定着から放浪へ 放浪から定着へ

アイルランド、アラスカ、ニュージーランド、西オーストラリア、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

東栄朝活ライド- 飯田線輪行 -

愛知県の北東部、東栄町の観光まちづくり協会では「ぽたび」というサイクリングガイドツアーを行っている。

「ぽたび」では、運営メンバーを中心に毎月1回土曜日に「朝活ライド」として新しいサイクリングツアーの企画などを行っており、今回は豊根村の富山地区に行くということで、久々に参加させていただくことにした。

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ぽたびのメンバーとは東栄駅で合流する予定で私は豊橋駅始発の朝6時の飯田線に乗り込んだ。

日帰りツーリングは荷物が少なくて助かる。輪行袋と飲み物と軽食。それから走り終わった後の輪行で使用する着替え、そのくらいである。

普段は通勤で乗っている飯田線も早朝に乗ると気分が違う。横から差し込む朝日が眩しい。

乗客はまばらであったが、豊川駅あたりから若い外国人がたくさん乗ってくる。新城市の工場などで働く外国人がここ数年で大幅に増え、飯田線でも外国人の姿をよく見るようになった。

 

東栄駅から5人のぽたびメンバーが乗車。無事に合流できた。


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我々の最初の下車駅は小和田駅秘境駅に数えられる駅の1つ。愛知、長野、静岡の3県の県境で周囲に道路はなく車でアクセスできない駅である。飯田駅から中部天竜駅の間の駅は、自転車で回ってだいたい行ったことがあるが、そのアクセスの悪さから小和田駅は行ったことのない駅であった。
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小和田駅では我々以外にも降りる客がいた。さすが有名な秘境駅

古い木の駅舎に置かれたノートを見ると関東や関西からわざわざ来ている人が多くいることがわかる。何もない秘境駅には惹かれるものがある。


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今回の目的地は豊根村富山地区だが、その玄関口である大嵐駅(おおぞれえき)は小和田駅のとなりの駅。30分ほど待っていると上りの電車、つまり大嵐方面に行く電車がやってくるので、いちど小和田駅秘境駅を楽しんだ後、富山へ向かうのだ。

駅から伸びる歩道を降りて、天竜川の河原に出る。Google mapsを確認すると対岸は愛知県。こんなところまで愛知県なのか。頭では理解していたが、実際来て見てみると「果て」という言葉が浮かぶ。


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家屋の後などを見ているとあっという間に30分ほど経ってしまう。我々は上り電車にに乗り込み、大嵐駅へ向かった。


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大嵐駅で下車するのは何年ぶりだろう。何年かに一度、サイクリストの仲間と大嵐駅を目指してサイクリングをしていたものだが、最近はとんと来ていなかった。

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今回のぽたび朝活ライドの参加者は6人。
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初めてお会いする方もいるので、簡単に自己紹介して走り出す。
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大空駅から最初に向かう夏焼集落。大嵐駅から南に向かうとすぐに現れる夏焼隧道へと進んでいく。
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夏焼隧道は佐久間ダムができる前、飯田線のトンネルとして使われていたところで飯田線敷設工事の中で最大の難所の1つだったらしい。

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トンネルの中は、掘削された投資のまだと思われるむき出しのゴツゴツとした岩を見ることができる。尖った岩の表面は、素人の私から見ても、非常に固そうな岩に見えた。自然に覆われた山の中に存在する。この場所をトンネルとして開通させるには、相当な苦労がかかっただろうと言う事は、この岩肌一つでも想像することができた。


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夏焼隧道を抜けると、正面に佐久間ダムのダムが見える。車が数台置かれていたが、どうやら釣り客のようだ。我々は夏焼集落に向かって上り坂を上がっていった。

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今回案内をしてくれたぽたびメンバーの木下先生によれば、現在は夏焼集落には人は住んでいないらしい。ただ昔住んでいた70過ぎの老人が時折やってきては残っている家の手入れなどをしているそうだ。

