定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

伊豆半島を北へ - キャンプツーリングday2 -

朝になると雨は止んでいた。

風が吹き続けていたのかテントはよく乾いている。濡れたテントを朝から撤収しないといけないと覚悟していたので、これはありがたかった。意外と面倒なのだ。

ただこの後、この風が一日のライドにどのぐらい影響があるのか、向かい風でないといいなと思った。

f:id:independent-traveller:20240108233541j:image

正月に実家で貰った自家製の餡子入りの餅を二つ焼いて朝ごはんにする。今回は甘いものをあまり持っていないな、と気がついた。休憩しながらコンビニで買い足すとしよう。

 

この日の目的地は伊東市の東の外れにある汐吹キャンプ場。距離にして約80キロ。前日と同様、明るいうちにキャンプ場に着きたいと思っていたので、早めに入間キャンプ村を後にした。

 

入間キャンプ村には、夕方に到着していたので、入間の海をゆっくり見ていない。少し入間の海岸に立ち寄ってから出発することにした。

海岸に降りていく道を進んでいくと、地元のおばあちゃんが笑顔で手を振ってくれた。良いところだ。

周囲を崖に囲まれた小さなところだが、美しい海岸だった。出発前に記念撮影でもするかと三脚を出し、カメラをセットすると思わぬ強風が吹いた。

三脚が倒れ、「あっ」と三脚に駆け寄ると、今度は地図のコピーを入れたハンドルバーバックの上のマップケースのマジックテープが開いてしまい、地図が数枚飛んでいた。

 

「あぁっ」私は情けない声を出した。


f:id:independent-traveller:20240108233604j:image

そんなこんなで笑顔は引きつっているが、一応記念撮影は終了した。

 

最初に目指すのは伊豆半島最南端、石廊崎

入間からなら目と鼻の先だ。

f:id:independent-traveller:20240108233538j:image

それでもお約束のアップダウンがある。伊豆半島には小さな入江がいくつも存在しているが、どこも綺麗だ。時間があるなら一つずつゆっくり巡りたいのだが。

 

石廊崎の入り口に着くが時間が早くてまだゲートが開いていない。たまたま行き会った管理人さんが「9時からだけど、もう少し早く開けられると思いますよ。」と教えてくれる。

 

時間が来るのを待つ間、私は荷物からバーナーストーブを出すと湯を沸かし、ココアを飲んだ。こういうときキャンプ道具一式持っているのは強い。


f:id:independent-traveller:20240108233621j:image

従業員さんが来て、9時少し前にゲートを開けてくれた。

石廊崎への遊歩道に続く。駐車場は自動車とバイクは有料だが、自転車は無料である。きちんと管理者がいるんだから、自転車もお金も取ればいいような気もする。

 

朝の石廊崎にはほとんど人がいない。
f:id:independent-traveller:20240108233618j:image

これまでの旅でいくつもの岬、そして灯台に行っているが、石廊崎も他に引き取らない雄大さだ。

f:id:independent-traveller:20240110182920j:image

風に吹かれながしばらく周囲の景色を眺めていた。向こうに見える岬からはこちらはどんな風に見えるのだろう。風景の先にあるものを想像していると、そこに行きたくなり、ああ旅をしているなと実感する。

 

石廊崎を後にして、次は龍宮窟に向かう。

Googleマップでルート検索すると普通は行かないようなルートを案内される。

直感的にいいな、と思った私はそのルートに乗った。
f:id:independent-traveller:20240108233608j:image

しばらく山中を走り、田牛海水浴場に出た。

上っていく太陽が眩しい。


f:id:independent-traveller:20240108233611j:image

砂浜に釣り人がいた。何か釣れるのだろう。

伊豆はどこの浜も絵になるな。

 

浜の近くに龍宮窟の入り口に駐車場があり、地元の人だろうか駐車場代を取っていた。遊歩道の管理などしているのだろうか。

龍宮窟は海に繋がった洞窟の天井が抜けている珍しい場所で、上から見ると天井に開いた穴の形がハート形に見えるらしい。
f:id:independent-traveller:20240108233614j:image

