定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

春の里 - ライド奥三河 -

今年は桜の咲くのが早い。

 

先週訪れた桜の名所、新城市市川でも地元の方がそんなことを言っていた。しかし、もう少し北ならまだ春の花が咲いているのではないか、と思っていたところ、タツマくんが声をかけてくれ、久しぶりに仲間と奥三河ライドに行くことになった。

 

今回のライドに参加したのは4人。タツマくん、ダモンデの山田さん、上野さん、そして私である。

 

ダモンデのメンバーで走るのは久しぶりだ。我々の定番コースは新城市街から四谷千枚田設楽町神田、東栄町、佐久間浦川を回るルート。今回はこの定番ルートをアレンジして行くことした。

 

新城総合公園に集合し、まずは四谷千枚田へ向かう。

最近は非常にあたたかい日が続いていたが、この日は東日本にあった低気圧の影響で、思いの外寒かった。

 

タツマくんと私は上は長袖の薄いジャージに下はビブショーツという格好で、二人ともその上からウィンドブレーカーを着てもまだ少し寒い、という状態だった。この季節のウェアは難しい。

 

旧田口線の道を北に向かい、四谷千枚田へ。

下から千枚田が見渡せる駐車場まで上る。

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毎年何度か訪れる場所だが、鞍掛山の山麓に広がる雄大でどこか懐かしい景色を見るといつも「来てよかった」と思える。こうした場所が自分たちの定番ルート上にあるのは恵まれているな、と思う。

 

休憩しながら雑談していると、一年ほど前にオープンしたカフェ「たてば」の貼り紙が目に入り、せっかくの機会でなので行こう、ということになった。

来た道を少し下り、横道を進むと古民家カフェ「たてば」だ。
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私はほぼ一年ぶりの訪問だが、みんなは初めて来るという。

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大きく取られた窓から差し込む自然の明かりが差し込む店内はとても落ち着く。

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さりげなく飾られた花がとても素敵でお店の方のセンスを伺わせる。

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10年くらい前は「奥三河にはライドで立ち寄るスポットが少ない」と嘆いていたが、最近はこちらのお店のように誰かを連れてまた行きたいお店が増えて嬉しい限りだ。

 

我々はコーヒーと和食のセットを注文。

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待つ間、いつの間にか新しくなっている仲間のヘルメットやらサングラスなどの使用感など自転車ウェアの話で盛り上がる。

 

しばらくして和食セットが運ばれてきた。f:id:independent-traveller:20230408220325j:image

湯気の立つおにぎりとお味噌汁がいかにも美味しそうだ。

ほかほかの塩握りと野菜の甘みと旨みが染み出したお味噌汁はとても優しい味がした。

 

「たてば」を後にすると、店の前の道をそのまま上っていく。こちらの道は四谷千枚田を抜け、仏坂トンネルへと続く県道と合流するはずだが、行ったことのないルートだ。

長年この地域でライドをしていても、行ったことのない道はまだまだある。

予想はしていたが、かなりの斜度で苦戦はしたが何とか予定通り県道と合流するところに出ることができた。

 

仏坂トンネルまでサドルトークをしながら上っていく。

午後から予定のある山田さんはここでお別れ。

山田さんは帰りに撮った写真を後で送ってくれた。

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山田さんが自転車に乗って切り取った春の奥三河の景色は撮った人の人柄のとおりの優しいものだった。

 

残りの3人は仏坂トンネルを越え、設楽町神田へ。以前、ここでタツマくんが路上の石でタイヤをバーストさせたので、慎重に下る。

 

途中のミツマタの群生地では、まだミツマタの花が咲いていたり、その先の不動滝ではいつもより水量が多く見応えがあったりと小さな発見があった。

 

神田の分岐で少し止まり、作戦会議。

数日前の情報で設楽町平山のハナモモが見ごろというのが設楽町観光協会SNSで出ていたので、そちらに向かう。


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平山は神田より高いところにある。逆からのアプローチで平山から神田に下ってきたことはあるが、上ったことはない。

 

途中、一度だけ下ってきたことがある町道を走ってみる。この日一番の急勾配で濡れた路面で踏み込むとリアタイヤがスリップしてひやひやした。

道は古い石垣がしっかり組まれた集落跡の間を抜けていく。奥三河には立派な石垣がたくさん残っている。正面にぽっこりした山が見える。あれがきっと平山明神山なのだろう。

 

平山明神山の登山口を過ぎると鮮やかな桃色の花が見える。平山の集落だ。


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平山と言えばアジサイの里として知られるが、ハナモモも素晴らしい。
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まさに桃源郷である。f:id:independent-traveller:20230408220340j:image

上りがキツく、苦戦していた上野さんだったが、「これは上って来るだけの価値あるよ!」と興奮気味だ。かく言う私もその美しさにひたすら感動していた。
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冬のモノトーンな奥三河の景色は春を迎えて集落に花が咲き、華やいでくる。この季節の奥三河ライドが特に私は好きだ。

 

平山の素晴らしいハナモモの集落を後にすると東栄町振草へと降りる。こちらも途中の民家のハナモモが素晴らしかった。
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景色は申し分なく美しいのだが、曇り空でずっと冷たい風が吹きつけて来る。そして風は強い。

 

とにかく寒いので、我々は東栄町の中心部、本郷まで一気に降ると昼ごはん場所を探す。東栄町は山間地域にも関わらず、最近でも新しい飲食店が増えている。

しかし、今回は新手の店はどこもお休みで結局、入ってしまう「山正」に行くことにした。

 

注文も悩んだが、結局いつもついつい食べてしまう唐揚げ定食。

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アツアツ大ぶりの唐揚げがたまらなくうまい。上野さんはお初のようで、カリカリの衣に驚いていた。今回も大変美味しくいただいた。

次に来るときにはラーメンを食べよう、そう思ったが、この前もそう思っていたのに、今回も唐揚げを食べたことを思い出して苦笑した。

 

会計を済ませると店の奥さんが「なんだか雲行きが怪しいわね。」と言う。確かに空が暗い。外に出ると昼過ぎだというのに寒い。

 

「服装間違えましたね。」何度目か分からないがタツマくんがそんなことを言う。

 

「寒いから最短コースで戻りでいいよね?」

私が念のため確認すると、2人とも異論は無いようだった。

 

国道151号をテンポよく南下していく。雨粒のようなものがときどき当たる気がするが無視して走る。急に晴れたと思うと、また空が暗くなり寒くなる。

まるでニュージーランドウェザーだな、と一日のうちで何度も天気が変わり翻弄されたニュージーランドを旅したときのことを思い出した。

 

鳳来峡インターのところで望月街道に入り、湯谷温泉方面へ。

 

湯谷温泉は目前というところで、雨が降ってくる。慌てて温泉街を抜け、飯田線湯谷温泉駅へ駆け込む。駅舎はなくなってしまったが、ホームの待合は健在だ。そこで少し雨宿りした。

 

この後、地元の友人と遭遇するというちょっとしたサプライズがあった。奥三河に来るとこういうことはよくあるのか。


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湯谷温泉を後にし、スタート地点まで無事に戻った。ゴールする頃には、先ほどまでの雨が嘘のように新城総合公園は明るく暖かかった。

 

次は仲間とどこに行こうか。

河津桜とクレープと -豊川ポタリング -

本日代休。今日は春の陽気らしい。

春は毎年、奥三河に花を見にライドに行くのが習慣だが、時期的にまだ少し早い。

さてどうしよう、と新聞を眺めていると豊川市の西古瀬川の河津桜の写真が出ていた。

 

