定着から放浪へ 放浪から定着へ

自転車の旅、そのほかの旅について書いています。

skydiving - cycling NewZealand -

「行くぞ!」ハッチの開いたプロペラ機から、あっけなく私は空中に放り出された。

すさまじい速度で落ちていく、いや飛ばされていく感じだった。

 

f:id:independent-traveller:20170609225810j:plain

 

************

 

8時20分にスカイダイビングの会社が、キャンプ場まで迎えに来てくれるはずだったが、時間になっても、一向に迎えが来ない。

どういうことかと思い、キャンプ場のフロントで聞くと、スカイダイビング会社に連絡してくれた。

曇りで朝一番のフライトはなくなったそうだ。次の時間11時20分のフライトに変更してもらう。キャンプ場の人が親切で本当によかった。自分では何もできない。

 

空いた時間を利用して午前中は街で必要なもの買い求めた。

書店でおしゃれな手帳見つけ、購入。

日記は日記で書いているが、それとは別にその日の出来事を一言、二言で簡単に書くのには使えるだろう。

 

自転車屋にも行くが、期待したほどの品揃えではなかった。ニュージーランドのデザインのレザージャージが売られていて、そのうち1着買いたいなと思った。

それから学生時代から愛用していたビンディングのサンダルがだいぶボロボロになってきていたので、warehouseに行き、削れた靴のかかとを直すパテのようなものを買って、サンダルを直した。

 

キャンプ場に戻り、スカイダイビングの会社が迎えに来た。

フライトの前にいろいろ説明されたが、私には英語が難しくて、ほとんど良くわからなかった。

f:id:independent-traveller:20170609213817j:plain

料金に応じて1,500フィートと1,200フィートのコースがあり、私は1,200フィートのコースを選んでいた。

 1,500フィートのコースの後、1,200フィートのフライト始まるまでだいぶ待たされた。

f:id:independent-traveller:20170609213807j:plain

 出番が来たようだ。

 

飛行機に乗り込み、すぐにフライト開始。どんどん高度が上がっていく飛行機から景色を見ているだけですごい、と思ったが、そこからがもっとすごかった。

 

やがて飛行機のドアが開かれ、意外とあっさりと、他のお客さんが順番に飛び出していった。私は飛行機で1番最後だった。私といっしょに飛ぶインストラクターのグレッグがカメラを回しながら行くぞと言った。

 

*******

f:id:independent-traveller:20170609225805j:plain

f:id:independent-traveller:20170609225815j:plain

案外あっさりと飛行機から飛び出したものの、落下中、思った以上に体が動かない。

自由落下が終わりやがてパラシュートが広がる。

f:id:independent-traveller:20170609225819j:plain

 

落ちるスピードがゆっくりになって、ようやく落ち着いて景色が見られるようになった。レイクタウポが眼下に見える。

ああ、あれが私が越えてきた山々だ。美しいな。

 

グレッグはパラシュートの紐を引くと言うので、言われた通り紐を引く。するとパラシュートが旋回し始めた。回りすぎてちょっと胃が気持ち悪くなってしまった。

だがそうした状況の中で、もっと楽しみたいというが気持ちとせめぎあう。思えばスカイダイビング本当に一瞬だったと思う。

 

f:id:independent-traveller:20170609225823j:plain

地面がだんだん近づいてくる。

そして、無事に着地。

f:id:independent-traveller:20170609225827j:plain

終わった瞬間はもうこんな怖いこと言わないんだろうな、と思ったがしばらくすると思い出してゾクゾクする。

また機会があったらきっとやるに違いない。

 

スカイダイビングの興奮が冷めやらぬまま、午後は手紙と日記を書きにバーに行った。

f:id:independent-traveller:20170609213825j:plain

昼間の静かなバーで1人、ハイネケンを注文し、手紙を書き日記を書いた。

 

そして、スカイダイビングが終わった後にもらった証明書を眺めていると、それを見たバーの女性が、「スカイダイビングやったの?」と聞いてきた。「そうだよ」と答えると、「私はいいわ」と言って彼女は笑った。

一杯飲んだらで店を出るつもりであったが、一杯目を飲み終わった瞬間、彼女が「ハイネケン、おかわり?」と言うのでつい注文してしまった。

 