天井に開いた穴も見応えがあったが、海に続く洞窟の感じがちょっとニュージーランドのカテドラルコーブみたいだな、と懐かしくなった。

f:id:independent-traveller:20240110185241j:image

下から洞窟を見た後、上を歩く歩道を進む。こちらからだとパンケーキロックスみたいだな。
f:id:independent-traveller:20240108233630j:image

遊歩道から見える海も美しい。そういえばカテドラルコーブに行く遊歩道も気持ちの良い道だったな。
f:id:independent-traveller:20240108233634j:image

何だかニュージーランドの海にしか見えなくなってきた。ああ、またニュージーランドに行きたいな、そんな気分になってしまった。

 

午前中から随分寄り道してしまった。

昼からはガンガン走って行かないと明るいうちにキャンプ場に着けなさそうだ。

 

下田の道の駅近くの金目亭で昼食。下田バーガーもいいかな、と思ったが見つけた店が混雑してたのでこちらにした。

金目鯛の刺身丼をいただく。

金目鯛と言っても種類がいろいろあるそうで、地金目、平金目、島金目の三種類の丼ということだった。
f:id:independent-traveller:20240108233544j:image

名物を堪能し、ここから頑張りどころだ。寄りたい場所はないわけではないが、Googleマップによるとキャンプ場までは4時間半。
f:id:independent-traveller:20240108233548p:image

やや変なルートを案内しているので、普通に国道135号を行けばもう少し早く行けるだろう。

 

今回、伊豆半島を反時計回りに回っていたが、日本の自転車で海岸線を走る時の原則は時計回りである。自転車は左側通行なので、海の真横を走るには時計回りに走るのがいいのだ。

国道135号は車が多く、景色がいいところで海側に渡るのに苦労した。
f:id:independent-traveller:20240108233624j:image

尾ヶ崎から、伊豆大島が見える。明日は伊豆半島に渡るのだ。

 

本当に平坦なところがない。斜度自体は10%未満がほとんどでギアも余裕を残していけるが、うんざりしてくる。

f:id:independent-traveller:20240110214512j:image

一時間半ほど走り続け、コンビニで休憩。家族からLINEが届いていたのでしばらくやり取りする。一人の時間を貰えて本当にありがたい。

f:id:independent-traveller:20240108233627j:image

何度も続くアップダウンにやられながらも、無事にこの日も夕方にキャンプ場に着いた。
f:id:independent-traveller:20240108233555j:image

汐吹キャンプ場はある意味興味深いキャンプ場である。伊東市景勝地の片隅にあり、キャンプ場自体には何もないが、すぐそばに水場とトイレがある。

あらかじめ予約をしておき、キャンプ場に着いたら電話して、オーナーにお金を渡す、というシステムだ。ちなみに一泊1000円。

私の他に2つのテントがあったが、いずれもソロキャンパーのようだった。
f:id:independent-traveller:20240108233535j:image

伊東まで来たら行くところは一つ。

温泉である。
f:id:independent-traveller:20240108233558j:image

キャンプ場のオーナーに教えてもらった共同湯は休みだったので松原温泉に行く。

番台のあるところなんて久しぶりだ。料金も安い。地元の人たちだろう、お年寄りが新年の挨拶をしながら楽しそうに話している。いいな。

 

二日間とはいえ、久しぶりにキャンプ道具を満載した自転車で走るのは疲れた。熱い温泉が軋む体には嬉しかった。

 

温泉の後、買い出しをキャンプ場に戻った。

 

コンビニで買ったクラシックラガーを飲み干すと早々にテントに入り、寝袋に潜るとすぐに睡魔に襲われた。

若い頃はこんなことを1ヶ月とか続けていたな、と一瞬考えたが、やっているとそれが日常になっていくんだよな、と思い出した。


f:id:independent-traveller:20240108233601j:image