ダブリン空港からダブリン市街まではロンリープラネットに推奨ルートが書いてあったのでそれに従う。いきなり車がバンバン通る道だったが、ロンリープラネットはさすがであった。ルート上はきちんと自転車道があり、信号は多いものの走りやすかった。都市部の自転車道の整備状況は、オーストラリアなど事情が似ていると思う。
空港から市街までは約20キロ。10キロほど行ったところにあるショッピングセンターがあったので立ち寄ることにした。
買い出し
前回のオーストラリアで初日に買い出しをしっかりせずツーリングを開始したところ、その後スーパーに寄ることができないまま、キャンプ場に着いてしまった。一日目のキャンプはほとんど食料がないという状況で困った経験から、今回は早めにスーパーに入ることにしたのだ。
ひとまず5日分程度の食料を想定し、パスタ500グラム、ツナ缶3つ、パスタソースがわりのシーズニングパウダー、紅茶にコーヒー、朝食用に雑穀の入ったパン、パンにつけて米由来のシロップ(安かった)、補給食としてチョコミント味のバーを買う。いきなり重量増だが仕方ない。

ショッピングモールにはジャイアント系のバイクストアがあった。

空港でハンドポンプでタイヤに空気を頑張って入れたが、いざ走り出すとタイヤがよれる感じがして明らかに空気圧が足りない。
店に入り「ポンプを貸してくれ」と言うと、「バイクを中に入れなよ」と店の若い兄ちゃんが感じよく言ってくれる。
彼が店の奥からコンプレッサーのノズルを引き出しながら「何BAR?」と聞いてくる。空気圧はPSIではなくでBARが単位なんだなと妙なところで感心しながら「4BAR入れてくれ」と答えた。ちなみに通勤ライド時もグラベルバイクは4気圧にしている。
彼は手際よく空気を入れながらバイクを興味深そうに見ている。
「Very nice bike!これはスチール?」わかる人にはわかるのである。前回の旅では自転車をほめてくれる人がほとんどいなかったが(正直自慢のバイクである)、初日からほめてもらってうれしかった。
「本当にいいバイクだよ。ありがとう」私は彼に礼を言うと、移動途中で失くしたボトルの代わりにジャイアントのボトルを一つ購入した。これが思いのほか使い勝手がよかった。

Kennedy's Pub
ショッピングセンターを離れ、予約した宿のあるダブリン中心部へ向かっていく。市街地が近づくにつれ、いろんな店が増えてくる。そろそろ昼ご飯が食べたいな。
街の中心部はどう考えても混雑してるはずなので、比較的空いているこの辺りで食事をしておきたい。私は通り沿いに見つけた雰囲気の良さそうなパブにに入ることにした。
パブは「Kennedy's Pub」というお店で、外にメニューの看板がいろいろ出ていたので値段をみるが、値段も高くはなさそうだ。
私は初めて本場のパブに足を踏み入れた。
入り口からいい感じの雰囲気である。

店に入ったはいいものの、カウンターで注文するのか席に座って注文するのかがよくわからなかったので、カウンターにいたスキンヘッドのお兄ちゃん「何か食べたい」と伝えると、「席に座ったらメニューを持っていくよ」と言ってくれた。感じのいい若い女性がメニューを持ってきてくれる。メニューは、肉料理やスープ、バーガーなど定番のパブ料理が並ぶ。フィッシュ&チップスは17ユーロほど。ちょっと高いな。クラブサンドが9.5ユーロとお値打ち価格だったのでこれを注文。前回、オーストラリアで初日からフィッシュ&チップスを食べたら、胃もたれして数日苦しかった教訓もあり、比較的軽そうなメニューにしたのだ。

料理が来る間、店内を見回す。壁際に設置された大型モニターでは、競馬の中継が流れていた。店内の調度品も落ち着いた雰囲気。これまでニュージーランドやオーストラリアで何軒かアイリッシュバーに入ったことがあるが、ちょうどこんな感じだったし、あれらは正しかったのだなと思った。
注文を取ってくれた女性がクラブサンドを運んでくる。なかなか大きなサンドの隣にはフレンチフライ(フライドポテト)。あ、そうだった、だいたいこれが付いてくるんだよね。クラブサンドは、バターしっかりのトーストサンドで見た目以上のボリュームだった。味は期待以上でとてもよかった。ポテトのほうは、ウエイトレスの女性がいっしょに持ってきてくれたソースの中からブラウンソースを選んでそれをつけて食べた。
自転車で旅をしてると体力を消費するので海外規格の料理でも問題なく食べられるようになるが、さすがに初日である。満腹になってしまった。夜は軽めで良いだろう。

私の席から見えるところに座った爺さんが、私が食事をする間にビールを4杯も飲んでいてびっくりした。インスタのストーリーズを見てコメントをくれた同僚にそのことを伝えると「アイルランドの爺さんにとってはそんなのソフトドリンク!」とコメントがきたので、そりゃそうだ、と納得した。
Ashfield Hostel
市街地のど真ん中を自転車で走ったが、メトロと二階建ての大型バス、電動キックボード、e-bikeと普通の自転車といった様々な車両や人が同じ道を交錯しており、慣れないととても出ないが走れる感じがしなかった。
メトロと交錯するエリアで、メトロの線路が斜めに走っているところにびびってしまい歩道に逃げようとして派手にこけた。通りすがりの若い男性が心配して声をかけてくれた。申し訳ない。

