定着から放浪へ 放浪から定着へ

アラスカ、ニュージーランド、タスマニアなどの自転車の旅、そのほか愛知奥三河のことなどについて書いています。

Dual slalom game in やまびこの丘

イベント自粛が続き、毎年恒例の大会がいくつも中止になっているが、少しずつ再開の動きもある。

 

先日、新城市の「やまびこの丘」でデュアルスラロームの大会が開催された。

 

新城市で地域おこし協力隊として活動するハッチさんと自身マウンテンバイカーで東海エリアの大会でMCをしているYKOくんが中心となって開催された。そして計測は新城を拠点に全国のレースで計測を行なっている「ワキタソフト」今回のレースはワキタソフトの支援の大会でもある。

ワキタソフトさんは長年、地元の自転車レースの計測を担っているほか、我らがカントリーモーニング四耐やダモンデトレイルでも計測を担っているところで、私も昔からよく知っている。イベント自粛の影響をもろに受け、ご苦労されているそうだ。

 

デュアルスラロームはマウンテンバイクでスラロームでのタイムを競うもので、私の苦手な分野の大会だったので、出場するかどうか迷ったが、久しぶりのイベントであるし、エントリーリストを見ると、知り合いがたくさん参加するということが分かったので、締切直前で参加を決めた。

 

会場は新城市ということで自宅から比較的近いので、お弁当を持って家族で出かけることにした。

 

うちはレースに出るのは私だけだが、子供たちも会場で遊べるように子供たちの自転車も車に積んできた。子供車とはいえ、私の自転車と合わせて車に4台積むのはなかなか大変だったが。

会場のやまびこの丘に着くと駐車場に何人かの友人がいた。お互いSNSで近況は承知しているが、こうして会うのは久しぶりだ。

 

f:id:independent-traveller:20200904200456j:image

駐車場から子供たちを連れて大会会場のグラウンドに移動する。

 

グラウンドに出るとBUCYO COFFEEのテントとそしてそこで働くBUCYO COFFEの面々が目に入る。

f:id:independent-traveller:20200904200423j:image

ああ、いつものイベント会場に戻って来たんだな。

 

BUCYO COFFEEのみんなに挨拶をして、受付をする。

コースの出口に車を横付けしているワキタソフトの脇田さんにも挨拶。脇田さんも久しぶりだ。

 

コースの脇に子供の練習用に小さなコースが作ってくれてあったので、子供たちとしばし、そこで練習。

その近くの日陰にレジャーシートを敷いて子供たちに飲みものを飲ませたりした。

 

子供たちは妻とすぐそばの川に遊びに行くという。

f:id:independent-traveller:20200904200848j:image

今回のデュアルスラロームは、100m×30mのエリアにコースが設定された。コースは二人の選手が同時スタートするため、平行して二本のコースが並んでいる。それぞれのコースは短いポールが狭い区間で立てられ、選手はその狭い隙間を右へ左へと走り抜け、タイムを計測する。

また、右のコースを走った選手は次は左のコースを走り、その合計タイムで競われる。

レースは午前に予選、午後に決勝となっており、午前の予選は時間が許す限り何本でも走っていいことになっている。

 

予選の時間となり、選手がスタートに並び始める。

f:id:independent-traveller:20200904201229j:image

久しぶりに会う仲間と予選のスタート待ちをしながら、お互いの近況やコースの攻略法などの話をする。

f:id:independent-traveller:20200904201247j:image

「久しぶりですね。」何人の人にこう言っただろうか。

みんな口々にこうした機会があることの大切さを話していた。今回の大会は小さなものだが、こうした大会でないと会う機会のない人もいて、各地で定期的開催されるイベントの有り難みを今更ながら思い知らされる。

 

数本予選を試走のように走り、コツが掴めないまま途中で川から戻ってきた息子が一緒に遊びたいというので、まだ時間は残っていたが、あまり走れずに私は予選を終えた。

 

お昼はサンドして食べられるように妻が用意してくれたハムや野菜をパンに挟んで食べた。足りない分はBUCYO COFFEEで買い足す。昼に子供向けに講習会があり、食事を終えると子供たちは講習会に参加した。

f:id:independent-traveller:20200904201011j:image

長女と次女は自分で講習を受けていたようだが、長男はなぜかコースを見て怯んでしまい、人がいないときを見計らって、私が横について走った。スラロームは基本的な技術がしっかりしていないとできないので、子供には早くから楽しみながらやってもらいたいと思っているのだが。

f:id:independent-traveller:20200904200955j:image

午後の決勝が始まった。

 

