定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

ブルベ試走 - BRM225Nagoya300km御前崎 -

 

愛知県でブルベを主催する「ランドナーズクラブナゴヤ」(RC名古屋)の代表である金井さんとブルベの試走をさせていただくことになった。昔はよく今は亡き石原さんと400キロぐらいまでは一緒に行ったものだ。

 

今回、金井さんと試走するのは2月25日に開催される300キロのコースである。

 

豊田市南部の柳川瀬公園をスタートし、浜名湖を経由し、御前崎まで行って往復する300キロ。

 

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夜明け前の柳川瀬公園を午前6時過ぎにスタート。

 

岡崎大橋を越え、だんだん空が明るくなっていく岡崎市街を抜けて行く。

RC名古屋のスタートの景色だ。

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天気予報によれば朝の気温は4°、日中15°と寒暖差があるとのことだったので、私はレイヤリングを意識し、上はcraftの冬用のアンダーウェア(あまり厚くない)にメリノウールのロングジャージ、暑くなって脱いでもいいように半袖のジャージを着た。

下はやや薄いLE COFFEE RIDEの冬用のビブタイツ。これはパッドの形が微妙なので、合わせてアソスのレーサーパンツを履いた。

 

これに加え、ネックウォーマーとシューズカバー、それからレインギア上下を着て出発していた。雨の心配はない予報だったが、レインギアは私としては必携品だと思っているので、寒い時間、これで乗り切ればあとは春先の格好でいけると踏んだのだ。

 

岡崎市街を抜けると東名高速道路の側道を豊川方面に向かう。高速の側道はアップダウンだが、往路はそんなに気にならない。

 

やがて道は豊川市街に入る。

コンビニに寄り、私は履いていたレインパンツを脱いだ。

 

そこから豊川、豊橋を抜け、本坂トンネルで静岡県に入り、浜名湖北岸を細江まで行く30キロ強の一本道。

市街地の信号で何度も足留めを食うが比較的順調に細江気賀のチェックポイントまで辿り着く。

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制限時間との差は50分。スタートと途中で少しもたついたのが響いて思ったより余裕がない。気温が上がってきたので、私はここで着ていたレインジャケットを脱いだ。

 

チェックポイントのコンビニでは、本番にブルベライダーたちの来訪があるのでよろしくお願いします、と金井さんが店の方にお願いしていた。これも大事な仕事である。ブルベの主催団体はこうしたことを全てボランティアでやっているのだ。

 

気賀からは浜名湖舘山寺方面に南下、そのまま浜名湖南端の弁天島まで降りて行く。

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ここは私が普段からライドしているエリアでミスコースの心配はない。最もこのコース全般がRC名古屋でよく使用するルートだ。

 

85キロ地点の弁天島のチェックポイントに到着。

 

途中、金井さんのライトが飛んでいくというトラブルはあったが、少し時間を稼ぐことが出来た。

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ここからは折り返しの御前崎までチェックポイントはない。

 

風に乗ってひたすら進むのだ。

 

このコースについてRC名古屋のWEBサイトには「御前崎往復の平坦コースです。風向きが走りやすさを左右しそうです。」とある。

 

今回、私は風に関してかなり心配していた。

前日関東を襲った寒波の影響で、この地方にも雨が降り、晴れの当日は強風に晒されるのでは、また、想定される展開として、行きは冬の西風に押されて快調、帰りはそれが向かい風になって、ひたすら風に耐えて踏み続けることになるのでは、と考えていたからだ。

 

ところが東に向かうと追い風のようではあるが、そこまでの風ではない。

浜松の南、太平洋自転車道を掠め、磐田、掛川と順調に進む。115キロ地点のコンビニで小休止。

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ドリンクを飲みながら、富士山を眺める。静岡はどこからでも富士山が見えるんだなと、来るたびに思う。

 

御前崎まで約40キロ。復路の向かい風を考えるとここは時間を稼ぎたい。しかし、ここへ来て踏んでいる割に進んでいかない。

「風が巻いてるのかな。」信号待ち金井さんが言う。なんだかそんな感じだ。

しばらく苦しいながら踏み続けた。これもブルベ。

 

