定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

Gone Riding 2009年1月6日

 
 
 

帰国まで3日。今いるシェフィールドから最後の滞在地になるDevonportまでは
わずか30キロほどしかない。
ふつうに2時間見ておけば問題ない距離だ。

残された時間をどう使うか。

デボンポートに到着すれば、お土産を買ったり、
帰国に向けた準備を始めることになるだろうから、
時間の許す限り、ゆっくり過ごそうと決めた。


周辺の小さな街を回りながら、デボンポートを目指す。


まずは、トピアリーが有名だというRailtonへ。

トピアリーってなんだ?と思って『Lonely Planet』を見るが
説明を読んでもよくわからない。


街の入り口の看板を見て、やっと理解。
植物で動物とかの形を作るやつのようだ。

民家の庭先にそれらしいものがいくつかあった。


ワイヤーで樹木を動物をかたどったりして作るものらしい。

トピアリーの街、と言う割には、そんなに数がなかった気がする。。
私のまわり方が悪かったか。

まだ生育中の作品もあった




トピアリーは眺めていてなかなか楽しかったが、ほかに見るものもなく、
街を一回りするとレイルトンを後にした。

シェフィールドもそうだったが、こじんまりした街で少しいくとすぐ町の外に出てしまう。
小さい街はなんだか親近感が湧く。


次の街は、Latrobe。
ここはぜひ行きたいところがあった。
Anversという会社のchocolate factoryがあるのだ。

ラトローブについたが、まだ早い時間なので
図書館でネットを使い、日本に連絡を入れた。

料金は1時間で数ドルだったと思うが、
管理してる兄ちゃんは別に時間を計るわけでもなく、
終わって帰るときに「どのくらい使った?」と聞いて、お金を払っておしまいだった。
ゆるい感じがいいな。


お腹が空いてきたので、少し早いが昼食をとることにした。
「Cafe Gilbert」という店に入る。


メニューを眺めて、today's specialを注文した。
実は海外で今日のおすすめを注文するのは初めてだったりする。


魚がメインのランチ。15ドル。
カプチーノはマグサイズで4ドル。

日によっては一日の生活費だな。帰国間近になるといろいろ緩くなってくる。

ランチはワンプレートで足りるか心配なボリュームだったが、
食べてみれば、まあボチボチの満腹感。

味も非常によく、タルタルソースをグラスに入れて添えるのも斬新だなと思った。
この盛り付けはうちでも使えるアイディアだ。


 


カフェで空腹をそれなりに満たし、アンバースのチョコレート工場へ。

アンバースへは少し迷った。

工場は思ったより小さく、見学できるのは、
デパ地下の実演販売をちょっと大きくした程度しかなかった。

こちらは観光客向けのデモンストレーションで工場自体はもっと奥にあるのだろう。


まあいい。

さてさて、甘いものを食べなくては!


カフェスペースでショーケースの中をゆっくり回るケーキを しばらく眺める。


決められない。。。

 

 




悩んだ末、ブルーベリーチーズケーキとチョコミントチーズケーキを注文した。



なかなかのサイズのケーキ。私の手よりちょっと小さい程度か。



味はなかなかいい。うまいじゃないか。
むっ、若干甘いか?いや、だいぶ甘い。

ブルーベリーのほうは日本でもありそうだが、
チョコミントチーズケーキは日本ではお目にかかれないケーキだ。
ミント感よりチーズ感が強かった。

私は年中ミントチョコを食べているが、おそらく、このころからよく食べるようになったと思う。


ランチを食べたばかりだが、なんとか二つとも食べきった。

さすがに毎日朝から晩まで自転車で走っていると、
どこまでもお腹が空いてしまう。

ケーキを完食し、コーヒーを飲んでいると、
隣のテーブルに30歳ぐらいの日本人女性が二人やってきた。

かなりエグイ女子トークを展開したあと、
ケーキのサイズと甘さに文句を言いだしてかなり鬱陶しかった。

クドくて甘いのなんて当たり前だろ!文句言うなら食うな!と一人で思ってしまった。


こちらをチラッと見て、「日本人?」と思ったようだが、
旅の前半に東海岸の強烈な日差しに焼かれた黒い肌と、
レーサージャージ&パンツという格好に日本人かどうか判断つかなかったことだろう。



ケーキを満喫したあと、工場の直売コーナーでチョコレートファッジを5箱買う。
試食したが、これまたおいしい。



帰国したらだれかにくれてやろう。



アンバースのチョコレート工場からデボンポートまで10キロほどだったが、
もはやおなじみ著となったタスマニアの激坂と強烈な向かい風で
なかなかデボンポートに着かない。

