定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

次女との休日

今回のブログは私と次女のある二日間の記録という個人的な内容なので関心のない方はスルーして欲しい。

しかも書いたら長くなってしまった。

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シルバーウィークの後半、長女と長男は妻とともに「風の自然学校」のキャンプに参加を決めていた。

 

次女も一緒かと思えば、次女は行かない、という。

次女の考えているところは分からないが、とにかく妻たちが一泊二日で出かけている間、私と次女は二人で過ごすことになった。

 

車は妻たちが乗って行ってしまい、使えないのでどうしたものかと思っていたが、ちょうど小学校で貰ってきたチラシに「東三河リアル謎解きゲーム」という公共交通機関を使ったイベントがあったので、それをやってみることになった。

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我が家で出かけるときはほとんど公共交通機関を使わない。そのため、子供たちはほとんど電車やバスに乗ったことがない。

今回は切符の買い方など電車の乗り方を教えるいい機会になるだろう。

 

次女に帽子と水筒を持たせて出かける。

豊橋駅までは市電だ。

市電の駅まで歩くが、次女と二人だけで歩くなんていつ振りだろう。次女は草むらにちょうちょを見つけてキャッキャと楽しそうだ。

 

市電で豊橋駅まで出る。市電は意外と混み合っており、何とか座れたものの、次女とは通路を挟んで向かい合わせになってしまい、話が出来なかった。次女は足をぶらぶらさせながら、吊り広告などをおとなしく眺めていた。

 

豊橋駅で市電を降りて、観光案内所に向かう。観光案内所に貼られたポスターにQRコードがついていて、それをスマホで読み取ると謎解きのヒントが出る、という仕組みになっている。

今回の謎解きは鉄道の駅を回る初級編が2コースと行き先の駅からバスに乗る上級編があり、我々はまず初級編のうち、東海道本線コースの謎解きをすることにした。

 

QRコードで得られた最初のヒントを見て、私は答えが何となく分かってしまった。次女はヒントを見てもさっぱり分からないといった様子であった。

 

切符売り場まで移動し、次女に切符の買い方を教えてお金を渡す。次女の身長は券売機の上のほうのボタンにギリギリ届くぐらいで、金額を押し間違えないか少しヒヤヒヤした。

 

改札をひとりで通るのも初めての次女は切符を持っていささか緊張していたようだが、ちゃんと切符を改札に通し、出てきた切符を取った。

子供料金だと改札から「ピヨピヨ」と音がするのがかわいい。

 

改札中の「ボンとらや」でおやつにピレーネを買い、浜松方面の電車に乗った。

 

最初の目的地、二川までは一駅なので早いものだ。電車には我々と同じくように謎解きのチラシを持った家族を見かけた。

 

二川駅に到着。

改札を抜けると次女が謎解きのポスターを見つけた。QRコードでヒントを読み込む。上級編のバスのほうも読み込むが、まずは初級編をということで、次は蒲郡に向かう。

 

ホームで次の電車を待つ。

私だけなら二川からであれば自宅に戻るのに走ってもなんとかなる距離だ。

それを次の電車が来るのをゆっくり待つ。

 

ホームを端の方へ歩いてみる。

秋晴れの青い空が眩しい。

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こんな近くなのにまるで旅をしているようだ。

昔、18切符で旅をしているとき、こうした小さな駅で次の電車が来るのをのんびり待ったものだ。

懐かしいな。

 

二川駅から再び豊橋駅に戻る。

次女は吊り革が触りたいようで、手を伸ばして何度もピョンピョン飛んでいた。その様子を近くにいた外国人のお兄さんが微笑んで見ていた。

 

豊橋駅で電車を乗り換えて蒲郡に向かう。

 

乗り換えた快速電車の車内で、知らない男性から「安売りしててたくさん買ったからどうぞ」とチョコレートを貰った。

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子供の頃、祖母と電車に乗っていて、向かいに座ったお年寄りからみかんを貰ったことを思い出した。あのときはどうして祖母と電車に乗っていたのだろう。

 

蒲郡駅に到着。

早速、謎解きのポスターを探す。

ポスターを見つけ、初級編のヒントを見る。私は予想通りの答えだと自分の回答に確信を持ったが、次女はまだ何のことか分からないようだった。

蒲郡駅構内の観光案内所で座れるスペースがあったので、そこで私は次女にさらにいくつかヒントを与えると、ようやく答えにたどりついた。

 

