定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

キャンプから奥三河を巡る

毎年、長野にキャンプに行くのが我が家の恒例行事だが、今年はこんな状況であるので家族で遠出は避けている。どこか近場でキャンプができないかと思っていたところ、新城市にある「やまびこの丘」でキャンプすることを思いついた。ここはイベントや食事では利用しているが、実際に宿泊したことはなかった。

 

「やまびこの丘」は新城市にあり、テニスコートなどのスポーツ施設やキャンプ場などの宿泊施設があり、スポーツクラブの合宿などで利用されている。今は利用者を制限して営業しているそうだ。

「やまびこの丘」自体は新しい施設ではないが、キチンと手入れがされていて、清潔感がある。こちらで働く大石さんは私の友人であり、また「奥三河の星干」といった奥三河の特産品を使ったお土産の開発を行ったりして非常に頑張っている人だ。

 

我が家はやまびこの丘一番奥のキャンプサイトを案内された。

車から荷物を下ろし、子供達に手伝ってもらいながら、テントを張る。子供達がもっと小さい頃は全て私が準備をしなくてはならず大変だったが、随分楽になったものだ。

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テントとタープを張り、私は焚き火の準備をする。

すぐに子供達が集まってくる。うちわや火バサミを持って焚き火の周りに座ると、薪を突いたり、うちわで風を送ったりしていた。こういうときしか火と触れる機会がない。私は子供達に少し注意しながら、火を大きくしていった。

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昼ごはんをたくさん食べたので、夜は簡単にした。野菜たっぷりのスープだ。我が家のキャンプの食事はあれこれ凝ったものを作ったりしない。焚き火の前で食事をすることが楽しみであるから、あとは美味しいものであれば、簡単なものでいいと思っている。

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夜になるとだいぶ冷えてきた。それぞれ服を重ね着させる。一番下の長男はさっそく上着をスープで汚していた。まあそんなものだ。

夕食後、しばらくして子供達はテントに入り、少し騒いでいたが、すぐに寝たようだ。

私は焚き火に薪をたし、ビールを飲みながら過ごしていたが、私もじきに眠くなり、その日は早めに眠りについた。

 

朝。私はテントを出るとまずお湯を沸かし始めた。

とりあえずコーヒーである。

焚き火台の前に座ると再び火を起こす。朝食は昨日のスープにショートパスタを入れるのだ。

 

周囲から鳥のさえずりが聞こえる。淹れたばかりのコーヒーを飲みながら、椅子の背もたれに体を預けた。キャンプの朝はいいな。

 

ほどなく長女が起きてきた。昨日は少し寒かったらしい。長女は早速、焚き火をうちわで扇ぎ始めた。

 

みんな起きてきたところで朝食。

スープの他に弱くなった火でトーストを焼く。トーストは煙をよく吸ってなんだか酸っぱい味がした。

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朝食後、片付けをして出かける準備をする。やまびこの丘に連泊し、昼間は奥三河をドライブするのだ。最近は奥三河に来てもなかなか北の方まで行けないので、この機会に行きたいところを回ろうと考えていた。

 

まずは設楽町の田峯に向かう。直売所で買いたいものがあった。田峯に着くとまずは田峰観音に参拝する。そういえば今年の初詣は田峰観音だった。

 

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参道の階段からは周囲の山がよく見える。

直売所では、田峰観音に奉納されていたという「べらべら餅」とナメコ、晩御飯用に里芋を買う。

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早速、直売所横のベンチでべらべら餅を食べてみる。薄めの柔らかい少し甘めの餅だ。白いのと緑色のが入っているが、緑の方はお茶が混ぜてあった。

10枚も入っているので、少々多いかと思ったが、子供達のおやつにちょうどよかった。

 

田峯を後にし、次は道の駅アグリステーションなぐらに向かう。ここでは名物のエゴマソフトクリームを食べる。香ばしいエゴマの風味が美味しいソフトクリームである。もっとも、ソフトクリームを食べるには寒かったが。