苦しい区間が終わり、御前崎が近づいてくる。

坂を下りはじめると遠くに灯台が見えた。

 

灯台だ!」

 

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私は下り坂で思わず声を上げた。

こういう象徴的な場所に向かって行くのはいいな、と素直に思った。

 

折り返しのチェックポイントであるセブンイレブン御前崎港店に到着。時間は午後2時30分。150キロ来て制限時間まで約二時間。少し余裕が出来た気がするが、帰りの風が向かい風ならこの2時間はすぐに吹き飛んでしまうだろう。

 

コンビニの向かいは「なぶら市場」である。

御前崎で食事や土産といえばここだ。

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寄りたかったが、帰りの風を考えるとそこまで時間的余裕はない。

なんと金井さんは行ったことがないらしい。ここまで何度も来ているはずだが…

また来ることを誓い、チェックを後にすると、来た道を西に向かう。

 

心配していた風はほとんどなく、むしろやや追い風になった。復路の方が早いくらいの感じだ。

 

日が傾いてきて、浜松の中田島砂丘近くのコンビニで夜に備えライトを点灯させる。

次のチェックポイントである弁天島までひたすら踏んだ。

 

復路の弁天島チェックポイントに午後6時前に到着。残り80キロで制限時間まで2時間半以上ある。悪くない。ここでの休憩は軽めにし、20キロ先の細江気賀のコンビニでゆっくり休むことになった。

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ここでの補給はおにぎりと飲み物だけとレジに並ぶが、ポカリを買ったつもりがカルピスウォーターを買ってしまう。レジまで気がつかなった。

 

こういうこともブルベではよくある。昔、600キロの復路で自販機でコーラを買おうとして、間違えてゼロカロリーのコーラを買って落胆した、なんてこともあった。

 

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日が落ちて風が吹くと少し冷えるが、レインジャケットは着なくても行けそうだ。

次の区間は少しアップダウンのある区間なので、少し心配したが、かなりいいペースで踏み、気賀のチェックポイントについた時には制限時間との差で3時間稼ぐことができた。

 

食事をしっかり食べて出発。

 

ここからはアップダウンの区間。ベテランの金井さんは寸座峠程度のアップダウンはサクサクこなしていく。

静岡・愛知の県境の本坂峠は静岡県側のほうが登りが長くてキツい。ここは踏ん張りどころと気合いを入れて踏んでいった。

 

県境を越えるとしばらく市街地区間。信号でなかなか進まない。信号でストップアンドゴーを繰り返した。

 

そんな中、信号待ちで私は出来るだけ右足をペダルから外すように心がけていた。実はスタートからしばらくして右膝に軽い違和感を感じ、できるだけ右膝に負荷をかけないよう、トルクをかける踏み出しは左足でするためだ。お陰で膝はそれ以上痛くなることなかった。

 

市街地を抜けると残り30キロ。

最後のコンビニ休憩をする。

 

 

ここからは高速道路の側道を行くが往路に比べて復路は上りが多い。一つ一つは短いがそれなりに斜度があり、数も多い。我々はジワジワ残った足を削られていった。

 

岡崎の市街地に入る。

空腹感のあるお腹に様々な飲食店の明かりが眩しい。王将とブロンコビリーは目の毒だ。

 

岡崎市街でも信号とアップダウンに苦しめられるが、岡崎大橋を越え、ゴールのセブンイレブン岡崎北野店にたどり着いた。

 

時間は午後10時45分。

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16時間45分で無事完走した。

 

金井さんと二人だけで走るのはかなり久しぶりだったはずだが、離れたりすることなく、お互いちょうどいい感じで走れて本当に走りやすかった。金井さんには感謝しかない。

 

スタート地点の柳川瀬公園に戻る道すがら、疲労感の中、これから何を食べようか考えた。

 

ラーメン?牛丼?ハンバーガー?

早くビールが飲みたいなぁ。

 

スタート前は完走できるかどうか心配していたが、そんなことを考えている自分を冷静に見て、ああ、ブルベを完走したんだな、と実感した。

 

帰宅後、家族が寝静まった我が家で一人乾杯したのは言うまでもない。