ビニンガップを離れ、再びハイウェイに戻る。体がやや濡れているが、カラッと晴れているのですぐに乾いてしまうだろう。
10キロほど我慢してハイウェイを走り、「Australind Bunbury Tourist Drive」という道に入る。どうやら旧道のような感じだが、ハイウェイと比べ車の量が減るのと、制限速度が下がるので、安心感がある。
こうした道は旅の間ときどき遭遇したが、だいたい距離が20〜30キロくらいで、ちょっと距離が短い。

ちなみに「Australind」というちょっと不思議な地名は、オーストラリア(Australia)とインド(India)を組み合わせた造語に由来するもので、1840年代に設立された「Western Australian Land Company(西オーストラリア土地会社)」が、インドとの貿易を視野に入れ、農業開拓地として入植を進めた場所だそうだ。
今のオーストラリンドはバンバリーのすぐ隣町でバンバリーのベッドタウンといったところだろうか。

朝からワイナリーと昼はビーチと散々遊んだのもあり、なかなか疲れてきた。
一日間違えていた予定のこともあり、いくつか候補だったキャンプ場を通り過ぎ、できるだけバンバリーの街に近いキャンプ場を選んだ。
今夜のキャンプ場はDiscovery Holiday Park。
Discovery はオーストラリアの主だった観光地にはある名の知れた系列のキャンプ場で、私も昔、タスマニアで数回使ったことがある。
値段は張るが、施設は充実しており、また非常に清潔だ。正直、キャンプ場にそこまで求めていないが、久しぶりのオーストラリアだ。一度くらいは贅沢しておこう。

二日連続で予約なしでキャンプ場に行って、危うく泊まれない状況だったが、今回は問題なし。ただ料金は一泊55ドルと想定通り高い。

私が毎日、先を急いでいたのは日程のこともあるが、キャンプ場のチェックインの時間のことも理由として大きい。
キャンプ場の受付は大体午後5場くらいまでで、時間を過ぎるとスタッフはいなくなってしまう。そのため、予約せずにその日に宿泊先を決めることが多い私は5時前にはキャンプ場に着くようにしていた。
Discoveryのキャンプ場内の施設はとても充実しており、キッチン、バスルーム、プールにゲームセンター、それからパンプトラックまである。

正直、私にはオーバースペックなキャンプ場である。テントが張れてトイレがあれば充分。とはいえキッチンとリビングがあると最高ではある。
余談だが、15年振りのツーリングで以前と変わったのは、スマホをはじめとしたデジタルデバイスが増えて、キャンプ場で充電ができるかどうかか以前より重要になったことがある。
「あー、疲れたな」
気がつけば90キロ以上走っていた。
キャンプサイトにつくと、バイクからバッグを外し、とりあえずテントを立てる。そしてエアマットに空気を入れ、寝袋をコンプレッションバッグから出し、広げておく。
その後はバッグの中身をテントに広げる。
だいたいこれがキャンプ場に到着して最初にやることである。
その後、キッチンやバスルームのチェック。バスルームは広くて清潔。 キッチンは電気コンロとトースター、冷蔵庫に湯沸かしポットなどはあったが、仮設コンテナのような建物で中が暑かった。また入り口のドアに番号のプッシュ式のロックがかかっており、毎回鍵を開けるのが面倒であった。また、テーブルや椅子はないので、食後に日記を書いたりするのは、外のBBQエリアのテーブルと椅子になりそうだ。

キャンプ場に着いてからずっとだが、たくさんの白いオウムのような鳥がいて、鳴きっぱなしでとにかくうるさかった。バスルームのそばですれ違った女性に「うるさいね」と言うと、女性も「ほんとね」と苦笑していた。
西オーストラリアはもどこに行っても鳥は多かった。

テントサイトに戻ってバイクを見るとリアタイヤがパンクしている。
今回はパンク多いな。
せっかく早く着いたのでダラダラしたかったが、パンク、というか穴の空いたチューブが増えていくことは好ましくない。まあ、キャンプ場に着くまで何とか走れたのでよしとしよう。
本来であれば最寄りのリカーストアかバーに直行し、ビール飲みたいが、ひとまずここはチューブの交換と修理を優先させることにする。

ホイールを外し、パンクしたチューブをホイールから引っ張り出すとリムテープに何か書いてある。
「Have a good trip!!」
「バッさん、やるじゃん」私はニヤッと笑った。
出発前にGlocalbikeのバスマンさんのところにバイクをメンテナンスに出していたのだ。ベテランメカニックは分かってらっしゃる。

マンデュラで買ったリペアキットを早速使う。キットの中には、数種類のパッチが入っていて、日本では見ないサイズの小さいパッチもあった。
修理したチューブは3本。
一日走ってたくさん遊んだ後で我ながらよく頑張ってリペアしたもんだ。

パンク修理を頑張った後、シャワーと浴びて、ちゃんと熱いお湯がたくさん出ることに感激した。西オーストラリアに来てから初めてのことである。いつもなんだかぬるいお湯しか出なかった。
まだ明るいので、買い物がてらバンバリーの街が見下ろせるマースルトンヒルの展望台に行く。
坂を上がっていくと多くのランナーにすれ違う。海岸沿いの道から綺麗な街の中の公園までそのまま続いているのだから、走っていても気持ちいいだろう。

マースルトンヒルの展望台から街を眺め、自分が来た海岸線を眺める。
あそこをずっと走ってきたのだ。
今回の旅のことで、いろいろアドバイスをくれたオーストラリア人のお友達に「バンバリーについたよ」と写真をつけてメッセージを送った。彼の親戚がバンバリーに住んでいたらしい。
「いい天気だね!西オーストラリアを楽しんでね!」と返事をくれた。
展望台を後にするとスーパーに向かう。大型チェーンのコールス。行くのはタスマニアぶりである。

夕食用にベーコン、補給ドリンク用に紅茶のティーバッグ、ツナ缶などを買い、初めて海外でセルフレジを使った。セルフレジが多いせいなのか、昔海外に来た時より、まとめ買いしている人が少ないような気がした。
コールスの隣のリカーストアでビールを購入し、キャンプ場に戻った。
夕食はベーコンとトースト4枚。
外のBBQエリアの横でビールを飲みながら食事をしていると、隣のテントの若者が話しかけてくれた。
「バイクパッキングかい?」
バイクパッキングという単語を初めて海外の人から聞いてちょっと感動した。
「そうだよ。」お互いのことを少し話す。20歳くらいに見える金髪のスラっとしたナイスガイはパースからマーガレットリバーまでバスで行き、パースに帰る途中でバンバリーに寄ったらしい。
彼のテントはマックパックで、さすがオーストラリアと思った。
彼は私と少し離れたところで食事をしながら、スマホを気にしつつ、何か本を読んでいた。パースの宿で出会ったパリピみたいな若者たちとは大違いだな。格好のいい若者だ。
キャンプ場の利用者は騒がしい人もいるが、こういう人に出会えるのが好きだ。

私は食事を終え、一度テントに入ったが、お腹が空いてしまい、ビニンガップストアで買ったインスタントラーメンを早速食べてしまった。
だんだんと身体が出来てきた、ということにしておこう。
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支出
キャンプ場 5,463円
ビニンガップストア 4,797円
コールス 1,370円
ビール 794円
ワイナリー 8,000円(80ドルくらい)
合計 20,424円
