定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

古刹 - ライド新城 -

 

その日は梅雨時期にあって、朝から天気は晴れだった。車で出かける予定があったが、午前中、新城市方面にライドに行くことにした。

 

紫陽花の季節なので、せっかくなら紫陽花を見に行こうと決めた。奥三河で紫陽花というと、設楽町の平山地区、新城市の四谷千枚田それから冨賀寺が知られている。

 

設楽の平山は集落の人が大事に育てた紫陽花が一面に咲く、非常に見応えのある場所だが、今回は時間の制約もあるので、そこまでは行けない。

 

行けたら四谷千枚田、ひとまずは新城市南部にある冨賀寺に向かうことにした。

 

走り慣れた朝の道を北東方向に走っていく。

街場をすぐに離れ、周囲の景色はすぐに田畑になる。つい先日も走ったところだが、田畑の作物は前よりずいぶん大きくなったように感じる。雨の恵みを受けて、ぐんぐん成長しているのだろう。

f:id:independent-traveller:20200619185913j:image

郊外のあるカフェの外に出された黒板のメニューがふと、目に入った。

とたんに懐かしい記憶が蘇った。

 

まだ海外を自転車で旅をしていた頃、とにかく毎日お腹が空いていた。

早朝にキャンプを撤収して走り出し、カフェの前を通ると、道のほうに向かって出されていた黒板のメニューをよく眺めていた。

まだカフェに入るには早い、と。昼まで我慢しようと、思い直しそのまま通り過ぎだカフェがいくつあったことか。いつもカフェに入るのはお昼だった。

f:id:independent-traveller:20200619190257j:image

旅をしているときのような朝の雰囲気を、朝のライドのどこかで感じていたのだろう、カフェの黒板を見て、そんなことを思い出した。

 

豊橋の郊外から新城市へ入る。

 

冨賀寺に行く前に近くにある車神社に寄ることにした。

 

車神社の社紋は,源氏車の車輪を形象化したものだそうで、交通安全祈願にふさわしい神社として、最近では地元サイクリストにも知られた存在になっている。

私は何十回と車神社の前を通っていたが、訪れるのは今回が初めてだ。車神社の前の道は信号のない開けた直線で、自転車で走っていると気持ちよくペダルが踏めてしまうので、ついつい通り過ぎてしまうのだ。

 

 

田んぼの真ん中にある車神社は山を背にして建っており、道から見ると田んぼの真ん中に浮かんでいるようで、非常に画になる場所だ。

 

いつもは通り過ぎる神社の前で止まり、鳥居をくぐり、車神社に足を踏み入れた。

 

神社の入り口にはバイクラックも設置されており、自転車の人がよく訪れることが伺えた。

f:id:independent-traveller:20200619190530j:image

社殿の前には社紋である車輪が左右に置かれていた。

f:id:independent-traveller:20200619190545j:image

ひと気のない朝の神社は清々しかった。

f:id:independent-traveller:20200619190607j:image

朝の神社はどこか張り詰めた空気があるが、ここは周囲が田んぼで開けているからだろう、とても穏やかなたたずまいだ。

f:id:independent-traveller:20200619190716j:image

本殿で安全祈願をし、車神社を後にする。

 

車神社からは、周囲の田んぼの道を走ってみる。途中から未舗装になるが、そのまま舗装路に戻りそうだ。最近、未舗装を走るのがサイクリストの間で流行っているが、脇道にそれて、どこに行くのかちょっと冒険気分になれるのがいいかもしれない。

 

しばらく走るといつもの道に戻った。

 

車神社から冨賀寺まではすぐの距離だ。

 

冨賀寺も実は来るのは初めてだ。

入り口の看板を見ると飛鳥時代からの由緒あるお寺だそうだ。そんな歴史のあるお寺とは知らなかった。

 

f:id:independent-traveller:20200619190858j:image

 

お寺の敷地に足を踏み入れる。

森に囲まれた冨賀寺は先程の開けた車神社とは対照的に奥までいくと少し薄暗く、梅雨の季節のひんやりとした静謐な空気の中に存在していた。

f:id:independent-traveller:20200619191904j:image

紫陽花の名所と聞いていたので、紫陽花の花が咲き乱れているような様子を想像していたが、参道に行儀良く咲いていた。

f:id:independent-traveller:20200619191800j:image

そうか、ここはこれが正しいのだ。

 

森に囲まれた静かな歴史ある寺院に咲く紫陽花。

f:id:independent-traveller:20200619191929j:image

華やかに咲くものばかりを想像していた自分が恥ずかしくなった。

 

本堂から参道の横道を行くと「観音の道」という歩道がある。余談だが、苔むして水分をたっぷりと含んだ道なので、ビンディングシューズのサイクリストは用心して欲しい。私は数回転びそうになった。

 

冨賀寺からはよくショップのライドで行く桧峠を越え、鳳来方面に向かう。

f:id:independent-traveller:20200619192446j:image

桧峠は北側の舗装がきれいになっていた。舗装がイマイチなのは南側なのだが。

 

そこからさらに北に向かう。

 

寒狭峡大橋まで来ると下に鮎滝が見えた。前日の雨で水量が多い。

f:id:independent-traveller:20200619193113j:image

鮎滝は江戸時代から続く伝統の『笠網漁』と呼ばれる滝を越えようと跳ぶ鮎を、竿の付いた網で捕らえるという珍しい漁法が行われている場所で、ちょうど網を持った人が二人ほど見えた。

 

橋の上で止まったついでに時間を確認する。

 

昼に妻とランチの約束をしているので、このまま四谷千枚田まで行くと時間に間に合わない。

 

私は予定を変更し、鳳来寺山の表参道に向かった。

 

この日はちょうど旧門谷小でカフェをやっているのだ。のんびりコーヒーを飲んでから、山を降りていけばちょうどいい時間のはずだ。

 

f:id:independent-traveller:20200619193748j:image

さして時間もかからずに鳳来寺山の参道に着く。門谷小は相変わらず雰囲気がいい。

 

f:id:independent-traveller:20200619193743j:image

月火水とこの場所でカフェ爾今の店主トラさんがコーヒーを出している。

何気なく頼んだコーヒーが美味しくてびっくりした。


f:id:independent-traveller:20200619193740j:image

 

私は同じタイミングで来た女性と先客のおじさんとしばらく会話を楽しんだ。

 

コーヒーを飲んでいるとトラさん目当てにいろんなお客さんがやってくる。

どのお客さんも一癖二癖ありそうだ。

そんなお客さんにトラさんは「70年生きてきて今が一番楽しいよ!」と言い放っていた。

全くあやかりたいものである。

 

そのまま鳳来市街へ向かい、車で来た妻と合流した。

 

ランチは新城市の大海にあるイタリアン「St.Thomas」。

以前は豊川に店があり、妻とよく通ったのだが、そちらはしばらく前に閉めてしまい、最近また新城で店を再開したのだ。

この店について書くとブログが3回は書けるので詳しくは書かないが、とにかく好きな店だ。

 

f:id:independent-traveller:20200619195805j:image

初めて行く方にはぜひ、ポルチーニかスカンピのクリームパスタを食べて欲しい。濃厚なソースが癖になること請け合いだ。

 

この日は限定でペスカトーレがメニューに出ていたのでそれを注文。

f:id:independent-traveller:20200619200020j:image

たっぷりと魚介の入ったパスタが美味しくないわけがない。

お気に入りのお店で久しぶりに妻と二人でゆっくり食事ができた。

f:id:independent-traveller:20200619200554j:image

会計の時、店主の中澤さんと話したが、コロナの影響でこちらも客足が遠のいているそうだ。また来るようにしよう。応援らしい応援はそれしか出来ない。

 

「ちょっと食べ過ぎたかな?」

そんなことをいいながら、帰りは妻と車で帰った。

 

 

 

豊川河口へ

日曜日、次女と長男が「風の自然学校」の「アウトドアキッズ」に行き、一日不在となったので、午後から長女とふたりでポタリングに行くことにした。

 

