定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

さよなら岬 - cycling NewZealand -

ルティアと私はレイクテカポに車で向かっていた。

街と街の間のカフェ兼雑貨屋で休憩をとる。
ルティアはいつものようにトーストサンドとカプチーノ、 私はマフィンとコーヒー、ニュージーランドで言うところの"long black" である。

席について店を見回すと、ポストカードが目に入った。
バースデイやウェディングなど、さまざまなイベントに合わせて分けられていたが、そのひとつに「Farewell」があった。

「Farewell」の意味を知らなかったので辞書を引いているとルティアが「シマ、なにしてるの?」と訊いてきた。

私はポストカードの棚を指差し、「『Farewell』の意味を調べていたんだ。「goodbye」の意味だって」そう答えた。

ルティアは優しく微笑み、「えぇ、さよならの意味よ。でもそれは『goodbye』より長い別れなのよ」と言った。

私はコーヒーのカップを置き、続けた。

「ルティア、話したと思うけど前に『Farewell Spit』に行ったんだ。でもそのときは『Farewell』にそんな意味だなんて知らなかった。ただ、あの景色を見た後なら、どうして『さよなら岬』って言われるのかわかる気がする。美しいけど、あの岬を歩くとなんだかさびしい気持ちになるんだ。」

そういうとルティアは目を細め、小さく微笑んだ。

「いい、シマ?私たちの別れはFarewellじゃなくてGoodbyeよ。また会えるわ。」

「さて、行きましょうか。この先も運転お願いね。」


いつか、スイスに彼女を尋ねようと思う。
そして、私たちの別れはやっぱり"Good bye"だったと言おうと思う。

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