定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

The sense of wonder - 秋の奥三河 -

毎週土曜日、私がお世話になっているバイクショップ「glocalbike」では開店前の午前中にお客さんを集めてロードバイクで2、3時間程度の走行会を開催している。私は時間の許す限り参加しているが、雨天時は中止だし、最近は都合の合わないことも多くて今回、久しぶりに参加することにした。

glocalbikeは豊橋市の郊外、石巻にあり、新城市浜名湖方面へのアクセスがいい。そのため、土曜日の走行会もそうしたところへ行くことが多かった。

 

集合時間の8時に店に行くと、いつもは何人も待っているお客さんがいない。前日の開催告知が遅かったせいだろう。結局、この日来たのは私だけだった。

 

glocalbikeの店主、バスマンさんと相談し、ルートを決める。私は鳳来寺山の表参道、旧門谷小学校で開催されるイベント「The sense of wonder」に行く予定で、新城桜淵公園あたりまでいっしょに行き、そこで分かれることにした。

 

急に季節が進み、冬物のウェアを着てきたが、ちょうど良い感じだ。バスマンさんは冬でも薄着だが、この日も夏物のウェアにジレとニーウォーマーをしただけだった。

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二人だけなので、ルート開拓も兼ねてふだんの走行会で走らないルートを行く。

走り出しは寒いが、体が暖まってくれば、少し寒いくらいの空気が気持ち良い。遠くの山の形がはっきりと見える。寒さの到来とともに空気が澄んできたのだ。

「いい季節だな。」バスマンさんが言った。

 

桜淵公園を過ぎたところで、バスマンさんと別れる。バスマンさんはこのまま走行会の定番ルートの峠を見て帰るという。

私はそのまま東に向かい、途中、友人である奥三河案内人の真由子の働くもっくる新城の観光案内所に立ち寄った。しばらく振りだったので、最近の奥三河の話題をいろいろ教えてもらう。30分ほど話し込んで、「The sense of wonder」の会場に向かう。

 

もっくる新城から旧門谷小学校までは普段あまり使わないルートを選んだ。もっくるからなら、本長篠まで出て、県道32号で北に上がるのが一般的だが、今回は国道257号から県道436号を行くことにした。川沿いの436号は国道257号からの抜け道で地元の人ぐらいしか使わないルートだ。もしかしたら紅葉が見られるのでは、と期待したが436号の紅葉は期待したほどではなかった。

 

県道436号から32号に入り、鳳来寺の表参道の入り口に来る。新城市の観光課の職員の方が駐車場整理をしている。この時期の観光課の職員は毎週末イベントでとても忙しい。

軽く挨拶して「The sense of wonder」の会場に向かう。

 

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 毎回ここに来るたびに思うのだが、門谷小学校の入り口に立つと、どこか違う世界の入り口ではないかと思えてくる。イベントがあればイベントの世界観があるし、何もなくてもどこか懐かしい小学校の風景がある。ここは非日常な空間への入り口なのだ。

小川にかかる橋を覆うように周囲の木々がトンネルを作っていて、その先に何かある、と期待が膨らむ、そんな幻想的な道だ。

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会場に足を踏み入れる。

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焚火の匂いと何か肉の焼ける美味しそうな香りが鼻をくすぐる。

紅葉した木々に囲まれた校庭に並ぶ、お洒落で個性的なテントたち。

 

校門の横の受付に友人がいた。いつもは何か出店側の彼女だが、今回はのんびり手伝っているらしい。こうして緩くイベントに関わるのはいいな、と思った。

 

今回のこの「The sense of wonder」は「冬を愉しむ道具とクラフト」ということで、キャンプにまつわるクラフトのお店やナチュラルな食事を提供する店が出ており、門谷小学校の柔らかい雰囲気と相まって会場を眺めているだけで何だか優しい気持ちになってきた。この雰囲気だけでも来た価値があるな、と思った。

 

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さて、私の家族はどこだろう。

実は家族は別行動で、私がライドしている間に車で先に来ていたのだ。

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いたいた。

校舎に近いブースの前で、妻がバイト先の同僚であるりょーこさんと話をしている。

 

「お父さん!」長女が私に気がついて、こちらにやってきた。

 

聞けばとくにまだ何か食べたりしていないらしい。少し家族とブースを見て回る。

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食事を出しているブースはこの辺りのイベントなどではよく見かけるところが多かった。