今回予約した宿「Ashfield Hostel」は街の中心部にある。
それまで天気は快晴だったが、Ashfield Hostelに着く頃、大粒の雨が降り始めた。私は慌てて宿に入った。

フロントには気難しそうなスキンヘッドのオッサンがいた。パスポートを見せ、チェックインの手続きをする。私のヘルメットを見て、「バイクがあるのか。中に入れな」と言ってくれる。やさしいじゃないか。
フロントのオッサンは一見怖そうであったが、話してみると親切な男だった。自転車は地下のランドリールームに置いて良いと言われた。部屋はこの上のフロアだ、と言われてとりあえずバイクを置きに行き、部屋へ向かうが、エレベーターに乗ると階数表示がイギリス式ので1階が0、2階が1、3階が2の数え方になっていた。

そのため、「あれ、2階って言われた気がするけど。。」説明してもらった感じとエレベーターの表示が頭の中で一致せず混乱した。
私の部屋はというと1階、つまり我々でいうとこの2階であった。部屋は18人部屋。私はこの手の旅ではドミトリー、つまり相部屋の安宿を使っている。今回の宿は珍しくベッドの場所まで指定されていた。このパターンは初めてだ。相部屋の場合とベッドの場所は早いもの勝ちであることが多い。
また、ここは、コンセントか各ベッドに2口とUSBが2口付いており、これはかなり良い。最近はこういうものがスタンダードなんだろうか。宿によってはコンセントの取り合いになることもある。さらに自炊用のキッチンにはインスタントコーヒーと紅茶、ホットチョコレートが常備されていた。
前回、オーストラリアで利用したホステルが、中庭で客たちが昼間からビールを飲み、夜はそのままパーティーをしているという、うるさいところだった。今回もそんな風だと嫌だなぁと思っていたが、まったくそんなことはなく、初日と最終日の滞在で不快な思いは全くしなかった。
全体的に静かだし、暖房もよく効いている。暑がりの私でも外は長袖でなければ寒い気候である。今回の宿は当たりだ。前回がイマイチだったので嬉しい。部屋で明日からのライドに向け、荷物を梱包し直していると、そろそろギネス見学に行く時間が迫ってきた。
Guinness Experience
チェックイン直前に雨が降り出して避難するように宿に入ったが、1時間ほどで雨は上がったようだ。私はGuinness醸造所の一角にあるGuinness StoreHouseに向かう。
ギネスの見学はあらかじめネットでの予約が必要だ。だが、当日でも時間次第で充分予約が取れる。私はお昼ご飯を食べているときに予約を済ませてあった。
予約時に発行されるQRコードをスマホで出し、スキャンしてもらえば受付完了。簡単なものだ。

見学ツアーは入り口でスタッフの女性が簡単に説明をすると、あとは順路に従い、中を自由に見学していくという感じで工場見学というより、博物館を見て回るような感じであった。

また所々の演出は非常に凝っていて、何かのテーマパークかパビリオンを見てるようであった。もっと工場見学っぽいものを期待していたので少し残念ではあった。観光客にはこのくらいがいいのだろう。それにしてもギネスは儲かってるな。

建物は7階建てで、最上階まで上がっていきながら展示物を見ていくという形で、最上階の「GRAVITY BAR」でGuinnessを1パイント飲めるというわけである。


GRAVITY BARは周囲360度ガラス張りになっており、ダブリンの街が一望でき、また明日から私が行く緑に覆われた山々が見えた。

明日はあそこを登っていくのだろうか。
セントレアからずっと飲み続けていたせいか、昼のクラブサンドのせいか、ギネスの1パイントが少々苦しい。

ギネスを飲み終えると一階に戻った。土産物売り場は1階にあるが、かなりの広さである。グラスやつまみ、様々な服やソックス、自転車のバイクジャージまであった。

私はディスカウントされていた派手なシャツを自分のお土産とその他数点の土産を買った。

最終日にダブリンに戻ってからまた来てもいいかなとも思ったが、宿からギネスまでが微妙な距離であることから、先に買っておくことにした。
後でできると思ってやらないでいると、結局できないものである。
私は経験上それを知っている。旅では、チャンスが巡ってきたらその時に必ずやらないと次のチャンスを巡ってこないものだ。

Guinnessストアハウスから宿にも戻り、部屋に入ろうとするがカードキーがない。結構しっかりした硬質のプラスチックのやつ。ポケットに入れておいたはずだが。どこかで落としたようだ。これはあのスキンヘッドのおっさんに怒られるやつだよ。。。
フロントのスキンヘッドのおじさんのところに行き、平謝りしながら、鍵をなくしたことを伝えると、「あ、鍵ね。はい。」とすぐに何事もないように新しいのを作ってくれた。いやぁ怒られなくてよかった。これでも私は元ホテルマンなんだが。。やってはいけないミスである。
シャワーを済ませ夕食はコーヒーとチョコレートバーで済ませた。キッチンにいると良い匂いがして、少しお腹が空いたような気もするが今はこれでいい。明日の初日のライドは長い1日になるはずだ。早めにテントを張りたい。そのためにはまずは早起きだ。私は早々にベッドに入った。