今まで行ったことがないところだ。

 

よく考えたら豊川市内をメインでライドをしたことがない。そんなに遠い場所でもないので、私はグラベルバイクでゆっくりポタリングをしようと決めた。

 

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家を出る頃には昼近くなっていた。

まずは軽くお昼ごはん。

 

豊橋競輪場内にある「ORINBE」へ。

ここは「ORIBE」というラーメン屋さんが新たに始めたお店でまぜそばの他、ご飯ものがある。

 

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まぜそばは前にいただいたので、今回は「きつね飯」と水餃子。きつね飯は小ぶりの丼のご飯の上に甘辛いあげとゆで卵が載って270円。水餃子のほうは3つで250円。
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大変リーズナブルな上、美味しかった。

普通の食事と思うと少し足りないが、今日はあとで甘いものを食べる予定なのでちょうどよかった。

 

競輪場を出ると朝倉川沿いに国道1号方面に向かう。

風が強い。春物のロングスリーブのジャージにジレという格好だったが、やや寒い。

しかし、しばらく走ると体が温まってきてちょうどいい感じになった。

 

旧東海道に入る。

豊川放水路を越えるところで鉄橋を進む電車を見て、しばらく眺めていた。

グラベルバイクだと、ロードバイクに比べあまりスピードを出さないので、気になったところで止まったりしやすくていい。

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そういえば友人のK藤さんが、同じようなところ撮った写真をSNSにあげていたな。

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豊川放水路を越えてすぐにある山本製粉のアウトレットはスルーした。前に寄ったときに買いすぎてしまったのだ。東三河のご当地ラーメン「ポンポコラーメン」が好きな方はぜひ行っていただきたいスポットである。

 

旧東海道は昔の建物が残っている場所などもあり、車はやや多いところもあるが、国道1号ほどではないので自転車で走るにはいいところだ。ロードでときどき走る道だが、走るペースが違うと見える景色と印象が違う。グラベルバイクでゆっくり走ると、今まで気にしていなかった小さな川の存在に気がついたりと新しい発見があった。

 

旧東海道を外れ、目的地の西古瀬川へ。

もう一本東側の道はよく使うのだが、こんな場所があるなんて知らなかった。

小さな川の両側に濃いピンク色の河津桜と黄色菜の花があざやかに咲いている。

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春のような温かい陽気で、天気も快晴。

いい日和だ。
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平日の昼にも関わらず多くの人が歩いていた。私のように新聞を見て来た、という人も多いのかもしれない。どの人も笑顔だ。

花というのはいいな。

私は時折、自転車を降りてゆっくり歩いて春らしい河津桜の並木道を楽しんだ。
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西古瀬川を後にし、赤塚山公園に寄る。

塚山公園は現在、四月のオープンに向けて改装中だ。改装をしている事業者さんがお世話になっている方のところでもあり、気になっているのだ。

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工事の様子を見ながら横を通り過ぎると、木材のいい香りがした。人の集まる素敵な場所になるだろう。

塚山公園といえば、梅林も有名である。

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こちらのピークはもう少し先だろうか。

そういえば自宅の近所の公園にも梅があったな、と思い出した。また散歩しながら見に行こう。

 

今回のポタリングの目的は河津桜だけではない。

 

もう一つの目的は前からずっと気になっていた焼き菓子とクレープのお店「querofune」さんである。

以前からインスタでずっと見ていたが、なかなか行く機会がなかったのだ。

ついにこの日が来た。

 

期待を胸にお店に行く。

佐奈川沿いの小さなお店だ。

どうでもいいが、佐奈川の歩道の柵がバイクを立てかけるのにちょうどよい。

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店頭のメニューを見て悩む。

焼き菓子はカヌレとフィナンシェがある。前に妻がこちらのカヌレを買って来てくれて大変美味しかったので、これは買うと決めていた。

 

問題はクレープ。

 

プラリネか塩バターかキャラメルか。

悩んだ末にキャラメルに胡桃のトッピングで注文。

 

ご主人が丁寧にクレープ生地を焼いてくれる。

自転車で来た私を見て「どこから来たんですか?」とか「一日どのくらい乗れるものなんですか?」と話しかけてくれる。先日、ブルベの試走をしたところだったので、「300キロくらい」と言って驚かせてしまったが。

 

クリームたっぷりのクレープは見た目から最高だ。期待が高まる。

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ご主人からクレープを受け取ると私はクレープを持って佐奈川の土手に座ると早速いただいた。

 

パリッとしたクレープ生地としっかりとしたキャラメルソース。そしてなめらかな生クリーム。トッピングの胡桃もたっぷりで大変美味しかった。

「いやいや、最高でしょ」

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私は一人で感動してしまった。

美味しくてあっという間に食べてしまった。

ご主人に美味しかったと言いたかったが、お客さんが何人も並んでいたので、心の中で「ご馳走様でした」と言っておいた。

これはまた来なくてはなるまい。

 

querofuneさんを後にすると抜け道を選んで帰路についた。30キロにも満たないポタリングだったが、とてもいい時間を過ごすことができた。

 

こういうライドもいいな。またやろう。

 

 

 

 

ブルベ試走 - BRM225Nagoya300km御前崎 -

 

愛知県でブルベを主催する「ランドナーズクラブナゴヤ」(RC名古屋)の代表である金井さんとブルベの試走をさせていただくことになった。昔はよく今は亡き石原さんと400キロぐらいまでは一緒に行ったものだ。

 

今回、金井さんと試走するのは2月25日に開催される300キロのコースである。

 

豊田市南部の柳川瀬公園をスタートし、浜名湖を経由し、御前崎まで行って往復する300キロ。

 

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夜明け前の柳川瀬公園を午前6時過ぎにスタート。

 

岡崎大橋を越え、だんだん空が明るくなっていく岡崎市街を抜けて行く。

RC名古屋のスタートの景色だ。

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天気予報によれば朝の気温は4°、日中15°と寒暖差があるとのことだったので、私はレイヤリングを意識し、上はcraftの冬用のアンダーウェア(あまり厚くない)にメリノウールのロングジャージ、暑くなって脱いでもいいように半袖のジャージを着た。

下はやや薄いLE COFFEE RIDEの冬用のビブタイツ。これはパッドの形が微妙なので、合わせてアソスのレーサーパンツを履いた。

 

これに加え、ネックウォーマーとシューズカバー、それからレインギア上下を着て出発していた。雨の心配はない予報だったが、レインギアは私としては必携品だと思っているので、寒い時間、これで乗り切ればあとは春先の格好でいけると踏んだのだ。

 

岡崎市街を抜けると東名高速道路の側道を豊川方面に向かう。高速の側道はアップダウンだが、往路はそんなに気にならない。

 

やがて道は豊川市街に入る。

コンビニに寄り、私は履いていたレインパンツを脱いだ。

 

そこから豊川、豊橋を抜け、本坂トンネルで静岡県に入り、浜名湖北岸を細江まで行く30キロ強の一本道。

市街地の信号で何度も足留めを食うが比較的順調に細江気賀のチェックポイントまで辿り着く。

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制限時間との差は50分。スタートと途中で少しもたついたのが響いて思ったより余裕がない。気温が上がってきたので、私はここで着ていたレインジャケットを脱いだ。

 

チェックポイントのコンビニでは、本番にブルベライダーたちの来訪があるのでよろしくお願いします、と金井さんが店の方にお願いしていた。これも大事な仕事である。ブルベの主催団体はこうしたことを全てボランティアでやっているのだ。

 