いい店だ、また来よう。

Taupoへ向かう道 -cycling NewZealand -

不思議なキャンプ場を出発。

 

近くの店が9時に店が開くと言うので、開店を待っていたが、そこで売られていた商品は普通の店より1、 2ドル高く、次の街Taupoまで食料の補給は我慢することにした。

旅は長い。ビールを減らせない分、ちょっとしたところでの節約が重要だ。

 

あまりの登りは無い、というキャンプ場の息子の言葉を信じ、飲み物はコークが半分くらい残った2Lのペットボトルに水を足し、走り出した。

 

スタートから登りで辛い。諦めてローギヤでコロコロ踏む。

 

やがて道は平坦な感じになった。

f:id:independent-traveller:20170530230042j:plain

 【月が小さく見える】

 

しばらく行くとビューポイントの看板。

滝があるようだ。

f:id:independent-traveller:20170530230102j:plain

ビューポイントには観光バスがたくさんいた。バスツアーが休憩に使うのだろう。

 

車でやってきていた老夫婦に話しかけられる。英語はまぁそこそこ通じる。この英会話の能力だけが旅の問題といっても過言では無い。

 

 

そこからは何もないところをひたすら進む。

f:id:independent-traveller:20170530230127j:plain

景色もあまり変化がない。道もゆるくゆるく上っていたりするが、気になるほどでは無い。ただ風が強いのだ。

その強い風のせいで、ほとんど進まなかった。

前日から心許なかった食べ物も飲み物も、もうほとんどなくなってしまった。

ナッツバーを二本とネイピアのカフェで食べずに残してあったミント系のチョコ食べてごまかした。

その後、一軒カフェを見つけるがクローズドの看板。

仕方ない、次のカフェを目指す。

 

果たしてカフェはあった。

期待して入ったカフェだったが、味はイマイチで店の人の愛想もなかった。こんなものか。

f:id:independent-traveller:20170530230147j:plain

カフェの後もやる気をなくすような、ただただ平坦な道が続く。

 

暑い。

 

景色がなんだかサバンナのようだ。

 

f:id:independent-traveller:20170530230157j:plain

 

やがて見えてきた。海、いや湖、Lake Taupoだ。

f:id:independent-traveller:20170530230217j:plain


違う風景が見えて、急に元気が出てきた。再びペダルを強く踏む。 

 

f:id:independent-traveller:20170530230232j:plain

【風が強いのか木の枝が上を向いていた】

 

 

キャンプ場に到着し、チェックイン。

 

タウポでは一つチャレンジしたいことがあった。

 

それは、スカイダイビング。

 

タウポのスカイダイビングは有名である。NZに来る際、ぜひやったほうがいい、と言われていたこともあり、正直、ちょっと怖かったが、やってやろうと思っていた。

 

キャンプ場の受付のおばさんはいい人で、スカイダイビングのことを聞くと、早朝の安い料金の予約を取ってくれた。

これからも頼るのおばさんかな。

 

キャンプサイトではネイピアで私を見たと言う人に話しかけられた。こんなこともあるもんだな。

 

それからオーストリア人のサイクリストに会う。

ランドナーのようなシクロクロスのようなツーリング車に乗っていた。

しばらく情報交換する。向こうが調子を合わせてくれるのもあると思うが、サイクリストとはある程度話が通じるのはなぜだろう?

 

私はこれからまだ南島へ向かうと言うと、「何やってるんだ、quickly !」と言われた。この「quickly 」の使い方は正しいのか?なんて思いながら、なぜ急がなければならないのかと聞くと南島はこれからどんどん寒くなると言う。

 

そう言われても南島に行くのはまだまだ先だ。

 

一応、ネイピアで寝袋やら買い足したがそれでも不十分なんだろうか。まぁそのときはそのときだろう。

 

食事を済ませ、テントに潜ると、翌日のスカイダイビングに期待と不安を抱きながら眠りについた。

f:id:independent-traveller:20170606220943j:plain

【ここまでのルート】

 

不思議なキャンプ場 - Cycling NewZealand -

ダニエルとルティアという素敵なサイクリストたちと別れ、再びひとりになった私は、しばしの休息を終え、ネイピアを後にした。

 

