定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

朝やどり vol.2 設楽町- 緩く過ごす昼さがり -

「いつメンですねぇ〜」

 

タイキくんが言うように最近のいつものライドメンバーが集まった。ダモンデのサイクリストメンバーのタイキくん、エーシ、上野さん、私の4人である。

 

夏に同じメンバーで乗鞍にヒルクライムという名のサドルトークに行ったとき、一度設楽町の駒ヶ原にある「遊べる花屋」に行きたいという話が出ていたのだが、今回ちょうど「遊べる花屋」でちょっとしたイベントがあるというのを聞き、ライドを企画したのだ。

 

仲間を誘ったところ集まったのが、いつメンだったということである。

 

設楽町駒ヶ原は設楽町の北東部に位置し、南部からはアクセスが難しいところだった。昨年、新しい広域農道が開通し、南部からのアクセスもよくなった。

しかし、駒ヶ原は標高約1000m。設楽町の中心部の田口が450mほどだから、そこからでも標高差が500m以上ある。どこからスタートとしてどう回るかはかなり悩んだ。

今回は標高を考慮し、道の駅したら付近をスタート、広域農道奥三河線で駒ヶ原、そこから段戸湖、田峯を回る60キロほどのルートを引いた。

 

道の駅したらのある設楽町清崎から田口までとりあえず上り。安沢の坂を上がって行く。

 

朝の一本目の上りなのでみんなテンポよく踏んでいく。序盤なので無理はしない。いつものように若手タイキくんがサクサク上っていく。若い頃あんな風に上れていただろうか。羨ましい。

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安沢の坂を上ると一旦、トイレ横の休憩所ですこし休む。上り区間ごとにこまめに休むのが今回の作戦である。

 

ちょうど一カ月前に豊根村茶臼山に行った際にもこの休憩所に寄ったが、そのときに比べればかなり涼しい。

次は名倉地区までの上りだ。

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設楽大橋までの道にカラーテープの巻かれた木がいくつか目に入る。建設中の設楽ダムの湖面の高さを示しているらしい。オレンジが水面より下、青が水面より上となる。ダムができたらどうなるのだろう。湖面がこの辺り、と言われてもいまいちピンと来ない。

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名倉地区までの上りは日当たりがよく、ペダルを踏むたびに汗が流れていく。しかし、日陰に入るととても涼しい。上りの頂上で後続を待つ。

近くに設置された温度計をみると21℃となっていた。この気温なら悪くない。

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名倉地区は奥三河での数少ない平場で雄大な田園が広がる。

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名倉は走っていて、本当に気持ちがいい。

南から来ようとするといくつか大きな上りをこなさいといけないので、そう頻繁に来れないが。

 

駒ヶ原に続く広域農道を一度通過し、道の駅アグリステーションなぐらへ。

こちらで再び小休止。

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みんなで名物のエゴマソフトを食べる。

エゴマの風味が香ばしいソフトクリーム。久々に食べたが美味しかった。
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上りは何度もあるが、こうして休みを取り、のんびり走るのはいいなと思った。

そして何より走るのが気持ちよくなる気温になってきた。このあたりの標高もあると思うが。f:id:independent-traveller:20230926192333j:image

道の駅から少し戻り、この日のメインとなる広域農道奥三河線にとりつく。
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新しく出来た道路だけあって道は綺麗だ。そして道を覆い隠すものがない。つまり日向をずっと走ることになった。

気温こそ高くはないが、ずっと日向は辛い。しかも中々の斜度だ。8〜10%の斜度が続く。斜度を示す黄色い看板を見つける度に「おおっ」と無駄に声が出てしまう。
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あまり眺望はないが時折、遠くまで見通せる場所が何ヶ所かあった。確実に標高を上げていることを実感する。
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遠くに茶臼山高原道路の稜線が見える。白く小さく見えるのは井山の風力発電のプロペラだろう。
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広域農道のサミットには「広域農道最高地点」の看板が。995mだそうだ。

一気に降っていく。

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降りから平坦になり、民家が見えると、遊べる花屋に到着した。

 

なんて気持ちのいいところなんだろう。

開けた場所にキッチンカーと白いテント。

これが「朝やどり」か。

この景色だけでも何だか癒される気がする。

 

我々はバイクをハンガーにかけると順番に出店者を覗いてまわる。

 

「あっ、しまちゃん!」

 

声をかけてくれたのは東栄町のお友達。

「ちょうどさっき、しまちゃんの話してたとこだよ」と話してくれた。

どんな話してたんだ?と少し気になったが、そんなことよりこうした場所で偶然、友達に会えたことがシンプルに嬉しかった。


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出店者も友達がいるので声をかける。

東栄町のゲストハウスdanonの金ちゃんは先月家族で遊びに行ったところなので「よっ!」と軽く声をかける。

金ちゃんはこの日はタコスを売っていた。金ちゃんのご飯は何を食べても美味い。danonのとなりはガチャカレーさん。こちらも先月、danonでご一緒させていただいた。