風の自然学校は武田芳男さんが代表の子供向けのフリーキャンプを行っているところで、私は子供が生まれる前はときどきボランティアで手伝いをしていた。

子供が生まれてからは、もっぱら子供を遊ばせてもらうほうになっている。

アウトドアキッズは年長児から小学校3年生までの子供が参加できるデイキャンプで、池でザリガニを捕まえたり、木の実を取ったり、自然の中で子供がしたいことをさせてくれる。

 

風の自然学校ホームページ

https://blog.canpan.info/kaze-nature/

 

下の子供達がいない状態で長女と親だけという機会も貴重なので、本人に何がしたいか聞いてみたが、「自転車に乗りたい」ということだった。

 

一番上の子供はなにかと我慢させることが多く、週末に自転車に乗る時も、下の子供達に合わせたペースで走っており、自分のペースで遠くまで走ることがほとんどない。

私にしても、長女がどのくらい走れるのか、よく分からないので、そのあたりを探りながら走ることにした。

 

どこに行こうか迷ったが、「海でも見に行く?」と聞くと「海まで行けるの?行く!」とやや興奮気味な返事が返ってきたので、豊川沿いに走って海に向かうことにした。

 

豊川沿いの道はしばしば子供達と走るのだが、いつもは左岸を行くことが多い。

今回は「牛川の渡し」から渡し船で左岸から右岸に渡り、右岸の道を行くことにした。

「牛川の渡し」は豊橋市道の扱いになっており、無料で対岸に渡してくれる。

 

長い竹竿一本でおじさんが上手く船を操り、対岸まで運んでくれた。

f:id:independent-traveller:20200609081953j:image

うちの子供達は渡し船が好きでたまに乗りに来る。

 

堤防道路に出て、走り始める。

少し走ると土手の下の畑に色鮮やかなキジのつがいがいた。「見てごらん、キジだよ。」

f:id:independent-traveller:20200611194536j:image

前を走る長女に呼びかける。「キレイだね。」と長女。キジたちを横目にそのまま走っていく。


f:id:independent-traveller:20200609081958j:image

 

「日差しは暑いけど、風があって暑いのか涼しいのか分からない」と長女が言う。

私は今の季節が自転車乗るのに一番いい季節だと教えた。もっと風が強くて前に進まないようだったらどうしようかと実は心配していたのだが、向かい風も暑さを和らげてくれるぐらいの心地良い風で、その心配は無用だった。


f:id:independent-traveller:20200609082001j:image

国道一号線を越えると川には多くの人がいた。河口に近いこの辺りは潮の影響をよく受ける。この時ちょうど潮が引いており、砂地が多くその姿を現していた。みんなシジミを取っているのだろう。

私も子供の頃、よく取ったものだ。
f:id:independent-traveller:20200609081945j:image

鉄道の橋をくぐり、いくつか橋を通り過ぎる。

 

10キロほど走ったあたりで休憩。

「川の近くまで行く」と長女は堤防から川のそばまで降りていくと、「カニがいるよ。」と教えてくれた。

砂地に指先ほどの小さなカニがたくさんいた。

よく見るとその小さなハサミを揃って振っていた。

「おもしろいね。」

 

休憩後、さらに進み、国道23号を越える。

もう河口だ。

 

昔、「風の自然学校」のボランティアをしていた頃、数日かけて豊川源流から河口まで子供達と自転車で走るキャンプのスタッフをしたことがあるが、その時の目的地がここだ。

「懐かしいな。」

長女はちょうど参加者ぐらいの歳になった。長女もいろんなことができる歳なんだな、と改めて思った。もっと長女の可能性、本人の「やってみたい!」を伸ばしてあげたい。


f:id:independent-traveller:20200609082006j:image

 

 

「この辺りで道はおしまいだよ。このままぐるっと回ると、そのまま豊川放水路に続いてるんだ。」

 

私はさらに河口にかかる豊川大橋や港の方を指差して、さらにケータイの地図アプリでどこを走ってきたかを説明した。

 

帰りは豊川の左岸を走っていく。

風は緩い追い風。

長女は軽快に川沿いの道を進んでいった。

 

まだ長女が幼稚園児だった頃、住んでいたあたりを通ったので、昔遊んでいた公園に立ち寄る。

 

私はちょっと久しぶりだなと、思ったぐらいだったが、滑り台が新しくなっていた。

 

アパートから引越した後、何度か子供達にせがまれて来ていたと思ったが、長女は数年ぶりだという。

長女がひどく懐かしがっていた。大人の数年と小学生の数年がどれだけ違うのかを改めて思った。

 

街中まで来たことでもあるし、長女はたくさん走ったので甘いものでも飲んで帰ることにした。

 

今年のはじめにオープンしたというコーヒースタンド「Heart to Heart」という店に寄る。何度か店の前を通っていてちょっと気になっていたところだ。


f:id:independent-traveller:20200609082009j:image

韓国風のかき氷「ピンス」がオススメらしい。

長女はイチゴのシェイク、私はキャラメルナッツのピンスを注文した。

ココナッツファインのように細かくなったミルクの氷がカップ一杯に入っており、下にはキャラメルソース、上にはナッツとこれまたキャラメルソースと女子が好きそうなスイーツだ。


f:id:independent-traveller:20200609081949j:image

 

なかなか口当たりがおもしろく、好きなフレーバーだったので、私はペロッと食べてしまった。この日の私の運動量では罪悪感の残る甘さだったが(もっとも、最近は何を食べても大丈夫になるほどハードなライドはしていない)、たまにはこういうのもいいだろう。

長女が嬉しそうにしていたのでそれでいいということにしておいた。

 

甘いドリンクを堪能すると、そのまま走り慣れた道で家に帰った。

この日は20キロほど走ることができて、長女は疲れた様子だったが満足そうだ。

長女はいつまで私のライドに付き合ってくれるのだろうか。もっと遠くへ。いろんな景色を見に行きたい。

集落からの眺め - ライド新城 -

緊急事態宣言が解除された最初の土曜日、それまで控えていた市外へのライドへ出かけた。まだグループライドはやめて、一人で走ることにした。

 

前にも少し書いたが、一人で旅に出るのは好きだが、普段走るのは仲間と一緒の方が好きである。

 

翌日の日曜日は天気が悪そうなので、午後からは子供達と遊ぶ約束をし、私はロードを車に積んで新城に向かった。

 

新城に向かう道はロードでも車でも走り慣れた道だ。田植えが終わったばかりの水田が眩しい。自走すればよかったかな、と少し後悔した。

 

新城市桜淵公園に車を置いて、そこからロードで走り出す。

久しぶりのロード、そして久しぶりのDamondeのチームジャージ。

最近は自粛もあり、マウンテンバイクで近くの山を走るばかりでロードはしばらくぶりだ。ペダルを踏み込むとすぐに加速していく感覚が心地よい。

 

私はまず、新城の市川地区に向かった。

 

市川地区は奥三河に行く際の主要道である県道69号を一本入ったところにあり、山の中に隠れるようにある集落だ。特に用がなければ来るような場所ではない。

 

私も数年前まで行ったことがなかったが、ここ何年かはフォトロゲのチェックポイントになったりして行く機会があった。

知らなければ通り過ぎてしまう分岐を曲がり、集落に向かう坂道を上がっていく。

 

f:id:independent-traveller:20200602082132j:image

民家の見えてくるところまではそう遠くない。

 

f:id:independent-traveller:20200602082428j:image

集落の入り口に神社がある。大きくも小さくもない、綺麗に保たれた神社。地域の人が掃除しているのだろうか。

三河にはこうした神社がたくさんある。
f:id:independent-traveller:20200602082422j:image

神社からの眺めはいいが、集落はまだ上に上にと続く。私は集落の一番上を目指した。

民家の間の坂道を抜け、道のてっぺんに出る。


f:id:independent-traveller:20200602083247j:image

f:id:independent-traveller:20200602083439j:image

 