ネイピアからは海岸線を離れ、内陸のTaupoに向かう。

 

ネイピアからはしばらく平地が続く。

数日休息を取ったとはいえ、しばらく酷使し続けた膝の心配があったので、ペースはゆっくりとしたものだった。

 

道はやがて山岳に入っていく。

f:id:independent-traveller:20170522223058j:plain

ときおり休憩をしながら、ネイピアで買ったリンゴを齧った。

 

山道を走っているとアールデコフェスティバルに出ていたのだろうか、クラシックなオープンカーに乗った初老の夫婦が私を抜き去りながら、思いっきり手を振ってくれた。

私も思いっきり手を振り返した。

 

そう、一人でも、いつも誰かが応援してくれる。

 

こうやって元気をもらえば少しくらい膝が痛くても、ペダルは踏める。ペダルを踏めさえすれば、私たちはどこへでも行けるのだ。

 

f:id:independent-traveller:20170522223123j:plain

 

食事が出来そうな小さな集落があったが、さほど空腹でもなかったのでそのままパス。

すると、そこからずっとカフェも何もなかった。

 

そうなると腹が空いてくる。手持ちのもので、すぐ食べられそうな食料と言えば、ネイピアで買ったミューズリーバーが2本と、朝ごはんの残りのトーストが2枚、ヨーグルト、パワージェル、それから捨ててしまおうと思っていた潰れたキウィフルーツが残っているだけだった。

 

比較的大きな街の間の移動と思って、食料をあまり持ってこなかったが、こういうこともあるので、食料の予備はしっかり持っておかないといけないな、と改めて思った。

 

そういえば、ルティアはあれこれ食料を持ち歩いていたが、あれは見習わなければいけない。

 

残っていた食料を食べ、パワージェルを飲むと思いの外、すっきり飲めて驚いた。非常に味が濃く、普段はそのままだとなかなかか飲めないものだが、それほどに疲れていたのだと思う。こういうときに消耗していたことを自覚することは多い。

 

 

補給の後、あまりやる気が起きずに、だらだら走っていたが、峠の中ほどで空を見上げると太陽の回りに虹の輪が出来ていた。

f:id:independent-traveller:20170522223110j:plain

 

自転車を降りて、カメラのシャッターを切った。こうした景色との出会いが私の旅だ。

 

この日、三つ目の集落にたどり着く。少し先にアイスの店「TipTop」の看板が見えた。


「あぁ、アイス」

私は、店に吸い込まれていった。

 

アイス屋のおばさんは客にジョークを飛ばしながら、アイスを盛っていた。

私はクッキーアンドクリームをシングルで注文。シングル当時1.6ドル(120円ぐらい)だったが、ボリュームはサーティーワンのレギュラーダブルぐらいの印象だ。私が疲れた顔をしていたので、おばさんがサービスしてくれたのかもしれない。

 

アイスは最高にうまかった。

ほんとうにTiptopのアイスは美味しいと思う。

 

TipTopの集落から、道は大半が下りだった。やがてキャンプ場がある集落に着くが、肝心のキャンプ場が見当たらない。

 

どうしようか困ったところで、バーの外で草刈りをしていた男性に声をかけると「ここだ」と教えてくれた。
 
やれやれ。

 

バーに入ると、店の奥から年配の女性ひとり出て来た。先ほど草刈りをしていた男性の母親だろう。キャンプしたいというと10ドルだという。敷地の奥がキャンプ場になっているらしい。


まだ日は高かったが、ビールを頼んだ。

f:id:independent-traveller:20170522223141j:plain

ああダニエル、君の習慣はすっかり私のものになってしまったよ。

しばらくして、息子も戻ってきて、カウンターを挟んで話す。

客は私だけだ。

 

f:id:independent-traveller:20170522223158j:plain

 

自転車で旅をするなんて信じなれない、といった内容のよくする会話をしたと思う。

あと、店から30分ほどトレイルを歩くとHotspringsがあると教えてくれた。

ビールを空け、テントを張り、洗濯物まで片づけると、まだ日も高いのでHotspringsまで行くことにした。

 

トレイルの入り口までは分かりやすかったが、いざ道に入ると分かりにくく、何度も迷いそうになった。ほんとうに合っているか不安になりながら、歩き続けると
すこし開けた場所に出た。

