定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

Flat tires -cycling NewZealand -

ハブロックからは北のNelsonに向かった。

f:id:independent-traveller:20180815205645j:image

ネルソンはネルソン湾に面した南島の北部の都市であり、ネルソン湾を挟んだ対岸のエーベルタスマン国立公園はアウトドアアクティビティの盛んな場所だ。

 

f:id:independent-traveller:20180815205905j:plain

立ち寄ったカフェではなぜかカレーライスがあった

NZに来る前にある人から勧められていたこともあり、ネルソンでは、シーカヤックをやると決めていた。

 

ネルソンまであともう一息、という上り坂の途中でタイヤがパンクした。しかも見事に前後輪。ガラス片か何か踏んだのだろう。

 

「やれやれ」

 

私は自転車からホイールを外し、パンク箇所を確認した。

工具を入れたサドルバッグから予備のチューブを出す。

 

予備のチューブを軽く膨らませ、タイヤに収めようとするが、チューブが膨らまない。

 

「?」

 

よく見ると、予備のチューブがバルブの根元部分から割れていた。

 

 

「てんちょーさん、勘弁してくれよ。」

メーカーの不具合なので、そうは言っても仕方ないのだが、チューブを売ってくれたショップの店長の顔を思い浮かべながら悪態をついた。

運悪く、パッチも使い切っていたため、パンクした方のチューブも使えない。

 

どうしようもなく、しばらく立ち尽くしていると、一台のピックアップトラックが停車した。

 

若い男性が降りてきて「どうした?」と聞いてきた。

 

「パンクして、直そうと思ったんだが、チューブもダメになってしまって。」私がそう言うと彼は「ネルソンに行くのか?おれはこれからネルソンに戻るところなんだ。乗っていきなよ。」

 

“Thank you!!” 旅の途中、何度感謝の言葉を口にしたか分からないが、このときは本当にありがたかった。

 

彼のピックアップトラックに自転車を載せてもらい、私は助手席に乗せてもらった。彼の名前はブリント。ネルソンでシェフをしており、この日はオフだったようだ。

 

 f:id:independent-traveller:20180815205752j:image

30分ほどでネルソンに着いた。

マックの横の自転車屋の前で下してもらった。

 

お礼を言って、一枚写真を撮らせてもらった。

f:id:independent-traveller:20180815205549j:image

「よい旅を」ブリントは去って行った。こんな風に困った人を助けられるようになりたい、そう思った。

 

ブリントが連れて来てくれた自転車屋は店主が一人で経営する小さい店で、店主も愛想がいいわけでもなかったが、職人的な雰囲気のある店主で非常に好感が持てた。

 

とりあえず、チューブだ。

 

私「チューブをくれ」

店主「サイズは」

私「26×2.0、フレンチバルブだ。3本欲しい。」

店主「今出してくる。待ってくれ。」

 

普段の英語はサッパリ通じないが、自転車のことははっきり通じるのは不思議なものだ。簡単なやりとりでもカフェの注文はもっともたつくのに。

 

店にはNZカラーのジャージがあり、デザインが気に入ったので土産用に購入した。

f:id:independent-traveller:20180815205340j:image

 

店の前でチューブ交換を終え、バイクは走れる状態に戻った。

事前のチェックの甘さを露呈した形だが、いい人に助けてもらえたので、次への教訓としておこう。

 

この日はユースホステルに宿泊した。

 

キャンプ場も2か所ほどあったが、どちらも街の外れで、そこまで行くのも面倒になった、というのもあるが、翌日、シーカヤックのツアーにも行きたかったので、アクティビティの予約が出来そうなユースにした。




NZではバックパッカーやユースのフロントで周辺のアクティビティの予約が取ってくれることが多い。宿泊したユースでもアクティビティの予約が出来た。

 

翌日のシーカヤックツアーを予約してもらった。

 

ユースでは日本人をたくさん見かけた。

今はどうか分からないが、当時のNZのユースには日本人が多くいて、ときどきうんざりしたものだ。

ただ、この日は、日本人と話したい気分だったのでちょうどよかった。

 

キッチンで相席になった女性と軽く話し、爪切りをもっていない、と言うので爪切りを貸してやった。

「爪切りは日本製がいいよ。残念ながらそれはどこかのwearhouseで買ったやつだから、びっくりするぐらい切れない。」私がそう言って爪切りを渡すと、彼女はさっそく爪を切り始めた。

 

「ほんと、さっぱり切れないね」彼女は苦笑した。