定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

シャワーライド

雨続きで自転車に乗れない日々が続き悶々としていた。土曜日の朝、一週間降り続いた雨が一時的にだが、止んでいた。

このチャンスを逃すと次にライドできるのはいつになるか分からない。私は自転車と自分の体が濡れるのを覚悟で午前中、ライドに行くことにした。目的地は休日営業をしている我らが拠点、ヤングキャッスルだ。

 

自宅を出て、まず静岡県境の多米峠を上り、浜名湖方面に向かう。

まとわり付く空気がいつもより重く湿っている。視界は悪くないが、まるで霧の中を走っているようだった。

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浜名湖に出るといつもの青い水面ではなく、泥の色になっていた。浜名湖にも土砂が流れ込んでいるのだろう。このあたりは大雨被害はどうなのだろうか。

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浜名湖の北岸を掠めて、三ヶ日方面へ。

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静岡県側から新城市に入るのに宇利峠を上るか瓶割峠を上るか少し迷ったが、宇利峠を選んだ。

 

宇利峠はこの辺りの峠にしては斜度も距離もきつくない峠だ。

 

途中、東名高速の上を越える。そこまでで全体の1/3といったところか。道の至る所で山から水が流れ出ていた。濡れた路面では上りでもスリップすることがある。タイヤから伝わる路面の状態を確かめながらペダルを踏んだ。

 

県境の看板が見えてきて、もうすぐ頂上、というところで雨が降り始めてきた。レインジャケットを着るか少し迷うが、降られたら着ればいいと判断し、宇利峠を降っていく。

 

雨はだんだん強くなる。だが身体が冷えるという冷たい雨ではない。

 

「この程度なら」

 

私は雨に濡れるに任せ、そのまま新城市街へ向かった。

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雨はすぐに弱くなった。これならジャージもそれなりに乾きそうだ。

 

桜淵公園そばの庭野の交差点のところに通行止めの案内看板が出ていた。

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乗本付近で崖崩れがあり、県道69号が通行止めになっているとは聞いていたが、もう少し先かと思っていた。現場は市川口の少し先らしい。

現場は新城と北設を結ぶ道の途中であり、日々、奥三河で生活する人々からすれば大打撃だろう。私にとっても、週末ショップライドで走るホームコースの一部である。

早く復旧するといいが。

 

新城市街に入るところで豊川を越える。

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このあたりでは見たことのない水量だった。

 

橋の上から一枚写真を撮り、ヤングキャッスルへ。

 

バイクスタンドに自転車をかけ、ヘルメットを取ると、ダモンデ山田さんが出迎えてくれる。「雨なのに。」

山田さんは濡れた私の姿を見て、やや呆れ顔だった。私からすれば、この気温だし、長旅でもロングライドでもない雨なので、濡れても大したことない、と思っていたが、はたから見たら、濡れた状態でわざわざ来たなぁ、という感じだったのだろう。

 

キッチン担当のりょーこさんがタオルを貸してくれる。

 

店内にはダモンデメンバーの八木さん親子が来ていた。

 

他には客はいない。

「今日はサッパリだよ。」

 

話はやはり長雨のことになる。

九州ほどではないが、長雨の被害は奥三河にも出でている。

県道69号のほか、いくつかの道路が土砂崩れなどて通行止めになり、飯田線新城駅を含めた長山駅から駒ヶ根駅までという長い区間に渡って不通となっていた。

その後、不通区間水窪駅平岡駅となったが、南北が分断されたままで、復旧には3か月かかるという。

 

ちょうど少し前にりょーこさんの家族は飯田線を使って飯田まで旅行をしてきたところで、飯田線の旅行をもっとしたい、と友達と話していたところだという。

私もそろそろ飯田線を使った輪行ツーリングをしようか、と思っていたところだったのだが、まさかこんなに被害が出るとは。

 

昨年、湯谷温泉飯田線を活用した地域活性化についての講演会があった。その中で、廃線になった鉄道の話が出て「昨日まで電車が走っていた線路に電車が走らなくなり、踏切も線路にしないように線路上に柵が置かれる。そして、廃線の日になった瞬間、ウェブの地図から線路図が消えてしまうんです。」という衝撃的な話だった。

 

その時の話とSNSで流れてきた電車の来ない飯田線の光景がその時を思い出させた。

 

飯田線は今のところ復旧するが、将来、こうした災害がきっかけに廃線の話が出てきてしまうかもしれない。そうならないように、大切に思っている人がいろんな使い方をして、その様子を発信していかないといけないと思う。

 

復旧したら、また仲間と輪行ツーリングをしよう。以前秋に訪れた長野、静岡、愛知の三県の県境地域は紅葉が素晴らしかった。

行きたいのは水窪から先の秘境駅区間だが、また水窪周辺のライドもいいかもしれない。

 

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昼時になり、一組お客さんが来たあとはまた身内しかいない状態に。こんな日にわざわざ自転車で来た私はやはりおかしな男なのだな、と思った。

 

お腹が空いたので私は辛いカルボナーラ「カルボロン」のメガサイズを注文した。

りょーこさんが「なかなかのビジュアルだら?」と熱い鉄板の上で高く盛られたパスタを持って来てくれる。

 

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なるほどナイスな見た目だ。大盛りが限界のであると言われる鉄板の上に高く盛られたメガサイズのカルボロン。

胡椒多めの熱々のカルボロンにさらに胡椒をかけ、ハフハフいいながらパスタを平らげた。気軽にパスタが食べれるヤングキャッスルは週末のプチライドにはちょうどいい。

 

パスタといっしょに頼んだコーヒーを一口飲むと、濃い味が口に広がり、最近会っていないBUCYOさんを思い出した。最近イベントもないしな。

 

コーヒーを飲み終えると、レインジャケットを羽織り、ヤングキャッスルを後にした。

 

ヤングキャッスルに来て、山田さんやりょーこさん、それに必ずいる他の仲間と話すといろんな発見がある。今回も飯田線のこともここで話さなければ、そこまで発想が飛躍しなかったと思う。

 

また寄れるときに自然体でヤングキャッスルに寄ろう。

もっとも、次は雨ライドでないときに。