気賀からは浜名湖舘山寺方面に南下、そのまま浜名湖南端の弁天島まで降りて行く。

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ここは私が普段からライドしているエリアでミスコースの心配はない。最もこのコース全般がRC名古屋でよく使用するルートだ。

 

85キロ地点の弁天島のチェックポイントに到着。

 

途中、金井さんのライトが飛んでいくというトラブルはあったが、少し時間を稼ぐことが出来た。

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ここからは折り返しの御前崎までチェックポイントはない。

 

風に乗ってひたすら進むのだ。

 

このコースについてRC名古屋のWEBサイトには「御前崎往復の平坦コースです。風向きが走りやすさを左右しそうです。」とある。

 

今回、私は風に関してかなり心配していた。

前日関東を襲った寒波の影響で、この地方にも雨が降り、晴れの当日は強風に晒されるのでは、また、想定される展開として、行きは冬の西風に押されて快調、帰りはそれが向かい風になって、ひたすら風に耐えて踏み続けることになるのでは、と考えていたからだ。

 

ところが東に向かうと追い風のようではあるが、そこまでの風ではない。

浜松の南、太平洋自転車道を掠め、磐田、掛川と順調に進む。115キロ地点のコンビニで小休止。

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ドリンクを飲みながら、富士山を眺める。静岡はどこからでも富士山が見えるんだなと、来るたびに思う。

 

御前崎まで約40キロ。復路の向かい風を考えるとここは時間を稼ぎたい。しかし、ここへ来て踏んでいる割に進んでいかない。

「風が巻いてるのかな。」信号待ち金井さんが言う。なんだかそんな感じだ。

しばらく苦しいながら踏み続けた。これもブルベ。

 

苦しい区間が終わり、御前崎が近づいてくる。

坂を下りはじめると遠くに灯台が見えた。

 

灯台だ!」

 

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私は下り坂で思わず声を上げた。

こういう象徴的な場所に向かって行くのはいいな、と素直に思った。

 

折り返しのチェックポイントであるセブンイレブン御前崎港店に到着。時間は午後2時30分。150キロ来て制限時間まで約二時間。少し余裕が出来た気がするが、帰りの風が向かい風ならこの2時間はすぐに吹き飛んでしまうだろう。

 

コンビニの向かいは「なぶら市場」である。

御前崎で食事や土産といえばここだ。

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寄りたかったが、帰りの風を考えるとそこまで時間的余裕はない。

なんと金井さんは行ったことがないらしい。ここまで何度も来ているはずだが…

また来ることを誓い、チェックを後にすると、来た道を西に向かう。

 

心配していた風はほとんどなく、むしろやや追い風になった。復路の方が早いくらいの感じだ。

 

日が傾いてきて、浜松の中田島砂丘近くのコンビニで夜に備えライトを点灯させる。

次のチェックポイントである弁天島までひたすら踏んだ。

 

復路の弁天島チェックポイントに午後6時前に到着。残り80キロで制限時間まで2時間半以上ある。悪くない。ここでの休憩は軽めにし、20キロ先の細江気賀のコンビニでゆっくり休むことになった。

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ここでの補給はおにぎりと飲み物だけとレジに並ぶが、ポカリを買ったつもりがカルピスウォーターを買ってしまう。レジまで気がつかなった。

 

こういうこともブルベではよくある。昔、600キロの復路で自販機でコーラを買おうとして、間違えてゼロカロリーのコーラを買って落胆した、なんてこともあった。

 

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日が落ちて風が吹くと少し冷えるが、レインジャケットは着なくても行けそうだ。

次の区間は少しアップダウンのある区間なので、少し心配したが、かなりいいペースで踏み、気賀のチェックポイントについた時には制限時間との差で3時間稼ぐことができた。

 

食事をしっかり食べて出発。

 

ここからはアップダウンの区間。ベテランの金井さんは寸座峠程度のアップダウンはサクサクこなしていく。

静岡・愛知の県境の本坂峠は静岡県側のほうが登りが長くてキツい。ここは踏ん張りどころと気合いを入れて踏んでいった。

 

県境を越えるとしばらく市街地区間。信号でなかなか進まない。信号でストップアンドゴーを繰り返した。

 

そんな中、信号待ちで私は出来るだけ右足をペダルから外すように心がけていた。実はスタートからしばらくして右膝に軽い違和感を感じ、できるだけ右膝に負荷をかけないよう、トルクをかける踏み出しは左足でするためだ。お陰で膝はそれ以上痛くなることなかった。

 

市街地を抜けると残り30キロ。

最後のコンビニ休憩をする。

 

 

ここからは高速道路の側道を行くが往路に比べて復路は上りが多い。一つ一つは短いがそれなりに斜度があり、数も多い。我々はジワジワ残った足を削られていった。

 

岡崎の市街地に入る。

空腹感のあるお腹に様々な飲食店の明かりが眩しい。王将とブロンコビリーは目の毒だ。

 

岡崎市街でも信号とアップダウンに苦しめられるが、岡崎大橋を越え、ゴールのセブンイレブン岡崎北野店にたどり着いた。

 

時間は午後10時45分。

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16時間45分で無事完走した。

 

金井さんと二人だけで走るのはかなり久しぶりだったはずだが、離れたりすることなく、お互いちょうどいい感じで走れて本当に走りやすかった。金井さんには感謝しかない。

 

スタート地点の柳川瀬公園に戻る道すがら、疲労感の中、これから何を食べようか考えた。

 

ラーメン?牛丼?ハンバーガー?

早くビールが飲みたいなぁ。

 

スタート前は完走できるかどうか心配していたが、そんなことを考えている自分を冷静に見て、ああ、ブルベを完走したんだな、と実感した。

 

帰宅後、家族が寝静まった我が家で一人乾杯したのは言うまでもない。

 

 

 

 

グラベルロードにロードホイールを - グラベルロードの可能性 -

実は11月の終わりにライド中、後ろから車に追突されてしまった。幸い怪我もバイクの損傷も大したことはなかった。ただバイクは念のため、診断に出している。

メインのロードバイクがそんな状況だが、身体は動くのでロードバイクには乗りたい。

そこで、妻の街乗り用にフラットバーで組んであったSOMA FABRICATIONSのペスカデロをドロップハンドルにして、ここ最近は乗っていた。

 

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タンゲプレステージのパイプで組まれたペスカデロは700c FAT PLUSでリムブレーキでありながら42cが入り、キャリアのダボなどもある。デザインがオシャレでしかも値段もフォーク込みで10万円程度と安かった。

「ゆっくり長く走る」に対応したバイク、とカタログにある。

私が普段乗るロードバイクもクロモリのロードだが、近代のネオクラシックと呼ばれる軽量で反応性も高いバイクで特性がまるで違う。

そんなペスカデロにいつものロードホイールを履かせ乗ってみると、初動は重いが(フォークもクロモリである)一度かかればなかなか走るバイクになり、それなりに楽しく乗っていたが、ブレーキに不満があった。

 

それはブレーキの効きが甘い、ということである。

ペスカデロは太めのリムを入れることを想定して作られており、通常のロード用のリムの細いホイールを入れるとブレーキキャリパーが届かない。そこでロングアーチのブレーキを入れるのだが、リアに関してはそれでも届かず、オフセットされたブレーキシューを入れているのだ。

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どうしてもブレーキ剛性が下り、高速(というほどのスピードは出なかったが…)で走ると事故の後ということもあり、ブレーキの効きが甘いのがストレスになってきた。

 

