久しぶりにイベントに参加した。
地元の豊橋自転車競技協会主催の「とよはしサイクルマラソン」である。
この大会は前身の大会である「とよはしとよねサイクルマラソン」、さらにその前は「とよはしとみやまサイクルマラソン」として開催されていた大会が一昨年から現在の「とよはしサイクルマラソン」として開催されている。
昨年はコロナの影響で中止であったが、今年は無事に開催された。
私は前身の「とよはしとよねサイクルマラソン」は夏の年中行事として毎年参加していたが、現在の大会になってからは初参加である。
スタート地点は豊橋競輪場。
今回はいつもお世話になっている「Glocalbike」の仲間も参加。
受付を済ませるとゼッケンを受け取る。ゼッケンは前の大会からずっと変わらない。
豊橋競輪場の場内で簡単な大会説明を聞くと、競輪場内をひとまわりしてからスタート。
ホームコースである県道81号を北へ。
新城市に入ると収穫を待つ稲穂が道の両側に広がる。
朝日を浴びながら、秋晴れの青空と黄金色の稲穂の間を走り抜けていく。
気持ちのいい日だ。ライドにいい日とはこういう日だろう。
田園地帯を抜け、峠道に入る。
Glocalbikeの走行会で一緒に走るoknoくんに引いてもらいながら、福津峠を登っていく。ここはGlocalbikeの走行会でもよく使うところだ。
峠を超えると川沿いの道を調子よく降っていく。
最初のチェックポイント道の駅「鳳来三河三石」に到着。
チェックポイントはセルフチェックとなっており、自分の名前にチェックを入れた。
まだ序盤だが、早速、補給が配られる。最初の補給はブラックサンダーと鬼まんじゅうだ。
この先の消耗具合が何とも言えないので、いただいた補給はその場ですぐに食べた。
最初のチェックポイントからは、本長篠を経由し、国道257号線を北上して行く。
途中から、Damondeクルー御用達の旧田口線廃線跡に入る。ウェットで苔むした路面が少し心配だったが、問題なく走り抜けた。
次のチェックポイントは、四谷の千枚田。
何度訪れても、四谷の千枚田の景色は壮大である。秋の晴天の日に来ることができてうれしい。
仲間とサドルトークをしながら、ゆっくり千枚田の間を上っていく。すでに稲刈りは終わっていたが、稲刈りが終わった後の棚田の風景も美しかった。
Glocalbikeの仲間のTさんは少しクラシックなコルナゴで参加。素晴らしくカッコいい。
四谷の千枚田から仏坂峠に向かう峠道を走っている頃はまだ余裕があった。
oknoくんと「ここって、そろそろ終わるかな、と思うと同じようなコーナーが続くんだよね」などと話しながらペダルを踏んでいるとトンネルが現れる。すぐに次の頂上のトンネルに到着。
峠道は軽くトークしながら登るくらいが丁度いい。
Glocalbikeの仲間が揃ったところで、峠を下る。
前にここに来た時、友人のタイヤがパンク&バーストしたので、注意しながら進む。
3つ目のチェックポイントは設楽町の旧神田小学校。
ここにはなんだかんだで、年に一度くらい来る気がするが、少し久しぶりだ。
このエイドでは大福が出た。
昼食のエイドまで小一時間ほどだが、大福を手に取った瞬間、柔らかくてこれは美味しそうだと、後先考えずに食べてしまった。
神田からは川沿いに東に、東栄町に向かって走っていく。ここはDamondeのメンバーとはよく走る定番コースなので、心配はない。
はじめは道幅が狭く、木々に覆われた川沿いの下り基調の道だが、東栄町に入ると道が川から離れ、空が広くなる。
東栄町の「月」という地区だが、この道を勢いに任せて走っていくのは本当に気持ちがいい。
私はその勢いに任せてペダルを踏み込んだ。
国道151号線とぶつかったところで南へ。
途中、お友達のおうちがやっている無人販売所に立ち寄りオクラを購入。