みんな午前よりも更にタイムを縮めてきている。流石だなぁ、と感心する。

 

私と言えば、一応決勝には残ったものの対戦相手はどう見ても勝てる相手ではないので、まあとりあえず走ろうとスタートすると、前に出ていた相手の選手が転倒。

「えっ!」

私はやや困惑してゴール。

f:id:independent-traveller:20200904201401j:image

勝負は分からないものだ。

とはいえその後は勝てる訳もなく、決勝二回戦で終わった。

 

決勝を勝ち進む選手たちの走りを見ながら、長男とBUCYO COFFEの冷たいうどんを食べ、ノンアルビールを飲む。イベント会場でこうしているのも久しぶりだ。

f:id:independent-traveller:20200904203634j:image

表彰式のあと、お楽しみのジャンケン大会。

妻がBUCYO COFFFEのコーヒー豆を取った。子供達は自分で飲むわけでもないのにコーヒー豆をもらって大喜びだ。

 

 

猛暑の一日を外で過ごして家族は大変だっただろうが、それでも子供達は「楽しかったー!」と言ってくれた。またイベントに行こう。

 

今月20日には新城市役所の駐車場で「MOUNTAIN PORT JAMBOREE」が開催される。

https://note.com/mountainport/n/nb28315bf85e3第一回MOUNTAIN PORT JAMBOREE|MOUNTAIN PORT|note

f:id:independent-traveller:20200904203724j:image

自転車やトレイルランの体験。そしてアウトドア用品のフリーマーケットがある。我が家も仲間と何か出す予定だ。少しずつ、イベントのある日常が戻りますように。

 

 

 

 

 

 

 

夏の田原

10月3日に初めて開催される「オフロードトライアスロン in 田原」。その運営ボランティアとして参加することになった。

 

オフロードトライアスロン田原市の白谷海浜公園をメイン会場にその周辺エリアを使ってレースが行われる。

普通のトライアスロンと違うのは、スイムの後のバイクとランは未舗装路を走るもので、バイクはマウンテンバイク、ランはトレイルランとなる。

 

大会のプロデューサーは地元出身のプロサイクリストの小笠原崇裕選手。そしてサイクリスト仲間のケンタが現場の責任者の一人として運営に参加している。今回、私はバイクパートのボランティアとして運営側で協力させてもらうことになった。

 

この日、早朝から私はケンタの案内で予定コースを回った。

f:id:independent-traveller:20200826081846j:image

以前はライドといえば、渥美半島一周が定番で毎月のように走っていたが、ここのところほとんど来ていない。ライドに一日使うことがほとんどなくなったことや時間があれば、奥三河ばかりに行っているからだろう。

 

まずはバイクパートの後半エリアを徒歩でコースを歩く。普段は自転車で入ることができないところらしい。

真夏とあって朝の山は歩くと汗が滲むものの、爽やかだった。

コースに設定されているエリアは昔、来たことがあるはずだが、ほとんど覚えていなかった。

f:id:independent-traveller:20200827195853j:image

ケンタがスタッフの配置や選手の動きを説明してくれる。私は選手の目線でコースがどう見えるのか、考えながら歩いた。

田原の山は標高こそ低いが、海抜ゼロから一気に上がるためか思ったよりも斜度のある道もあった。

f:id:independent-traveller:20200827194247j:image

日当たりの具合なのか水の流れ具合なのか、進んでいくと急に植生が変わったりして歩いていても飽きなかった。

f:id:independent-traveller:20200827194234j:image

バイクパートの後半エリアを一通り歩くと、一旦車に戻り、休憩。

 

水分を補給し、ケンタから塩タブレットをもらう。日中の気温を思えば比較的歩きやすかったが、それでもかなり汗をかいた。

 

コース上で選手がミスコースをしそうな場所やスタッフの配置で気になるところの対応を確認する。これまで地元の自転車レースなどのイベント運営のボランティアを20年近くやってきたおかけで、そういう見方がだいぶできるようになったと思う。私が指摘したところはケンタが対応を考えてくれるそうだ。

 

