定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

キャンプツーリングへ - 若狭湾-

数年前から行きたいと思っていた峠がある。

福井県滋賀県にまたがる小入(おにゅう)峠だ。

ある日、いつもお世話になっているGlocalbikeにあった日本の絶景の類の写真集をパラパラと見ていた時に、その紅葉の美しさに目を奪われた。

 

小入峠がどこにあるかから調べ始めて、滋賀のあたりらしい、そこまで遠いところではなないな、ということころまで調べると、しばらくそのままにしていた。

 

今回、たまたま日曜の仕事がキャンセルになったりして、週末が思いの外、動けそうだということに気がついたのが1週間ほど前。そして紅葉の季節に行きたかった小入峠ことを思い出した。

 

私は小入峠行きを決めると、その手段として一番好きなキャンプツーリングを選んだ。

数年ぶりにオルトリーブのパニアバッグにキャンプ用品を詰め始めた。寝袋、コッヘル、エアマットなどを詰めたあたりで手を止めた。

 

何を持って行き、何を置いて行くのか。

 

ここが一番難しい。登山の人も同様だろうが、「必要かもしれない」物まで持って行けば、心のゆとりができるが、その分荷物は重たくなる。今回、私は輪行で現地まで移動するが、バイク以外にパニアバッグやハンドルバッグを持って乗り換えをするのはかなり大変だ。そのため、荷物はコンパクトかつ軽いのが望ましい。自転車のツーリング、特に日本のツーリングでは、一日走ればどこかで必ず補給ができるので、食糧はあまり難しく考えなくていい。今回は防寒を中心に装備を厚くした。

 

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今回は春に新たに組んだグラベルバイク「Ritchey Outback V2」を使用する。リアセンターが長く、キャリアを付けるダボ穴もたくさんあり、ゆっくり長く乗るキャンプツーリングにはうってつけのバイクだ。

グラベルバイクを組んだのは、グラベルで遊ぶよりも、キャンプツーリングで使いたいという思いが強かった。ここに来てようやくそのチャンスが来た。

 

輪行袋に自転車と荷物を詰め込むと、豊橋駅から快速電車に乗り、旅のスタートに決めた敦賀に電車で移動する。

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豊橋から大垣まで快速電車で大垣から米原まで普通に乗り換え。この路線は若い頃はよく青春18切符を握りしめて輪行したものだ。米原から西へ行く快速に乗り、中国四国地方を何度も目指した。

米原で姫路行きの電車を見て懐かしくなると同時に、あの電車に乗ってしまいたい、という衝動に駆られた。

 

米原まで来れば目的地の敦賀までは快速で一本。

敦賀駅で降りたホームから改札までが遠くて参った。自転車とキャンプ装備を持って移動はかなり辛い。

 

敦賀で安いビジネスホテルにチェックインすると、街に出てしばらくぶらぶらしたが、いきなり土産を買っても荷物が増えるだけなので、夕食に海鮮丼の店に入り、ビールを飲んだ。

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ホテルに戻ると久しぶりの旅の興奮はあったが、日々の疲れもあって早々に眠りに落ちた。

 

翌朝目覚めると、コンビニメシで朝食を済ませるとパッキングをし、バイクに荷物を取り付けていく。

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本当はフロントフォークに荷物を付けたほうが楽なのだが、持っているアイテムの都合上、仕方がない。

 

朝の敦賀の街を西に向かってペダルを漕ぎ出した。

 

荷物でバイクが重い感覚が久しぶりで何だか嬉しい。街が動き出す景色を見ていたら、なぜかニュージーランドのウエストポートを思い出した。こうした普段なら思い出せないことを思い出すのも旅だなと思った。

 

旅の感覚は懐かしくもあり、新鮮でもあった。敦賀から西へ行くルートは20年ぐらい前に走ったはずかだが、若狭湾に抜ける関峠が大したことない、ということ以外、ほとんど記憶になかった。

目に映る景色全てが新しいものに見えた。

 

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関峠を降りると若狭湾が見える。

頭の中は小入峠でいっぱいだったこともあり、若狭湾のことは意識の外にあり、視界の先に広がった若狭湾を見てその美しさに殊更感動してしまった。

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日常から少し努力すれば、ここまで来られたのに、どうしてここまで来なかったのだろう。

怠惰に生きてきた自分が恥ずかしく思えた。

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小入峠には昼からアプローチすれば、充分間に合う。まだ時間は早い。予定にはなかったが、三方五湖に寄ることにした。

 

三方五湖の一つ、久々子湖

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地元の高校生だろうか。ボートの練習をしていた。

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スマホを置くのに丁度良いところがあったので記念撮影。


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久々子湖から浦見川の横を抜け水月湖菅湖三方湖の湖岸をゆく。

自転車でゆっくり走ることが、ただただ単純に楽しい。こういう感覚は忘れていた。

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道の駅三方五湖に寄る。

お弁当コーナーにちょうど寿司を搬入している業者さんがいたので中をのぞいてみると、焼き鯖とへしこのお寿司があった。へしこは鯖などの魚を塩と米糠で漬けた伝統食だが、売られているのは鯖一尾というものが多く、苦手だったらどうしようと買うのに躊躇していたので、この量ならといい機会なので購入した。

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駐車場にいたキッチンカーでカフェオレを買い、三方湖を見ながら休憩。地図を眺めてルートを考える。

私の旅のスタイルは僅かな目的地と宿泊予定地以外は現地に行ってから決めることが多い。

三方五湖から南に進み、小入峠のアプローチとなる東小浜に向かうことにした。

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南に向って伸びる広域農道が潔い直線で、スピードがぐんぐん伸びて行く。ペダルを踏むのが心地よい。これまでキャンプツーリングにはマウンテンバイクにスリックタイヤを履かせて乗っていたが、700cの太めのタイヤで走るグラベルバイクはスピードも良く出るし、安定感もある。

このスタイルは非常にいい。
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広域農道を進むと蛍光ベストを着けたサイクリストとすれ違う。近畿あたりでブルベをやっているようだ。私はすれ違う選手に手を振った。

 

東小浜の駅の辺りまで来て、スーパーに入った。

この先、宿泊を予定しているキャンプ場まで買い物が出来る場所が無さそうだったこと、それからローカルスーパーで売られているものが見て見たかったからだ。

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ママーストアー東小浜店に入る。

 

念のため夜のビールを2本、それから惣菜コーナーと魚売り場を見る。惣菜コーナーには地物のアジの唐揚げや小鯛の押し寿司が安い値段で並ぶ。

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また魚売り場には立派なハタハタの醤油漬けが。
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お菓子コーナーにあった餡子餅を補給食で購入。
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ローカルスーパーでの買い物を堪能し、近くの公園で昼食にした。

道の駅とスーパーで買ったお寿司を食べる。へしこの寿司は塩味が強いがなかなかいける。これは日本酒だな。ただ沢山は食べられないので、少量売っていたから土産に買おうと決めた。

 

満足な昼食を終えると、いよいよメインの小入峠に向かうことにする。

 

果たしてどんな風景と道だろうか。

 

…続く