これで初級編はひとつクリアだが、ここからバスでいく上級編もある。まだ時間があるので、そのまま上級編を解くことにする。

蒲郡のヒントを見ると場所は遠くないが、蒲郡駅前からバスに乗ったことがないため、行き先のバス停を探すところから始める。

ここでなかなか苦戦して、乗りたいバスが行ってしまった。

困ったことに次のバスまで時間が2時間近くあった。

 

我々は結局、1時間に二本あるラグーナ蒲郡に行くシャトルバスでラグーナ蒲郡に行き、蒲郡みかんジュースを飲んだり、アウトドア用品を見たりして過ごした。

 

再び蒲郡駅に戻り、目的のバスにようやく乗る。謎解きの応募に必要な乗車券を余分に取る。

乗客は我々だけ。私は料金表を指差して、お金の払い方を説明しながら、降りるバス停のアナウンスがあったらボタンを押して運転手さんに「次で降ります」って伝えるんだよ、と次女に教えた。ゆっくりとバスは進み、目的地のバス停が近づいてくる。

次女が降車ボタンを押す。

運賃箱にお金を入れ、運転手さんにお礼を言うと我々はバスを降りた。

 

バス停から少し歩いて、目的地へ。

 

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少し波打ち際で遊んだ後、我々は蒲郡駅に戻り、この日の謎解きを終えた。

 

妻たちはキャンプのため、夜も次女と二人だけである。

 

晩ご飯はどこか外食でもと思っていたが、次女にリクエストはなんと赤飯であった。

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駅ビルの惣菜コーナーで見たら食べたくなったらしい。豊橋駅で赤飯と惣菜を買い、二人で食べた。

次女はお風呂を沸かせてくれたり、食卓の準備やいろいろお手伝いしてくれた。

 

夜は珍しく次女と二人並んで眠った。

こんな風に眠るのは長男が生まれたときにしばらく長女と三人で並んで寝て以来ではないだろうか。

あのとき次女は「おかあさん…」とシクシク泣いていたことを思い出した。

 

翌日。

次女は朝が弱い。長女は早い時間からさっと起きて朝から本を読んだりするものだが、次女は起こさないといつまでも寝ている。

この日も私が起こすまで起きなかった。

 

二日目は謎解き初級編の飯田線コース。飯田線で豊川と新城に行くことになった。

 

まずは豊川駅だ。

しばらくぶりの飯田線を私は堪能していた。次女は相変わらず吊り革に触りたいようで、ときどき吊り革に向かってジャンプしていた。

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豊川駅に着く。

謎解きのポスターのバーコードを読む。まずは初級編だ。こちらも2つ目のヒントで私はだいたい答えが分かった。

バスに乗る指示が出る上級編のバーコードを読むと、なかなか遠い行き先の指示だ。

 

バス停でダイヤを確認するが、やはり本数が少ない。次女と相談の上、上級編は全部で二箇所回ればよいので、今回は見送り、新城駅からのバスの行き先にかけることにした。

 

次の新城行きの電車まで時間があるので、歩いて豊川稲荷まで行き、あたりを少し見て回った。

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普段の観光客の人出が分からないが、そこまで多くないような気がした。少しはお金を落とさないとな、と思い、ソフトクリームと稲荷寿司を買う。

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のんびりしていたら、電車の時間が迫っている。

私は次女を急かせて豊川駅まで戻った。

 

無事に新城方面の電車に乗りこみ、新城駅に向かう。しばらく通勤で使っていたので車窓の景色が懐かしい。

 

新城駅に電車が停まる。

 

ホームに出て、駅舎側のホームに移動するため、高架の方に向かおうとするが、工事していた。そういえば新城駅前は整備が始まったといっていたな。

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高架と反対側のホームの端に作られた階段で駅舎側に移動する。こちらのほうが楽だな。

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改札を出て早速謎解きのポスターのバーコードを読みとる。初級編はこれで答えが分かれば完了だ。次女はまたしても、私からいくつかヒントをもらってようやく答えにたどり着いた。

 

問題は上級編である。

バスの行き先は思った以上に遠い場所だった。

どうしようか。

 

とりあえず昼ごはん時であるので、どうするかは食事しながら考えることにした。

ランチは「大文字」にしようと決めていたので大文字に向かうが、まさかの休業。

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そして我らがヤングキャッスルも休業日である。

 

困った。

 

