定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

Tongariro National Park - Cycling NewZealand -

タウポから南に向かう。そのまま南下を続け、北島の一番南に位置する首都ウェリントンから南島へ渡るためだ。

 

タウポのキャンプ場で会ったオランダ人サイクリストと話していたときに、これから南島に向かうと言うと「なにやってるんだ、行くならquicklyだ」と言われた。

そこはquicklyじゃなくてhurry upじゃないのか、と見当違いのことを思いながら話を聞いていたが、南島は私が思っていたよりも寒いらしい。

南半球のNZでは、赤道に近い北の方が暖かい。日本でいえば九州とか四国の感覚だろうか。タウポにいたのは2月の終わりでちょうど夏が終わるころだった。

少し、急いだほうがいいかもしれない、そう思い始めた。

 

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タウポからTurangiまでの50数キロを走ったこの日の記録はほとんど残っていない。宿泊したYHA(ユースホステル)のキャンプサイトが9ドルで安かったが、ビールで12ドル使った、ということぐらいだ。

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トンガリロのモニュメント。世界遺産である国定公園の玄関口


 YHAに着いたとき、台湾と日本の女性がいて、いろいろ話をしたはずだが、そのあたりのことは記録には書いてない。台湾の女性とまずまず会話が出来ていて、いっしょにいた日本人女性が驚いていたのは覚えている。私の英語は大したことないが、ワーキングホリデーの後、旅をしている日本人が、私以上に話せないケースをその後もよく目にした。

 

この日のことで一番記録残っているのは、夜、キッチンで一人、食事の支度しているきに、高校生ぐらいの若者がバスで大量に到着して、大騒ぎしてかなり参った、ということだ。

集団に対する生理的な嫌悪感からなのか、集団と言うものについて、自分が個で動いていることとと対比して長々と考察をノートに書き綴ってあった。その考察も、いま読み返してみると、相手に文句を言えずに悶々としていたのをそれらしく考察風に書いてあるだけで、読み返してもさして内容はないに等しいものだった。

ただ当時、「旅」というものに対して、愛読していた野田知佑の影響で「旅は一人でするもの、仲間でワイワイ騒いでいるやつらは仲間内で楽しむだけで終わってしまう」という考えが根本にあり、仕事を辞めてNZに来たという小さな自尊心から、自分が嫌悪していた旅における集団というものに対して過剰な反応を示したんだと思う。

 

この日の旅の記録はほとんど残っていないはそんな訳だ。

 

それでもこうしてブログに起こしてみると思いだすもので、騒ぎの後、「うるさくしてごめんなさいね」と、言ってくれた引率の先生がオークランド在住の年配の日本人女性で、修学旅行のようなもので来ていたと教えてくれた。

 

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翌日、トンガリロナショナルパークの中を走るルートを進む。ダニエルおすすめのルートだ。世界遺産でもあるこの国定公園は雄大な山々が連なり、トランピング(トレッキング)などのアクティビティで有名なエリアだ。美しい景色を沢山写真に撮った。

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ナショナルパークというそのまんまの名前の街に出るまでずっと長い長いのぼり。しかし山岳地帯にあって緩い上りが中心でよかったが、終始重たくないギアを踏み続けて、なかなか疲れた一日になった。

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この日はとても寒く、上りでも時折レインジャケットを着て走った。レッグウォーマーやアームウォーマー、ウィンドブレーカーといった秋物の装備が必要になってきたことを肌で感じた。しかし、NZの気候を甘く見ており、そういったものをあまり持っておらず、またそれ以上荷物を持つ余裕もなかった。当時まだ自転車の後部にしか荷物を積んでおらずフロントキャリアまだ付けていなかった。大きな街に行ったらまた装備を何か買わないとな、と思った。

 

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後半の下り基調の道のおかげで、夕方前には、この日の宿泊地Raetihiに着いた。行きの飛行機で見た映画『Elizabeth Town』に出てきそうな小さな街だ。

 

 

 

キャンプ場に行くと黒い犬が吠えながら、こちらに向かって走ってくる。オーナーだろうか、女性が犬を制しながらこちらに近づいてきた。「ごめんなさいね、テント?」

キャンプ場は小さかったが、キッチンがとても清潔で好感が持てた。客も私ぐらいしかいないようで、とてもゆっくりできた。

 

時間が早いので街のバーに飲みに行った。こちらも静かなもので私以外の客は若者1組だけだった。日記を書きながらビールを飲んでいると、 私の好きなジェイムズテイラーの曲 がかかった。なんだか心がとても安らいだ。

若者達の方を見ると、1人だけジェームズテイラーを知っているようで、彼もまた懐かしそうに曲を口ずさんでいた。

 

 

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