ルティアと私はレイクテカポに車で向かっていた。
街と街の間のカフェ兼雑貨屋で休憩をとる。
ルティアはいつものようにトーストサンドとカプチーノ、 私はマフィンとコーヒー、ニュージーランドで言うところの"long black" である。
席について店を見回すと、ポストカードが目に入った。
バースデイやウェディングなど、さまざまなイベントに合わせて分けられていたが、そのひとつに「Farewell」があった。
「Farewell」の意味を知らなかったので辞書を引いているとルティアが「シマ、なにしてるの?」と訊いてきた。
私はポストカードの棚を指差し、「『Farewell』の意味を調べていたんだ。「goodbye」の意味だって」そう答えた。
ルティアは優しく微笑み、「えぇ、さよならの意味よ。でもそれは『goodbye』より長い別れなのよ」と言った。
私はコーヒーのカップを置き、続けた。
「ルティア、話したと思うけど前に『Farewell Spit』に行ったんだ。でもそのときは『Farewell』にそんな意味だなんて知らなかった。ただ、あの景色を見た後なら、どうして『さよなら岬』って言われるのかわかる気がする。美しいけど、あの岬を歩くとなんだかさびしい気持ちになるんだ。」
そういうとルティアは目を細め、小さく微笑んだ。
「いい、シマ?私たちの別れはFarewellじゃなくてGoodbyeよ。また会えるわ。」
「さて、行きましょうか。この先も運転お願いね。」
いつか、スイスに彼女を尋ねようと思う。
そして、私たちの別れはやっぱり"Good bye"だったと言おうと思う。