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急峻な斜面に小さくつく古めが石垣をゆっくり登っていく。普段から運動している私でもなかなかきついと思える斜度だ。
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振り返ると眼下に天竜川見える。すごいところに集落があるものだ。
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しばらく登ると民家が見えてくる。何件かの民家の跡が集まって残っていた。

「すごいところですね」私がつぶやくと、

木下先生は「集落が栄えていた頃は、きっともっと自給自足に近い暮らしがあって、集落の中である程度生活が完結していたんじゃないですかね」と言った。

なるほど、そうでも思わないと現代に暮らす我々では、ここに暮らすという事が現実的なこととはまるで思えなかった。

ましてや70過ぎのお年寄りがわざわざ大嵐駅から歩いて通ってくるなんて。

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我々は来た道を再び戻っていく。夏焼集落は少しずつ自然に帰ろうとしていた。これまでもこうした集落を訪れたことがあったが、いつもある種の驚きと戸惑いと寂しさがよぎる。
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夏焼集落から再び大嵐駅へ戻ると、ここからは天竜川を渡り、愛知県側へ。豊根村富山地区に向かう。

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天竜川に架かる橋の真ん中は、西側が愛知県、東側が静岡県、北が長野県である。
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橋から北を眺めていると、上流から船がやってきた。佐久間ダムで作業をしている浚渫船だ。佐久間ダムの周囲は、吸収な地形と脆弱な地質からダムに流れ込む土砂が多く、堆積した土砂を時々書き出す必要があり、そのための作業船だそうだ。
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なかなか珍しいものを見ることができた。f:id:independent-traveller:20250629190335j:image

10分ほど走ると、富山地区の中心部に着く。
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私が富山を最初に訪れたのは高校生のときで、もう20年以上前、富山地区が富山村だったころだが、その頃は喫茶店や商店などがまだあった。今は建物にその面影が残るだけだ。

富山はもう人口が50人ほどとなってしまった。

今回は、ぽたびメンバーの方が、地区唯一の食堂である「栃の木」でお昼を予約してくれてあったので、そちらで昼食。

ちなみに栃の木は富山地区の西側、宿泊施設「来富館」の中にある。
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今回注文してもらったのはダムカレー。なかなか凝った作りである。ボリューム抜群でお腹いっぱいであった。

栃の木はご夫婦で経営されているようなので、週末に行くのであれば、予約していったほうがよい。

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帰りの飯田線まで一時間程度。富山には週末営業している日帰り温泉「湯の島温泉」があり、そのとなりには「森遊館」という立派な体育施設がある。
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この日はここで「Login • Instagram」が出店していた。「Coffee Stand URU」は富山地区にルーツを持ち「とみやまが好きすぎる」大学生ことみさんが富山に来てもらうきっかけになれば、と始めたコーヒースタンド。
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私は彼女と少し前に仕事をいっしょにさせてもらったことがあり、一度行きたいなと思っていたところだった。

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ことみさんには何も言わず来たので、私を見つけるととても驚いてくれた。

相変わらずやりたいことを全力疾走しているようだ。元気そうでよかった。
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淹れてくれたアイスコーヒーを飲む。

「あ、おいしい」自然に言葉が漏れた。

彼女のコーヒーは美味しいのでオススメである。

日陰でコーヒーを飲んでいると、URUには代わる代わる人がやってくる。

富山に人が来る理由、きっかけを確実に作っていることみさんはすごいなと改めて思った。

 

電車の時間まで一時間なかったが、温泉の開店時間になったので入っていくことにする。幸い、手ぬぐいと着替えのTシャツは持っている。
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湯の島温泉に入るのは何年振りだろう。とろっとした泉質の温泉で、こじんまりとした露天風呂が秘境の温泉といった趣でなかなかよい。

 

温泉を出て、ことみさんに別れを告げ、大嵐駅へ戻った。

 

最後は少し駆け足になってしまったが、無事に予定の飯田線に乗ることができた。

走行距離は短い一日だったが、かなり楽しめた一日だった。

 

そういえば、今回は神社から富山の集落の景色を見ていないことを思いだした。次は神社にも寄ることにしよう。