下りでスピードを確認すると、わずか時速12キロ。

進まないわけだ。


大きな橋を越え、デボンポートに入る。



橋から見る海が美しい。

デボンポートは水俣姉妹都市らしい

橋から国道を離れて、川沿いに進むとビジターインフォメーションセンターがあった。
ここで空港までのバスを予約した。10ドル。

自転車分の追加料金が取られないようだ。よかった。
ニュージーランドでは、後で追加料金取られたのだ。


手持ちの現金が10ドルないので困っていたが、それは宿で解決した。

今回の旅の最後の宿は”Molly Malones"。

当初、日本からバックパッカーを予約しようとしたら
そこが改装中で予約できなかったため、旅行中に予約したのだ。

ストローンに滞在中、『Lonely Planet』を見ていて見つけたのがここだ。
同名のアイリッシュバーがニュージーランドの首都ウェリントンにあり、
印象が非常によかったので、ここに決めた。

ちにみにモリーマローンはダブリンを代表する歌の名前らしい。


デボンポートの中心にあるモリーマローンズ。一階はアイリッシュバー



到着するとチェックインでデポジットととして10ドル支払いをしたが、
クレジットカードで対応してくれた。
チェックアウト時は現金で返金してくれるという。助かった。


宿はやや安っぽい感じではあったが部屋は悪くない。


自転車は室内に置かせてくれた


自転車は中でいいと言われたので、遠慮なく自転車を室内に入れた。

行きたかったが行けなかった場所、北東部の「The Nut」


壁にかけられた写真を見るといきたかった場所だった。

今回の旅で心残りがあるとすればこの"The Nut"であろう。



まだ日が高いので、宿に荷物を置き、街をブラブラする。



宿のすぐ前にショッピングモールがあり、
キッチンを品の店でカッティングボードチーズナイフ買った。

ほとんど使っていないカッティングボード&チーズナイフ。そしてさっぱり切れない包丁




それからよくお世話になるスーパーのウールワースでピンク色のお菓子を買う。
あと感じのいい包丁を安く見つけたのでそれも買う。

ただ、帰国後それを使ったが、包丁は全くと言っていいほど切れなかった…

 


帰国に向けて、自転車を飛行機で運ぶため、
自転車の入る段ボールを手に入れる必要があるのだが、
自転車屋を見つけることができず
インフォメーションセンターに戻り、場所を聞いた。

自転車屋へ向かう坂道



自転車屋は丘の上の街にあった。




GIANTをメインでやっている店らしい。

店はあまり大きくなかったが、商品がよく整理されていた。
スラムのコンポがたくさん置いてあり、日本との違いを感じた。

店内に吊られたロードのフレームに目がいく。
新しいTCR ADVANCEだ。友人がオーダーしているのと同じだ。
BB周りがかなりしっかりしている。
今でこそ、剛性を上げるためにBBまわりが肉厚になっているのは珍しくないが、
当時としては革新的だったと思う。
マジマジと見入ってしまった。

スキンヘッドの感じの良いおじさんに
自転車用の段ボールを欲しいと言うと、
少し考えた様子で
「今はないが、明日なら用意できる。明日の12時までに来てくれ。」と言われる。
明日はデボンポートカップがあって道が閉鎖されるそうだ。

「Twelveね、」と繰り返すと、君は若いから大丈夫だ」みたいなことを言われる。

どういうことだ?寝坊するとでも思われたのだろうか。

段ボールは無料でいいらしい。

この店がいいなと思ったのは営業時間。

平日は午後5時半までの営業で、日曜日は「Gone Riding」と書いてある。




午後5時半で店を閉めることができるタスマニアは素敵だ。
この時間なら、店を閉めてからでも、十分走りに行ける。

日曜日が休みではなく、"Gone Riding"というのがいいじゃないか。
日本の自転車屋もこんな風に出来るといいのに。


自転車屋の周辺も店が立ち並んでおり、
いくつか店をのぞく。

ニュースエージェンシーで絵葉書を買い、店のおばさんと話す。


デボンポートカップは馬のレースらしい。
てっきりヨットのレースかと思っていた。

自転車でタスマニアを回って明日帰国だと言うとおばさんは驚いていた。
いやいやそんな奴この辺にごろごろしてるよ。
私はそう思い、苦笑した。

宿へ戻る道すがら、自転車以外の荷物を送るための段ボールは
スーパーマーケットでもらってきた。



宿に戻り、キッチンで食事を作りニュースを見る。

テレビをつけると連日、ニュースでやっているイスラエル問題を放送していた。
もっとも私には詳しい内容はわからないのだが。

キッチンでくつろいでいると、日本人の女の子がやってきた。
少し話したがあまり考えずにタスマニアに来たようだ。
話していることが中途半端過ぎて、話すのが嫌になってしまった。大丈夫かなこの子?

いつものパスタとタスマニア産ビール「カスケードドラフト」



宿のキッチンでこうして普段通りビールを飲みながら日記を書いていると、
まだこれからずっと旅が続くんじゃないかという気がしてくる。

明日の朝6時ごろには目が覚めて、朝の支度をし、8時ごろには出発して、10時には腹が減り、ランチまで我慢できず何か食べたりしちゃうんじゃないか、そんな気がしてしまう。

 


この日々が終わってしまうのか。

空になったカスケードドラフトの缶を持ち上げつぶやいた。

「お世話になりました。カスケードドラフト。」