定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

Akaroa - cycling NewZealand -

ジェルダリンのバックパッカーを後にして、ルティアと私はクライストチャーチの南東にあるバンクス半島に向かう。テカポ湖からまたわざわざクライストチャーチに近い半島に戻るのはルティアが両方行きたいと希望したからである。ルティアは帰国間際だし、私としてはどちらとも行ったことのない場所だったので、車の移動ならいいな、と思い彼女のプランに同意したのだった。

 

車を再びクライストチャーチ方面に向かって走らせる。丘陵地帯を黄金色に染める小麦畑が美しい。丘の上で車を停める。

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そんな調子でのんびりとドライブを楽しんでいた。海外の運転はどうだろうと心配していたが、ニュージーランドは日本と同じく車は左車線の右ハンドルで、信号はほぼないし、時折現れるランナバウトも一度ルールを覚えれば難しいものではなかった。

 

小さな街で休憩。

カフェに入るともう薪ストーブに火が入っていた。そんなに寒いとは感じていなかったので驚いた。これからもっと寒くなる、そう思うとこの先の旅のことが少し不安になった。

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気をとりなおし、ショーケースのケーキを眺める。

色とりどりのケーキが並んでいる。私は白くてクリームがたっぷり乗ってるいるLemon meringue pieを選んだ。

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レモンは読めたが「meringue」が読めず苦戦しているとルティアが「メレンゲ。」と教えてくれた。ああ、レモンメレンゲパイね。

レモンメレンゲパイは甘くないヨーグルトかクリームを選ぶようになっていて、パイの横に添えてくれるらしい。私はヨーグルトを選んだ。小さなココットに入れられたヨーグルトがパイと一緒に出てきた。クリーム頼むと固めにホイップ?されたクリームがアイスのようにディッシャーでかたどられてついてくるらしい。

パイは下のレモンの層と上のメレンゲの層に分かれていて、メレンゲの甘さは想定内だったが、レモンの層がびっくりするぐらい酸っぱかった。そんなパイとヨーグルトの組み合わせはなかなか良かった。

 

ナイスなケーキを堪能し、一路バンクス半島アカロアに向かう。

 

バンクス半島は火山性の地形らしく、ほとんど円錐形の半島は中央が標高が高くなっている。アカロアまでの道は半島南の海岸線から一旦ウネウネと半島中央に登っていた。

中央で南に折れ、そのまま円錐形の半島に食い込んだアカロア湾に着く。

 

バンクス半島に入り、海岸に降りられるところを見つけて、車を降りる。

 

曇り空の海は荒々しい。

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波に削られたのだろう。海岸にはビスケットのように平たく丸い石で埋め尽くされていた。私は一つ石を掴むと荒波に向かって投げた。

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アカロア到着。

アカロアは街自体が観光地といった雰囲気だった。

この記事を書くために少しアカロアのことを調べたら、アカロアのあたりはフランス人の入植者が多く、その影響を受けた建築物が残っているところらしい。

 

 

まずはユースホステルに行き、宿を確保する。

ユースホステルには駐車場がなくて、どうしたものかと思ったが、そこは道の広いニュージーランド、路上駐車で問題ないらしかった。

 

チェックインするとき、フロントの女性が気を遣ってくれたのか「ダブル?相部屋?」と聞いてくれた。年齢も性別も国籍も違う私たちを見て、カップルかどうか判断しかねたのだろう。「相部屋で」ルティアは答えた。

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車と荷物を置き、アカロアの街を散策する。

 アカロアの街は可愛い建物が多く、歩いているだけでも楽しめた。

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ルティアは小腹が空いたのか、バッグからニンジンを取り出すと、器用にナイフで皮を剥いて、歩きながらポリポリ食べていた。前にも峠で休憩しているときにルティアがニンジンを食べているのを見たが、本当にリンゴかバナナでも食べるくらい自然である。

私が感心して見ていると「シマ、食べる?」とルティアがきいてくれる。

「私はいいよ。日本人もよくニンジンを食べるけど、そうやって皮を剥いて、そのまま食べたりしないんだ。」私が答えるとルティアは不思議そうに「ふーん。じゃあどうやって食べるの?」と更にきいてくる。

「生でも食べるけど、ボイルしたりするのが多いかな。」と答えておいた。

ルティアはこうやって食べるのが一番、といった様子で残ったニンジンをポリポリ食べた。

 

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この日は二人の夕食は最後だから、夕食は外で食べよう、ということになった。

 

昼間散策しながら、当たりをつけておいた店に入る。

 

落ち着いた雰囲気の洒落た店だったが、メニューもお洒落で値段のほうもそれなりである。

ムムム。

クライストチャーチに来てから、何だかんだで散財続きで、お金が出てく度にため息をついていた。私の旅は基本的にお金を使う一方である。ワーキングホリデーの人のように途中でフルーツピッキングのバイトでもしないといけないかもしれないと時々考えていた。

 

ルティアは昼間、外に出ていたメニューと違う、という。昼間見たときにはシーフードの盛り合わせみたいなものがあったという。そうだったかな。

 

長い間、メニューを眺め、店の人を呼んで聞いてみると、そういうメニューはない、という。ルティアがこだわるので、「別の店じゃないかな?」と私が言うと、結局、その店を出ることになった。

 

その後近くの他の店で、ルティアはシーフードの盛り合わせを見つけて、我々はようやく夕食にありつけた。

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夕食のテーブルには水の入ったグラスが出されていた。私は何も考えずに飲んでいたが、ルティアが「スイスだと水は高いの。外で食事するときは水がなくても大丈夫なの。慣れね。」そう言って、店員に水はフリーなのか確認して、水を口にした。スイスはいろいろ物価が高いというが、外食で水を飲まない、というのもちょっとした生活の知恵だな。私はお金がないと言いながらビールがないのはもっとよくないことだ、と言い訳してビールを飲んだ。

 

ルティアはシーフードの盛り合わせに満足した様子で、私たちは歩いてユースに戻った。ルティアと旅をするのもあと一日だ。

私は一人の旅が恋しくなり始めていた。