 

そこには自然の中にいきなり不自然につくられた二つの浴槽が。

しかし、浴槽はカラだった。

私は周囲を探し、蛇口でもないか、と思ったがそれらしいものは発見できず、あきらめてバーに戻った。

 

バーで「バスタブは見つけたが、emptyだったよ」と、珍しく「empty」という単語がすぐ出てきて、我ながら驚いたが、そう言うと息子の方が驚いた様子で「ほんとうか、そんなはずはない」とわめいていた。


「悪かったな、あとで、プールに水を入れてやるよ」と彼は言い、ビールを一杯ごちそうしてくれた。


もう一杯飲みたかったが、息子はなんだがソワソワしていて、早く出て行ってほしそうだったので諦めてバーを出た。

私がバーを出た後、バーを閉めて母と息子は犬を車に乗せて出かけて行ってしまった。

 

その後も客は私一人だった。

 

夕食を食べながら、プールに水を入れてくれないか期待して待っていたが、結局、プールの水は入れてくれなかった。

f:id:independent-traveller:20170522223215j:plain

 


夜になり、外で涼みながら日記を書いていると蚊が増えてきた。

 
トイレに立つと、トイレの中はにおいもなく、明かりがあり、思いのほか快適であった。

 

他に客もいないことなので、私はトイレで日記の続きを書いた。

 

f:id:independent-traveller:20170525220931j:plain

 

 

眩しすぎる街 -cycling NewZealand -

海外で旅した街でどこが印象的だったか、と聞かれるとパッといくつかの街が思い浮かぶのはたいてい海辺の街だ。NZではピクトンやグレイマウス、タスマニアではセントへレンズやローヘッド、デボンポートなど。

 

日本の好きな場所を思い浮かべると、信州とか奥会津といった山深いところが浮かぶのに不思議なものだ。

 

なぜなんだろう、目を細めてしまうほど眩しい日差しや海の青さが強烈にまぶたの裏に焼き付いているからだろうか。

いや、それよりもそこで過ごした時間が穏やかで、心安らぐ自由な時間であったからではないだろうか。

 

***************

 

それぞれの旅に戻ったダニエルとルティアを見送った私は一人、ネイピアの街を見て回った。

 

小高い丘に登ると、街が一望できた。

f:id:independent-traveller:20170411232049j:plain

 

ネイピアはなんて美しい街なんだろう。

 

アールデコ建築の街並みとエメラルドグリーンの海。

しばらく飽きもせず、丘の上から見える街を眺めていた。

 

この2日間歩き回った街を見ていて、2日前にダニエルとビールを飲んでいたバーの建物が目に入った。

 

「今日、まだビール飲んでないな。」

私は立ち上がると眼下に見えるバーに向かった。

f:id:independent-traveller:20170411233002j:plain

ビールをタップで注文。NZだけかもしれないが、ビールをボトルや缶で買うより、店で生ビールを飲んだ方が安い。

f:id:independent-traveller:20170411232819j:plain

バーの店内から外を眺める。ネイピアの街はまだ祭りの喧騒に包まれている。

ジョッキを空けて、ようやくほろ酔いになった私は再び街の散策に出た。

 

f:id:independent-traveller:20170411232234j:plain

 

街の外れで後ろ姿がかっこよすぎる紳士を見つけ、写真を撮った。

f:id:independent-traveller:20170411233924j:plain

 

そしてそのまま海に出た。

 

地元の若者たちだろうか。

f:id:independent-traveller:20170411232702j:plain

楽しそうに語り合う彼らは、いろんなものを放り出して旅をしている私のにはあまりに眩しい光景だった。

 

 

 翌日、私はしばしの休息を終え、再びペダルを踏む日々に戻っていった。

別れ -cycling NeaZealand -

ネイピア滞在2日目。

この日、ダニエルとルティアと別れた。

朝、私はダニエルと朝食を共にした。


なんだかお互い言葉が少なかった。
ダニエルはいつものように、ここがよかった、とか シマ、これからどこに行くんだ、とか聞いてきた。

私はいつものように答えていたつもりだったが、なんだか違って感じた。

ふたりとも下を向いてばかりだった。

こういうとき、何を話せばいいんだろう?

