定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

名もなき峠と古民家カフェ - 奥三河ライド -

冬のロングライドで膝を壊してしまい、この2か月ほどはあまり自転車に乗っていなかった。

 

膝の調子もぼちぼちかな、と思っていると、頼んであったグラベルバイクのフレームが届いたという。また時を同じくして別で頼んであったホイールも仕上げてくれて、なんとかゴールデンウィーク中に新しいバイクが組み上がった。

f:id:independent-traveller:20220506210507j:image

一日自由時間をもらい、さっそく新しいバイクで出かけることにした。

 

最近は奥三河へライドに行くことも随分減ってしまった。久しぶりに会って挨拶したい方もいるし、新しく出来た店もある。私は北に向かった。

 

せっかくのグラベルバイクでのツーリングである。普段は通らない脇道を選んで進んだ。

田んぼの間の畦道が気持ちいい。

f:id:independent-traveller:20220506210445j:image

ロードバイクと比べ、アップライトのリラックスしたポジション。のんびり走る感じはなるほどツーリング向きのバイクだ。どうして今までグラベルバイクを組もうとしなかったのだろう。旅のバイクにこんないい乗り物はない。このバイクで長い旅に出たいものだ。

 

久しぶりに桜淵公園に寄る。

f:id:independent-traveller:20220506211630j:image

ここは大幅に改修がされ、砂利の駐車場はアスファルトになり、トイレもリニューアルされていた。また「ライド新城」の大きな看板が設置されていた。新城の自転車への力の入れようが垣間見えた。

f:id:independent-traveller:20220506211620j:image

桜淵からは道の駅「もっくる新城」へ。

 

観光案内所で奥三河観光協議会の方々にご挨拶をする。最近の奥三河のお話などを教えてもらった。奥三河のことなら、観光はもちろん、それ以外のこともよくご存じの方々である。もっと話していたかったが、お客さんがひっきりなしに訪れていたので、長居せずに次の目的地を目指すことにした。

 

次に向かったのは、県道435号。

新城の広見ヤナの少し先の脇道を行くと峠があると、ある方から教えてもらっていて、一度行ってみたいと前から思っていたのだ。

 

寒狭川沿いに北に向かう。

f:id:independent-traveller:20220506212611j:image

目指す県道435号には国道257号からアクセスする。

周囲の田んぼは田植えが始まったばかりだ。この田植えの季節、言い換えればサイクルウェアを半袖にするか長袖にするか悩む季節が、暑過ぎず寒過ぎずサイクリングをするには一番いい季節だ。

 

広見ヤナを過ぎ、しばらく行くと川の対岸に小さな橋が見える。名は島原橋というらしい。

何度も横を通過している橋だが、確かに一度も行ったことはない。

この先は地形的にどう見ても山しかないので、気合を入れる。

f:id:independent-traveller:20220507221602j:image

橋を渡るとすぐに立派なお地蔵様がある。頭に毛糸の帽子を被っているところを見ると地域から大切にされているのだろう。田舎では珍しくない風景だ。だがこうした当たり前の田舎がそのままあるところが奥三河の良さだと思う。

道は予定通りなかなかの上り。

思いの外早くに軽いギアを使い切ってしまった。今回、グラベルバイクを組むに当たって、ロードバイクから外したコンポをそのまま載せ替えたが(50-34×11-28)、軽いギアが全く足りなかった。

諦めてダンシングを織り混ぜながら何とか上っていく。

f:id:independent-traveller:20220507222242j:image

GPSのマップデータを見ながら走るが、なかなかピークにつかないので、弱音を吐きながらペダルを踏み続ける。

何度も引き返そうかと思ったが、何とか道の分岐まで辿り着く。

右へ行けば、海老集落でおそらく下りの遠回り。正面を行けば上りの近道。

次にいつ来られるか分からない、そう自分に言い聞かせて、正面の道を行く。

分岐を進んですぐ、またなかなかな斜度の上りが現れ、この道を来たことをすぐに後悔する。

少し行くと集落があり驚いた。

まだ奥三河には知らない集落がある。

 