そんなときグラベルロードのリッチーアウトバックに乗ってみたときに「もしかしたらこれにロードホイール履かせたほうが、ペスカデロより走るのでは?」と疑問が湧いた。

前にキャンプツーリングで舗装路を長い時間走ったが、広めのリムに42cのグラベルタイヤでもよく走った。

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そんなとき、ランドヌールクラブ名古屋の金井代表から1月のブルベの試走の話が来て、いよいよグラベルロードのロードホイールでの運用を試す必要が出てきた。

 

普段からお世話になっているバイクショップ「Glocalbike」のバスマンさんに相談すると、ちょうど中古のロードホイールがあるという。さらにお友達がタイヤも出してくれたので、今日、リッチーアウトバックにロードホイールを履かせ軽くテストライドに出た。

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リアセンターが長いのが特徴のリッチーアウトバックグラベルタイヤだとあまり目立たないが細いロードホイールに細いロードタイヤを入れるとそれがよくわかる。

 

時間が限られていたので、近所の多米峠から浜名湖をかすめ、本坂峠を抜けるルートを試走に行く。

 

普段より軽いホイールと細いタイヤというだけで、面白いように走る。スピードが出るのが単純に楽しい。私はグラベルロードでオンロードを走ると速くて時速25キロというところだが、すぐに時速30キロぐらいまで出た。ロードバイクと遜色ない印象だ。

 

ちなみにギアだが、私はキャンプツーリングで不自由ないようフロントはダブルにしており、フロントはアウター46T、インナー33T、リアは11-42。

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ロードタイヤで走ってみて峠の下りはもう少し重たいギアがあってもいいかと思ったが、私は重たいギアは踏まず回転重視なので、これでも良いと思った。

 

走りながら思ったのが、ブルベに最適なのでは、ということ。

昨年参加した300キロのブルベの際、旧富山村から霧石峠までの上りでギアを使い切ってしまったので、このくらいのギア比ならもっと上りで余裕が出るだろう。上りで余裕が出るということは、長時間のライド中にそれだけ体力に余力が出るということになる。

また、ロードよりアップライトなポジションなので、長時間のライドにはよりいいのではないだろうか。

 

とにかく想像以上によく走った。

 

今年は5、6年振りに400キロのブルベを走る。もしかしたらグラベルロードで出るかもしれない。それほどの可能性を感じた。

 

ふと、私はトム・リッチーのバイクとロングライドをこよなく愛した私のヒーローの顔を思い浮かべた。

 

「それもいいと思うよ」

 

あの人ならきっとそう言うだろう、そう思った。

 

ハマイチチャレンジ -2023年走り初め -

前々から長女と一度、浜名湖一周いわゆる「ハマイチ」しようと話していたが、なかなか予定が組めず、ずっと先延ばしになり、気がつけば新しい年を迎えていた。

 

我が家の年始の予定は妻の実家に挨拶となんとなくの初詣くらいなもので、あとはその年によって、という感じである。

いいタイミングではないかと、長女に「浜名湖を自転車で回ってみない?」と誘ってみると「行く!」と言ってくれたので、1月3日に長女とハマイチをすることになった。

 

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長女は普段から自転車に乗る訳ではないが、昨年渥美半島を1日ゆっくり走ったことがあり、体力的には何とかなるだろうと思っていた。

 

私は浜名湖北部まで車で移動し、反時計回りで浜名湖を走るようにルートを引いた。

 

久しぶりのサイクリングの長女。サドルを少し高くする。シートパストがシートチューブからだいぶ出るようになった。そろそろ次のバイクを考えないといけないか。

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ルートの大半は自転車道で、スピードを出すサイクリストは走らないところ。何より湖畔が近くていい。

時折、我々のすぐ真上をトンビが鳴きながら飛んでいく。

そんな様子を長女は楽しそうに眺めながらペダルを踏んでいた。

 

ペースは速くはないが、長女はコンスタントに距離を稼いでいく。風は冷たいが、耐えられないほどではない。暑がりの長女は熱中症の心配のある季節よりこのくらいの時期の方がいいようだ。

 


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浜名湖南部、新居町まで来ると、長女がじっと浜名湖の向こうを見つめていた。


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富士山である。

この季節、浜名湖南部からでもよく見える。

お正月でもあるし、富士山が見えたらいいな、と思っていたので、綺麗に見えてよかった。

長女は思いの外大きく見えた富士山に興奮気味だった。


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渚園でトイレ休憩。ゆるキャンのポスターがたくさん貼られていた。

長女にスマホで現在地とこれまで来たルート、それからこの先行くルートを説明した。その後も休憩の度に説明をするようにした。自分がどこに向かっているのかぐらい理解してくれれば、というぐらいの気持ちであったが、分岐で正しい方を指していたからそれなりに分かってもらえていたと思う。


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渚園から北へ。中之島大橋から村櫛までは予想通りの強い向かい風。

村櫛で少し補給をし、舘山寺温泉に向かい、北に進む。風は相変わらず強いが日差しが温かい。

昼のサイレンが鳴る頃、舘山寺に到着。
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お正月で開いている飲食店が混んでいないか心配だったが、幸いすぐに入れる店を見つけてランチ。
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長女のペースだとほとんど心拍が上がらず、ずっと寒かったので屋内で食事ができるのは有り難かった。

舘山寺からは気賀方面に向かいさらに北に向かう。

気賀から湖岸に沿って西にコースを取ると強烈な向かい風。

長女は淡々とペダルを踏む。

こういうとき我慢強いなと感心する。私はキツいとすぐに軽いギアに入れ、サボってしまう。

長女を見習わないと。

 

そんな長女も疲れが見えたので天竜浜名湖鉄道の西気賀駅で休憩を取る。
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天浜線の駅はなかなか風情がある。
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休憩にココアを飲んで元気になった長女と西気賀駅を後にする。

ここまで来ればあと少しだ。
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長女は寸座と浜名湖サービスエリア付近の上りで少し苦戦していたが、そのあとは順調に走っていく。

 

やがてスタートの公園近くまで戻ってくる。

長女が気がつくかと思い、何も声をかけずにいたが、気づかずに2周目に行きそうだったので、声をかけて「もう1周したよ。」と伝えた。

長女は「えっ!」という顔を一瞬したが、すぐに「やったね」と嬉しそうな顔になって私も嬉しくなった。距離は55キロ。長女にとって一番長いライドになった。

 

 

帰りの車でこういう感じで自転車にまた乗りたいか、と長女にきくと「たまにはやりたいかな」という答え。月一ほどではないそうだ。

 

別に長女をサイクリストにしようとは思わないが、自転車に乗ることで達成感を得て欲しいし、いろんな景色を自転車に乗ることで見て欲しいとは思う。

 

私は自転車に乗ることで、少し自分に自身が持てるようになったし、長女にとって人生を豊かにするものであるといいなと思う。

 

いつまでいっしょに走ってくれるか分からないが、また長女を誘ってライドに行こう。

 

焚き火とキャンプと - 鯖街道ツーリング -

カフェを出て再び小入峠からの道、針畑川沿のルートを南下していく。

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時間は午後4時を過ぎている。日暮れ前にキャンプ場に着いておきたいところだ。暗いところでテントを張るのは骨が折れる。焦る気持ちを抑えながら川沿いの下り基調の道を流していく。

 

針畑川が安曇川に合流するところで、道は国道367号に入る。泊まる予定の梅の木キャンプ場は目と鼻の先だ。

キャンプ場らしき敷地が見えるが、人影がない。

これはもしや。嫌な予感がした。

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入り口に貼り紙がしてある。

今季の営業は終了らしい。

 