休憩の後、前半のバイクパートの下見に行く。こちらは自転車で入ることのできるエリアなので自転車で行く。ケンタが自分の自転車を貸してくれる。

TUNERのシクロクロスだ。

f:id:independent-traveller:20200826083008j:image

私はシクロクロスバイクも最近流行りのグラベルロードも持っていないので、この手のバイクの乗るのは久しぶりだ。

f:id:independent-traveller:20200827193638j:image

未舗装の道をバイクの感触を確かめながら、ペダルを踏む。なるほど、マウンテンバイクよりはるかに進む。下りもロードバイクより安心感がある。未舗装路もよほど荒れてなければ問題ない。確かにこういうバイクが一台あれば、未舗装路をガンガン走りたくなるだろう。なかなか面白い。少しグラベルの魅力が分かった気がする。積極的に買いはしないが、一台あってもいいな。

 

気がつけば昔ツーリングで立ち寄った場所に出た。

山から見る三河湾が眩しい。

f:id:independent-traveller:20200827193614j:image

バイクに乗っての下見は順調に進んだが、下見も終わる頃、私は軽い頭痛を感じた。熱中症になりかけているようだった。

水分補給は気にしていたつもりだが、今年は特に暑い時間の活動をあまりしていないので体が適応していないのかもしれない。毎年熱中症になるくせに認識が甘かったようだ。オフロードトライアスロンの本番は10月だが、当日も気をつけないと。まさかスタッフが倒れるわけにはいかない。

 

下見の最後の最後でフロントホイールをぶつけてしまい、パンクさせてしまった。ケンタには申し訳ないことをした。

 

一通り下見を終え、メイン会場となる白谷海浜公園に戻った。

 

海水客向けに設置されている屋外シャワーを浴びる。照りつける太陽の下、水を浴びるのは何より気持ちがいい。

f:id:independent-traveller:20200827193714j:image

ここに来るのも久しぶりだが、椰子の木と青い海、正しい夏の風景が広がり、いいところだなと素直に思った。

 

白谷海浜公園のそばに新しくカキ氷屋ができたというので、クールダウンに寄ることにする。

f:id:independent-traveller:20200827193740j:image

様々なフルーツを使ったカキ氷がメニューに並び、どれを頼むかかなり迷ったが、田原らしくメロンのカキ氷を注文。

f:id:independent-traveller:20200827193843j:image

火照った体が内側から冷やされていく。氷はふわふわに削られ、すぐに溶けてしまいそうだ。ケンタと無言でひたすらカキ氷を食べる。

クリームやメロンの乗ったカキ氷はデザートだなと思った。カキ氷は何となくデザートに分類されるというより、「カキ氷」というそれ自体がカテゴリーであると勝手に思っていたのだが。

ともあれ美味しいカキ氷であった。

 

順番が逆になってしまったが、カキ氷の後、昼食を食べに道の駅へ。

 

こちらでも田原らしいものをオーダー。生シラス丼である。生シラスなんて久しぶりだ。

f:id:independent-traveller:20200827194641j:image

 

イベントの下見のはずが、ただの田原観光になってしまったが、まあいいだろう。

 

久しぶりに行って田原がいいところを満喫できた。オフロードトライアスロン当日はぜひ選手にも田原を満喫してもらいたい。

 

 

シャワーライド

雨続きで自転車に乗れない日々が続き悶々としていた。土曜日の朝、一週間降り続いた雨が一時的にだが、止んでいた。

このチャンスを逃すと次にライドできるのはいつになるか分からない。私は自転車と自分の体が濡れるのを覚悟で午前中、ライドに行くことにした。目的地は休日営業をしている我らが拠点、ヤングキャッスルだ。

 

自宅を出て、まず静岡県境の多米峠を上り、浜名湖方面に向かう。

まとわり付く空気がいつもより重く湿っている。視界は悪くないが、まるで霧の中を走っているようだった。

f:id:independent-traveller:20200714205544j:image

浜名湖に出るといつもの青い水面ではなく、泥の色になっていた。浜名湖にも土砂が流れ込んでいるのだろう。このあたりは大雨被害はどうなのだろうか。

f:id:independent-traveller:20200714205519j:image

浜名湖の北岸を掠めて、三ヶ日方面へ。

f:id:independent-traveller:20200715212433j:image

静岡県側から新城市に入るのに宇利峠を上るか瓶割峠を上るか少し迷ったが、宇利峠を選んだ。

 

宇利峠はこの辺りの峠にしては斜度も距離もきつくない峠だ。

 