更に北に向かい、いよいよピークが見えて来る。

道の脇に立派な石碑が。

f:id:independent-traveller:20220507223557j:image

須山御嶽山という山の登り口らしい。訪れないと分からない場所が多いと今更ながら気付かされる。

f:id:independent-traveller:20220507223717j:image

何とか上り切ったようだ。

少し進むと再び集落が。

須山地区というようだ。

f:id:independent-traveller:20220507223905j:image

集落の高いところに観音菩薩堂があった。
f:id:independent-traveller:20220507223908j:image

最近はこうした古い石仏に興味が出てきた。

いつの時代から地域の人が守ってきたのだろうか。

 

須山からは中々急勾配の下り。

 

稲目トンネルの上を抜け、四谷千枚田方面へ向かう。

f:id:independent-traveller:20220507224315j:image

いつもは下からヒーヒー上ってくる四谷千枚田が眼下に見える。そりゃキツい筈だ。参考にコースを載せておく。

f:id:independent-traveller:20220507224600j:image

四谷千枚田の入り口の連合地区まで降りてきた。

最近、このあたりにカフェが出来たと聞き、そちらへ向かう。

f:id:independent-traveller:20220507224533j:image

古民家カフェたてば、というそうだ。

着いたのは昼頃で、予定よりだいぶ遅い。こちらでは昼前に着いて軽くお茶して次のポイントでしっかりお昼のつもりが、ここまでの道で思わぬ苦戦をして昼になってしまった。

f:id:independent-traveller:20220507224846j:image

古民家というにはとても綺麗な建物だ。よほどきちんと手を入れたのだろう。

 

f:id:independent-traveller:20220507224935j:image

お店の方が優しく出迎えてくれる。

私は座敷の端に座った。

f:id:independent-traveller:20220507224938j:image
店内の装飾もセンスがいい。

f:id:independent-traveller:20220507225108j:image

注文を取りに来た女性に「おススメは何ですか?」と尋ねると「珈琲でしたら、メニューのこちらに。そうですね、個人的におススメなのは小豆珈琲ですね。上はブラック、あとは下の小豆を混ぜて味を変えて楽しめるんです。」とのこと。私は小豆珈琲とプラス200円の「たてばセット」の和を注文した。
f:id:independent-traveller:20220507225111j:image

お茶を飲みながら何度も「疲れた」と口にする。久しぶりのライドであの道は辛かった。

しばらくして「たてばセット」が運ばれてくる。

f:id:independent-traveller:20220507225658j:image

キリッとした白飯のお握りが二つに野菜たっぷりのお味噌汁。そしてお漬物とフルーツ。これで200円は安すぎるのではないか。

 

消耗していた私にはこの正しい和の料理はとても有難かった。ジャガイモ、キャベツ、にんじんなどが入ったお味噌汁は野菜の旨味がしてとても美味しかった。また、付け合わせの漬物の小さなシソ巻きがとても良かった。

私はペロッと平らげた。正しい米とお味噌汁を外で食べるのは久しぶりではないだろうか。

続いて、小豆珈琲。

f:id:independent-traveller:20220507230444j:image

お店の方のおススメとは言え、小豆珈琲はどうだろう?と思っていたが、こちらも思いの外美味しかった。

三河にまたいいお店が出来た。

この辺りは飲食店がなく、サイクリストは休憩、食事難民になるので大変有難いカフェが出来たものである。

 

お店の方にお米とお味噌汁が大変美味しかったと伝え、店を後にした。また仲間と来ることにしよう。

 

その後は、予定より時間が押したこともあって、中途半端に昼食を済ませて帰宅した。

 

まだまだ奥三河には行っていないところがあるんだなと、実感した一日だった。