疲れがどっと出た。

前にも北信にキャンプツーリングに行ったときにそんな事態があったが、そのときは管理人さんの家がすぐ隣で頼んだら何とか使わせてもらえたが、こちらは無人だ。

 

正直、キャンプ場でなくてもテント張れそうなところでテント張って寝るのもできたが、余計なトラブルを避けるためにもどこかのキャンプ場に行きたい。

来る前に調べた予約不可、当日現地受付のみのキャンプ場が近くにあるはずだ、ということを思い出した。

便利な時代になったものだ。Googleマップですぐに出た。桑野橋河川公園、朽木キャンプ場が約10キロ北にある。

 

暗くなる前にここへ行こうと決めた。

 

幸い367号は車は多いが起伏が少なく、スピードもよく出た。すれ違うの車がライトをつけ始めている。周囲はだんだん暗くなり始めていた。

 

30分ほどでキャンプ場に到着。

河川敷の広々としたキャンプ場だ。

 

思ったより人はいない。

利用料は一日1000円。宿泊の場合は二日利用になり、2000円。格安だ。

受付のおばちゃんにお金を払い、テントを張る場所を探す。

椅子代わりにするのに良さそうな石をみつけ、この近くにテントを張ることにした。

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いつもならテントを張る前にビールを開けてしまうところだが、今回はテントを張るのを優先させた。

 

一日走って疲れた体でテントを張る。

テントを張りながら「腹減ったな」と呟く。

 

この感覚も久しぶりだ。

悪くない。

 

 

テントを張ると受付のとなりにある食堂に行く。受付のおばちゃんによれば、こちらで薪が売っているらしい。食堂の営業はしていなかったが、薪は売ってくれた。一人なので少ないのはないかと聞いたが無視されてムッとした。しかし、せっかくなので焚き火はしたい。薪一束700円で購入するとテントに戻った。

 

 

周囲はもうほとんど暗い。

早速焚き火をしようと試みたが、焚き付けになるものを持っていないことに気がついた。

手入れが行き届いたキャンプ場であることが災いし、燃えそうな落ち葉もない。

一応トライするがなんともならない。

 

やれやれ。

 

一旦、焚き火は諦め、晩ご飯の支度をする。

晩ご飯はカレー。いなばの缶詰カレーとごはん代わりのクスクスである。

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クスクスはお湯とオリーブオイルと塩をかけてしばらく置いておけば出来るので、米を炊くより簡単だと数年前に気がつき、ときどき使っている。

 

晩ご飯を食べていたら、日記用のノートを持っていることを思い出した。

 

ノートを数ページ破り、私にしては珍しく焚き火台の上に丁寧に組んだ薪の間に入れて火をつけ、しばらく燃やしていると無事に薪に火がついた。

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ようやくビールを開ける。


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小浜から先、ルート上でビールを買える場所がないと踏み、わざわざ2本買って小入峠を登って来た甲斐があったというものだ。


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ビールと共に小浜のスーパーで買ったハタハタの醤油漬けを焚き火で焼く。太平洋側ではあまり見かけない立派なサイズで4匹は多いかと思ったが、ペロッと食べてしまった。


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よほどエネルギーを使っていたらしく、ビールの二本目を開けながら、こちらも小浜で買ったパックのおでんを食べた。

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ビールが空いてしまうと、ウィスキーを飲み始める。

 

ウィスキーを飲みながらぼんやり考えた。

 

正真正銘ひとりで旅をしているからこそ見える景色があり、感動がある。今回もわずか数分話しただけなのに刺激をもらった人もいる。


旅の感動と言うものは様々ある。今までの経験からそれがどういうものかわかったつもりでいた。

しかし、再び経験してみて、実際それがどういうものだったのか、頭で理解していることと実際に感じた様々な感動に大きな乖離がある、というのがよく分かった。

 

いざ、こうして実際に来るにはいつくか面倒なこともある。しかし、それをなんとか越えて、実際にやらないと「分かった気になったオッサン」に成り下がってしまうな、と思った。

 

 


その後、薪が尽きるまでしばらくウィスキーを飲むと早々にテントに入り眠りに落ちた。

 

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朝、テントに当たる雨の音で目を覚ます。

外はまだ暗い。

私はとりあえずコーヒーを淹れはじめた。

キャンプツーリングの朝はいつもコーヒーから始めている。

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スマホの電波が入るので、雨雲レーダーを見ると、八時過ぎまでしばらく降ったあとはあまり降らないようだ。テクノロジーの進歩で私のようなアナログな旅も楽になってきている。

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小雨のうちに朝食を食べ、テントの中を片付ける。長く旅をしていると、どこに何をどの順番でいれるか自ずと決まってくるが、単発の旅ではその辺が曖昧でパニアバッグの左右で重さのバランスを取りつつ、同じくらいの量を積めるのに少し時間がかかった。

 

雨が止んだところで、バイクに荷物を取り付けていく。

すると数10メートル離れたところに設営されていたテントから女性がビールとアルミホイルを持ってこちらにやってきた。

「すごいですね、自転車で来たんですか?」

私より少し若いぐらいの方だろうか、やや興奮気味な様子で聞いてきた。

私は今朝までの話を簡単に説明した。

「よかったら、ピザ食べません?焼き立てですよ。」とアルミホイルに乗ったピザを差し出してくれる。

 

「いいんですか?頂きます!」

朝食は朝食で食べたのだが、焼き立てのピザはとても美味しく、ペロッと食べてしまった。

 

少し立ち話をしたが、まさか20年前の学生時代ならいざ知らず、40歳を過ぎても、こんな風に話しかけられるなんて思いもしなかった。

 

旅にはいつも新しい発見があるな、と改めて思った。

 

話しかけてくれた女性のおかげで、なんだか新鮮な気持ちになってキャンプ場を後にした。

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ペダルを踏みながら、私は次の旅を考え始めていた。これが私のスタイルなら、これを続けていくしかないのかもしれない。

鯖街道針畑越え - 小入峠をめざして -

昼ご飯でやや食べ過ぎた感は否めないが、いざ目的地の小入峠を目指す。

※小入峠は「おにゅう峠」と平仮名表記が一般的のようだが、文章にすると読みにくいので漢字表記で記載する。

 

JR東小浜駅の前の道を南に真っ直ぐ進む。約19キロで峠のようだ。時間は午後一時。下ってからキャンプ場まで行く時間を考えると2時間で何とか登り切りたい。

 

アプローチの平坦区間をやや重たいギアで踏んでいく。

 

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少しずつ傾斜が出てくるが、ペースよく踏める。荷物の重さもそこまで気にならない。さすがリッチー。よく走るバイクだ。

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平坦区間が終わり、あからさまに斜度が急になる。ここから本格的な峠道のようだ。

フロントのチェーンリングを46Tから33Tに落とす。リアのギヤはまだゆとりがある。

出来るだけ淡々と踏む。斜度が上がるたび、リアのギアを軽くしていくが、一番軽い42Tは使わないようにした。最後の切り札、というところだ。

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時折、バイクと車が後ろから追い抜いていく。向かうからやって来たバイクのライダーが手を上げて挨拶をしてくれる。私も軽く手を上げて挨拶を返す。こんな些細なことだが、普段ではなかなかないことだ。自転車の荷物を見て、ツーリストと思ってくれたのだろう。何だかとても嬉しかった。

 

ひとりのロード乗りが向こうから降りてくる。あの人は峠を越えてきたのだろう。あとどのくらいあるのか。まだ私は上り始めたばかりだ。

 