途中、東名高速の上を越える。そこまでで全体の1/3といったところか。道の至る所で山から水が流れ出ていた。濡れた路面では上りでもスリップすることがある。タイヤから伝わる路面の状態を確かめながらペダルを踏んだ。

 

県境の看板が見えてきて、もうすぐ頂上、というところで雨が降り始めてきた。レインジャケットを着るか少し迷うが、降られたら着ればいいと判断し、宇利峠を降っていく。

 

雨はだんだん強くなる。だが身体が冷えるという冷たい雨ではない。

 

「この程度なら」

 

私は雨に濡れるに任せ、そのまま新城市街へ向かった。

f:id:independent-traveller:20200715212353j:image

雨はすぐに弱くなった。これならジャージもそれなりに乾きそうだ。

 

桜淵公園そばの庭野の交差点のところに通行止めの案内看板が出ていた。

f:id:independent-traveller:20200714205655j:image

乗本付近で崖崩れがあり、県道69号が通行止めになっているとは聞いていたが、もう少し先かと思っていた。現場は市川口の少し先らしい。

現場は新城と北設を結ぶ道の途中であり、日々、奥三河で生活する人々からすれば大打撃だろう。私にとっても、週末ショップライドで走るホームコースの一部である。

早く復旧するといいが。

 

新城市街に入るところで豊川を越える。

f:id:independent-traveller:20200714210338j:image

このあたりでは見たことのない水量だった。

 

橋の上から一枚写真を撮り、ヤングキャッスルへ。

 

バイクスタンドに自転車をかけ、ヘルメットを取ると、ダモンデ山田さんが出迎えてくれる。「雨なのに。」

山田さんは濡れた私の姿を見て、やや呆れ顔だった。私からすれば、この気温だし、長旅でもロングライドでもない雨なので、濡れても大したことない、と思っていたが、はたから見たら、濡れた状態でわざわざ来たなぁ、という感じだったのだろう。

 

キッチン担当のりょーこさんがタオルを貸してくれる。

 

店内にはダモンデメンバーの八木さん親子が来ていた。

 

他には客はいない。

「今日はサッパリだよ。」

 

話はやはり長雨のことになる。

九州ほどではないが、長雨の被害は奥三河にも出でている。

県道69号のほか、いくつかの道路が土砂崩れなどて通行止めになり、飯田線新城駅を含めた長山駅から駒ヶ根駅までという長い区間に渡って不通となっていた。

その後、不通区間水窪駅平岡駅となったが、南北が分断されたままで、復旧には3か月かかるという。

 

ちょうど少し前にりょーこさんの家族は飯田線を使って飯田まで旅行をしてきたところで、飯田線の旅行をもっとしたい、と友達と話していたところだという。

私もそろそろ飯田線を使った輪行ツーリングをしようか、と思っていたところだったのだが、まさかこんなに被害が出るとは。

 

昨年、湯谷温泉飯田線を活用した地域活性化についての講演会があった。その中で、廃線になった鉄道の話が出て「昨日まで電車が走っていた線路に電車が走らなくなり、踏切も線路にしないように線路上に柵が置かれる。そして、廃線の日になった瞬間、ウェブの地図から線路図が消えてしまうんです。」という衝撃的な話だった。

 

その時の話とSNSで流れてきた電車の来ない飯田線の光景がその時を思い出させた。

 

飯田線は今のところ復旧するが、将来、こうした災害がきっかけに廃線の話が出てきてしまうかもしれない。そうならないように、大切に思っている人がいろんな使い方をして、その様子を発信していかないといけないと思う。

 

復旧したら、また仲間と輪行ツーリングをしよう。以前秋に訪れた長野、静岡、愛知の三県の県境地域は紅葉が素晴らしかった。

行きたいのは水窪から先の秘境駅区間だが、また水窪周辺のライドもいいかもしれない。

 

f:id:independent-traveller:20200715183803j:image

 

昼時になり、一組お客さんが来たあとはまた身内しかいない状態に。こんな日にわざわざ自転車で来た私はやはりおかしな男なのだな、と思った。

 

お腹が空いたので私は辛いカルボナーラ「カルボロン」のメガサイズを注文した。

りょーこさんが「なかなかのビジュアルだら?」と熱い鉄板の上で高く盛られたパスタを持って来てくれる。

 

f:id:independent-traveller:20200715183543j:image

 

