定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

自分の時間 - 奥三河ソロライド -

半年ほど仕事で激務が続き、先週、仕事中に激しい眩暈に襲われた。それから二日間、寝込んでいたが、何とか持ち直した。どうしてこんなに働いているのか。

 

幸い仕事はピークアウトした。

私は有休を取り、一人ライドに出た。

 

一人で一日ライドするなんて何日振りだろう。

行きたいところはどこだろう。

 

そういえば、そんなことを考える余裕さえ失っていたんだな。

 

しばらく考えてこの猛暑でも涼しいであろう標高600mの作手高原に向かうことにした。

 

ルートは使ったことのない萩峠を越え、くらがり渓谷から作手に上るルート。

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以前、筧五郎氏が九十九折の素晴らしい峠と評していた峠だが、私はまだ行ったことがなかった。

運動不足が響いて、峠に取り付いてもなかなか登っていかない。すぐにギアを使い切った。

「やれやれ。」

先が思いやらる。件の九十九折は短いがなかなかの斜度だった。

 

萩峠を越えたところで、通り雨に遭遇した。


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木の陰に隠れて雨をやり過ごす。

序盤から休憩だが、これはこれでいい。

雨宿りはロングツーリングをしていた頃のことを思い出す。タスマニアの辺境のハイウェイで強い雨に途方に暮れた、なんてこともあったな。

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雨が弱くなり、私は走り出した。道は杣坂峠からの道と合流し、くらがり渓谷へと入っていく。くらがり渓谷は夏休みとあって多くの家族連れで賑わっていた。

 

しばらく淡々と峠道を登っていく。

 

くらがり渓谷というだけあって、木々に覆われてた峠道は涼しい。東三河南部から作手にアプローチする場合は、国道301号を登るかくらがり渓谷を登るのが一般的だが、301は日当たりがいいので、この時期はくらがり渓谷から登るのがいい。


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道の途中に岩を割って育つ木を見つけた。

くらがり渓谷も何度も来ているはずだが今まで気が付かなかった。こういう発見はいつもある。

 

くらがり渓谷の峠道、田原坂を登り切ると作手まで一気に降りていく。

 

道の駅「作手り村」に着くが定休日。

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まあさして目的がある訳でもない。

 

道の駅の奥にある亀山城址に寄る。

何年か前にここでガイドさんに城のつくりなどを解説して頂いたことがある。
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亀山城址から眺める作手の景色は素晴らしかった。
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作手まで来たので久しぶりに「恋して宇宙少年カフェ」に寄る。
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相変わらずファンキーな外観だ。

この日は地元の中学生が職業体験をしており、中学生の女の子がメニューの説明をしてくれた。
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私はきつねうどんとバタフライピーのアイスティーを頼んだ。

我ながらなんという組み合わせかと思ったが、それはそれ、これはこれである。

青色のアイスティーは知らないとインパクト大だろう。私はよそでいただいたことがあり、分かって注文していたので、驚かない様子に中学生の女の子はがっかりしたかもしれない。


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こちらのカフェはカレーとプリンも大変美味しいが、個人的に好きなのはこのきつねうどんだ。

地元作手産の大きくてしっかりした揚げが美味しく、また少し甘めの出汁も私の好みで非常によい。汗をたくさんかいていたこともあり、出汁も全て飲み干した。幸せだな。

 

作手からは塩瀬方面に向かう。

 

途中、この地域を代表する山城「古宮城」の前を通過し、甘泉寺に立ち寄る。

 

ここは長篠•設楽原の戦いで名を馳せた「鳥居強右衛門」の墓があるという。


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参道は趣きがある。

 

甘泉寺は思ったより立派なお寺だった。

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寺の奥に鳥居強右衛門の墓があった。

強右衛門の墓の横には奥方の墓が並んでいた。

東三河各地には鳥居強右衛門にまつわる史跡がある。地域に愛される地元の英雄なのだ。

 

作手から塩瀬には川沿いの道を下ってゆく。終始日陰で、涼しく、非常に走りやすい。

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塩瀬のあたりは川と集落の風景が、いかにも日本の田舎の原風景といった佇まいで私の好きな奥三河の場所の一つだ。

 

そんな塩瀬には「リバーベース塩瀬」というキャンプ場と釣りなどが楽しめる場所が今年の6月に新しくオープンした。

 

気になってはいたが、まだ行ったことはなかった。見たいだけ、という理由でいきなりサイクリストが行くのもどうかと思ったが、せっかくなので行くことにした。
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幸い、お客さんのチェックイン前の時間で、スタッフさんがわざわざ場内を案内してくれた。
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キャンプエリアにはキッチンと簡易シャワーとトイレが整備され、隣の川で遊ぶ子供にはライフジャケットを無料で貸し出ししてくれるという。また釣り道具の貸し、スタッフの方が指導もしてくれるそうだ。

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オープン直前の豪雨で水が越水し、大変な被害があったそうだが、スタッフの方々の懸命の復帰作業で無事にオープンを迎えたとのこと。

この暑さの中でもキャンプのお客さんは来るそうで、真夏の暑いキャンプが嫌いな私は「暑さは大丈夫ですか」と尋ねると

「ここは川下から風がずっと吹いてますし、山に囲まれてるので、夕方4時くらいから暗くなります。だから夏でも夜は寒いぐらいですよ」と教えてくれた。

最近、釣りに目覚めた息子と来るにはちょうどいいところだなと思った。今度は息子と来よう。

 

丁寧に説明してくれたスタッフの方にお礼をいい、リバーベース塩瀬を後にした。

リバーベース塩瀬

リバーベース塩瀬 | 愛知のキャンプ場 | 管理釣り場

 

 

塩瀬の後は設楽町の道の駅に向かう。

 

道の駅したらで「設楽町ぐるぐるスタンプラリー」の台紙を見つけた。

「町内の道の駅や対象店舗で、お土産品や五平餅、ソフトクリームを買い求め、スタンプを集め応募すると、関谷醸造の空や段戸牛などの豪華な特産品が当たるスタンプラリー」とのこと。

 

段戸牛も空も長いこと口にした覚えがないな…

 

どれだけスタンプが集まるか分からないが、とりあえずトライすることにした。

 

時間は午後一時を回ってもうすぐ二時というところ。昼前に食べたうどんはどこへやら、お腹が空いてきた。

スタンプラリーもあることだし、道の駅のとなりの「八雲苑」に入った。

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今年は鮎が不漁なのか、鮎入手困難の看板が。

 

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しかし、それを見るとあるうちに食べたくなるものである。私は鮎の定食を注文した。

 

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鮎を食べるのは久しぶりだ。

三河は各地に鮎を出してくれる店があるので、ぜひいろいろな店を巡っていただきたいが、近年は大雨で鮎が流されることが多くて以前より貴重になっているらしい。

 

八雲苑のあとは田峯に向かう。

田峰観音の下にある直売所もぐるぐるスタンプラリーの対象店だ。

些細な話題で売店のおばちゃんと話が弾む。

 

こちらでは茶畑を見下ろしながら、休憩できるテラスでドリンクなどを楽しむのがいい。f:id:independent-traveller:20230804205706j:image

今回はすもものソーダをいただいた。

すももの酸味が爽やかに口に広がる。

 

「さて、行きますか」

 

この後、本当はもう一ヶ所寄りたいところがあったが、時間が遅くなってしまったのでこのまま家路についた。

 

一人で自由に過ごす時間がいかに幸せかを思い出すことができたソロライドだった。

いつも心に平穏を与えてくれる奥三河に感謝。