日本人の女性がいた。

これから湖の周りを少し歩いて、翌日はQueenstownの方へ向かう、
と言うとレイクセントクレア周辺地図の他に、クィーンズタウンまでの地図をくれる。

彼女に「ニュージーランドのクィーンズタウンに行ったことは?」と聞かれたので、
「ありますよ。小さいけれどきれいな街ですよね」と答えると、
「こっちのクィーンズタウンと比べてみて下さい」と意味ありげに笑って言った。


どういう意味だろう?だが、それ以上教えてくれなかった。


彼女はこちらの学校でレンジャー関係の勉強した後、ここで勤めているそうだ。
ここで働けるのは運がいい、と言っていた。

なんでもタスマニアでは就職するのにコネがないと難しいことも多いらしい。

ふと、東海岸のコールズベイで出会ったヒロキくんが、
レイクセントクレアからクレドルマウンテンに連なるトレイルを
1週間ほどかけて歩くと言っていたのを思い出し、
ヒロキくんが来なかったか聞いてみたが、彼女は見ていないという。
もう一度ヒロキくんに会いたかったな。


レイクセントクレアの周りのトレイルを1、2時間歩いた。






 





ときどき小雨が降る中、鮮やかなレインウェアに身を包んだ人々がトレイルの入り口を行き交う。少しトレイルを進むと人もまばらになった。





湖畔に下りると、風がゆられた水が岸に当たって小さく砕ける音が聞こえる。


あいにくの空模様だが、グレーの静寂の風景はずっと印象に残った。



この日の日記には「少し歩いただけでは、良さがわからない」と書いてあるが、
思い返すといろいろな景色が蘇ってきて、いいところだったんだなと思う。


旅のあと、旅を振り返るというのは、すぐにはわからなかった気持ちや感動を再発見するのにいいのかもしれない。


広告を非表示にする