今回の旅は15年ぶりの海外ではあるが、自転車の旅の経験は私の中で核というべき重要なものとなっている。
ただ当然のように私はそれだけ歳を重ねており、昔の感覚や経験で「ああこうすればいいよね」と動いてみると、その通りに動けなかったり、思っていたのと違う、という微妙な感覚のズレが生じる。
それが小さなトラブルを招いたり、思い通りにいかなくて「あれっ?」となる。
Western Australia ライドの一日目はそんな調子だった。
ラウンドハウスを後にすると、私は海岸沿いの道を南に進んでいった。観光客が多く集まるレストラン街を抜け、海沿いのサイクリングロードを進む。

本当に砂浜が白くて眩しい。眩しくてサングラスがないとこれは辛いと思った。そのくらい白くて眩しいのだ。私が走ったパースからバッセルトンまでの海岸はどこもこんな感じだった。
その先はGoogleにルート案内をさせてそのまま走っていく。
時々は走りにくいことがあるが、車の少ないルートをお勧めしてくれる。それ自体は悪くないのだが、小さな遊歩道のようなところを案内されることもあり、なかなかペースが上がらない。
回り道が多いのだ。
迷う心配は少ないが、これでは1日に走れる量がだいぶ少なくなってしまう。Googleも悪くないが、自分の立てた予定通りに行こうとするなら少しルートを考える必要があるなと思った。
海岸線を離れ、ハイウェイを行く。
ハイウェイは都市部にはサイクリングロードがついているが、郊外にはない。
そのため路側帯を行くことになるが、車が時速100キロ以上で飛ばしていく横を自転車で走っていくのは愉快ではない。ただ短い時間で距離が稼げるのは事実だった。 他の国を旅していた頃は一体どうしていたんだろうか。我ながら全く思い出せないのが信じられない。きっと気にせずに走っていたのだろう。
ハイウェイを行くか横道を行くかの折り合いも考えなくてはならないな、と思った。
明日は良いルートを見つけて走ることができるようにしたいうものだ。

しばらくしてGoogleはハイウェイ沿いのルートを離れて住宅街を通り、ハイウェイの一本東を通る道を案内してくる。
住宅街のサイクリングロードの段差で、 フロントホイールからちょっとリム打ちしたかなと怪しい感じで着地した。リムと地面が当たった固い嫌な衝撃がハンドルに伝わってくきた。リム打ちしたかな。パンクさせたかもしれない。
普段なら空気圧を高めにしてあり、この程度の段差でリム打ちすることはないのだが、携帯用のポンプで空気を入れるのが面倒で、空気圧がやや低めにしか空気が入っていなかったが、まあいいだろうと妥協してしまっていた。しまったな。

しばらくはそのまま走れたが、やはりパンクしていたようで、ライド初日からパンク修理だ。
やれやれ。
ツーリングバイクは荷物が多いのでこういうときは大変である。仕方なく順番に荷物を外してからホイールを外した。

パンク修理には時間がかかった。少し技術的な話になるが、今回チューブレスリムにチューブレスタイヤを履かしてきて、そこにチューブを入れている。
チューブレストリムとチューブレスタイヤは非常に機密性が高く、タイヤを外すのにとても苦労した。また、はめ直す時もタイヤとリム面がすべらず、ビードにあげるのに非常に苦労した。それでも何とかチューブ交換を終えた。
再びルートはハイウェイに戻る。パンクで失った時間を少しでも取り戻したい。
目指していたCee&Seaキャラバンパークには4時過ぎに着いた。そこまで遅い時間ではない。
しかしまたもトラブル。
ここのキャンプ場は、キャンピングカー用とサイトとキャビンがあるだけでテントサイトはないとらしい。
ニュージーランドとタスマニアで40以上のキャンプ場を回っていると思うが、テントサイトがないなんてパターンは初めてだ。
ただ、これも回避できたトラブルだった。
今回のツーリングに際して、オーストラリア人のお友達から紹介してもらったアプリ「WikiCamps Australia」で地図上から簡単にキャンプ場検索ができるのだが、その詳細情報にテントサイトがないことが書いてあった。迂闊だった。先入観でキャラバンパークにもテントサイトがあると思い込んでいた。
キャンプ場のおばさんは申し訳なさそうに同じRockinghamにある。もう1軒のキャンプ場教えてくれた。
疲れがどっと出て、少し休憩することにした。1本ジュースを買い、一気に飲み干した。
Googleによると30分程度の道のりだ。もうひとがんばりしよう。ただスマホのバッテリーがかなり減っている。
またオーストラリアのキャンプ場は5時で受付が閉まり、スタッフがいなくなってしまうことが多い。5時には何とか着かなければ。
やや焦りながら、ビールや食料品の買い出しは後回しにしてとりあえず次のキャンプ場に急いだ。
何とか次のキャンプ場ロッキングハムホリデイビレッジに到着。大丈夫、まだ受付は空いている。
ここは幸いテントサイトがあった。また予約がなくても泊まることができた。

やれやれ。ただ近くにはスーパーなどの商店はなさそうである。

疲れた初日だった。だが、そうも言っていられない。
テントを張り、マットと寝袋を広げ本日の寝床を用意する。
続いてパンクしたタイヤの確認。空気圧は落ちていない。多めにエアを入れ、翌朝まで様子を見ることにした。
それからようやくシャワーを浴びた。

シャワーはお湯がややぬるいがこの気候ならまあ大丈夫だ。この辺は想定内。
シャワーからの流れでそのまま洗濯をする。


旅行直前に100円ショップで買ったランドリー袋を使ってみる。脱水はやや微妙だが洗うのは良い気がする。
洗濯物を干して、ようやく夕食。もうスーパーまで行く気力がない。あるもので何とかするしかない。幸いトーストブレッドだけはある。
少し何かおかずっぽいものが欲しいと思ったので、キャンプ場の受付の横にあるチャイニーズのテイクアウェイ(持ち帰り専門店)に行ってみることにした。店はこれしかないのだ。
周辺は自動車関連の会社がの工場などしかなくスーパーやリカーストアは無い。

店にはアルコールの扱いはなくジュースだけだった。レモネードならあると言われるので、レモネードを注文する。てっきり シュウェップスでも出てくるかと思ったが、出てきたのはなんてことはないスプライトであった。
おかずとして注文メニューを悩み悩んだ末に注文したのはボイルワンタン10ドル。Googleでは店の評価は非常に悪かったが、ワンタンは思いのほかおいしかった。
日本からも持ち込んだ燻製醤油かけて食べる。あとはトースト3枚という微妙な組み合わせではあったが、これしかないので、まぁこれでいいのかなと言う気持ちになった。
そうだ。旅をしていると「こうでなくてはいけない」ということから一つずつ解放されていく。 些細なことだが、今回の夕食で、一つ自由になった。

夜7時を過ぎて周囲が暗くなり始めた。夜は風が気持ちいい。
明日はもう少し早め早めに行動して、時間のゆとりを作ろう。それから補給。特に水は十分に取ることを意識しよう。
今日はサンダルで一日走ってしまった。
明日はレーサージャージにレーサーパンツ、そしてシューズを履いて走ろう。
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走行距離 60キロ
支出
キャンプ場 4,470円
ビール 1,092円
ガスカートリッジ 1,485円
ランチ 2,070円
チャイニーズ Takeaway 1,000円
合計 10,117円