数キロごとに出てくる大小様々な看板に「鯖街道」と書いてあり、手前は小浜、向こうは京都となっている。この小入峠越えのルートは針畑越えと呼ばれるもので、大きく分けて4ルートある鯖街道のうちの一本であるらしい。

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それにしてもかなりキツい斜度だ。

上根来の集落に地図があったので止まる。

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まだまだ先は長い。

 

道はほぼ一車線になり、急カーブと急斜面の道を向こうからバイクや車が降りてくるのはなかなかヒヤヒヤした。ただ、ほとんどの対向車は私に気がつくと通り過ぎるまで止まって待ってくれた。

ありがたい。

 

かなり進んだと思うが、まだまだ山の稜線は視界の上だ。気がつけばギアはもうない。

ときおりダンシングをしながらキツいところをやり過ごす。

短いヘアピンのコーナーが続き、短い距離で高度が更に上がる。向こうから自転車の集団がおりてきた。最初のライダーが「あの人、すごい荷物つけてるよ!」と私に聞こえるぐらいの声で後続に話しかけていた。私は何だか光栄な気分になった。

そしてそのあと見た最後尾の数名はEバイクだった。

「あれが正解だな。」思わず本音が漏れる。

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道の周りの紅葉はもうピークを過ぎているようだ。今回の旅の目的は素晴らしい紅葉の小入峠の風景だったはずだが、それがこの峠道を上っているうちに気持ちが変わってきた。

 

この先にある峠の景色が何であれ、この峠を自分の力で上りきりたい。そして、その景色を自分で手に入れたい。

 

そう思った。

これまでの旅でも、ずっとそうだった。

 

そしてそうやって手に入れて、自分のものにした景色は何ものにも変えがたいものだった。

 

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私は自分を奮い立たせ、ペダルを踏む足に力を込めた。

 

道の先にバイクが数台停まっているのが見える。

 

小入峠だ。

 

ついに来た。なんとキツい峠であったことか。

峠の反対側を見ると直ぐに滋賀県側の山々が見える。これほどはっきりと県境にあり、両側の山々が眼下に広がる峠はなかなかない。

これだけでも来た甲斐があった。

 

峠には何台の車とバイクがいた。道も狭いことであるし、きっと車やバイクでも大変だろう。

 

後で走行ログを見たら、上りの始まる区間の15.7キロからの平均勾配が5.1%で、そのうち最後の6.3キロの平均勾配が8.1%、さらに一番最後の2.4キロに至っては平坦勾配9.9%となっていた。

そりゃキツいわけだ。

 

私は自転車を立てかけると昼にスーパーで買った大福を食べる。柔らかい餅と甘い餡子が嬉しい。

 

若いバイクの兄ちゃん3人組が近くにいたので、声をかけて写真を撮ってもらう。ちょっとやんちゃ風だったがいい兄ちゃんたちだった。

 

「これでいいですかね。頑張ってください。」

 

自分より遥かに若い(もしかしたら10代だったかもしれない)人に励まされるなんて、なかなか出来る体験じゃないな、と思った。この一事だけでも旅に出てよかったと思った。

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峠道を滋賀県側に慎重に降りていく。

こちらも道は狭く、タイトコーナーが続き、スピードはあまり出せない。

私のブレーキはグロータックのワイヤー引きディスクだが、荷物を積んだバイクでも制動力に不安はなかった。

 

「ドスン」と何かが落ちた音がした。

 

私はすぐに止まり、バイクを置いた。

落ちたのはテントだった。

ガードレールのないところで、そのまま谷底まで落ちていたらと思うと冷や汗が出た。

 

道はやがて降り基調の平坦ルートになる。

 

予定のキャンプ場に暗くなる前に辿り着きたい。そう考えると、少しペースを上げる必要があったが、何もしなくてもかなりいいペースで走ることができた。

滋賀県側のほうが集落が多い。

 

途中でカフェののぼりを見つけて、道を少し逸れた。降りで身体が冷えてしまったので、何か温かいものが欲しかった。

 

山帰来」という山間地のコミュニティスペースといった感じのところで、移住者だろうか、若い女性が応対してくれた。

私はカフェオレを頼み、窓際の席に着いた。

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飾りっ気のないカフェオレは好感が持てた。

 

「ご馳走様でした。」

 

心も身体も温かくなり、私は外へ出た。

 

あとはキャンプ場まで走ればいい。

そう思っていたが、そうはいかなかったのである。

 

…続く

 

キャンプツーリングへ - 若狭湾-

数年前から行きたいと思っていた峠がある。

福井県滋賀県にまたがる小入(おにゅう)峠だ。

ある日、いつもお世話になっているGlocalbikeにあった日本の絶景の類の写真集をパラパラと見ていた時に、その紅葉の美しさに目を奪われた。

 

小入峠がどこにあるかから調べ始めて、滋賀のあたりらしい、そこまで遠いところではなないな、ということころまで調べると、しばらくそのままにしていた。

 

今回、たまたま日曜の仕事がキャンセルになったりして、週末が思いの外、動けそうだということに気がついたのが1週間ほど前。そして紅葉の季節に行きたかった小入峠ことを思い出した。

 

私は小入峠行きを決めると、その手段として一番好きなキャンプツーリングを選んだ。

数年ぶりにオルトリーブのパニアバッグにキャンプ用品を詰め始めた。寝袋、コッヘル、エアマットなどを詰めたあたりで手を止めた。

 

何を持って行き、何を置いて行くのか。

 

ここが一番難しい。登山の人も同様だろうが、「必要かもしれない」物まで持って行けば、心のゆとりができるが、その分荷物は重たくなる。今回、私は輪行で現地まで移動するが、バイク以外にパニアバッグやハンドルバッグを持って乗り換えをするのはかなり大変だ。そのため、荷物はコンパクトかつ軽いのが望ましい。自転車のツーリング、特に日本のツーリングでは、一日走ればどこかで必ず補給ができるので、食糧はあまり難しく考えなくていい。今回は防寒を中心に装備を厚くした。

 

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今回は春に新たに組んだグラベルバイク「Ritchey Outback V2」を使用する。リアセンターが長く、キャリアを付けるダボ穴もたくさんあり、ゆっくり長く乗るキャンプツーリングにはうってつけのバイクだ。

グラベルバイクを組んだのは、グラベルで遊ぶよりも、キャンプツーリングで使いたいという思いが強かった。ここに来てようやくそのチャンスが来た。

 

輪行袋に自転車と荷物を詰め込むと、豊橋駅から快速電車に乗り、旅のスタートに決めた敦賀に電車で移動する。

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豊橋から大垣まで快速電車で大垣から米原まで普通に乗り換え。この路線は若い頃はよく青春18切符を握りしめて輪行したものだ。米原から西へ行く快速に乗り、中国四国地方を何度も目指した。

米原で姫路行きの電車を見て懐かしくなると同時に、あの電車に乗ってしまいたい、という衝動に駆られた。

 

米原まで来れば目的地の敦賀までは快速で一本。

敦賀駅で降りたホームから改札までが遠くて参った。自転車とキャンプ装備を持って移動はかなり辛い。

 

敦賀で安いビジネスホテルにチェックインすると、街に出てしばらくぶらぶらしたが、いきなり土産を買っても荷物が増えるだけなので、夕食に海鮮丼の店に入り、ビールを飲んだ。

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ホテルに戻ると久しぶりの旅の興奮はあったが、日々の疲れもあって早々に眠りに落ちた。

 

翌朝目覚めると、コンビニメシで朝食を済ませるとパッキングをし、バイクに荷物を取り付けていく。

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本当はフロントフォークに荷物を付けたほうが楽なのだが、持っているアイテムの都合上、仕方がない。

