サイクリング
雨のハーストはモノクロの印象しかない。 私は西海岸果てのハーストの街から、最寄りの空港があるQueenstownに向かうバスに乗り込んだ。 バスのことはほとんど覚えていない。はじめは「ここを走る予定だったんだな。」とぼーっと雨に濡れる景色を見ていたと…
雨のハーストを朝から出歩くでもなく、ゆっくり起きて、朝食を食べる。 ユースに置いてある読めるわけでもない英語の本を手にとったり日記を書いたりして過ごす。 インターネットを使いたかったが、タダではないので午後の楽しみに取っておいた。 午後になり…
四月になった。 フォックスグレイシャーの朝は雨かと思っていたが、幸い晴れていた。 前日キッチンで見かけたじいさんが「いい天気で何よりだ」と声をかけてくれた。ここのキャンプ場はなぜか年配の人が多く、リラックス出来てよかった。若い人が多いとその…
Whataroaという街に着いて、バーガーを待ちながら日記を書いていた。 ハリハリからワタロアまでは二時間弱で到着した。悪くないペースだろう。Mt.ヘラクレスという強そうな地名があったが、走ってみれば大したことはなかった。途中のワタロア川の水の色が不…
コーヒー豆を買い忘れたことに気がついたのはグレイマウスを出るときだった。 次の街であるHokitikaまで行けば買えるだろうとわざわざ戻るのをやめた。北島であった無駄にはしゃいでる日本人の男にホキティカは西海岸では比較的物価が安い、と言っていたのを…
アニータとルティアに見送られて、アニータの家を後にした。 前に北島で別れた時に言っていたが、しんみりしたのは嫌い、という通り、ルティアとの別れはあっさりしたものだった。 ルティアには「あなたは黒い服が多いから、もっと目立つようにしないと車に…
ルティアがもう食料をあまり持っていない、というので、私が持っている食料で朝食を用意した。 バッグのなかで変形したトーストにハチミツを塗り、シナモンをかける。もちろんいつものように豆から淹れたコーヒーを添える。 「あなたのコーヒーはいつもreal …
ジェルダリンのバックパッカーを後にして、ルティアと私はクライストチャーチの南東にあるバンクス半島に向かう。テカポ湖からまたわざわざクライストチャーチに近い半島に戻るのはルティアが両方行きたいと希望したからである。ルティアは帰国間際だし、私…
ルティアと私はレイクテカポに車で向かっていた。 街と街の間のカフェ兼雑貨屋で休憩をとる。 ルティアはいつものようにトーストサンドとカプチーノ、 私はマフィンとコーヒー、ニュージーランドで言うところの"long black" である。席について店を見回すと…
ルティアとの旅が始まった。 アニータに空港近くのレンタカー店まで送ってもらい、レンタカーを借りた我々は南に向かった。 行き先はテカポ湖。 クライストチャーチから南西に約 240キロのところにある。 今は星空の聖地として有名なところだが、当時は湖と…
寝袋のジッパーを開ける。ここまではいつもの朝だ。だが、そこはまた女の子のベッドの上。もちろん安定のソロである。 アニータの家に来てもう3日目である。 ホントにいいのだろうか? 午前中はルティアが自転車はもう乗らないからと、帰国に向けた自転車の…
朝、腕時計のアラームが鳴り、ふかふかのベッドの上で目を覚ます。 ここはレイとアニータの家だ。 さらに言うとこの家にホームステイしているチャイニーズガールのベッドの上である。もっと言えば、残念ながらベッドの上には私一人である。 どうしてこんなこ…
Dear Shima I arrived in Christchurch today and I can stay in my friends place. It's near to the city center. Please call me under the phone number: 〇〇〇〇. You can also leave a message on the answering machine. See you soon.Luzia これが…
一日雨の中を走り続けクライストチャーチにたどり着いた。 南島最大都市であるクライストチャーチ。郊外から中心部に近づくにつれ、建物が増えてくるが、あまり背の高い建物がない。土地が広いから上に伸ばす必要がないのだろう。 久しぶりに都会と実感した…
スプリングフィールドからクライストチャーチに向かうその日、朝から雨模様だった。 雨が多い、と言われるニュージーランドだが私が旅をしているときに本格的に雨が降ったのはこの日と北島での数日だけ。北で雨に降られたときは、街まで残りわずかな距離のと…
