奥三河の観光ポスターに真ん中に大きく「奥三河は春色」と書かれたものがある。その周りを囲むように奥三河各地の花の名所が紹介されているものだ。
奥三河はどの季節も美しい。中でも私は春がやって来るこの時期が特に好きだ。
コロナウィルスのせいで、各地でイベントが自粛される中、活動の場をアウトドアに求めている人は多いのではなないだろうか。私もそうした一人である。
例の如く、友人のタツマくんがSNSで週末の奥三河ライドを呼びかけてくれて、タツマくん、えーし、S藤くん、エースくん、OKNOくん、私の6人で走りに行くことになった。
朝、週末の特別営業をしている我らダモンデの拠点、新城の「ヤングキャッスル」に集合。ダモンデ山田さん、りょーこさんに挨拶をし、全員が揃うのを待ちながら、コーヒーを飲む。私は朝食を済ませてきたので、もらわなかったが、仲間は茹で卵とトーストのモーニングを食べていた。
今回のメンバー、私は全員知っているが、今回初めて会うという人もいるので、コーヒーを飲みながら、お互いの自己紹介などをする。
この日は我々を皮切りに多くのサイクリストがやってきたらしい。ヤングキャッスルは奥三河ライドの拠点として認知されつつあるようだ。
出発のとき、りょーこさんがみんなの写真を撮ってくれる。
りょーこさんと山田さんに見送られながら我々は北に向かった。
まずは新城市街から国道257号を北上、途中から旧田口線の道を進む、いつものルートだ。
新城市街を出ると、向こうからライダーの集団と行き違う。Glocalbikeの土曜日走行会の一団だ。いつもは向こう側にいるのでなんだか新鮮だ。グローカルのみんなはこちらに気がついてくれ、手を振ってくれた。
この日はとても暖かく、みんなウェアの選択に苦戦していた。私も冬用のアンダーが暑い。
少し暑いくらいの陽気な上に、空には雲一つない快晴。みんな口々に「いや、最高だな」と言っていた。私も何度もそう言っていた。
田口線跡の道を抜け、四谷千枚田へ。
前に来た時は正面の鞍掛山に雪が降っていたが今日はまるで違う。
少し前まで、冬のモノトーンな静かな色に支配されていた奥三河も(もっともそれはそれで趣があり、美しい)芽吹き始めた緑の葉と、民家の庭先のの梅や桜の花が何とも綺麗だ。
千枚田の見える駐車場までみんなで上っていく。最近ピストを新たに組んだエースくんは全く変速しないまま、何事もないように上ってくる。
この様子にみんな驚いていた。エースくんとしてはいいトレーニングぐらいらしい。
千枚田の最初の駐車場で休憩。何度来ても素晴らしいな。
タツマくんが「いいんだけど、写真がいつも同じになっちゃうんだよね。」と言う。確かに。ガードレールなどもあり、ここからの写真は同じアングルになりがちである。
冬ウェアで来たS藤くんが暑さでやられていたので少し休憩し、次は千枚田の中腹まで上がる。
そこから更に上の展望スポットまで上がる。
いつもの年なら奥三河パワートレイルのスタッフとして来るところだが、今年は残念ながら中止。ここ数年の年中行事なので開催されないのはとても寂しい。
この展望スポットには小水量発電があって、冷たい水が勢いよく出ている。ここで顔を洗うのが好きだ。
月並みだが、冷たい水が「ちょー気持ちいい。」のだ。
そこから新城市と設楽町の境にある仏坂峠まで進む。四谷千枚田もこうして途切れ途切れに行くと意外と苦じゃないね、などとOKNOくんとサドルトークしながら上っていく。ちなみにOKNOくんは先週、ブルベデビューを果たしたが、売木村で雪に振られ、途中で断念したらしい。私も昔、ブルベをやっていたが、そんな壮絶な経験はない。先週との落差は相当だろう。OKNOくんをツーリングに誘うのは初めてだったが、終始楽しそうで嬉しかった。
仏坂峠からトンネルを抜け、設楽町神田へ。
分岐点の数キロは気持ちのいい下り坂だが、途中にミツマタの群生地と滝があるので、ややゆっくり降っていく。
奥三河ではこの時期、いろんな場所でミツマタの花を見ることができる。有名なのは新城の作手と東栄町の尾籠だろうか。
神田のミツマタは道から川を挟んだ対岸に広がっており、近づけないのが残念だった。
枝の先に小さな黄色い花がいくつも咲いていて、そこだけ森が明るい。
ミツマタの群生地から少し降ると穴滝という滝がある。呼び名がいくつかあるらしく、看板には不動滝とかアミ滝とか書いてある。
迫り出した岩の上から水が流れ落ちて、滝になっており、岩の下の空間には小さな社がある。滝の様子は海外の離島なんかにありそうな感じだ。
エースくんが「ここはパワーを感じます」とおもむろに言った。
私はその辺のことはよく分からないが、私はなんとなく気になる滝なので、通るたびに寄るようにしている。もしかしたらパワーをもらっているかもしれないな、と思った。
穴滝からは神田の集落まで仲間たちが一気に降って行く。
私は集落に入ったところでブレーキをかけて止まった。
立派な梅の花が満開だった。
周囲に草木がなく、綺麗にされており、とても存在感があった。
神田といえば、黒梅が有名だが、こちらも見事だ。
本当に奥三河の里の花は美しい。
私はペダルを踏みなおし、仲間が待つ国道の分岐へと向かった。
つづく