なるほどナイスな見た目だ。大盛りが限界のであると言われる鉄板の上に高く盛られたメガサイズのカルボロン。

胡椒多めの熱々のカルボロンにさらに胡椒をかけ、ハフハフいいながらパスタを平らげた。気軽にパスタが食べれるヤングキャッスルは週末のプチライドにはちょうどいい。

 

パスタといっしょに頼んだコーヒーを一口飲むと、濃い味が口に広がり、最近会っていないBUCYOさんを思い出した。最近イベントもないしな。

 

コーヒーを飲み終えると、レインジャケットを羽織り、ヤングキャッスルを後にした。

 

ヤングキャッスルに来て、山田さんやりょーこさん、それに必ずいる他の仲間と話すといろんな発見がある。今回も飯田線のこともここで話さなければ、そこまで発想が飛躍しなかったと思う。

 

また寄れるときに自然体でヤングキャッスルに寄ろう。

もっとも、次は雨ライドでないときに。

古刹 - ライド新城 -

 

その日は梅雨時期にあって、朝から天気は晴れだった。車で出かける予定があったが、午前中、新城市方面にライドに行くことにした。

 

紫陽花の季節なので、せっかくなら紫陽花を見に行こうと決めた。奥三河で紫陽花というと、設楽町の平山地区、新城市の四谷千枚田それから冨賀寺が知られている。

 

設楽の平山は集落の人が大事に育てた紫陽花が一面に咲く、非常に見応えのある場所だが、今回は時間の制約もあるので、そこまでは行けない。

 

行けたら四谷千枚田、ひとまずは新城市南部にある冨賀寺に向かうことにした。

 

走り慣れた朝の道を北東方向に走っていく。

街場をすぐに離れ、周囲の景色はすぐに田畑になる。つい先日も走ったところだが、田畑の作物は前よりずいぶん大きくなったように感じる。雨の恵みを受けて、ぐんぐん成長しているのだろう。

f:id:independent-traveller:20200619185913j:image

郊外のあるカフェの外に出された黒板のメニューがふと、目に入った。

とたんに懐かしい記憶が蘇った。

 

まだ海外を自転車で旅をしていた頃、とにかく毎日お腹が空いていた。

早朝にキャンプを撤収して走り出し、カフェの前を通ると、道のほうに向かって出されていた黒板のメニューをよく眺めていた。

まだカフェに入るには早い、と。昼まで我慢しようと、思い直しそのまま通り過ぎだカフェがいくつあったことか。いつもカフェに入るのはお昼だった。

f:id:independent-traveller:20200619190257j:image

旅をしているときのような朝の雰囲気を、朝のライドのどこかで感じていたのだろう、カフェの黒板を見て、そんなことを思い出した。

 

豊橋の郊外から新城市へ入る。

 

冨賀寺に行く前に近くにある車神社に寄ることにした。

 

車神社の社紋は,源氏車の車輪を形象化したものだそうで、交通安全祈願にふさわしい神社として、最近では地元サイクリストにも知られた存在になっている。

私は何十回と車神社の前を通っていたが、訪れるのは今回が初めてだ。車神社の前の道は信号のない開けた直線で、自転車で走っていると気持ちよくペダルが踏めてしまうので、ついつい通り過ぎてしまうのだ。

 

 

田んぼの真ん中にある車神社は山を背にして建っており、道から見ると田んぼの真ん中に浮かんでいるようで、非常に画になる場所だ。

 

いつもは通り過ぎる神社の前で止まり、鳥居をくぐり、車神社に足を踏み入れた。

 

神社の入り口にはバイクラックも設置されており、自転車の人がよく訪れることが伺えた。

f:id:independent-traveller:20200619190530j:image

社殿の前には社紋である車輪が左右に置かれていた。

f:id:independent-traveller:20200619190545j:image

ひと気のない朝の神社は清々しかった。

f:id:independent-traveller:20200619190607j:image

朝の神社はどこか張り詰めた空気があるが、ここは周囲が田んぼで開けているからだろう、とても穏やかなたたずまいだ。

f:id:independent-traveller:20200619190716j:image

本殿で安全祈願をし、車神社を後にする。

 

車神社からは、周囲の田んぼの道を走ってみる。途中から未舗装になるが、そのまま舗装路に戻りそうだ。最近、未舗装を走るのがサイクリストの間で流行っているが、脇道にそれて、どこに行くのかちょっと冒険気分になれるのがいいかもしれない。