 

まずは豊橋でジャムを作っている「Nui」さんを覗く。

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うちはフルーツがあるとたいてい妻がジャムにするので、たまにしかジャムは買わないが、Nuiさんのジャムは洗練されていて美味しい。もともと餡子屋さんなので、今回は小瓶に入れたぜんざいも売っていた。長女がぜんざいが食べたいというので、ぜんざいを購入。それからジャムをいくつか試食させてもらい、梨のジャムも頂くことにする。

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長女は喜んでぜんざいを食べていた。長女は本当に嬉しそうに食べる。ぜんざいは私も少し食べたが、少し寒い屋外で食べるのは最高だった。

 

それから、りょーこさんオススメのフォレストファームの焼き鳥、山のハム工房GOBERのソーセージ、そしてツバメ食堂のパテのオープンサンドを買う。

ツバメ食堂は実店舗になかなか行くタイミングがなく、こういう機会には必ず何か買うようにしている。

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今回、飲食だけではなく、各ブースでは様々なワークショップが開催されていた。設楽町のAoyamaさんのワークショップが気になったがしばらく待たないといけないようだったので見送った。

 

出店者には友人も何人かいて、久しぶりに会う人もいた。

「Toei good witch project」として東栄町でハーブ農園をやっている角さん。地域おこし協力隊として東栄町にやってきて、任期終了後もそのまま東栄町で暮らしている。夏に一度、家族で農園に行こうと思ったのだが、ちょうど角さんが怪我をして農園に出られないときで、この時は残念ながら訪問は叶わなかった。

 

 

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角さんに挨拶して、そのときのことや、農園のことなど少し話す。角さんはハーブティーやクラッカーなどを販売していた。いくつか試食させてもらう。全く角さんはセンスがいい。

ワインのつまみにオススメという酒粕とハーブのクラッカーを購入。

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角さんのプロダクトはどれも体にいいものばかりだ。このクラッカーも酒粕東栄町の酒蔵「森山酒造」の酒粕を使っていて、それ以外の素材も国産のものにこだわった安心なお菓子だ。それてわいてちゃんと美味しい。私も最近はこういうものを選ぶようになってきた。

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今回のイベントで何気に楽しみにしていたのは、「kisten」の焼き芋である。

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キステンは、新城市の鳳来東部小学校の特認校制度のPRを行っている地元有志の団体である。

今回は、落ち葉で焼き芋を焼く、と聞いていたのでで楽しみにしていたのだ。

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最近、落ち葉で焚火というのもほとんど見なくなった。本当はうちでも焚火したいくらいなのだが。

私が注文しておいた焼き鳥を取りに行く間に焼き芋を買ってきてくれていた。

 

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ホクホクの芋を口に入れる。

熱い。なんと正しい焼き芋だろうか。また芋がブランド芋とかではなく、普通の芋なところがいい。

二つ買った焼き芋は一つを家族で分けて、もう一つはおやつで食べることにして持ち帰ることにする。

 

会場をもう一回りする。

食事はいろいろ楽しんだが長女がイチゴのホットドリンクを飲みたいというので買ってみる。

私は飲食以外のブースをもう一度見てみる。

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アイアンの焚火道具などに魅力を感じなかったかと言われれば嘘になるが、現実問題として家族キャンプにもう荷物を増やすゆとりはない。春キャンプですら車に荷物満載なのである。海外のキャンプ場のように庭にファイヤーピットがあれば買うところだが。

ここで無理に買うものでもないし、ピンとくればいつものお店でも旅先でも買うときは買うから今回はそういうことだっただけだ。

 

子供のお腹が満たされたところで帰ることにする。

 

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特に案内らしい案内をしていない緩い受付に行くと、ダモンデ山田さんの奥さんのミオさんとりょーこさんがいた。

 

しばらく他愛もない話をして、会場を後にした。

 

なんだか好きなものを食べていただけの「The sense of wonder」になってしまったが、まあある意味我が家らしいなと思った。


駐車場に向かう道すがら、出産予定日の奥さんを連れたエナジーバー研究家の脇くんともっくる新城で仕事をしていた真由子と行き合った。


彼らもあの空気感を感じたことだろう。


私は乗ってきた自転車を車に積み込むと、家族と共に家路についた。