定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

甲州へ - 甲州・富士山ソロキャンプツーリング2019-

昔の旅のブログを書いていて、ある日友人から「海外で出会った人が今何しているか気になるなら、会いに行けばいいじゃないか。」と言われた。今は仕事も家庭もあり、昔のように明日死んでも仕方がないような暮らしをしている訳でもなく、おいそれとは海外にしばらく旅に出るということなんてできる状況にはない。

だが、旅をしているときに出会った日本人なら、会いに行けるのでは?

 

そう思いついてからは早かった。

 

幸い、有休も使うと3日間はフルに使える日が取れそうだ。

私はアラスカで出会った写真家の松本さんに連絡をし、会う約束を取り付けた。

 

2泊3日で最後の日に小田原に住む松本さんに会う旅の計画をざっと考えた。

 

私の旅のスタイルはマウンテンバイクにキャンプ道具を積んでツーリングをするというのが多い。もちろん電車や車で行くこともある。行く地域が決まるとバイクツーリング用のガイドブック「ツーリングマップル」で走るルートをざっくり決める。キャンプ道具を積んだマウンテンバイクで寄り道をしながら走れる距離は私の場合、70〜80キロといったところ。もう少し距離を伸ばせないこともないが、そうするとただ走るだけになり、寄り道する時間がなくなってしまう。

今回は小田原ゴールなので、そこから逆算して、スタート地点を決めた。八ヶ岳の麓、野辺山だ。

 

金曜日の早朝、始発電車に乗り込み、野辺山に向かった。自宅のある豊橋から名古屋まで行き、そこから塩尻までワイドビューしなのに乗る。平日の朝ということもあり、豊橋から名古屋までの区間、自転車を持って電車に乗っても大丈夫か心配だったが、始発電車はそこまで混んでおらず、自転車を持ち込んでも迷惑になるレベルではなかった。

 

思いの外混んでいたのはワイドビューである。

 

自転車は前後のホイールを外し、専用の袋に入れているがかなりの大きさである。いつも電車に乗る時は車両一番後ろの座席と車両の壁紙のあいだに置くが、ワイドビューは登山客がたくさんいて、すでにザックが置かれていた。

困っているとザックの持ち主の男性がザックを網棚に上げて場所を譲ってくれた。ありがたい。

 

平日のワイドビューはスーツ姿の人と登山客が入り混じり、不思議な感じであった。私以外にもサイクリストと思われる人が乗っていて、その人は小径車を持っていた。なるほど、自転車を載せるなら、小さくて合理的だな、と思った。

 

塩尻ワイドビューを降り、小淵沢までスーパーあずさに乗り換える。指定席が後ろの車両で、ホームを移動するのに苦労した。自転車とキャンプ道具の入ったパニアバッグは相当な重量だ。右肩に自転車の入った輪行バッグ、左手にパニアバッグが二つ。更に左からハンドルバッグを斜めにかけた状態で移動するのだ。この乗り換えのための移動というのがソロキャンプツーリングで隠れた大変なところである。

 

f:id:independent-traveller:20191011225916j:plain

初めて乗るスーパーあずさは新幹線のような内装で非常に快適だった。

f:id:independent-traveller:20191011230532j:plain

しかし、それも小一時間といったところ。そのあと更に小淵沢小海線に乗り換えた。

f:id:independent-traveller:20191010221855j:image

小海線は2両編成のワンマンカーでいかにもローカル線の雰囲気だ。車窓から白樺の林が見える。通路の向かいに座っていた30代くらいの女性2人が「旅行に来るといつも天気がねー」と話しているので、天気の心配をしていなかったことを思い出した。それまで曇り空だったのが、段々霧雨になっていく。これは予想以上に寒いかもしれない。私は荷物のどこにレインギアがあるか確認した。

 

野辺山駅に到着。

霧雨は大したことないが、寒い。

f:id:independent-traveller:20191010221928j:image

早速、自転車を組み立てる。キャリアにパニアバッグを付ける。最近はバックパッキングスタイルが流行っているが、私のバイクはフレームサイズが小さくて思ったように荷物が付かない。まあ昔の装備がそのまま使えるので問題ないが。結局、自分が確立したスタイルが一番である。

 

駅最寄りのコンビニで水を買う。普段なら持ってくるが、荷物が重いので今回は現地調達だ。コンビニは何故かとても混んでいた。

コンビニの裏に黒い柴犬がいた。

f:id:independent-traveller:20191010222006j:image

寝ているのか、口笛吹いて呼んでも反応しない。近寄るとようやく気がついて、元気に飛びついてきた。かわいいやつめ。

 