 

しばらく走るといつもの道に戻った。

 

車神社から冨賀寺まではすぐの距離だ。

 

冨賀寺も実は来るのは初めてだ。

入り口の看板を見ると飛鳥時代からの由緒あるお寺だそうだ。そんな歴史のあるお寺とは知らなかった。

 

f:id:independent-traveller:20200619190858j:image

 

お寺の敷地に足を踏み入れる。

森に囲まれた冨賀寺は先程の開けた車神社とは対照的に奥までいくと少し薄暗く、梅雨の季節のひんやりとした静謐な空気の中に存在していた。

f:id:independent-traveller:20200619191904j:image

紫陽花の名所と聞いていたので、紫陽花の花が咲き乱れているような様子を想像していたが、参道に行儀良く咲いていた。

f:id:independent-traveller:20200619191800j:image

そうか、ここはこれが正しいのだ。

 

森に囲まれた静かな歴史ある寺院に咲く紫陽花。

f:id:independent-traveller:20200619191929j:image

華やかに咲くものばかりを想像していた自分が恥ずかしくなった。

 

本堂から参道の横道を行くと「観音の道」という歩道がある。余談だが、苔むして水分をたっぷりと含んだ道なので、ビンディングシューズのサイクリストは用心して欲しい。私は数回転びそうになった。

 

冨賀寺からはよくショップのライドで行く桧峠を越え、鳳来方面に向かう。

f:id:independent-traveller:20200619192446j:image

桧峠は北側の舗装がきれいになっていた。舗装がイマイチなのは南側なのだが。

 

そこからさらに北に向かう。

 

寒狭峡大橋まで来ると下に鮎滝が見えた。前日の雨で水量が多い。

f:id:independent-traveller:20200619193113j:image

鮎滝は江戸時代から続く伝統の『笠網漁』と呼ばれる滝を越えようと跳ぶ鮎を、竿の付いた網で捕らえるという珍しい漁法が行われている場所で、ちょうど網を持った人が二人ほど見えた。

 

橋の上で止まったついでに時間を確認する。

 

昼に妻とランチの約束をしているので、このまま四谷千枚田まで行くと時間に間に合わない。

 

私は予定を変更し、鳳来寺山の表参道に向かった。

 

この日はちょうど旧門谷小でカフェをやっているのだ。のんびりコーヒーを飲んでから、山を降りていけばちょうどいい時間のはずだ。

 

f:id:independent-traveller:20200619193748j:image

さして時間もかからずに鳳来寺山の参道に着く。門谷小は相変わらず雰囲気がいい。

 

f:id:independent-traveller:20200619193743j:image

月火水とこの場所でカフェ爾今の店主トラさんがコーヒーを出している。

何気なく頼んだコーヒーが美味しくてびっくりした。


f:id:independent-traveller:20200619193740j:image

 

私は同じタイミングで来た女性と先客のおじさんとしばらく会話を楽しんだ。

 

コーヒーを飲んでいるとトラさん目当てにいろんなお客さんがやってくる。

どのお客さんも一癖二癖ありそうだ。

そんなお客さんにトラさんは「70年生きてきて今が一番楽しいよ!」と言い放っていた。

全くあやかりたいものである。

 

そのまま鳳来市街へ向かい、車で来た妻と合流した。

 

ランチは新城市の大海にあるイタリアン「St.Thomas」。

以前は豊川に店があり、妻とよく通ったのだが、そちらはしばらく前に閉めてしまい、最近また新城で店を再開したのだ。

この店について書くとブログが3回は書けるので詳しくは書かないが、とにかく好きな店だ。

 

f:id:independent-traveller:20200619195805j:image

初めて行く方にはぜひ、ポルチーニかスカンピのクリームパスタを食べて欲しい。濃厚なソースが癖になること請け合いだ。

 

この日は限定でペスカトーレがメニューに出ていたのでそれを注文。

f:id:independent-traveller:20200619200020j:image

たっぷりと魚介の入ったパスタが美味しくないわけがない。

お気に入りのお店で久しぶりに妻と二人でゆっくり食事ができた。

f:id:independent-traveller:20200619200554j:image

会計の時、店主の中澤さんと話したが、コロナの影響でこちらも客足が遠のいているそうだ。また来るようにしよう。応援らしい応援はそれしか出来ない。

 