出発の準備をしていると昨日のスイス人サイクリストが話しかけてきた。彼はこれからクライストチャーチに行き、クライストチャーチからはなんとネパール、カトマンズに飛ぶらしい。 「エアチケットも安いし、今が一番いいときなんだ。」彼はそう言っていたが…
グレイマウスから先の旅のプランは東海岸にある南島最大都市、クライストチャーチで北島で一時共に旅をしたルティアと合流し、クライストチャーチ周辺を回ることになっていた。 北島でルティアと別れた後、彼女と時々メールをやり取りしていた。まだスマホの…
美しい夕日を堪能した次の日、キャンプ場でマウンテンバイクとテントのメンテナンスをした。 キャンプ場の受付で古新聞をもらい、汚れたチェーンを拭く。伸びているようだったので一コマ短くした。ワイヤー類も一通りオイルをさし、ワイヤーを張り直すと変速…
朝、プナカイキのユースで出発の支度をしていると、前日とは違う日本人女性がキッチンでマフィンを焼いていた。 聞けば、毎日ヘルパーが交代で早起きし、パンとマフィンを焼くらしい。彼女は埼玉出身だそうだ。「外国人って信じられないような忘れものをする…
ニュージーランドの空はとにかく青い。 青が強い。 広い海のせいなのか、 白くそびえる灯台のせいなのか、 黄色く鮮やかに咲く花のせいなのか、 とにかく青い空だった。 このとても素晴らしい場所には、私以外誰もいなかった。 灯台と強烈な青空が作り出す景…
マチソンから西海岸の都市ウェストポートまでは100キロほどの道のりで、山岳エリアから海岸に出る道は予想通りのアップダウンの道だった。多少ウンザリしながらもペダルを踏む。 途中で、ウェストポート側から来た年配の夫婦のサイクリストと行き合い、話を…
その街は小さな街だったが、旅をしている私には必要なものがちゃんと揃う町でちょっと意外だった。南島の田舎街なんて全く期待していなかったので、失礼な話だが、もっとシケた街かと思っていた。あれぐらいの街は住むのに心地良さそうだ。 その街、Murchson…
バスでモトウェカに戻った私は、前日宿泊していたキャンプ場に再び泊まった。 わざわざモトウェカまで戻ったのは、フェアウェルスピットから先は西に進む道がないため 、一旦南の山岳地帯に入り、西海岸を目指すことにしたからだ。 この日、モトウェカからど…
私の家に来て、食事にラタトゥイユが出てきたら、こんな話をするかもしれない。 「ニュージーランドのコリンウッドって小さな街でバスを待っていたら、地元の夫婦が声をかけてくれてね…」 ******************* この日はモトゥエカに戻るためにバスに乗ること…
タカカの朝は快晴。 南島最北端のFarewell Spitを目指した。 フェアウェルスピットは鳥の嘴のように細長く伸びた海岸線が作り出す独特の地形でその長さは26キロにも及ぶという。 サイクリストは、「最北端」とか「果て」という言葉に弱い。 「北の果てか。」…
ネルソンのユースの受付で、エーベルタスマン国立公園のカヌーツアーを申し込んだ。NZでは宿の受付でカヌーツアーやバンジージャンプ、スカイダイビングなどいろいろなアクティビティの予約が出来る。予約するとツアーのバスが宿まで迎えに来てくれて手間な…
ハブロックからは北のNelsonに向かった。 ネルソンはネルソン湾に面した南島の北部の都市であり、ネルソン湾を挟んだ対岸のエーベルタスマン国立公園はアウトドアアクティビティの盛んな場所だ。 立ち寄ったカフェではなぜかカレーライスがあった NZに来る前…
カトマンズで購入したテントはペグダウンして自立するタイプのテントで、サイドがメッシュになっていて、朝寒かった。ペグダウン式のテントは雨の日に立てたり、撤収したりするのが大変な上、今すでに寒くてはこの先、ますます寒くなる気候に対応出来る気が…
出港からずっとフェリーはよく揺れていた。 フェリーの中でKと何か話した記憶がほとんどない。Kは船に弱いのか椅子に体を埋めたまま、眠っていたと思う。一方、私はといえば、山盛りのフィッシュ&チップスを平らげ、地元のクラフトビールを飲んでいたが、元…
彼女と出会ったのはウェリントンのフェリーターミナルだった。 チェックインを待つ間、ロビーにいたアジア人女性の横にzero pointのザックが置いてあった。zero pointはその頃まであったモンベルのザックのラインナップで、それを見て、多分日本人だなと思い…