 

朝の敦賀の街を西に向かってペダルを漕ぎ出した。

 

荷物でバイクが重い感覚が久しぶりで何だか嬉しい。街が動き出す景色を見ていたら、なぜかニュージーランドのウエストポートを思い出した。こうした普段なら思い出せないことを思い出すのも旅だなと思った。

 

旅の感覚は懐かしくもあり、新鮮でもあった。敦賀から西へ行くルートは20年ぐらい前に走ったはずかだが、若狭湾に抜ける関峠が大したことない、ということ以外、ほとんど記憶になかった。

目に映る景色全てが新しいものに見えた。

 

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関峠を降りると若狭湾が見える。

頭の中は小入峠でいっぱいだったこともあり、若狭湾のことは意識の外にあり、視界の先に広がった若狭湾を見てその美しさに殊更感動してしまった。

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日常から少し努力すれば、ここまで来られたのに、どうしてここまで来なかったのだろう。

怠惰に生きてきた自分が恥ずかしく思えた。

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小入峠には昼からアプローチすれば、充分間に合う。まだ時間は早い。予定にはなかったが、三方五湖に寄ることにした。

 

三方五湖の一つ、久々子湖

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地元の高校生だろうか。ボートの練習をしていた。

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スマホを置くのに丁度良いところがあったので記念撮影。


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久々子湖から浦見川の横を抜け水月湖菅湖三方湖の湖岸をゆく。

自転車でゆっくり走ることが、ただただ単純に楽しい。こういう感覚は忘れていた。

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道の駅三方五湖に寄る。

お弁当コーナーにちょうど寿司を搬入している業者さんがいたので中をのぞいてみると、焼き鯖とへしこのお寿司があった。へしこは鯖などの魚を塩と米糠で漬けた伝統食だが、売られているのは鯖一尾というものが多く、苦手だったらどうしようと買うのに躊躇していたので、この量ならといい機会なので購入した。

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駐車場にいたキッチンカーでカフェオレを買い、三方湖を見ながら休憩。地図を眺めてルートを考える。

私の旅のスタイルは僅かな目的地と宿泊予定地以外は現地に行ってから決めることが多い。

三方五湖から南に進み、小入峠のアプローチとなる東小浜に向かうことにした。

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南に向って伸びる広域農道が潔い直線で、スピードがぐんぐん伸びて行く。ペダルを踏むのが心地よい。これまでキャンプツーリングにはマウンテンバイクにスリックタイヤを履かせて乗っていたが、700cの太めのタイヤで走るグラベルバイクはスピードも良く出るし、安定感もある。

このスタイルは非常にいい。
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広域農道を進むと蛍光ベストを着けたサイクリストとすれ違う。近畿あたりでブルベをやっているようだ。私はすれ違う選手に手を振った。

 

東小浜の駅の辺りまで来て、スーパーに入った。

この先、宿泊を予定しているキャンプ場まで買い物が出来る場所が無さそうだったこと、それからローカルスーパーで売られているものが見て見たかったからだ。

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ママーストアー東小浜店に入る。

 

念のため夜のビールを2本、それから惣菜コーナーと魚売り場を見る。惣菜コーナーには地物のアジの唐揚げや小鯛の押し寿司が安い値段で並ぶ。

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また魚売り場には立派なハタハタの醤油漬けが。
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お菓子コーナーにあった餡子餅を補給食で購入。
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ローカルスーパーでの買い物を堪能し、近くの公園で昼食にした。

道の駅とスーパーで買ったお寿司を食べる。へしこの寿司は塩味が強いがなかなかいける。これは日本酒だな。ただ沢山は食べられないので、少量売っていたから土産に買おうと決めた。

 

満足な昼食を終えると、いよいよメインの小入峠に向かうことにする。

 

果たしてどんな風景と道だろうか。

 

…続く

 

 

 

 

ジャパンエコトラック東三河デジタルスタンプラリー - ライド奥三河 -

 

金曜に友人のタツマくんから土曜にライドに行かないかとお誘いの連絡が来た。

9月16日から開催されているジャパンエコトラックのデジタルスタンプラリーのルートをダモンデのいつものメンバーで走るという。

急な誘いではあったが、幸い都合がつきそうだ。私は「行きます」と返事した。

 

そもそも「ジャパンエコトラック」とは何か、であるが、ざっくり言うとアウトドアアクティビティを手段とした旅のスタイルでのことで、認定エリアはそれをサポートし、楽しめる地域ということである。東三河は昨年3月から公式エリアになっている。

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その公式エリアである我らが東三河地域で12月中旬までデジタルスタンプラリーが開催されているのだ。

 

デジタルスタンプラリーの対象となるところはサイクリングの6ルート、ハイキングの4ルート、そしてパドルスポーツの1フィールドである。

 

今回のライドは「豊川上流・つくでサイクリングルート」を行くそうだ。

 

朝、新城市桜淵公園に集合。私は家を出るのが遅れ、みんなを待たせてしまった。

今回のライドのメンバーはタツマくん、上野さん、エーシ、マサカズさん、私の5名。

 

ちょうどこの日は地元のイベントである「とよはしサイクルマラソン」の開催日で、桜淵公園はエイドステーションとなっていたため、多くのサイクリストで賑わっていた。

 

我々はまず、ジャパンエコトラックのアプリが入っているかを確認。アプリを起動してライドをし、指定のポイントに着くと、GPS情報からデジタルスタンプが付与されるようになっている。そして各ルートのスタンプを全て集めると賞品の抽選に応募できるようになっている。

この賞品がなかなか豪華で、ヘリノックスのチェアやジェットボイル、それから地元の本宮の湯の入浴券などなど。

 

私は既に豊川のサイクリングルートと豊橋のハイキングルートを回っており、勝手が分かっていたので、アプリのことなどみんなに説明した。

 

サイクルマラソンの参加者がいなくなった頃、我々はスタートした。

まず目指すのは鳳来にある旧黄柳橋

私が先頭を引くが、タツマくんとマサカズさんがグラベル系バイクで来ており、他のメンバーが乗るロードバイクのペースがきつかったようで、少しペースを落とす。

 

ほどなく黄柳橋に到着。

スマホを確認すると、スタンプを獲得したとの通知が。アプリはキチンと機能しているようだ。

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タツマくんが新しいバイクで来ていたので、みんなでいろいろ質問をする。

そして撮影会。

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なぜかマサカズさんが持つとそれらしく見えるので羨ましい。

 

我々は次のチェックポイントである鳳来寺山表参道に向かった。

 

表参道まではちょっとした峠を上る。

仲間から「えー、こっち行くの?」と不満が漏れるがまあいつものことである。行けば問題なく走れるメンバーだ。

 

表参道に着くとタツマくんが補給したいと言うので、しばし休憩。私はソフトクリームを食べた。

 

鳳来寺山の表参道からは、国道257号に入り、鳴沢の滝を目指す。

 

エコトラックで示されたルートは玖老勢から長楽の交差点に戻る道だったが、我々はそれより手前で257号に戻るルートを選択した。

 

このデジタルスタンプラリーは指定のポイントさえ回れば、厳密にモデルコースを走る必要はない。

地元ライダーである我々は、自分たちの好きな抜け道を行き、コースに合流することにした。

 

この日は青空の眩しい秋晴れで、走るには最高の陽気だった。

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257号沿のルートはほとんど川沿いの道で、奥三河の清流を眺めながら走るのは本当に気持ちがよかった。