「ちょっと食べ過ぎたかな?」

そんなことをいいながら、帰りは妻と車で帰った。

 

 

 

豊川河口へ

日曜日、次女と長男が「風の自然学校」の「アウトドアキッズ」に行き、一日不在となったので、午後から長女とふたりでポタリングに行くことにした。

 

風の自然学校は武田芳男さんが代表の子供向けのフリーキャンプを行っているところで、私は子供が生まれる前はときどきボランティアで手伝いをしていた。

子供が生まれてからは、もっぱら子供を遊ばせてもらうほうになっている。

アウトドアキッズは年長児から小学校3年生までの子供が参加できるデイキャンプで、池でザリガニを捕まえたり、木の実を取ったり、自然の中で子供がしたいことをさせてくれる。

 

風の自然学校ホームページ

https://blog.canpan.info/kaze-nature/

 

下の子供達がいない状態で長女と親だけという機会も貴重なので、本人に何がしたいか聞いてみたが、「自転車に乗りたい」ということだった。

 

一番上の子供はなにかと我慢させることが多く、週末に自転車に乗る時も、下の子供達に合わせたペースで走っており、自分のペースで遠くまで走ることがほとんどない。

私にしても、長女がどのくらい走れるのか、よく分からないので、そのあたりを探りながら走ることにした。

 

どこに行こうか迷ったが、「海でも見に行く?」と聞くと「海まで行けるの?行く!」とやや興奮気味な返事が返ってきたので、豊川沿いに走って海に向かうことにした。

 

豊川沿いの道はしばしば子供達と走るのだが、いつもは左岸を行くことが多い。

今回は「牛川の渡し」から渡し船で左岸から右岸に渡り、右岸の道を行くことにした。

「牛川の渡し」は豊橋市道の扱いになっており、無料で対岸に渡してくれる。

 

長い竹竿一本でおじさんが上手く船を操り、対岸まで運んでくれた。

f:id:independent-traveller:20200609081953j:image

うちの子供達は渡し船が好きでたまに乗りに来る。

 

堤防道路に出て、走り始める。

少し走ると土手の下の畑に色鮮やかなキジのつがいがいた。「見てごらん、キジだよ。」

f:id:independent-traveller:20200611194536j:image

前を走る長女に呼びかける。「キレイだね。」と長女。キジたちを横目にそのまま走っていく。


f:id:independent-traveller:20200609081958j:image

 

「日差しは暑いけど、風があって暑いのか涼しいのか分からない」と長女が言う。

私は今の季節が自転車乗るのに一番いい季節だと教えた。もっと風が強くて前に進まないようだったらどうしようかと実は心配していたのだが、向かい風も暑さを和らげてくれるぐらいの心地良い風で、その心配は無用だった。


f:id:independent-traveller:20200609082001j:image

国道一号線を越えると川には多くの人がいた。河口に近いこの辺りは潮の影響をよく受ける。この時ちょうど潮が引いており、砂地が多くその姿を現していた。みんなシジミを取っているのだろう。

私も子供の頃、よく取ったものだ。
f:id:independent-traveller:20200609081945j:image

鉄道の橋をくぐり、いくつか橋を通り過ぎる。

 

10キロほど走ったあたりで休憩。

「川の近くまで行く」と長女は堤防から川のそばまで降りていくと、「カニがいるよ。」と教えてくれた。

砂地に指先ほどの小さなカニがたくさんいた。

よく見るとその小さなハサミを揃って振っていた。

「おもしろいね。」

 

休憩後、さらに進み、国道23号を越える。

もう河口だ。

 

昔、「風の自然学校」のボランティアをしていた頃、数日かけて豊川源流から河口まで子供達と自転車で走るキャンプのスタッフをしたことがあるが、その時の目的地がここだ。

「懐かしいな。」

長女はちょうど参加者ぐらいの歳になった。長女もいろんなことができる歳なんだな、と改めて思った。もっと長女の可能性、本人の「やってみたい!」を伸ばしてあげたい。


f:id:independent-traveller:20200609082006j:image

 

 

「この辺りで道はおしまいだよ。このままぐるっと回ると、そのまま豊川放水路に続いてるんだ。」

 

私はさらに河口にかかる豊川大橋や港の方を指差して、さらにケータイの地図アプリでどこを走ってきたかを説明した。

 

帰りは豊川の左岸を走っていく。

風は緩い追い風。

長女は軽快に川沿いの道を進んでいった。

 