次女にしては珍しくお腹が空いた、と何度も言う。新城駅周辺で子連れで入るような店を私は思いつかなかった。

私はひとまず、国道の方へ歩いて行くことにした。少なくとも途中にピアゴはあるし、国道沿いまで出れば店はある。

 

歩いていくと中華料理屋が視界に入る。

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あそこではないよな、と思いながら一応「ここのお店じゃないとこがいいでしょ?」と次女に聞くと歩くのをやめて「ここにする。お腹空いたから早く食べたよ。」と言う。

次女がそう言うなら、と我々は店に入ることにした。後から聞いた話だが、新城市民でもこの店に入るのは、ある意味、上級者だと言われた。

 

店内でメニューを見るが、少し予想していた通り薄味好みの次女が食べそうなものがほとんどない。次女はしょうゆラーメン、私は天津チャーハンを注文。

先に天津チャーハンが来た。

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次女に取り分けてあげるが一口食べると「苦手」という。油っこい感じがダメなようだ。ラーメンは大丈夫かと心配したが、ラーメンは何とか食べていた。

運動もしていないのに、危うくボリュームたっぷりの中華を2人前食べるところだった。

 

突発的なドキドキの昼食を終えると、そのまま近くのバス停から目的地に向かう。

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バスに乗り込むと我々のような親子連れがいた。こちらも謎解きをやっているようだ。

 

この謎解き、上級編はなかなか難易度が高い。

豊橋蒲郡は比較的駅から近いところがバスの目的地として指示されるが、豊川と新城はなかなか遠い。バスの本数が少ないので、バスいいタイミングで捕まえられないと待ちぼうけになるし、帰りのバスもうまく乗れる保証はない。

それに行き先がどんなところか想像がつかないと、目的地で食事などに困ることになる。子供をつれているので、あれこれ我慢させるのも難しい。

私は新城あたりは詳しいほうだと思うが、それでも食事やバスへの乗り換えには困った。もしやってみる方がいれば、時間的ゆとりをもっていただいたほうがいいだろう。

 

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いつもは自転車や車で走る道をバスで行くのはなかなか新鮮だった。

次女は相変わらず吊り革に触りたがったが、バスにいろいろ書かれている注意書きを読んで、大人しく座っていた。ときどき私のような凡人には全く予測できない行動をする次女だが、基本は真面目なのだ。

 

バスが目的地に着いた。

我々に続いて、先に乗っていた親子連れも降りた。

 

私にとっては馴染み深い場所だ。

しばらく乗ってきたバスを見送る。

 

我々は謎解きが示した場所まで歩いて行った。

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最後に我々がたどり着いたのはここだ。

 

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我が家が折に触れ、やってくる場所。

静かな時間が流れる穏やかな場所。

自分の立ち位置を確認できる場所。

 

ちょうどこの日は緑のパッサージュがやっている日だった。

 

何人かの人が思い思いにカフェの椅子に座って談笑している。

偶然だが、ダモンデの仲間であるハギヒラ親子がいた。

「ここに来ると、誰かに会えるよね。」

そんな会話をして、私はコーヒーをいただく。

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椅子に身体を沈めて、ボーッとしているとそのまま気持ちよく寝てしまいそうだった。

人見知りの次女はハギヒラさんたちに話しかけられても、懐かないネコのように逃げていく。

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失礼な娘で申し訳ないと思うのだが、そうした次女のことを知っているハギヒラ親子は「そうだよね」という感じであまり気にもとめていない様子だった。

 

私はしばらく自分の時間を楽しみたかったが、遊び相手のいない次女は、

「あー、お父さん寝ちゃだめだめ!」と私の身体を起こしてくる。

「何で?お花でも摘んできないよ。」私がそう言っても「だってつまんないんだもん。」と言うばかり。

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「コーヒー飲んでるからゆっくりさせてよ。」と私が再び身体を椅子に預けるとまた起こしにかかってくる。こんなことをしばらく繰り返した。

 

風の自然学校のキャンプの帰りの足で、そのまま妻が迎えに来てくれることになった。

 

いよいよコーヒーがなくなると次女が勢いづいて「はい、コーヒー終わったねー。行きましょう!」と言う。

 

やれやれ。

私は立ち上がると伸びをした。

 

謎解きゲームで結果ここに来ることになったが、訪れることが出来てよかった。
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よく分からないテンションの次女を連れて私はこの特別な場所を後にした。

謎解きは終わったが、次女という謎は解けないままだ。この先もきっと解けることはないだろう。