定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

ホームステイday2 -cycling NewZealand -

朝、腕時計のアラームが鳴り、ふかふかのベッドの上で目を覚ます。

ここはレイとアニータの家だ。

さらに言うとこの家にホームステイしているチャイニーズガールのベッドの上である。もっと言えば、残念ながらベッドの上には私一人である。

 

 

どうしてこんなことになったのか、成り行きという他ないのだが。

 

借りた部屋はホームステイしているチャイニーズガール、ココのカバンや雑誌がたくさん置いてあった。ホームステイしているときはこんなにいろいろ持ち込むものなのだろうか?

 

家の人より遅く起きてもいけないかと妙な気を遣い、アラームをかけて起きたのだが、昨夜が遅かったせいか、みんなが起きてきたのは8時半頃だった。

 

アニータが朝食を用意してくれ、朝食はトーストとベーコンとジュースが出された。食卓にはジャムの他、ベジマイトが置かれていた。

ベジマイトはオーストラリアやニュージーランドではパンに塗ってよく食べられる野菜の発酵食品で、茶色というか紫色のペーストで独特の風味がある。

日本人はたいてい「酷い味」と言う。

 

これまで試す機会がなかったのでいい機会だ。私はベジマイトの瓶を手に取ると、トーストに塗った。

 

食べてみたが、意外と悪くない。

 

と、日記には書かれているが、最近気になって購入して食べてみたが、思った以上に美味しくなかった。あの頃はいつもお腹を空かせていたから何でも美味しく食べられたのかもしれない。

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ベジマイトをトーストに塗って美味そうに食べている私を見て、アニータが「今まで来た日本人は食べなかった」と言っていた。

 

朝食後、今後の予定をルティアと相談した。

彼女は3月28日に帰国予定で、25日から2泊3で二人でレンタカーを借り、彼女が行きたいところを回ることになった。この日は3月23日で、それまで我々はアニータの家にお世話になることになった。

 

ルティアは北島で私と別れたあと、自動車事故にあったそうだ。幸い足を何針か縫うぐらいで済んだらしいが、そのせいでネルソンあたりで休養していたそうだ。

 

まだ荷物満載の自転車でサイクリング出来るほどまでは回復していないらしい。そこで私と合流して車で南島の南部を回ることになったのだ。

 

あまり必要性を感じてはいなかったが、私は一応国際運転免許を持ってきていた。ニュージーランドに来る前に何人かの人から身分証明書の代わりになるからあるといい、と言われていたので用意しておいたのだ。

時々、酒を買うときに提示していたりしていたが、ちゃんと免許証として使うことになるとは思っていなかった。

ちなみに国際運転免許証は運転免許証さえあれば運転免許証試験場で簡単に取れる。

 

 

午前中はアニータの運転でクライストチャーチ東海岸に連れて行ってもらった。

途中、トンネルを抜ける。

ニュージーランドはトンネル少ないね。日本はトンネルだらけだよ。」とアニータに言うと「ニュージーランドにはトンネルは3つしかないのよ。日本は有料道路がとても高いんでしょ?」とアニータが質問を返してくる。

「そうだ。だから私は本当に必要なときにしか使わないんだ。」

そうした何気ない会話をなぜかよく覚えている。

 

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アニータは港の見える丘や海岸に連れてきてくれた。アニータは今まで何にも海外の学生をホームステイさせており、そういう学生をこうしたところに連れて来たりするのだろう。

 

 

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10年以上昔のことということもあってどんな感じだったかあまり覚えていない。写真で見ると、「ああ、こんな感じだったな」と思うが、自転車で、つまり自分の力で行っていないところは印象が薄いのだ。

 

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昼を少し回ったところで軽食。カフェに入るとルティアがショーケースに並んだチーズケーキを見て「あなたチーズケーキ食べるんでしょ?」ときいてきた。「もちろん!」私は力強く答えた。

ルティアと北島を走っていた数日間、私はカフェでよくチーズケーキを食べていた。ルティアはよくそのことを覚えていた。

 

私は真っ赤なベリーがたっぷりと盛られたチーズケーキを堪能した。

 

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午後からはAntarctic centerに行く。国際南極センターだ。

行くまで意識したことがなかったが、ニュージーランドは南極まで比較的近い。そのためニュージーランドは南極探検の拠点となっているそうだ。

 

私は何となく見ていたが、様々な展示物がある中、ルティアが映像コーナーの前で立ち止まった。

流れていた映像は南極基地、スコットベースの隊員の活動を追ったドキュメンタリーで、ブリザードに襲われる基地の様子や朝の来ない極夜を過ごす様子など、なかなか興味深い内容だった。

 

ルティアは飽きることなく、30分ほどのそのドキュメンタリーを終わりまでずっと見ていた。

 

随分熱心に見ていたので、ルティアにたずねると「私、南極に行くのが夢なの。」と。

本気か?と聞くまでもなく彼女は真剣だった。

Antarctic centerの売店にはキーホルダーといったよくあるお土産のほか『lonely Planet』の南極版も売られていた。少し買おうか悩んだ。南極もお金と行く気があれば行けない場所ではないようだ。

 

アニータに迎えにきてもらい、夕食をまたご馳走になる。明日はルティアが二人で何か晩御飯を作ろうということになった。

 

夕食はウィンナー4種の盛り合わせに、チーズ、それからオムレツ。毎日変わり映えのしないパスタばかり食べていた私には豪華なディナーであった。

 

そろそろビールが飲みたいなと思っていると、アニータの家にホームステイしているココが冷蔵庫からビールを出して「飲む?」と聞いてくれた。「ああ、ありがとう」見た目は遊びまくっている感じだったが、彼女もいいやつであった。

 

私がリビングでくつろいで靴を脱ぐと靴下が5本指で、それを見たアニータが「ワオ、ストレンジなソックスね。ライ、ちょっと見て!」と怪訝な顔をしたので、私は面白がって指をバラバラに動かした。するとアニータはますます怪訝な顔をするので私は大笑いした。