市川の集落を見下ろせる場所で休憩する。

集落の向こうには長篠市街が見える。標高は200m程度だと思うが、眺めがいい。

上ってきた道をそのまま進むと集落と反対側の斜面に出る。道は続いているが、ここから先は未舗装路だ。

以前、別の集落を抜けて反対側から市川に来たことがあるので、今回は市川側から抜けてみることにした。

f:id:independent-traveller:20200603082451j:image

市川から先の道はロードバイクで行くには少し荒れた道だったが、なんとかなるレベルだ。できるだけフラットなところを選んで走る。

 

薄暗い林道に差す日の光が美しい。

 

林道にはいくつか分かれ道があるので、ときおり地図アプリで現在地を確認しながら、アップダウンの続く林道を進む。

 

林道区間が終わり、また舗装路になった。

 

大平の集落だ。

ここは秋には多くの彼岸花が咲く。隠れた彼岸花の名所だ。

f:id:independent-traveller:20200604082149j:image

(この写真は以前来た秋の様子)

 

f:id:independent-traveller:20200604082400j:image

こちらも山あいの静かな集落といった佇まいで、優しい景色だ。遠くに農作業をしている人の姿が見える。

f:id:independent-traveller:20200604205048j:image

そのまま大平の集落を抜け、県道69号に戻った。

まだ少し時間があるので、もう一つ、小さな山の上を目指すことにした。

大平のすぐ近くにある鳶ヶ巣山だ。

山頂までは短い上りだが、なかなかの斜度である。

途中、長篠市街を望む場所が気持ちいい。

ここは長篠の合戦の際に武田方の砦があったところで、山頂にその様子を伝える看板がある。

f:id:independent-traveller:20200604082805j:image

山頂は木々に覆われていて展望は開けていないので、そのまま隣の万灯山に向かう。

f:id:independent-traveller:20200604083331j:image

草に覆われた道を進んでいくと視界が開けた。

f:id:independent-traveller:20200604083425j:image

しばらく景色を眺めると万灯山を降り、県道69号に戻った。

 

昼食を済ませて帰ろうと、お気に入りのお店「長生うどん」に行くとDaMONDE の仲間たちと偶然会うことができた。

f:id:independent-traveller:20200604205624j:image

思わぬところで話が出来てよかった。

 

ずっと食べたかったカレーうどんを平らげると、仲間と別れ、家路についた。

 

ほんの数時間のライドだったが、あまり行かないところに行って、いい時間を過ごすことができてよかった。

三河は素晴らしい。

 

 

 

風切山 - 奥三河低山ハイキング -

これはまだコロナの緊急事態宣言が出されるまえの頃の話だ。

 

珍しく豊橋里山に行って子供達はけっこう歩ける、ということが分かり、新城市の山に行った。

 

選んだのは、新城市にある風切山。風切山は桜の名所である桜淵公園からアクセスできる山でここも標高356mと比較的低い山だ。

 

ちなみに風切山の情報は新城市のスポーツツーリズムのページに詳しく載っており、私もこちらを参考に歩いた。

 

風切山めぐろーどコース – 新城市スポーツツーリズム

 

今回は自分の子供達と長女の友達のTちゃんを連れて行くことになった。

 

午前11時頃、桜淵公園を出発。

まずは山の入り口にある荒沢の滝に向かって県道沿いに北に向かう。

 

子供達は元気よく歩いて行く。

f:id:independent-traveller:20200409082217j:image

暖かくなってきて、いろんなところに花が増えてきた。女の子達はタンポポや他の花を摘んだりして、道草しながら楽しそうに進んでいく。

「あ、つくし」次女はつくしを見つけると摘み始めた。長男もそれを見ていっしょに摘む。どうするのか聞くとお母さんに煮てもらうらしい。なるほど、それで一生懸命な訳だ。

長男は次女のつくし取りをいっしょにしながら、トカゲを見つけたらしく、捕まえようとしたが、逃げられたようで残念そうだ。

荒沢の滝の入り口には段々になった田圃が広がっており、彼岸花の名所として知られている。

今の季節はタンポポがたくさん咲いている。長女とTちゃんがタンポポで花束を作っている。

f:id:independent-traveller:20200409081915j:image

ほのぼのとした様子を妻とTちゃんのお母さんに伝えようと写真を撮るとTちゃんが「送っちゃダメだよ。お母さんにあげてびっくりさせるんだから。」と言う。かわいい子である。

f:id:independent-traveller:20200409082344j:image

桜淵公園から荒沢の滝の入り口まで子供の足でも20分あれば行くかと思っていたが、文字通り道草をして小一時間かかった。山の上でお昼を食べようかと思っていたが、もう12時であった。子供達にお腹が空いたか訊ねるとまだ大丈夫というので、お昼は歩いた調子で決めることにした。

 

田圃の横の獣害除けの柵を開けて荒沢の滝へ向かう。

 

沢沿いの斜面を上がっていく。荒沢の滝には不動明王が祀られており、赤いのぼりが道に何本も立っていた。

f:id:independent-traveller:20200409082817j:image

田圃の入り口から荒沢の滝まではあまり時間は掛からなかった。随分前に私が来たときにはほとんど水がなかったが、今回はまずまずの水量があった。

f:id:independent-traveller:20200409083033j:image

子供達は滝壺のそばで水に手を入れ、「冷たい!」といいながら、キャッキャっと楽しそうだ。

山から降りてきたのだろう年配の夫婦がやってくる。軽く挨拶をして、我々は山道に戻った。

 

先に行く長女たちが分かれ道で「どっちー?」と振り返って聞いてくる。

 

風切山のハイキングコースには要所要所に看板が立っており、迷う心配はない。このルートは初めて来るが、他のルートで風切山に登ったことが数回あるので道の心配はしていなかった。

 

しばらく行くと「だんご山」というところに出る。

少し視界の開けたところで古いベンチがあった。

f:id:independent-traveller:20200420083129j:image

ここで少し休憩。おやつを食べる。子供達は自分のカバンからおやつを出して食べ始める。私はタンブラーのコーヒーを飲み、飴を一つ口にいれた。

 

ベンチとその隣には東屋があったが、そちらは破損しているのか使用禁止になっていた。さらにその先には石碑があり、「山の神」と彫られていた。

f:id:independent-traveller:20200420082802j:image

「山の神」というのがどんな神様かよく分からないが、安全に山で過ごせるようお賽銭置くと手を合わせておいた。

 

ベンチの近くの斜面にカタクリ花が咲いていた。

f:id:independent-traveller:20200420083235j:image


f:id:independent-traveller:20200420083229j:image

子供達はカタクリを見るのは初めてだったようだ。

「綺麗なお花だね。」

子供達はしゃがんでカタクリの花を眺めていた。

 

カタクリの群生地からしばらく行くと年配のご夫婦とすれ違う。子供達は元気に挨拶した。

 

そこからさらに行くと老人福祉センターに出る。

ここでも少し休憩。老人福祉センターが開いていたらトイレを借りようかと思ったが、週末は開いていないようだ。

 

ここから本格的に風切山の登りに入る。

 

このから先は何度か来たことがあるのでルートの心配はない。

f:id:independent-traveller:20200522221133j:image

子供たちは相変わらずワイワイいいながら、楽しそうに登っていく。上の子たちについていけない長男と後ろからゆっくりついて行く。

 

風切山の山道には280を超える石仏が祀られており、少し進むと次の石仏に出会う。

f:id:independent-traveller:20200522082017j:image

先を行く長女とTちゃんは石仏と出くわすたびに律儀に手を合わせていた。

 

次女のペースが遅れてきた。

「お父さん、お腹空いた」

確かにそういう時間だが、せっかくなら山の上でお昼を食べたい。次女を励まし、先に進んだ。

 

それからしばらく山道を進むと林道に出る。ここは景色がいい。新城市内が一望できる。

f:id:independent-traveller:20200522081913j:image

ここでお昼ご飯でもよかったが、次女以外は山頂まで行く気になっていたので、次女を励ましつつ、そのまま進む。

 