それからyamanokiのみやび。こちらはかなり久しぶりだった。元気そうで何よりだ。

 

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ざっと一周したところで遊べる花屋さんに入る。こちらは花屋さんとカフェ。ウッドデッキと黒い建物のオシャレなお店。昔は奥三河にはオシャレな立ち寄りスポットがない、と嘆いていたが、奥三河も変わったものだ。

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カフェのカウンターで店の方と軽く話す。いざ注文、と思って悩んだ結果、ノンアルビールにしてしまった。正直、ハートランドを頼みたかったが、今はこれでいい、そんな気分だった。f:id:independent-traveller:20230927224756j:image

私がノンアルビールを頼むと仲間もそれに続いた。私は野菜を売っていた出店者さんのところでポテトチップスを買って、ノンアルビールを飲みながらみんなでつまむ。


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青い空の下で、仲間とゆっくり座って他愛もない話をする。

周囲のお客さんや家族連れ、出店者さんたちが楽しそうに話している様子を眺めているとなんだかとても幸せな気持ちになった。

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ノンアルビールを飲んで落ち着いたところでランチにする。

ガチャカレーさんでカレーを食べたいがdanonのタコスも食べたい。とは言え、両方食べたいがそんなに食べれる気もしない。

そんなことを金ちゃんに言うと「あ、しまちゃん大丈夫。全然両方いけるって」とアドバンスをくれる。

ホント?と思いながら、まずはガチャカレーさんで東栄町の錦爽鳥のカレーとナスとレモングラスの合いがけカレーを注文。
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彩とりどりの野菜が美しい。素材の味を活かしたカレーは見た目を裏切らない美味しさ。そして優しかった。

上野さんと「オッサンにはこういう優しいカレーは嬉しいですね。」と話す。普通のルーのカレーがやや重たいオッサン達にも優しい素晴らしいカレーであった。

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金ちゃんの助言どおり、これならタコスも入りそうだ。

ガチャさんにご馳走様を言い、お皿を返した流れでそのままタコスを注文する。

それから、みやびのところで森の茶ソーダを頼む。

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森の茶は前から一度飲んでみたい、と思っていたがようやく念願が叶った。

これはクロモジとほうじ茶をブレンドしたものでクロモジのフレーバーが口の中に広がり、僅かな酸味が爽やかで、なるほど森の茶、なんだなと納得した。そしてこうした外でいただくのが正しいような気がした。

そんな風に過ごしているとあっという間に時間が過ぎた。いつまでもここにいられるような気がするほど居心地のいい場所だった。

ぜひまた来ようと誓った。

 

朝やどりの会場を後にし、我々は再びサドルの上の人に戻る。

遊べる花屋からは広域農道を北上し、一旦国道153号に出る。途端に交通量が多くなる。153号の区間をこなし、段戸湖方面に向かう細い道に入る。見逃しそうなところであったが、地元民のエーシが案内してくれる。


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ここからしばらく緩い上り。
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大多賀という集落を抜ける。雰囲気がいい。

そこからもまだしばらく上る。一応覚悟はしていた上りなので、タイキくんとサドルトークをしながら段戸湖まで進む。
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段戸湖到着。

ここに来るのは何年振りだろう。おそらく5,6年は来てなかったのではないか。若い頃に仲間と冬にキャンプに来たことを思い出した。最も、当時すでにキャンプ場は閉鎖されており、キャンプはダメだったと後から教えられたのだが。
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段戸湖からは田峰観音方面に向かう。

その道、県道365号はなかなかタイトな下りだった。エーシはバンバン飛ばして行くが私は慎重に降る。道は旧栗嶋村に入る。この看板はいつからあるのだろう。
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看板横の道を行くと田峰観音までのショートカットだ。ただ道は短いもののガツンとした上り。予想通りとは言え、ここまでなかなかハードなライドで正直しんどい。タイキくんを先に行かせ、後を追う。

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まあ何とかなるものだ。


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田峰観音までは下り。田峰観音の直売所で最後の休憩。休憩ばかりの一日だが、これでいいのだ。

この日は田峯地区が一望できる「だみねテラス」でカフェ営業があり、我々はそれぞれドリンクを頼んだ。地元民のエーシはこれまた地元のおじいさんおばあさんに「おい、久しぶりだな」などと話しかけてられており、さすがだなと感心した。

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私が頼んだドリンクはシソソーダ。爽やかな酸味が疲れた体に沁みる。

全体的にコースはきつかったと思うが、休憩多めにしたので、楽しく走ることが出来たと思う。

 

田峰観音を後にするとスタートの道の駅したらに戻った。ライドのほとんどを設楽町で過ごしたが充実のライドであった。設楽の懐の深さを実感した一日だった。