定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

伊豆半島へ - キャンプツーリングday1 -

7時9分の豊橋駅発熱海行き普通電車は私が乗り込んだときにはほとんど満席だった。

輪行バッグを出入口近くの壁に立てかけ、ストラップで固定すると空いた席に滑り込む。

みんなどこまで行くのだろう。若者のグループからお年寄りまでたくさんいる。

そんな乗客たちの様子をぼーっと見ながら、物思いに耽った。

 

今回、旅に出ようと思ったのは年末年始にまとまった休みが取れることになったという、まあ分かりやすい理由だが、行き先については海外も含めいろいろ考えた。ただ、旅のスタイルは普段できない自転車でのキャンプツーリングにこだわりたかった。

 

海外に行くには時期的にエアチケットが高すぎることと、そもそもの準備不足、また飛行機輪行での遠征も考えたが、結局輪行することには変わりなく迷った挙句に、伊豆半島伊豆大島に行くことにしたのだった。

 

清水駅で電車を降りると重たい輪行バッグを抱えて駅を出る。自転車とキャンプ道具の入った輪行バッグは恐ろしく重い。

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駅前の広場で輪行バッグからバイクと荷物を出して組み立てを始める。

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私が使っている輪行バックは、ホイールを入れるポケットが付いているタイプでかさばるものの、一緒に荷物がたくさん入り、キャンプツーリングには使い勝手が良い。

10分ほどで組み立て、清水港に向かって走り出した。駿河湾フェリーで清水から伊豆半島西岸の土肥に向かうのだ。

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清水港からはうっすらと富士山が見えた。さすが静岡県である。お隣の県ではあるが、富士山が大きく見えると遠くに来た気がする。

フェリーはあらかじめ、ネット予約してあり、桟橋に着くと「予約の人?」とフェリー会社の人が声をかけてくれる。一旦建物の中で受付を済ませ、誘導に従って自転車を止めた。

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フェリーへの乗船を待つ間、岸壁に立っていた海上保安庁の職員の方が話しかけてきた。「自転車で行ってキャンプされるんですか?いいですね。」

聞けば、この方の自転車をされるそうだ。勤務中なので、あまり話せないようだったが、興味ある人に話しかけてもらえるのは嬉しかった。


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時間になり、自転車とともにフェリーに乗り込んだ。ちなみに駿河湾フェリーは500円の追加料金でそのまま自転車を乗せることができる。
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フェリーは1時間ほどで、土肥港に着いた。

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昼少し前だ。港の周りは特に何もない。私はすぐに走り出した。

伊豆半島には、何年も前にマウンテンバイクのライドに来ている。その時は天城から下田方面へ走ったはずだが、半島の真ん中も、海岸線も、とにかくアップダウンだったと記憶している。

私は土肥からから南に向かった。予想通り、道はアップダウンの連続で思うようにペースが上がらない。

この日のキャンプ場は、伊豆半島最南端の石廊崎にほど近いと入間という地域にあるところを予約してある。土肥から距離にして55キロというところで、午後いっぱい走れるので、普段ならどうという距離ではないが、荷物満載した自転車でアップダウンがある道を思うと、日没までに現地に着くかどうか微妙なところだなと思った。

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恋人岬に少し立ち寄り、そのまま西伊豆町宇久津へ。

昼食に「八起鮨」という店に入る。

私は自転車をする時、バイクツーリングの地図であるツーリングマップルを使用しているが、そこで紹介されているお店で、小アジの寿司のお店だそうだ。

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年配のご夫婦がやっている小さなお店。
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小アジのお寿司もさることながら、一緒についてきたカサゴのお吸い物が大変おいしい。臭みがなくカサゴの旨味がたっぷりの出汁が素晴らしい。またカサゴが丸々1匹入っているので、とても食べ応えがあった。

会計を済ませ、店を出ると、年配の奥さんが外で見送ってくれた。ああ、旅に戻ってきたんだなと思う。

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この日は夜から雨の予報だったが、走っている間は、幸い何度か晴れ間がのぞいていた。昔、和歌山県を走った時にも感じたのだが、太平洋岸は海が明るい。ダウンの続く道には、正直うんざりしたが、透き通った美しい海の走るのはとても気持ちが良かった。
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松崎町に入る。この街は、伊豆トレイルジャーニーの起点として、有名な街で、私の仲間のトレールランナー達にはよく知られた場所だ。キャンプ場周辺の入間には商店がないようなので、ここで食品やビールなどを買うことにした。

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最近私は旅先で地元のローカルスーパーに楽しみにしている。特に沿岸地域では売られている魚の種類などに特色があり、地域性を感じることができ、とても楽しいのだ。

今回寄ったのは、スーパーサンフレッシュ。店の看板の上にはないものはない、と書かれている。私はてっきり何でもあるという意味だと思っていたが、肝心のビールがなく、「あれ?」と思っていたが、何でも取り扱っているという意味ではなく、諦めてね、の意味だったようだ。いさぎよい。
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店内には激安の魚が並んでいた。お店の方に写真の撮影許可をもらいつつ、何故こんなに安いか聞くと、新年早々で新しい魚が入っていないので在庫の魚を安く出しているのだという。
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店には伊豆名産の塩鰹が置いてあった。一匹はさすがに持て余すので買えなかった。

私は夕食用にアジのフライと地元産の秋刀魚の干物を買った。

ちなみにビールはとなりのコンビニで無事に調達できた。

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日暮れまであと2時間余り。地図を見ると石部の棚田そばの道が見事に2回へアピンを描いている。

やれやれ。

諦めて登っていく。キツいところで13%ほど。

荷物は重いがバイクはよく走っているのを感じる。ギアもリアの一枚を残して踏んでいける。足は何とかなる。ただ辛い。

これから先もこんなことの繰り返しだろうな、と心の中で理解した。

 

何気なくGoogleマップでキャンプ場までの時間を調べると予定と違うルートを案内してきた。変なルートだと思ったが、予定したルートより距離は若干増えるものの、起伏は少ない。

私はGoogleが進めるルートで海岸の国道から内陸に入り、小さな県道をまずまずのペースで走り抜けた。

 

周囲が暗くなり始める頃、入間キャンプ村をを経営する入間荘に着いた。予約してあったので、入間荘の方は私の姿を認めると「あ、キャンプ場の予約の方ね。暗くなる前に着いて良かったよ。」と声をかけてくれた。

簡単に手続きと支払いをし、キャンプ場に行く。オーナーさんはわざわざキャンプ場まで案内してくれた。

キャンプ場は私以外に2組。大きなテントのソロキャンプのおじさんとハスキーボイスのおばさんの声が聞こえる、こちらも大きなテント。こちらは何人かいるようだ。

オーナーさんは「ここ使うといいよ」と入り口近くのサイトを勧めてくれ、場内を簡単に案内すると去って行った。

 

「ふぅ。」

私はバイクから荷物を下ろし、テントを張り始める。予想はしていたが、初日から中々きつかった。

夕食は松崎町サンフレッシュで買った干物焼き、アジのフライを炙った。

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雨が降り始めてきた。

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お約束のビールを飲みながら夕食を食べ終わるとすぐに睡魔が襲ってきた。

翌日は伊豆半島東側をほぼ走破しないといけない。まあ頑張るしかないな、テントに当たる雨の音を聞きながらすぐに眠りに落ちた。