柴犬に別れを告げ、ようやく走り出す。

 

道の温度計は14度になっている。寒いはずだ。

f:id:independent-traveller:20191010222059j:image

霧に覆われた野辺山の高原地帯はとても幻想的だった。若い頃、初めて買ったマウンテンバイクで北海道を旅したときのことを思い出す。

f:id:independent-traveller:20191010222030j:image

今回はあまり計画を立てずに来たので、野辺山からずっと下りだということが全く頭から抜けていた。

 

ウェアが霧雨で濡れてきたので、レインジャケットを着て走るが、寒い。降っていく勢いで体温はみるみるうちに奪われていく。耐えられないレベルではなかったが、そのまま午前中は寒いままだった。

 

濡れた路面を走っているとき、少しヒヤッとした。下りの長いところで、ふいにバランスを崩しかけた。私のマウンテンバイクは元々26インチホイール用だが、インチアップして27.5インチのホイールを入れているせいで、重心が高い。また取り付けたキャリアの関係で荷物も全体的に上についていて、こちらもまた重心を高くしてしまっている。コーナーで軽く倒し込んだら、そこから一気に流されそうになったのだ。同じような人はなかなかいないと思うが気をつけて欲しい。

 

国道141号を南に降りて行く。

 

f:id:independent-traveller:20191011230625j:plain

有名なほうとうの店の前を通過する。体が冷えているので、お昼はほうとうでも食べたいところだが、まだ昼には早い時間だった。

 

清里方面から北杜市方面へどんどん降りていく。本当にずっと下り坂だ。当たり前だがかなりいいペースだ。

 

途中、南きよさとの道の駅に寄る。

国道から道の駅に降りていく道を進みながら、昔寄った道の駅であることを思い出した。だがいつ来たのかはっきり思い出せない。たぶん次女が産まれる前に北杜や小淵沢のあたりを旅行したときだと思うのだが。

 

そこから更に南下。

平坦になってきたとはいえ、まだ下り基調だ。

そろそろお昼が食べたくなる。

 

しかし、国道沿いにあるのはラーメン屋とかチェーン店ばかりで入る気がしない。道の駅なら、と韮崎の道の駅に行くがこちらもピンとこなかった。

 

続いてJAの産直へ。

なぜか納豆の自販機があり、納豆苦手な私は思わずムッとしてしまった。そこまで納豆食べたいのか。

 

f:id:independent-traveller:20191011230050j:plain

ここは食事するところはなかったが、何故かハーブとスパイスが破格の値段で売っていて、コリアンダーシードとサフランを買った。カボチャもかなり安かったが、流石に持っていけない。

 

いよいよ、昼ごはんをと思いケータイでランチを検索すると、JAのすぐそばに店がある。その名も「フレンズ」。

名前からして、ここは超ローカル店に違いない。私は迷わずフレンズに向かった。

 

フレンズは大衆食堂のようだ。

ガツガツ飯を食いそうな兄ちゃんたちが満足そうな顔をして出てくる。

 

f:id:independent-traveller:20191010222134j:image

ここだ。こういう何というか正しい食堂は久しぶりだ。

店内はあまり広くなかったが、ピークタイムを過ぎていたので、すぐに座れた。

 

メニューを眺める。定食とラーメンが中心のようだ。チャーハンと半ラーメンを注文した。

店主だろうか、私と同じくらいの歳の男性が注文を取りに来てくれた。チャーハンは少し時間がかかるという。私は大丈夫、と答えた。

 

店のカウンターにはいろいろな名前の書かれた焼酎のボトルが並ぶ。地元に愛されているようだ。

山梨日日新聞だ。

f:id:independent-traveller:20191011183349j:plain

地元出身の政治家が亡くなったニュースや富士山の周囲に鉄道を走らせる構想の記事など、興味深い。

 

さほど待つこともなく、チャーハンと半ラーメンが出てきた。

 

おお。正統派チャーハンとラーメン。素晴らしい。

f:id:independent-traveller:20191010222226j:image

チャーハンはしっかり油で炒めてあり、結構チャーシューが入っていて食べ応えがあった。隣に添えられた紅生姜もちょうどいい量だ。

ラーメンの方はといえば、和風出汁のスープがしっかり効いていて、びっくりするほど美味しかった。

素晴らしいランチであった。

 

私は「フレンズ」を後にすると、車通りの多い国道を外れ、山沿いの道に向かった。午後からはもっと走りを楽しめそうなところへ行こう、そう思った。