長女たちが前で何か騒いでいる。

Tちゃんが何か捕まえたようだ。Tちゃんは手の中のトカゲを見せてくれた。最近、トカゲが捕まえたくて仕方がない長男はTちゃんを羨望の眼差しで見ていた。

f:id:independent-traveller:20200522082100j:image

Tちゃんはトカゲを長男に渡してくれたが、長男はトカゲを逃してしまった。長男は残念そうだが、Tちゃんは「いいよ」と言ってくれた。

 

私はしばらくTちゃんと話しながら歩いた。Tちゃんのお父さんは仕事が忙しく、Tちゃんとなかなか遊べないが、休みの日には山に行ったり、アウトドアショップに行ったりするらしい。

 

Tちゃんは「これお父さんに買ってもらったんだ。」と首からぶら下げたバードコールを見せてくれた。

Tちゃんがバードコールを「キュッキュッ」と鳴らすと森の中から鳥の声がして、バードコールに応えていた。

私は思わず「おおっ」と声を上げた。

 

鳥が応えてくれたのがよほど嬉しかったのだろう、Tちゃんはその後もしばらくバードコールを鳴らしていた。

 

山頂まであと少し、というところで長男がまた遅れてきた。お腹が空いたと何度も言っていた次女は長女たちと先に進んでいる。

f:id:independent-traveller:20200522082212j:image

疲れてきた長男を励ましながら、先に進む。

山頂近くの分岐で長女たちが待っていた。

「こっちだよ。もうあそこがてっぺんだから」

女子3人は元気に走っていく。

 

山頂に着いた。

新城市の山の南側が見える。子供たちに、どのあたりが何かを説明したが、あまり伝わらなかったようだ。行ったことのない場所の話をしてもそうなるよな、と思った。またいろいろ連れて行かないと。

 

時計を見るともう2時近い。腹も減るわけだ。

 

私は荷物から敷物を出して広げる。

山頂は風があり、日向にいても少し肌寒いくらいだ。

 

子供たちはカバンからお弁当を出して広げる。

みんな揃っていただきますをした。

 

Tちゃんがみんなにミニトマトを配ってくれる。口に入れると甘みと優しい酸味が口に広がった。

 

私はバーナーストーブを出すとお湯を沸かし、フリーズドライのお吸い物を作る。妻が作ってくれたおにぎりとよくあった。

 

日が陰って、吹き付ける風が冷たい。

子供達にお吸い物を回す。温かいものを用意してよかった。

 

f:id:independent-traveller:20200522213843j:image

 

子供たちは持ってきたおにぎり弁当をあっという間に平らげてしまった。

たくさん歩いてたくさんエネルギーを使ったのだろう。体を動かしてたくさん食べるのはいいことだ。

 

子供たちはまだ食べ足りない様子だったので、私はチキンラーメンを作ると子供たちに分けた。


f:id:independent-traveller:20200522082209j:image

結局、チキンラーメンは子供たちがほとんど食べてしまい、私は自分用にもう一つ作った。二つも要らないかと思っていたが、念のため持ってきてよかった。

 

 

遅めのお昼を終えると、来たルートとは別のルート、ちょうど車を置いた桜淵公園のすぐ正面にでる道で山を降りた。

 

帰り道は途中から舗装路だったが子供たちは「だるまさんが転んだ」を始めてしまい、なかなか車に戻るまで時間がかかってしまった。

 

桜淵公園に戻り、Tちゃんに「楽しかった?」と聞くと「うん。またお願いします。」とTちゃんはペコリと頭を下げた。

 

またTちゃんを連れて山にハイキングに行きたいものだ。


f:id:independent-traveller:20200522082205j:image

 

家キャンプ

例年ならゴールデンウィークは家族で長野にキャンプに出かけるのだが、今年はそういう訳にもいかず、かわりに家の庭でキャンプをすることにした。

 

我が家は住宅街にあるので、いろいろ制約はあるが、庭とウッドデッキを使ってテントとタープを張り、食事は出来るものは、少し火を焚いて作ることにした。

 

まずは庭にタープを張る。

タープはあってもなくても良かったが、雰囲気を出すならあったほうがいいな、と思い、張ることにした。普段のファミリーキャンプ用にするかソロキャンプ用の小さいものにするか迷ったが、ソロ用のものを広げてみたところ、うちの狭い庭にはちょうどよかった。

 

テントはウッドデッキの上にいつも使っているファミリー用のテントを張る。しかし、ウッドデッキを一杯に使って何とか張れる、といった感じになってしまった。

 

普段キャンプ場でテントを張るときには気にならないが、相当広い場所を使っているんだな、と今更ながら気付かされた。

 

タープの下に焚き火台と椅子を並べるとそれらしい感じになった。

 

子供達が早速焚火がしたいと騒ぎ始める。

 

「夕方になったら始めるね。」

 

昼間はご近所さんが洗濯物を干しているだろうからあまり煙を出してもいけないと思ったのだ。それに家にストックしてある薪や炭の量もある。そのあたりを考えて、毎日夕方から、ということにした。

 

約束の夕方になり、以前、庭木を剪定した際に、適当な大きさに切って置いた太めの枝を薪にして焚火を始める。

 

子供達は焚火の周囲に椅子を並べると、うちわや古いテントのポールで作った火吹き棒で一生懸命、薪に風を送る。

3人の子供達が一斉に風を送るが、風が弱かったりしてなかなか火が強くならない。私はときおりうちわで強く煽いで、火を安定させた。焚火も数をこなさないとうまくならない。子供達も早く火起こしができるようになると助かるのだが。

 

剪定したユーカリを火に焼べるといい香りがした。

ユーカリはよく燃えるので薪にはちょうどいい。

 

初日の晩ご飯は芋煮。

我が家のキャンプの定番である。妻がキッチンで材料を切って鍋に入れて、外に持ってきてくれた。

 

焚火の上に鍋を置く。

 

f:id:independent-traveller:20200515221709j:image

 

家の中から飲み物や箸などをお盆に載せて持ってきた。焚火を囲む横のウッドデッキの上に置く。

 

外が暗くなってきた。

玄関やウッドデッキの明かりを調整して、ある程度明かりが焚火の周りを照らすようにした。

 

こうしてみると、今まで家の使い方というのを限られた使い方しかしていなかったのだなと、改めて思った。

f:id:independent-traveller:20200515223907j:image

芋煮の味付けをし、キャンプでいつも使っている器にそれぞれ芋煮をつける。私は長年愛用のチタンのシェラカップ

 

それ以外の食べるものと言えば、焚火で炙ったキノコやベーコンぐらいのもので、質素なものだが、外で食べると立派な食事になるから不思議なものだ。

 

子供達は食事を終えるとお風呂に行き、わいわい言いながらテントに入って行った。騒ぐと声がご近所迷惑になるから、騒いじゃダメだよ、と子供達に言っておいたが、思いの外、すんなり寝てしまった。

 

私はいつものキャンプのように焚火の前でゆっくり酒を飲んだ。読みものはアウトドア用品のカタログ。

 

f:id:independent-traveller:20200515222205j:image

それから結局、庭でのテント泊は3泊4日になった。

 

朝は少し早く起きて、外でコーヒーを入れて飲む。

早起きしたきた子供にはココアをいれてあげた。

 

アウトドアチェアに座って庭でコーヒーを飲むことはこれまでしたことがなかったが、思いの外よかった。最近は在宅勤務の朝は天気が許せば、そういう時間を取るようにしている。

f:id:independent-traveller:20200515222342j:image

 

家キャンプをしている間、昼間は人気の少ない川原に自転車で行ってちょっとピクニックみたいなことをしたり、ウッドデッキで食事をしたりした。

 

f:id:independent-traveller:20200515222525j:image


f:id:independent-traveller:20200515222521j:image

 

f:id:independent-traveller:20200515222427j:image

 

それからゴールデンウィークの間、キャンプ気分だったせいか、テレビをほとんど見ることがなくて、煩わしい情報から解放されてとても自由な感じがした。

 

そんな穏やかな日々はあっという間に過ぎていった。

 

f:id:independent-traveller:20200515224333j:image

 