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私は何度も「いいねぇ」と声に出していた。

 

次のチェックポイントである鳴沢の滝の手前でマサカズさんが次の予定のため離脱。

 

マサカズさんがみんなの写真を撮ってくれた。

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マサカズさんと別れ、鳴沢の滝へ向かって上っていく。この道は昔、ランドヌールクラブ名古屋の300キロで走ったところだ。ただ、そのときは夜中だったので記憶にあるのと大分様子が違う。あの頃のことはもう遠い過去のことのようだ。

 

鳴沢の滝に到着。

 

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かなりの迫力。

そしてなんだか水量が多い。

この1週間はあまり雨が降っていないはずだが、先週の台風やそれまでの雨で相当山に水が溜まっていたのだろう。途中の道もいつもより多く水が出ていたように思われる。

鳴沢の滝からのルートは土砂崩れの影響で現在は使用できない。行き違った他のライダーが自転車なら抜けられるのでは、とトライしたようだが、行けなかったらしい。

 

我々は迂回路を進んだ。

 

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鳴沢の滝から次は作手に入る。

時間はちょうどお昼。

 

今回のライドの目的はスタンプラリーもあったが、もう一つ、作手にあるカフェ「恋して!宇宙少年Cafe」でランチをすることであった。

 

いいタイミングでお店に到着。

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三河にしてはインパクト強めの外観だが、サイクリストにフレンドリーで、しかも食事が大変美味しい。

私は2度目の来訪だ。

 

ご主人は奥様とともにサーリーに乗る自転車乗りで、サイクリストの気持ちをよく理解されている。

私が最初訪れた際には私のバイクを見て、「カッコいいクロモリバイクですね!どこのバイクなんですか?」と聞いてくれた。最近尋ねられることも殆どないが、聞かれて一番嬉しい質問である。つまりいい印象しかないのだ。

そのときいただいたキーマカレーとプリンも私好みでまた来ようと思っていたのだ。

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そして今回、再訪が叶ったのである。

今回は前に気になっていた、きつねうどんとチーズケーキを注文した。

 

いい陽気なので、我々は屋外の席に座った。

なんて気持ちのいい日だろう。時折吹き抜ける風の心地よさよ。海外を旅したときはよく外の席で食事をしたな、とふと思い出した。

もっとも、不幸にも日向の席になってしまったエーシはやや暑そうだったが。

 

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しばらくしてうどんが運ばれてきた。

でっかいお揚げは地元、作手の豆腐屋さんのものらしい。ガッと大きめに齧ると甘い汁が口いっぱいに広がる。

 

美味い。

 

ライド中に汗で失った塩分を取り戻すようにうどんの汁を飲み干した。

いやはや、素晴らしい。

 

デザートのチーズケーキはしっかりした味わいだが、くどくなくこちらも美味しかった。

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こんなお店が奥三河に出来て本当に嬉しい限りである。作手まで行くのは、かなり上らないといけないのでハードルが高いが、「恋して!宇宙少年Cafe」に行く、という理由なら今までよりも作手に行ける気がする。

 

満足度の高かったランチを後にし、最後のチェックポイントである道の駅つくで手作り村へ。

 

ここでデジタルスタンプラリーのチェックポイントはコンプリート。

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ただスタンプが押されただけのだが、全て埋まると単純に嬉しい。

 

エコトラックのルートはまだあるが、チェックポイントを集め終われば、抽選に応募できるので、ひとまずここでデジタルスタンプラリーは終了。

 

道の駅からは本宮山スカイラインの入り口までアップダウン。みんないつも踏みすぎる、という話になったが、上り返しで、先行する仲間を追ったりしているうちに、結局いつものようにかけ合いになってしまった。

 

新城の市街に戻ってくると我らがホームである「ヤングキャッスル」へ。

ダモンデ代表の山田さんに今回のライドのことを話ながら、10月22日、23日の「ダモンデトレイル」のことを相談し、桜淵公園へと戻った。

 

仲間と走るライドと奥三河のよさを再認識した一日であった。

 

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表浜グラベル 

週末の朝ライドを主催しているクボゾーくんからいつものようにグループにライドのお誘いが入った。

 

マウンテンバイクが基本なのだが、最近はグラベルバイクでのライドもいろいろやっている。

 

一度グラベルライドに行きたいなと前から思っていたのだが、なかなかタイミングが合わず。ずっと行けないでいた。

今回ようやく都合がついて参加できることになった。

 

今回のメンバーはクボゾーくんと大西さん、若旦那さんの四人。

 

4月にはグラベルバイクを組んでからグラベルらしいグラベルを走りに行くのは始めてである。

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豊橋市の北東部、石巻山の麓から南下し、太平洋岸の表浜を目指す。

仕事に行く前にグラベルバイクで市内を流しているクボゾーくんはうまく市街地をパスするルートを走っていく。

途中、二川宿の路地を抜けていく。こういうところを知っているのは流石だ。

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そのあとは川沿いの道をいく。道はダブルトラックのグラベルになる。クボゾーくんが「川沿いや海沿いはグラベル多いからね。」と言うのを聞いて納得した。

 

川沿いの道を離れるとあまり馴染みのない道を行く。主だったコース以外はガーミンコネクトで引いたらしい。私も以前、wahooでルートを引いたことがあるが、ロードではスピードに乗れないような脇道を案内されて、使い勝手が微妙と思っていた。しかし、グラベルの速度なら、仲間とサドルトークをしながら走るのにちょうどいいなと感じた。

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ロードバイクでスピードを出すのも楽しいが、緩い速度で楽しむグラベルもいいな。

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やがて海が見えてくる。

海に向かって坂を降りていく。

 

自然と笑みがこぼれる。

海が見えるとどうしてこんなにワクワクするのだろう。

 

道から見える海はとても荒れていた。多くのサーファーが海に入っている。ここはサーフィンのメッカだ。

 

「ここからがメインだよ」とクボゾーくん。

 

海岸沿いのグラベルだ。

 

我々は西に向かった。

 

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最初はクボゾーくんの想定より道は荒れていないようだったが、途中からなかなかの道になった。

水たまりをよけるように走っていくが、足はすぐに泥だらけだ。

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道一杯に広がったある水たまりを走り抜けようとして、水たまりのど真ん中で足をついてしまった。

こうなるとどうでもよくなる。

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私は水たまりを積極的にさけるのをやめ、面倒なところはそのまま水たまりに突っ込んでいった。
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泥遊びはいくつになっても楽しい。

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海岸沿いのグラベルは思いの外、走りごたえがあった。

 

海岸沿いを離れ、道の駅とよはしへ。

フルーツサンドとコーヒーを買い、外の席で休憩。

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若い頃、旅をしたニュージーランドタスマニアではメインのハイウェイ以外はグラベル、というのはよくあったので、そういう国ならグラベルバイクもいいだろうが、日本ではどうだろう?と正直思っていた。しかし、今回こうして走ってみて悪くないなと思った。浜松在住の若旦那さんによれば浜松の海岸線はここまで走れないそうだ。

そう思うとこの東三河の自転車環境は非常に恵まれている。

 

道の駅を後にし、帰路に着いた。

 

バイクは海水の混じっているであろう泥まみれ。

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暑くて洗車する気力がなくなった私は、全体の泥を軽く水で流すとそのままGlocalbikeに持ち込んで洗車してもらった。

3000円程度で洗車と注油をしてくれ、不具合があれば教えてくれるので、非常にオススメである。

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ピカピカになったバイクを見て次のグラベルライドはどこがいいかな、と考え始めた。