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アグリステーションの後は茶臼山高原道路を上がる。道の駅つぐグリーンパークに行こうかとも思ったが、いい機会なので設楽町豊田市の境にある井山に登ることにした。

面ノ木ICの駐車場から徒歩で20分の気楽なハイキングである。長男はどうしてそんなことに行くのかと文句を言っていたが、歩き出せば元気なものだ。

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かつての牧場跡を抜けて進んでいく。こういうところを歩くと前に出場したOMM奥三河を思い出す。懐かしいな。ちょうどこの近くのエリアが舞台だった。

井山の山頂に着いた。

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雲が多い空模様ではあったが360度視界の開けた山頂からの景色は見る価値がある。

子供達にも概ね好評のようだ。

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妻がちょっと頑張った子供達にキャラメルを一人一つ配り、それを食べると来た道を戻って行った。
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面ノ木ICから近くの面ノ木園地まで移動する。最近ここには面ノ木ピットという休憩小屋が設置されたというのをSNSで見たので、実際どんなものか見てみたかったのだ。

綺麗な窓の広いコンテナハウスのような建物が並んでおり、無料で使えるらしい。

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(写真は設楽町観光協会ホームぺージから)

中はとても清潔で、お弁当を食べたりするのに良さそうだ。このあたりはなかなか食事をする場所もないし、今の季節は外でお弁当では寒いのでうまくPRするといいのになと思った。敷地内にあったトイレも新しくなっていたので、周辺の散策にも使えそうだ。

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面ノ木からは津具に降りた。次の目的地は「ジビエの森」である。ジビエの森では鹿や猪の肉や加工品が購入できる。ここで売られている鹿肉のコンフィと猪肉の大和煮が欲しかったのだ。

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津具からは豊根村に抜け、兎鹿嶋温泉に行く。そうこうしているうちにお昼を随分過ぎてしまった。

温泉のレストランで遅めの昼食。

レストランは換気のために窓が開いていて少し寒かった。

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私は名物のダムカレーをいただいた。

兎鹿嶋温泉には毎年夏に茶臼山で開催されるマウンテンバイクのレースの際に利用するが、家族で来たのは初めてである。

この日は露天風呂がアヒル湯になる日だったようで、露天風呂には沢山のアヒルのおもちゃが浮かんでいた。子供と温泉に来るとすぐに出たいと言われて長いこと入っていられないが、この日はアヒルのおもちゃのおかげで私はゆっくり温泉を堪能できた。

 

温泉を出た後、晩御飯用に肉を買いながら、やまびこの丘に戻った。

やまびこの丘に戻る頃には日が暮れかけていた。

せっかく奥三河の北部を回るというので、張り切っていろんなとこに行こうとして欲張り過ぎたようだ。

三河各地で買ってきた食材を車から下ろし、早速夕食の支度をする。

 

夕食は田峯の里芋、鳳来牛などの奥三河の食材を使った芋煮だ。牛肉はそんな高級なものを買う予定ではなかったが、それしか買えなかった。

 

今朝の消し炭で簡単に日を起こすと、焚き火の炎で食材の入った鍋を温めながら、横でジビエの森で買ったイノシシウィンナーを炙る。

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外気は少々冷えるが、ここはビールだ。

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三河の野菜と鳳来牛のいつになく豪華な芋煮が出来上がる。粘り気のある柔らかくよく煮えた里芋が美味しい。寒い夜には最高だ。

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芋煮を食べ終わると子供達は使わなくなったテントのポールを火吹き棒にして、一生懸命火を強くしようとしていた。私も子供の頃はバーベキューのときなどよく火の番を進んでしたものだ。

 

やがて眠くなってきた下の子供達は順番に歯を磨き、テントに入って行った。

 

私は残った長女に昔の旅の話を始めた。これもキャンプの恒例になりつつある。今回は若い頃、福島を電車とヒッチハイクで回ったときのさわりだけ話した。さわりだけ、というのは長女も私もすぐに眠くなってしまったからだ。

長女がテントに行き、私はしばらくビールを飲みながら火がなくなるまでひとり、その炎を眺めていた。