ゴールデンウィーク最終日、タープとテントを片付けてしまうとさっぱりして、なんだか寂しかった。

ダモンデトレイルではないが、終わって魔法が解けたようだった。

 

とはいえ普段と違う家の使い方をして、まだ家の楽しみ方を知らなかったんだな、と我が家の可能性がまだまだあるということを実感することができた。

 

極論を言ってしまえば、結局、自分がどうするか、どこまで追求できるのか、どこまで楽しめるかなのだ。

 

旅をしていた頃、ネガティブになりそうな自分によく言い聞かせていた。

「世界のあり方を決めるのは自分なのだ。」と。

 

 

 

 

 

在宅勤務のあとはライドへ

コロナの影響で私も週のうちの何日かは在宅勤務をするようになった。

 

今日は思うところがあり、急遽ブログを書くことにした。その前にゴールデンウィークの家キャンプの様子でも書くつもりだったが。

 

***************

 

在宅でも仕事が終わらなければ残業もするが、そうでなければ、定時に終わってあとは自由な時間だ。

 

今、職場までは片道2時間弱だ。全く無駄な時間でしかない。

 

こんな状況で不謹慎だが、在宅勤務が半ば強制的に導入された在宅勤務の日は非常にゆとりがあり、正直職場に行くのがバカらしくなる。

 

朝いつもよりゆっくり起きて、いつもはできない家族との朝食。

その後、家の小さな庭にアウトドアチェアを出して、コーヒーを飲みながら新聞を読む。これは家キャンプをしたときに発見した気持ちのいい家は朝の過ごし方。

それから仕事にとりかかる。

 

昼は家族と食事をし、子供たちとカードゲームを一、二戦。

 

また再び仕事をし、夕方仕事を終える。

 

今の季節なら外は十分に明るい。

今日は仕事を終える連絡を職場にして、そのままホームグラウンドのトレイルへマウンテンバイクで向かった。

 

最近でも定期的にライドをしているが長い時間のライドやグループライド、市外へ出るライドは控えている。

また、息苦しくてもマスクは一応している。

マスク、というものの、通気性のいいスポーツ用のTシャツを切っただけのものなので、まあエチケットマスクというやつだ。

 

夕方の住宅街をヘルメットにマスク、サングラスのオッサンがまあまあなスピードで山向かって走って行く。怪しさ満点。悪くない。

 

山のアプローチに着く。一番短いルートにしようかとも思ったが、せっかくなので、少し時間のかかるルートを選択。

 

上りはいつもよりやや早いペースで走る。

マスクをしたままはやや息苦しい。最近の山は以前より人が多く。いつ人に会うか分からないのでマスクは着けたままだ。

 

山の中腹の平坦な場所に出る。人気は皆無だ。

 

水を飲もうとマスクを外す。

その瞬間、懐かしい香りが鼻腔に広がった。

 

一人旅のキャンプの香りだ。

f:id:independent-traveller:20200512214643j:image

 

少し湿っぽい森の香り、と言えばいいだろうか。

ホームグランドの山でどうして今まで気がつかなかったのだろう。

 

私は深呼吸をした。

 

そうか、旅していた頃嗅いでいたこの香りは夕方の森の香りだったのだ。

確かにこの時間に山に入ることは殆どない。

それこそ旅の途中でテントを張るときぐらいだ。

 

こんな状況にならなければ、こんな時間に山に入ってこの香りを嗅ぐこともなかっただろう。

 

私は再びマスクをし、マウンテンバイクのペダルを踏み始めた。やや下り基調の未舗装をまだ新しいバイクが路面を舐めるように捉えていく感覚が心地良い。

素晴らしいバイクだ。

 

f:id:independent-traveller:20200512221025j:image

視界の開けた場所に出る。ここはいつ来ても気持ちがいい。

 

日が沈むのが見え、私は先を急いだ。

 

あとはシングルトラックの下りだけ、というところで休憩していると、森の中から小動物が出てきた。

 

タヌキ?いや、ハクビシンだ。

 

ハクビシンは私の姿を認めると、シマッタ、といった様子で慌てて森へ戻って行った。

 

僅かな時間だったが、楽しい出会いだった。

 

周囲はまだ暗くはないが、トレイルに降りていくとトレイルの中は薄暗い。

 

f:id:independent-traveller:20200512222326j:image

 

走り慣れたトレイルをバイクの走破性に任せて降っていく。いつものトレイルが少し刺激的だ。

 

トレイルから車の通る道に出ると、道行く車はヘッドライトを付けている。

 

私もライトを取り出すとバイクにつけた。

 

もう夕食の時間だ。

家に帰らないと。

 

家路を急ぎながら、今後の働き方、もっと言えば生き方について考え直さないといけないな、と真剣に思った。

 

 

 

 

 

 

松明峠 - 東三河低山ハイキング -

これはまだコロナウィルスの影響で子供達の学校が休みになった頃のことだ。

 

買い物に連れていくのも憚られるので、たまには子供達と山に行くのもいいなと思い、週末、近くの山に行くことにした。

 

豊橋の二川にある松明峠、ここは東山とも呼ばれている。何度か行ったことがあるところなので、コースにも不安はなく、初回のハイキングにはうってつけである。

 

ある週末、昼食を食べると子供たちにお茶とリュックを持たせて、松明峠へ行くことにした。

 

豊橋の二川あたりから豊橋自然歩道があり、ずっと歩いて行くと静岡との県境の山々を歩くことができる。うまくルートを繋げば新城の山まで行けるちょっとしたロングトレイルだ。

 

この日、子供達と向かった松明峠は、豊橋自然歩道の取っ掛かりから片道約40分とお手軽な山である。

 

私たちは伊寶石神社の横の駐車場に車を置き、歩き始めた。

コースをきちんと覚えている安心感もあるが、ここは看板もしっかりしているので迷う心配はない。

f:id:independent-traveller:20200401081946j:image

神社の正面横からトレイルが伸びており、そちらに進んでいく。トレイルの入り口には誰かが置いていった木の杖がいくつか残されていた。

子供達が使いたがったが、「それは大人のサイズだし、一度持って行ったらまたここに返さないといけないよ。だから、自分でちょうどいい長さの棒を拾って杖にしたら?」と私が言うとさっそく杖になる棒を探し始めた。特に必要とも思えないが、持って歩きたいのだろう。子供らしいなと思った。

f:id:independent-traveller:20200401082025j:image

 

神社裏から一旦、車の通る道に出て、再びトレイルに戻る。ここからまずまずな登りが始まる。入り口の看板で現在地とこれから向かう松明峠の場所、それからトレイルを歩いて行くといける山のことなどを子供達に説明する。子供達に馴染みのある石巻山まで歩いていけると言うと、子供達が驚いていた。

 

「おとうさん、ハチがでるってかいてあるよ」

地図の横に描かれたスズメバチ注意の看板を見て、長男が怯えた様子で言う。

「大丈夫、今の季節はいないよ。」私は長男にそう伝えたが、長男は信用していないのか怯えたままだ。

 

「お父さんどっち?」先を行く長女と次女が分かれ道まで来ると振り向いて確認してくる。

 

「右だよ。」私が答えると二人は元気に先に進んでいく。一番下の長男は上二人のペースについていけないので私と一緒に後ろからついていく。

 

ときおり他のハイカーとすれ違う。

「山で人に会ったら必ずあいさつするんだよ。」

子供達に言い聞かせる。基本的なことだが大事なことだ。

それからはすれ違うハイカーに長男が元気よく「こんにちは!」と大きな声であいさつをしていた。

長男は小柄なので、頑張っているように見えるのか行き違う人はみんな笑顔であいさつしてくれた。

 

普段から山に来るわけではないが、出会う人々はいつもより子供連れが多い。山で会うのは年配の人が多いのだが。うちのように外に連れ出すのに山に行こうと考える人がいるということだろう。

 

f:id:independent-traveller:20200401083040j:image

長女と次女は一緒に歩きながら、足元に花を見つけると教えてくれる。うちの子供達は花が好きだ。

f:id:independent-traveller:20200401083204j:image

急な登りが続くエリアで長男の歩くペースがだいぶ落ちてきたので、先を行く二人に声をかけて休憩。

 

