愛知県に再び緊急事態宣言が発令され、またソロライドの日々に戻ることになった。前にも書いたが、私は旅は一人が好きだが、ライドは仲間とワイワイ行きたい方である。
最近は、すぐに疲れを感じることが多く、ソロでのライドは走り出すまでのハードルがなかなか高い。要はやる気がでないのだ。
しかし、来月数年ぶりに200キロのブルベに参加する予定で、このところ100キロ以上自転車に乗ることがほとんどなく、さすがに心配になってきたので、久しぶりに渥美半島でも回ることにした。
もう夏の猛暑もどこへやらといった、九月の初めとは思えない薄曇りの涼しい朝で、いざ走り出してしまえば、ペダルを踏むのがだんだん気持ち良くなってきた。
最近来る機会の多い白谷海浜公園のそばのカキ氷屋さんは朝から行列になっていた。
このご時世に行列に並ぶ気にもなれないし、いいペースで走れていたので、そのままスルー。
県道2号と国道259号がぶつかるあたりから急に雲行きが怪しくなって、しばらく雨に降られた。
道路の水をリアタイヤが巻き上げ、すぐに背中が濡れてしまう。天気予報では雨が降ると言っていなかったので、すぐに雨は上がって、濡れたジャージもすぐに乾くだろう。
今回のライドには一箇所、目的地があった。
田原市江比間にある清水屋製菓舗である。
前に地元紙で、自転車が趣味のご主人が、サイクリスト向けの補給食を考案し、店の外の自動販売機で売っているというのが紹介されていた。
店の外にはバイクラック。素晴らしい。
果たして補給食はあった。
以前読んだ新聞に書いてあったとおり、タバコの自販機のようだ。
味はアーモンド、クルミ、バターケーキの3種類。アーモンドは人気らしく、売り切れだった。
私はクルミをチョイス。
代金の250円を入れ、ボタンを押す。
すると
「タスポをタッチしてください」と無機質な女性の声。
「タ、タスポ??」
思わぬキラーパスに私はたじろいだが、私は冷静に考えた「ノンスモーカーの多いサイクリストがタスポを持っているはずはない、となれば…」
あった。
何かか紐についている。
やっぱり。
私は無事に補給食を手に入れた。
補給食を背中のやや濡れたポケットに入れる。タバコの自販機で売るためにタバコの箱サイズにしたそうだが、レーサージャージのポケットにピッタリであった。素晴らしい。
なんだか嬉しい補給食を手に入れ、私は再び走り出した。
渥美半島の先端、伊良湖岬に着くころには空は青空になっていた。
少し前まで閉館していた道の駅クリスタルポルトはレストランと売店の営業を再開していたが、人は疎らだ。
私はフェリーの見える休憩スペースで、先程手に入れた補給食を開けた。
早速、一口食べてみる。
補給食というので、サイクリストお馴染みのねっとりとしたミューズリーバーかと思ったら、土台はほろっと崩れるクッキー生地だ。確かに箱の裏には品名「クッキー くるみ」とある。
なるほどお菓子屋さんが作るだけあってそこはあくまで洋菓子というわけだ。感じとしては、フロランタンに近い。一つ難を言えば、一つで何カロリーか書いてあると言うことはない。
ペロッと補給食を一つ食べてしまうと、私はもう一種類のバターケーキを買わなかったことを激しく後悔した。
帰り道は外海の国道42号側を進む。
行きが調子良かったのは、追い風のせいだと気づく。踏んでも踏んでもペースがなかなか上がらない。サイクリングロードに逃げようとしたが、最近の大雨のせいかサイクリングロードの補修工事中で、走ることができなかった。私はだましだましペダルを踏み、田原市街まで移動し、そこから先は渥美線沿いの道をゆっくり帰った。
久しぶりに100キロのライドだったが、かなり辛かった。来月のブルベが心配である。
また補給食を買いに行こうか。