エーベルタスマンでシーカヤックを楽しんだ翌日、海岸線を西に向かう。この先にTakaka Hillという有名な峠道が控えているので、この日は55キロ先のMotuekaまでと決め、ゆっくり走ることにしたが、それにしても足が回らなかった。
途中、女性のサイクリストに颯爽と追い抜かれる。いやはや。
彼女が休憩しているところで追いつき、話しかけると彼女はもう北島も南島も大半走ったそうだ。なるほど強いわけだ。
日が高いうちにモトウェカのキャンプ場に到着。少し寒くなってきて、長そでのウェアを着るようになった。
キャンプ場でハーモニカを吹いたり、恩師に手紙を書いたりしながら、キャンプ場の時間を楽しんだ。
翌日、南島最初の難所、Takaka Hillを登る。長い長い上りで
あったが、思いの他、快調に上ることが出来た。山頂近くのLookoutで昼食を取る。
前日キャンプ場で作っておいたハンバーガーとスーパーで買ったシナモンロールを出し、コーヒーをいれる。ハンバーガーはトーストブレッドにハンバーグとスライスオニオンを挟んだだけだ。ソースになるものを持っていなかったので、キャンプ場の冷蔵庫にあった誰かのシーザーサラダドレッシングを拝借した。
山の上で食べる食事はこんなに気持ちよくて美味しかったのか、今さらながら感動した。
Takaka Hillからはこれから行くGolden Bayが見えた。
北島でいっしょに旅をしていたルティアがカフェに行くとよく外のテラスに行きたがっていたのが、今ならよく分かる。
Takaka Hillの頂上では、観光客がいたので、写真を撮ってもらった。
カメラを返してもらおうとすると「くれたんじゃないの?」と言われて少々からかわれた。
Takaka Hillを一気に下り、Takakaの街へ。雨になってきたので、ユースに泊まることにした。
ユースの受付で手続きをしていると、カウンターの横にmonbellのジャケットがかけてあった。日本人がいるのだろうか。
チェックインを済ませ、スーパーに買い物に行く。
見たことのない大きくて安いウィンナーを見つけたが、何の肉か分からない。「venison」と書いてあったので辞書で調べると鹿肉だった。鹿肉というのが何とも不安であったが、大きさと値段は魅力的だった。
やはり味と値段は比例するのか、鹿肉ウィンナーはうまくなかった。
その後、奥三河で鹿肉のフランクを恐る恐る食べたが、こちらはとても美味しかった。日本人の料理はうまい。
一緒に買った見たことのないビールも「うーん」な味であった。こういう日もある。
食事を終え、リビングでくつろいでいると、日本人女性に話しかけられた。ここのオーナーだという。受付にあったmontbellのジャケットはやはりそういうことだったのだ。
ワーキングホリデーで来ているヘルパーの日本人女性を交え、しばらく話す。
彼女は日本では花屋で働いていたらしい。仕事を辞めてワーキングホリデーに来なければ、スシバーやハウスキーピングの仕事なんて絶対やらなかったから、ワーキングホリデーは一つの契機だし、おもしろいという。
見た目25歳ぐらいにしか見えない(実際は30歳だった)美人の彼女のそんな話をなんとなく聞いて、せっかくならNZでないと出来ない経験をしてほしいな、と思った。
オーナーに今日は雨だから部屋を取ったが、普段はキャンプ暮らしだ、と私が言うと「うちも庭をキャンプ可にして、20ドル取ってるんだけど、高いって言われるの。どう?」と聞かれた。
「そうだな、だいたい10ドルから15ドルぐらいが相場じゃないかな。その値段なら私は部屋を取るよ。よそのバックパッカーやユースは部屋代の半分とかが多いと思うよ。」と答えた。オーナーは「そうなんだ、ふーん」と不思議そうな顔をしていた。実際、使う側の気持ちや懐具合になってみないと理解できないのかもしれない。
小雨の降る中、リビングの窓越しに見える庭にテントを張っている客の姿が少し気の毒に思えた。