それぞれ石の上に座り、私は持ってきた飴を子供達に配った。子供は疲れるのも早いが元気になるのも早い。長男は飴を舐めてしまうと先程までの疲れた様子はどこへやら、再び元気に歩き出した。長女は飴の味を長く楽しみたいようで、まだ口の中には飴を残していた。こういうところにも子供の個性が出る。 

 

休憩のあとしばらく歩くと、峠に出る最後の階段までくる。なかなか急な階段だ。

「ここを登れば峠だよ。」

私がそういうと、上の二人は競い合って峠を目指して上がっていく。

 

f:id:independent-traveller:20200403082204j:image

私は長男と一緒に後から追っていく。

 

松明峠に到着。

 

峠からは南側の太平洋と北の山々両方がよく見える。子供達に北の山の稜線を指しながら、あっちが石巻山で、あそこまでこのまま山道で歩いていけるんだよ、と教えた。

南はのんほいパークの観覧車の向こうに太平洋が広がっている。南側のほうが木が払われていて視界がよかった。

 

f:id:independent-traveller:20200406082641j:image

 

峠には我々以外にも二組の親子連れがいた。

同じことを考える人はいるものだな。

 

子供達は峠のベンチでそれぞれのカバンの中からおやつを出して食べ始める。

私はバーナーストーブを持ってきて温かい飲み物でも入れようかと思っていたが、この日は汗ばむ陽気で冷たい飲み物が欲しいところであった。

私もタンブラーに入れて持ってきたコーヒーで一休み。子供達は思った以上によく歩いた。これからもう少し時間のかかる山でも大丈夫かもしれないな、と思った。

 

休憩後、来た道を引き返し、山を降りていく。

 

f:id:independent-traveller:20200406082602j:image

下りはペースが早い。

長男と次女が仲良く歌を歌いながら、道を降りていく。先を行く長女は分岐のあるところで待っていてくれる。

 

スタート地点の伊寶石神社まで戻ってくるのはあっと言う間だった。子供達は元気なものだ。

車に戻ると「よく頑張ったね。」と飴を子供達に配った。

 

少し時間の余裕を見ていたが、それが必要ないくらいに子供達はしっかり歩いた。また山に連れて行こう、と思った。

 

 

 

原田橋へ - 天竜•奥三河ライド -

設楽町神田まで来るともう昼を回っていた。

f:id:independent-traveller:20200326184438j:image

神田にはダモンデクルーが流行らせたインスタスポットがあるが、そこでの撮影もそこそこに東栄町に向かって走り出した。みんなお腹が空いてきたのだ。

 

神田から川沿いに東に進むと東栄町の月地区に出る。そこまでの道は森の間を抜ける下り基調の快走路。日陰を吹く風が冷たい。日が差しているところはかなり暑いのだが。

月地区まで出ると視界が開ける。このあたりの風景も好きなところだ。広い敷地の民家には梅や花桃などが植えられ、春の訪れを教えてくれる。

月地区も一気に走り抜け、東栄町中設楽の交差点に着く。久しぶりの信号だ。

 

この日のお昼は東栄町に少し前にオープンした囲炉裏バーのランチの予定だったが、行ってみると週末はやっていないようだった。残念。

f:id:independent-traveller:20200325181624j:image

とにかくお腹が空いていたので、すぐに近くの山正に行くことにした。

東栄町のグルメといえば、清流巡り利き鮎会でグランプリを受賞した振草川の鮎が有名だが、それと共に特産の鶏肉もある。

東栄町ので鶏肉を食べるときは「レストランさかた」か「山正」の唐揚げと決めている。どちらもタイプが異なるので全く別物のと言っていい。

f:id:independent-traveller:20200325181835j:image

山正で早速唐揚げ定食を注文。えーしとOKNOくんも唐揚げ、タツマくんは安定のカツ丼、S藤くんとエースくんはチキンカツ定食である。エースくんはライス大盛り。

f:id:independent-traveller:20200325182057j:image
f:id:independent-traveller:20200325182102j:image

何度か食べたことのある私とえーしは、OKNOくんに偉そうに「口の中ヤケドするから気をつけて」と言っていたが、なんてことはない、注意していた我々もヤケドしていた。

箸で掴むのがやっとな大きさの唐揚げ。衣がカリッとしていて、噛むと中から鶏の油が出てきて旨い。そしてヤケドするのである。

この唐揚げ定食の潔いところは、サラダもなにもついていないところ。一応パセリとカットレモンは添えられているが、あとはご飯と味噌汁、それに漬物。とにかく肉を食べろという感じが男らしい。でも何故かデザートのコーヒーゼリーが付いている。まあありがたくいただくのだが。

 

久々に食べることができてよかった。素晴らしい。

お腹いっぱいになった。ごちそうさまでした。

 

山正を出ると更に東に向かう。

途中に2018年にオープンしたパン屋さんがあるので寄ることにする。パン屋さんは「ピッコロパン屋」というお店で、年配のご夫婦が経営している。金土しか営業していないので、なかなか行くことができないのでいい機会だ。

 

f:id:independent-traveller:20200325183103j:image

店に行ってみると、感じのいいご主人と奥様がこの日はもうあまりパンが無い、と申し訳なさそうにいう。私は家族への土産に残っていた天然酵母のパンと焼きたてのライ麦パン、それにクッキーを買った。値段がビックリするほど安い。どれもひとつ100円台だ。

結局、みんな焼きたてのライ麦パンを買い、その場で食べていた。

私は帰宅して家族と食べたが、ライ麦パンといっても酸味は強くなく、焼いている方の人柄の出た優しい味のパンだ。またたくさんパンがあるときに来よう。

 

ピッコロパン屋を後にし、佐久間方面へ。大千瀬川沿いに南下していく。道は緩やかに下りになっていてよく走る。川原に巨大な白い岩がゴロゴロしており、独特の景観を作り出している。緑色の澄んだ川の水とのコントラストが美しい。

 

また山の斜面に目を移すとこちらにも早咲きの山桜が鮮やかに咲いている。

f:id:independent-traveller:20200325184913j:image

道は浦川を過ぎると原田橋のアプローチに入る。橋のかかる谷のところまで上がっていく。

原田橋は5年ほど前に新しい橋を架け替える際、崖崩れで橋が崩落し、浦川と佐久間の間は分断された。その後、仮設橋が設けられ、自動車は渡れるようになったが、自転車は通ることができなかった。そのため、浜松の天竜区と奥三河を自転車で行き来するのにルートが非常に限られていたのだ。

 

生活道として使う地元の方にとってはもちろんのこと、我々サイクリストにとってもこの原田橋の開通は悲願であった。

 

原田橋に着くと、警備の人に止められる。この日はまだ片側交互通行での供用で、数日後に全面供用になるという。そのため、自転車は歩いて渡って欲しいとのこと。

 

我々は自転車を押して原田橋を渡り始めた。

 

f:id:independent-traveller:20200326083100j:image

橋はかなり高いのでところに架かっており、橋の柵もあまり高くないので、歩くとスリルがある。


f:id:independent-traveller:20200326083056j:image

遠くに沈下橋が見える。あれが仮設橋だろう。川の増水で度々流されたりして、現在の沈下橋になったらしい。むしろ自転車であちらを走りたいものだ。

 

原田橋を渡り、佐久間ダムへ。

 

ダムに向かうので、当然のようになかなかの上り。19の夏にここを通って、キャンプをしながら東北まで自転車で旅をしたのが懐かしい。

 

f:id:independent-traveller:20200326184951j:image

佐久間ダムには思った以上に観光客がいた。

我々同様、人混みを避けて外に出ているのだろう。
f:id:independent-traveller:20200326185008j:image


f:id:independent-traveller:20200326185000j:image

久しぶりに間近で佐久間ダムは大きかった。

まさに大型インフラと言った感じである。予想以上に迫力があった。

よく見るのは奥三河の大島ダムと宇連ダムはもっと小ぶりだ。

 