休憩しているときに見たインスタで、今日の野菜のラインナップが紹介されていたのだ。天狗ナスが欲しかったがもう売り切れていた。さすが人気の無人販売所、尾崎ファーム。
無人販売所から少し行くと昼食会場の東栄町花祭り会館に到着した。
屋外に設けられた昼食会場には席ごとにパーテーションが立てられていた。
会場には、東栄町のサイクリングでお世話になっている役場の山下さんと東栄町観光まちづくり協会の伊藤くんがお腹を空かせたサイクリストたちのお世話をしていた。
「来るんじゃないかって話してました。」
こうして東栄町のお友達におもてなしして頂けるのが非常に嬉しい。
チェックポイントのセルフチェックを済ませるとそのまま昼食が配られる。
昼食は東宝苑さんのお弁当と豚汁。
お弁当はどこかな、と楽しみにしていたので受け取ったとき思わず「あ、東宝苑だ!」と言うと豚汁をつけてくれた女性が「ご存知ですか?」と聞いてくれたので、「ボリューム満点のランチをいただいたことがありますよ。」と答えた。
「もうすぐ椎茸狩りが始まりますので、ぜひいらしてくださいね。」とのこと。
こういう会話も久しぶりだ。
お弁当は肉厚の椎茸が煮物や炊き込み御飯のおにぎりなどに入っていて、とても美味しかった。
これから肉厚の椎茸がサイクルマラソンの名物になるかもしれない。
昼食を終え、山下さんと伊藤くんと話す。
「シマダさん、ぜひぜひこちらを」と山下さんに勧められるがまま、冷たい緑茶をいただく。
すっきりとしたまろやかなお茶。
「美味しいね!」私が言うと、伊藤くんが教えてくれた。
「これは川根園さんのお茶ですよ。水出しにすると最高です。とうえい温泉でも買えますよ。」
次にとうえい温泉に行くときはぜひ買うことにしよう。
昼食会場から先はひたすら国道151号線を南に向かう。
午後になり、暑さが増してくる。
10月とは思えない暑さだ。
とよはしとよねサイクルマラソン時代の8月の炎天下に比べれば、かなりマシだが、それでも十分こたえる暑さだ。
Glocalbikeの仲間とは途中の三河大野のコンビニで合流する約束をして進む。
東栄町と新城市の境、池場の坂あたりから、ほとんど踏めなくなってしまった。
仲間から離れてひとり耐えながらペダルを踏んだ。
コンビニ休憩後もあまり状況は変わらない。午前中の調子の良さが嘘のようだ。
ゴール手前最後のチェックポイント、桜淵公園に到着。
補給にバナナをもらう。
コンビニしばらくで別れた仲間と再び合流したが、またしばらくで一人旅になる。下半身の疲労感が激しい。ペダルを踏む力が入らない。
この一年、100キロ超えのライドはほとんどしていないツケがきていた。来週、ブルベの100周年記念大会200キロに出場する予定だが、とても完走出来る気がしなかった。
踏めない足で騙し騙しペダルを漕ぎながら
「石原さんならどうするだろう?」と
2年前に他界したロングライドの巨匠のことを思った。
あの人なら、リタイアしても困らない準備をした上で、今できる最大限のことをして、少しでもゴールに近づこうとするだろう。
ゴールまで10キロほどになった頃、下半身の疲労感が抜けてきた。
来週のブルベはどうなるか分からないが、万全の準備をして悔いなく走ろうと決めた。
道はやがて豊橋の街中に入っていく。
住宅地の間を抜け、ゴールの豊橋競輪場が見えた。
先にゴールした仲間達が「お疲れ様!」と声をかけてくれる。
久しぶりの100キロ超えのイベントライドは無事に終わった。
ほとんどがホームコースといえるルートだったが楽しめたライドだった。また来年も参加しよう。
参加賞は道の駅とよはしで買える豊橋の特産品だった。以前はサイクル用品のくじ引きだったが、随分変わったものだ。このほうが断然いい。
帰宅後、私は子供に参加賞を渡すとすぐにシャワーを浴び、日の高いうちからビールを開けた。
火照った体に冷たいビールが沁みる。
来週のブルベはどうなるか分からないが、万全の準備をして悔いなく走ろうと決めた。