定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

AbelTasman -cycling NewZealand -

ネルソンのユースの受付で、エーベルタスマン国立公園のカヌーツアーを申し込んだ。NZでは宿の受付でカヌーツアーやバンジージャンプ、スカイダイビングなどいろいろなアクティビティの予約が出来る。予約するとツアーのバスが宿まで迎えに来てくれて手間なしだ。

 

一日のツアーで、ガイド付きハイキングとシーカヤックを楽しむものが人気のようだったが、私は一日カヌーのツアーにした。

 

翌朝、バスがユースの玄関まで迎えに来た。ネルソンのいろいろな宿を回って、アクティビティのベース基地のようなところへ向かうらしい。

 

バスでは日本人の女性のとなりに座った。NZでは本当によく日本人の女性に会う。彼女はエーベルタスマンのハイキングに行くという。日本では仕事でリフレクソロジーをやっていたそうだ。彼女の顔はサッパリ思い出せないが、こういう些細な会話はよく覚えているから不思議なものだ。

 

申し込んだアクティビティの会社はシーカヤック以外にもツアーをいろいろやっているようで、ベース基地に集められた客は各アクティビティツアーにそれぞれ出発していった。

 

私と言えば、朝からシーカヤックだけというのは私だけらしく、シーカヤックを積んだボートで小さな湾まで運ばれた。

 

午前はとりあえずマンツーマンだが、昼に一週間トランピング(NZでは山歩きのことをこう呼ぶ)して、ビーチで合流する予定の夫婦がいるそうだ。

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ガイドの男性はクリフといい、マオリと白人のハーフだという。

 

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クリフと共に二人用のシーカヤックで軽く漕ぎ出す。

 

クリフに「シマって呼んでくれ」と名乗ると、「それはファーストネームなのか?ファミリーネームなのか?」と聞かれた。

「ファミリーネームだが、友達はみんなシマって呼んでるから、シマでいいよ」と答えた。

 

シーカヤックは波のない浜名湖ぐらいでしかやったことなかったが、船が安定していて乗りやすかった。

 

雲が出てきて天候があやしくなってきた。

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クリフはアザラシのコロニーへ連れて行ってくれた

雲が出て、雨が降れば憂鬱になり、時に開き直る。そして、晴れればそれに感謝する。サイクリストもカヌーイストも同じようなものだな、ふとそんなことを思った。

 

ビーチに戻ると、合流する予定のドイツ人夫婦を待った。

だんだんと天候が回復してくる。さすがNZウエザーだ。

 

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やがて、バックパックを背負った男女が山の方からビーチに向かって歩いて来るのが見えた。

 

「来たな。」

クリフは、テーブルを出すと、手際よくランチの準備を始めた。

マフィンにサンドイッチ、フルーツにコーヒーとなかなか充実したランチだ。

 

ランチを楽しみながら、ドイツ人夫婦と話をする。

 

夫婦は40代くらいで、休暇を取ってNZに来ているという。どのくらい休暇が取れるのか聞くと「そうだな、今回は2か月だけど、3か月って言ったらボスは怒るだろうな」と旦那さんが笑った。

 

「日本じゃ一週間をロングバケーションって言うんだ。1か月も2か月も旅をしようと思ったら、私みたいに仕事を辞めるしかないよ。」私がそう応えると、「日本人は休暇のために働くんじゃないのか、働き過ぎだ」と言われた。私も全くそう思う。

 

私は、彼らのこの一週間の様子を聞いた。

DOCのキャンプ場(環境保全省が管理する公営のキャンプ場、国定公園内などにあり、数ドルから使用できるが、施設は必要最小限)に泊まっていると、どんな僻地でも係官がやってきて、お金を徴収するらしい。

「『小銭がない』って言うと、『おつりがある』って言いながら、小銭をじゃらじゃら見せてくるよ」っと奥さんが笑っていた。

 

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ランチの後、クリフの案内で近くを散策する。クリフは植物にも詳しいらしい。樹木やシダについて説明してくれた。

 

さっきまでいたビーチが一望できる小高い丘に出た。

 

 

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すばらしいな。

 

クリフはそこで、マオリのほら貝を吹いて見せた。

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ほら貝の大きな音があたりの風景に吸い込まれていった。