ダムの上の急斜面に張り付くように電力館があるので見に行く。

 

ダムサイトから文字通り見上げるとあるのだが、なかなかの急坂だ。私は迷わずギアを軽くし上まで上がる。その日全く変速していなかった(!)エースくんもついに変速を余儀なくされた。

「あれは無理ですね。」諦めたようにエースくんが言ったが、ここまで変速していないことのほうが驚きだ。


f:id:independent-traveller:20200326185012j:image

電力館内は見学中止になっていたが、ダムカードは配っていた。地味にダムカードが増えてきた気がする。

S藤くんが観光地によくある日付の入った「佐久間電力館」の看板の前でタツマくんに写真を撮ってもらっていた。こういうの好きらしい。S藤くんおもろいな。

 

昼の後、休憩らしい休憩をしていなかったので、自販機で三ツ矢サイダーを買う。冷たく甘い炭酸が心地よい。

f:id:independent-traveller:20200326184956j:image

 

さて、あとは帰るだけである。再び原田橋まで戻り、ややスリリングに自転車を押して渡り、浦川方面に向かう。

浦川駅にはちょうど飯田線が停止するところだった。それを横目に浦川の商店街を南に坂を上がっていく。

「ここ雰囲気いいんですけど、カフェも何もなくて立ち寄りが出来ないんですよね。」

タツマくんが言う。なるほどその通りである。

私は浦川で休憩するときはもう浦川駅に行ってしまうが、お金を落とす場所がない。

 

浦川から再び東栄町に戻るまではやや上り基調。ライド時間が長くなってきて疲労が溜まってくる。

東栄駅のあたりで一旦休憩しようと思ったが、まだ元気なエースくんとOKNOくんが飛び出していった。

東栄駅から池場の坂を越えればコンビニがある。

彼らはそこまですぐに行ってしまうだろう。

 

残ったメンバーはゆっくり池場の坂を上り、上で小休止した後、コンビニまで一気に降りた。

 

エースくんがコンビニの前で待っていてくれた。

f:id:independent-traveller:20200326191251j:image

コンビニで甘いものを買う。少しオーバーカロリーな気がするが、疲れているときは身体の欲求を素直に聞いたほうがいい。

コンビニを出る頃には日が少しずつ傾いてきた。

国道を離れ、三河大野まで飯田線沿いの望月街道を行く。下り基調でスピードがよくでる。少し砂利の浮いている場所もあったが、それはそれで楽しめた。

 

三河大野のそばまで来ると白いダモンデTシャツの人が歩いている。誰かと思えば、だわり屋の鈴木顧問であった。奥三河の人間関係は狭い。行けば必ず一人は知り合いに会う。まあこれが奥三河に行く理由でもあるのだが。

 

それから県道69号に入り、新城市街まで戻った。みんなは桜淵公園に車を置いてきたが、私は市役所のところに車を置いたので、船着小のところでみんなと別れた。

 

こんな素晴らしい晴れの日に仲間とライド出来て最高だったな。

一人駐車場に向かいながら、改めてそう思った。

 

 

春色の奥三河 -奥三河ライド -

三河の観光ポスターに真ん中に大きく「奥三河は春色」と書かれたものがある。その周りを囲むように奥三河各地の花の名所が紹介されているものだ。

 

三河はどの季節も美しい。中でも私は春がやって来るこの時期が特に好きだ。

 

コロナウィルスのせいで、各地でイベントが自粛される中、活動の場をアウトドアに求めている人は多いのではなないだろうか。私もそうした一人である。

 

例の如く、友人のタツマくんがSNSで週末の奥三河ライドを呼びかけてくれて、タツマくん、えーし、S藤くん、エースくん、OKNOくん、私の6人で走りに行くことになった。

 

朝、週末の特別営業をしている我らダモンデの拠点、新城の「ヤングキャッスル」に集合。ダモンデ山田さん、りょーこさんに挨拶をし、全員が揃うのを待ちながら、コーヒーを飲む。私は朝食を済ませてきたので、もらわなかったが、仲間は茹で卵とトーストのモーニングを食べていた。

 

今回のメンバー、私は全員知っているが、今回初めて会うという人もいるので、コーヒーを飲みながら、お互いの自己紹介などをする。

この日は我々を皮切りに多くのサイクリストがやってきたらしい。ヤングキャッスルは奥三河ライドの拠点として認知されつつあるようだ。

 

f:id:independent-traveller:20200323211724j:image

 

出発のとき、りょーこさんがみんなの写真を撮ってくれる。


f:id:independent-traveller:20200323211728j:image

りょーこさんと山田さんに見送られながら我々は北に向かった。

 

まずは新城市街から国道257号を北上、途中から旧田口線の道を進む、いつものルートだ。

 

新城市街を出ると、向こうからライダーの集団と行き違う。Glocalbikeの土曜日走行会の一団だ。いつもは向こう側にいるのでなんだか新鮮だ。グローカルのみんなはこちらに気がついてくれ、手を振ってくれた。

 

f:id:independent-traveller:20200323212343j:image

この日はとても暖かく、みんなウェアの選択に苦戦していた。私も冬用のアンダーが暑い。
f:id:independent-traveller:20200323212339j:image

少し暑いくらいの陽気な上に、空には雲一つない快晴。みんな口々に「いや、最高だな」と言っていた。私も何度もそう言っていた。
f:id:independent-traveller:20200323212349j:image

 

田口線跡の道を抜け、四谷千枚田へ。

 

前に来た時は正面の鞍掛山に雪が降っていたが今日はまるで違う。

少し前まで、冬のモノトーンな静かな色に支配されていた奥三河も(もっともそれはそれで趣があり、美しい)芽吹き始めた緑の葉と、民家の庭先のの梅や桜の花が何とも綺麗だ。

f:id:independent-traveller:20200323212910j:image
f:id:independent-traveller:20200323212918j:image

千枚田の見える駐車場までみんなで上っていく。最近ピストを新たに組んだエースくんは全く変速しないまま、何事もないように上ってくる。

この様子にみんな驚いていた。エースくんとしてはいいトレーニングぐらいらしい。
f:id:independent-traveller:20200323212922j:image


f:id:independent-traveller:20200323212906j:image

千枚田の最初の駐車場で休憩。何度来ても素晴らしいな。

f:id:independent-traveller:20200324081954j:image

タツマくんが「いいんだけど、写真がいつも同じになっちゃうんだよね。」と言う。確かに。ガードレールなどもあり、ここからの写真は同じアングルになりがちである。
f:id:independent-traveller:20200323212913j:image

冬ウェアで来たS藤くんが暑さでやられていたので少し休憩し、次は千枚田の中腹まで上がる。

f:id:independent-traveller:20200323213853j:image

そこから更に上の展望スポットまで上がる。

f:id:independent-traveller:20200323214448j:image

いつもの年なら奥三河パワートレイルのスタッフとして来るところだが、今年は残念ながら中止。ここ数年の年中行事なので開催されないのはとても寂しい。

この展望スポットには小水量発電があって、冷たい水が勢いよく出ている。ここで顔を洗うのが好きだ。

f:id:independent-traveller:20200323214407j:image

月並みだが、冷たい水が「ちょー気持ちいい。」のだ。

 

そこから新城市設楽町の境にある仏坂峠まで進む。四谷千枚田もこうして途切れ途切れに行くと意外と苦じゃないね、などとOKNOくんとサドルトークしながら上っていく。ちなみにOKNOくんは先週、ブルベデビューを果たしたが、売木村で雪に振られ、途中で断念したらしい。私も昔、ブルベをやっていたが、そんな壮絶な経験はない。先週との落差は相当だろう。OKNOくんをツーリングに誘うのは初めてだったが、終始楽しそうで嬉しかった。

