定着から放浪へ 放浪から定着へ

アイルランド、アラスカ、ニュージーランド、西オーストラリア、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

インド洋の風 - Cycling Western Australia-

昨夜の騒ぎが嘘のように朝の宿は静かなものだった。騒いでいた客はまだ寝ているのだろう。

私はキッチンへ行き、コーヒーを淹れた。朝食にトーストを焼こうかとも思ったが、補給食として買ったオレオを一つ齧ってやめておいた。昨日のフィッシュ&チップスが重くあまりお腹が減っていないのだ。

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時間は朝7時半。自転車の段ボール箱を預けたいが、宿のスタッフが来るのは9時らしい。時間があるので少し宿の周りを散策することにした。宿からワンブロック北に行くと公園があった。

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広々とした公園。当たり前のようにある、パンプトラックやBBQエリア。
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あの植物は何だろうとか、子供と遊んでいるお父さんとか公園のベンチから眺めているだけで楽しめる。
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もう少し街を歩いてみる。
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さすがパース中心部。セントメアリーズ大聖堂がそこにあった。

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朝の大聖堂は静かだった。
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荘厳な雰囲気だが、張り詰めた空気というほどではない。清々しいと言えばいいのだろうか。朝からいいところに行けた。

 

この調子で街を歩き回っていたらパースあたりだけで一週間ぐらいあっという間に過ごせてしまいそうだ。

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そのまま通りのお店が何かあるか見ながら、パース造幣局の横を通って宿に戻った。

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時間は9時を回っていた。フロントに行きチェックアウトの手続きをする。バイクボックスを預かってもらえないか頼んでみる。事前にメールはしてあり、荷物置き場の大きさの問題があり、実物を見て判断すると言われたのだ。

可能な限り畳んだ段ボールを見せて頼んでみるが断られてしまった。しばらく食い下がったが、ダメだった。夜は若者が大騒ぎしてるし、この宿は相性悪いな。

 

悩んでも仕方がない。帰るまでに何とかするしかない。それ以外にもやっておくことはある。荷造りを済ませ、自転車でまずはアウトドアショップへ向かうことにした。

ダウンタウンにあるアウトドアショップに行こうとして、偶然、自転車屋を見つけた。

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休みのようであったが、バイクショップのチームがライドに行っていたらしく、入り口が開いており、そこにいたオーナーらしき人と話ができた。

自分が日本からやってきたこと、1週間かけてマーガレットリバーまでツーリングに行くこと、帰国に際してバイクボックスが必要なことを伝え、何とか用意してもらえないか頼んだ。

店のオーナーらしき男性は用意してくれると言ってくれた。次の土曜日に取りに来ることを伝えると、土曜日は定休日だが店にはいるので取りに来てもいいとのこと。私は日付と時間を再度確認し、スマホにそれをメモした。

いい人がいたものだ。

これできっと帰りも大丈夫だろう。大きな問題がひとつ片付き、ホッとした。

 

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バイクボックス問題がとりあえず落ち着き、次はキャンプで使うガスカートリッジの入手だ。

こちらは自転車屋の並びのアウトドアショップで手に入った。1つ14ドル(1400円くらい)。何もかもが高いが仕方がない。感覚的には1.5倍位だろうか。しかしアウトドアショップはセールをやっており、パタゴニアのパンツが30%オフになっており、10,000円程度だった。

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これは買いだったのではないだろうか。

 

ひとまず、キャンプツーリングをするのに必要最低限の装備は揃った。もう少し食料となんと言ってもビールが必要だが、過去の経験上、キャンプ場近くで手に入るだろう。

 

さてと。何処へ向かおうか。

 

ライド1日目はパースから南に50キロほどの場所にあるRockinghamの郊外にあるキャンプ場で宿泊する予定だ。

 

まずは西に向かい、インド洋をこの目で見て、インド洋から吹く風を全身に浴びよう。そう決めてパース西部のFremantleを目指すことにした。

 

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前日のGoogleに案内させたルートが悪くなかったので、この日もGoogleマップのルート検索に任せて走る。

GoogleはKings parkを抜け、鉄道沿いのサイクリングロードを案内してくれた。
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サイクリングロードはパース市内にかなりしっかり張り巡らされているらしく、また多くの地元サイクリストが利用しているようだった。たくさんのサイクリストとすれ違った。
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そんな一人が私を抜いていく時に話しかけてくれた。私は昨日着いたばかりということ、マーガレットリバーまで走ることを話すと、少し驚いた様子で「よい旅を!」と言ってくれた。ささいなことだが、興味を持って話しかけてくれるのは非常にうれしいものだ。


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遠くに海が見えてきた。インド洋だ。

真っ白な砂のビーチとそこで泳いでいる人がたくさん見える。パースの人はいいところに住んでいるな。

 

海岸沿いの道を少し走り、スワンリバーの河口を南にわたるとフリマントルだ。

 

フリマントルは、古い町並みが残る風光明媚な場所だ。

そしてフリマントルは今回の旅のきっかけになったダモンデ山田さんが若い頃、住んでいたところ。

友人が住んでいた場所。建物は変わったようだが今も学生が出入りしていた

古い町並みとともに近代的な建物もあって、歴史あるホテルや教会はもちろん、様々なお店も数多くあり、暮らすにはよさそうな印象を受けた。

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そろそろ昼食にいい時間だ。

通りを少し自転車を押して歩き、ベーグルサンドの店を見つけてここに決めた。

アジア系の店の女性におすすめされたハム・トマト・チーズのベーグルを注文。

軽く焼いてあり、ベーグルのサクッとした食感とフレッシュなトマトがよかった。最初のランチからいいじゃないか。

15年ぶりに海外のランチを楽しんだ後、ラウンドハウスに向かった。海に向かって立つ小高い丘の上にあるレンガ造りの古い建物だ。

 

ここはダモンデ山田さんが時々訪れていたそうだ。

建物の上のインド洋が一望できる展望台に出る。

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インド洋を渡ってくる少し強い風が、全身を通り抜けていく。

心地よい風だ。

昼下がりの汗ばむ陽気のフリマントルに吹くインド洋の風はなんと気持ちがいいのだろう。

海に目をやると、白い砂浜を透かして波打ち際の淡いターコイズ色の海の色が、沖合に向かうにつれ、緑を含んだ青色へと変わっていく。南に目を向けると私がこれから向かう街の輪郭が見えた。私はあの街を越えて、さらに南に行くのだ。

 

しばらくインド洋の風を浴び、ラウンドハウスの展望台を離れた。

 

振り返ると、東に向かって真っすぐ伸びてくフリマントルの街並みが眼下に見えた。

若き日の山田さんはどんな思いでここへやってきて、この景色を見たのだろう。

次に会ったときに本人に確かめよう、そう思った。