来月、何年か振りにブルベで200キロを走る予定であり、そろそろライドの距離を伸ばさないと、と思っていた。とはいえ、どこかいい景色でもないとなかなか乗る気分にならない。
どこに行こうか考えながらSNSを眺めていると、彼岸花の写真が多く流れてきた。
私は数年前に「Rapha prestige 」のコースで走ったときに見た彼岸花を思い出し、久しぶりにそこに行ってみることにした。
その場所は新城市の大平という集落で、主要道路から外れたところにあるので、よほどの用事がないと行く場所ではない。
私自身、ラファのイベントがなければ行く機会などなかっただろう。
南から県道69号を北に向かい、いつもは道なりに左に折れていく道を右に曲がり、大平の集落を目指し山道を上っていく。
少し進むと道に栗が落ちていた。
この時期の奥三河では、産直や無人販売所といったところで栗が多く売られている。こうして道端で見ることも少なくない。
私は少し栗を拾うと背中のポケットに入れた。
大平の集落は山の間にある。
なかなかいい登りを進むと、やがて道は集落に入っていく。集落を抜ける道の途中で記憶にあった彼岸花の群生地に行き着いた。
急峻な斜面を赤い彼岸花が覆っている。
青い空と木々の緑のコントラストが美しい。
奥三河には彼岸花の名所がいくつかあり、それらに比べればささやかなものだが、独特の地形の中にあるこの場所は、仲間と苦労して走ったときの記憶もあって私には思い出深い場所だ。
彼岸花の群生地を抜けると視界が開け、眼下に段々畑が見える。
新城より奥の地域は急峻な斜面に集落があるとこは珍しくないが、新城は比較的平場が多いせいか、こうした地形の集落はあまり見ない気がする。
こうして谷間の集落を見ているとあまり遠い場所ではないのだが、とても遠くに来たような気分になる。それもあって好きな場所なのだ。
大平からは未舗装路へ入る。こちらもラファのコースだったところだ。となりの市川の集落に抜けることができる。
しかし、いくつか分岐もあり、道もそれなりに荒れているので、あまりおすすめはできない道だ。
しばらく未舗装路を走り、市川の集落に出る。
ここも山の上にある天空の集落だ。
標高は大したことないはずだが、空が近く感じる。
私はそのまま市川の集落を後にし、県道へ降りた。
市川口からそのまま少し北に行くと、夏にオープンしたばかりのカフェがある。
保木平珈琲murmure。
よく走る道沿いで最近よく行ったという人の話を聞くので、気になっていた。
来月から15時までの営業になるそうだが、それまではモーニングのみの営業とのことで、この前通ったときはすでに店が閉まっていて、寄ることが出来なかった。
店には何組がお客さんがいたが、豊川が見える席が空いていた。
意外と豊川を見ながらコーヒーが飲める場所は多くない。
いいところだ。
ゆっくりしていたかったが、子供達に「昼に帰る」と行って出てきたことを思い出し、モーニングを食べて一息つくと、店を後にした。
ホームコースの県道69号を一気に南下し、家路を急いだ。
少し遅刻してしまったが、ポケットから栗を取り出すと子供達は喜んで、私が遅くなったことなどどうでもよくなったようだった。
奥三河の秋の恵みに感謝。