 

f:id:independent-traveller:20200324081939j:image

仏坂峠からトンネルを抜け、設楽町神田へ。

分岐点の数キロは気持ちのいい下り坂だが、途中にミツマタの群生地と滝があるので、ややゆっくり降っていく。

f:id:independent-traveller:20200324082220j:image

三河ではこの時期、いろんな場所でミツマタの花を見ることができる。有名なのは新城の作手と東栄町尾籠だろうか。

神田のミツマタは道から川を挟んだ対岸に広がっており、近づけないのが残念だった。
f:id:independent-traveller:20200324082216j:image

枝の先に小さな黄色い花がいくつも咲いていて、そこだけ森が明るい。

 

ミツマタの群生地から少し降ると穴滝という滝がある。呼び名がいくつかあるらしく、看板には不動滝とかアミ滝とか書いてある。

 

f:id:independent-traveller:20200324082843j:image

 

迫り出した岩の上から水が流れ落ちて、滝になっており、岩の下の空間には小さな社がある。滝の様子は海外の離島なんかにありそうな感じだ。

f:id:independent-traveller:20200324221043j:image

エースくんが「ここはパワーを感じます」とおもむろに言った。

私はその辺のことはよく分からないが、私はなんとなく気になる滝なので、通るたびに寄るようにしている。もしかしたらパワーをもらっているかもしれないな、と思った。

 

穴滝からは神田の集落まで仲間たちが一気に降って行く。

 

私は集落に入ったところでブレーキをかけて止まった。

立派な梅の花が満開だった。

周囲に草木がなく、綺麗にされており、とても存在感があった。

神田といえば、黒梅が有名だが、こちらも見事だ。

 

f:id:independent-traveller:20200324220427j:image

本当に奥三河の里の花は美しい。

私はペダルを踏みなおし、仲間が待つ国道の分岐へと向かった。

 

つづく

 

 

春の伊良湖岬 - 東三河ツーリング -

学生の頃、月に一度は自宅のある豊橋から伊良湖岬までの往復、100キロ弱のライドをやっていたが、最近ではほとんど行かなくなっている。

一日ライドに使える機会が少ないこと、一日乗れる時間があれば奥三河にライドに行くことが多くなっていることがその理由だ。

 

今回は人から伊良湖岬周辺で自転車に乗っている様子を撮りたいので協力して欲しいと依頼があり、午後から予定があったが、久しぶりに渥美半島に行くにはいい機会だと思い、行くことにした。

 

朝、渥美半島赤羽根の道の駅、ロコステーションに集合。

f:id:independent-traveller:20200227222522j:image

車を降りると、びっくりするほどの強風だ。前日の雨の影響だろう。渥美半島は冬場の強風はいつものことだが、それにしても強い風だ。

f:id:independent-traveller:20200227222507j:image

今回、3〜5人ほど集めて欲しいとのことでGlocalbikeでお世話になっているCさんと、ちょっと久しぶりのエースくん、それから仲間に紹介してもらった女性ライダーSさんの4人で走ることになった。

 

初めてお会いしたSさんはラファのグループでよく走っているそうだ。

 

エースくんは豊橋から自走でやってきた。エースくんと合流し、伊良湖岬に向かって走り出す。

 

走り始めてすぐ強い風に煽られる。ほぼ向かい風でスピードが出ない。ときおり風が横風に変わるとバイクを持っていかれそうになる。これほどの強風は渥美半島でも珍しい。

 

私は先頭を走っていたが、横風に煽られて、ハンドルを下に握り変えた。その様子を見て、エースくんが前に出てくれた。向かい風の先頭はなかなか大変だが、そこは競技をやるエースくんだ。何事もないように前を引いてくれた。

 

私は後の女性二人のペースを気にしていたが、Cさんのことはよく知っているので、Sさんがどうかと思ったが、よく走りそうな感じだ。エースくんにピッタリくっつくとどんどんペースが上がってしまいそうなので、ちょっと踏んでるな、と思う時は少し離れてペースを維持した。

 

道のいたるところに菜の花が咲いている。一足早く春を感じられるのが渥美半島のいいところだ。

暖冬の今年は奥三河でも花の開花が早いが、東三河の多様性語るとき、2月に北の豊根村は雪が降っていて、南の渥美半島は菜の花が咲いている、というのがよく例えに出される。渥美半島は暖かいのだ。

 

しばらく走ると菜の花まつりの会場に着く。時間はやや押しているが、せっかくゲストも来てくれたので立ち寄ることにする。

f:id:independent-traveller:20200227222447j:image

本当に一面の菜の花畑だ。

菜の花のいい香りがする。会場内を少しだけ散策。

f:id:independent-traveller:20200227223103j:image

露店で渥美名物の大アサリのフライなどが売られていた。「いかんですね、これはビールがいりますよ。」エースくんが言う。

「全くだ。」私とエースくんはビール党で、二人で遠征に行くと必ずビールを飲んでいる。我々の会話は新しい自転車機材の話と酒の肴の話が多い。

 

会場を一回りしたところで撮影クルーと待ち合わせしている日出の石門に向かう。

 

菜の花まつりの会場からすぐだ。

 

撮影クルーと合流。この強風でもドローンが飛ぶという。

f:id:independent-traveller:20200227223531j:image

向こうのオーダーに合わせてしばらく撮影。

f:id:independent-traveller:20200227223552j:image

予定よりも長くかかったが、無事、撮影のミッションを終え、ランチに向かう。

f:id:independent-traveller:20200227223828j:image

月並みだが、伊良湖岬まで来たら先端の丘で一度必ず止まる。太平洋と伊勢湾の両方がよく見えるからだ。


f:id:independent-traveller:20200227223825j:image

ここから見る神島も好きだ。

そういえば神島はもう何年も行っていないな。


f:id:independent-traveller:20200227223831j:image

 

少し写真を撮ったあと、一気に下った。

サッとエースくんにが抜き去っていく。追いつこうとペダルを踏んだが、全く追いつけなかった。さすがだな。

 

お昼の混雑する時間より前にお店に入りたかったが、予定していたお店に着く頃には、もう何組も待っている客がいた。

幸い、伊良湖岬周辺には食事するところがたくさんあるので、他の店に行く。

 

こちらも混んではいたが、すぐに座れた。

みんな揃って大アサリのフライ定食を注文。

f:id:independent-traveller:20200228082517j:image

これがなかなかのボリュームだった。

エースくんと私は女性陣からフライをお裾分けしてもらう。満腹であった。

 

ランチの後は国道259号で渥美市街へ向かう。

風は追い風基調になる。ペダルがよく回る。

 

この日のもう一つの目的地、福江へ。免々田川の菜の花・桜まつりが真っ最中だ。

河津桜が菜の花と共にちょうど見頃だった。

f:id:independent-traveller:20200228212340j:image

会場は多くの人で賑わっていた。

f:id:independent-traveller:20200228212447j:image

自転車を押しながら川沿いの道を歩いていくと、スタッフのおじさんが「そういえばバイクラックがなかったね。来年は用意しておくよ。」と声をかけてきた。

「是非頼みますよ。」

おじさんの口からパッと「バイクラック」という言葉が出るところがさすが、サイクリストにフレンドリーな渥美半島。来年はきっと会場にバイクラックが設置されるだろう。

 

ここで赤羽根に戻る我々と分かれて、エースくんはそのまま自走で豊橋方面に走っていった。またエースくんともライドしたいな。

 

全体的に予定が押してしまい、当初設定したコースを短縮して、スタート地点の赤羽根の道の駅ロコステーションに戻る。

 

追い風のおかげで、予想より早く道の駅に戻ることができたが、Sさんは次の予定が迫っていて、車に戻るとサッと行ってしまった。

あらかじめ時間のこととかちゃんと聞いておいてタイムコントロールすればよかった。また機会があればSさんともゆっくり走りたいものだ。

 

かく言う私もこの後、東栄町に泊まりに行くので急いで帰らないといけなかった。

わざわざ来てくれたCさんへのお礼もそこそこに、急いで自宅に戻った。

f:id:independent-traveller:20200228215718j:image

久しぶりに走って感じたが渥美半島もいいな。

地元で走りたいとこばかりというのは贅沢な話だ。

東三河はサイクリストが暮らすのに最高だと再認識した。