「ダニエル、コーヒー飲むだろ?豆で淹れてやるよ」

私はコーヒーを淹れはじめた。

私の折り畳み式のコーヒーバネットを見て、「そんなの見たことない」とダニエルが言うので「これはMade in Japanだ。私の"endless holiday"が終わったら送るよ。ああ、そうだ、日本にはうまいビールがあるんだ。ビールも送ってやるよ。」
と私が言うと、「いいんだ、シマ、いいんだ、そんなの」としきりに言った。

私は彼に何をしてあげられたんだろう?


今でも思い出す、はじめてダニエルに会った日のこと。
雨の中スーパーを探して彷徨っていると、一緒にスーパーまでいってくれたこと。でっかいビール二人で飲んで、さんざん話して、食事をして休んでいると、彼が新しいビールを買ってきて、「これは君の分だ」と言った彼の笑顔、なんとも印象的だった。

毎日、走り終わるとテントを張りながら、二人でビールを飲み、(となりでルティアは呆れていたが)たくさんのことをお互い下手くそな英語で話した。

私たちは分かり合っていた、と思う。

私は足を痛めて走るのが本当に辛いときもあった。
テントのポールが折れて、途方に暮れたこともあった。
降りしきる雨と強風の中、諦めてしまいそうなこともあった。

そんなとき、いつも励まし、助けてくれたのがダニエルだった。

 

「シマ、ノープロブレムさ!」

私とは20歳も違うのにガンガン峠を上り、私のような中途半端な若造を励まし、前へと進む力を与えてくれた彼は本当にかっこいいと思う。

彼はこれから南に向かい、あと2週間もすれば国へ帰る。


もう、会うことはないかもしれない。


それに気がついたとき、とても寂しくなって、
別れ際、お互いどうしたらいいか分からない私たちは
ただ、うつむいた。

 

キャンプ場で、荷造りを終えたダニエルは、最後に私とルティア、それぞれと固い握手を交わし、私たちに見送られながら、いつものように走り去って行った。

 

さらば友よ。

f:id:independent-traveller:20170424224722j:plain

 [ダニエルはカステリのジャージとビールが本当によく似合う]

 

ルティアのほうはと言えば、彼女もこの日、ネイピアを離れるのだが、バスで一旦移動するという。

「さて、私も行かないと。シマ、予定は?私バスの時間までしばらくあるから、少しつきあって。」

 

私はルティアに誘われるがまま、ネイピアの街に出た。街は相変わらず祭り騒がしい。

 

私たちは一軒のベーカリーでコーヒーを飲むことにした。

f:id:independent-traveller:20170424224618j:plain

カウンターのビスコッティを買おうとしたが、小銭がなくて困っていると、店の女性が笑って「ひとつあげる」といってビスコッティをくれた。

f:id:independent-traveller:20170424224635j:plain

[ビスコッティをくれた女性。サンドもおいしそう]

 

ルティアの好きな外の席で、しばらく話した。

ダニエルのこと、それから自分たちのこと。ルティアはまだ一か月程度旅を続けるので、南島のどこかで会えるのでは、ということになった。北島を出るとき、メールすると約束した。

 

「私、別れ際に湿っぽいのって嫌なの。じゃあねシマ。コーヒーありがと。」

素敵な40代のスイス人サイクリストはいつものやさしい笑顔で手を振り、去って行った。

 

私たちはそれぞれの道へ戻っていく。これが私たちの旅だから。私たちの道はまたどこかで交わうかもしれない。もう、二度と会うことはないかもしれない。それが分かっているからこそ、出会いを、自分の旅を大事にしようと強く思うのだ。

 

一期一会の言葉が身に染みる。

 

***

NZの旅から数か月後、ダニエルはフランスから絵葉書を送ってくれた。サイクリストの聖地モン・ヴァントゥの絵葉書だった。

f:id:independent-traveller:20170424225826j:image

内容は”Hi,mate.We cycle for two weeks inFrance.A lot of greats. Daniel Kummer from Switzerland”と言う彼らしいシンプルなものだ。

 

それを見て一瞬、「誰だよ、"we"って。」と思ったが、きっと例のダニエルの倍ビールを飲むという彼女のことだろう。

おかしさやら懐かしさで私は静かに笑った。