まだ長女が幼稚園児だった頃、住んでいたあたりを通ったので、昔遊んでいた公園に立ち寄る。

 

私はちょっと久しぶりだなと、思ったぐらいだったが、滑り台が新しくなっていた。

 

アパートから引越した後、何度か子供達にせがまれて来ていたと思ったが、長女は数年ぶりだという。

長女がひどく懐かしがっていた。大人の数年と小学生の数年がどれだけ違うのかを改めて思った。

 

街中まで来たことでもあるし、長女はたくさん走ったので甘いものでも飲んで帰ることにした。

 

今年のはじめにオープンしたというコーヒースタンド「Heart to Heart」という店に寄る。何度か店の前を通っていてちょっと気になっていたところだ。


f:id:independent-traveller:20200609082009j:image

韓国風のかき氷「ピンス」がオススメらしい。

長女はイチゴのシェイク、私はキャラメルナッツのピンスを注文した。

ココナッツファインのように細かくなったミルクの氷がカップ一杯に入っており、下にはキャラメルソース、上にはナッツとこれまたキャラメルソースと女子が好きそうなスイーツだ。


f:id:independent-traveller:20200609081949j:image

 

なかなか口当たりがおもしろく、好きなフレーバーだったので、私はペロッと食べてしまった。この日の私の運動量では罪悪感の残る甘さだったが(もっとも、最近は何を食べても大丈夫になるほどハードなライドはしていない)、たまにはこういうのもいいだろう。

長女が嬉しそうにしていたのでそれでいいということにしておいた。

 

甘いドリンクを堪能すると、そのまま走り慣れた道で家に帰った。

この日は20キロほど走ることができて、長女は疲れた様子だったが満足そうだ。

長女はいつまで私のライドに付き合ってくれるのだろうか。もっと遠くへ。いろんな景色を見に行きたい。

集落からの眺め - ライド新城 -

緊急事態宣言が解除された最初の土曜日、それまで控えていた市外へのライドへ出かけた。まだグループライドはやめて、一人で走ることにした。

 

前にも少し書いたが、一人で旅に出るのは好きだが、普段走るのは仲間と一緒の方が好きである。

 

翌日の日曜日は天気が悪そうなので、午後からは子供達と遊ぶ約束をし、私はロードを車に積んで新城に向かった。

 

新城に向かう道はロードでも車でも走り慣れた道だ。田植えが終わったばかりの水田が眩しい。自走すればよかったかな、と少し後悔した。

 

新城市桜淵公園に車を置いて、そこからロードで走り出す。

久しぶりのロード、そして久しぶりのDamondeのチームジャージ。

最近は自粛もあり、マウンテンバイクで近くの山を走るばかりでロードはしばらくぶりだ。ペダルを踏み込むとすぐに加速していく感覚が心地よい。

 

私はまず、新城の市川地区に向かった。

 

市川地区は奥三河に行く際の主要道である県道69号を一本入ったところにあり、山の中に隠れるようにある集落だ。特に用がなければ来るような場所ではない。

 

私も数年前まで行ったことがなかったが、ここ何年かはフォトロゲのチェックポイントになったりして行く機会があった。

知らなければ通り過ぎてしまう分岐を曲がり、集落に向かう坂道を上がっていく。

 

f:id:independent-traveller:20200602082132j:image

民家の見えてくるところまではそう遠くない。

 

f:id:independent-traveller:20200602082428j:image

集落の入り口に神社がある。大きくも小さくもない、綺麗に保たれた神社。地域の人が掃除しているのだろうか。

三河にはこうした神社がたくさんある。
f:id:independent-traveller:20200602082422j:image

神社からの眺めはいいが、集落はまだ上に上にと続く。私は集落の一番上を目指した。

民家の間の坂道を抜け、道のてっぺんに出る。


f:id:independent-traveller:20200602083247j:image

f:id:independent-traveller:20200602083439j:image

 

市川の集落を見下ろせる場所で休憩する。

集落の向こうには長篠市街が見える。標高は200m程度だと思うが、眺めがいい。

上ってきた道をそのまま進むと集落と反対側の斜面に出る。道は続いているが、ここから先は未舗装路だ。

以前、別の集落を抜けて反対側から市川に来たことがあるので、今回は市川側から抜けてみることにした。

f:id:independent-traveller:20200603082451j:image

市川から先の道はロードバイクで行くには少し荒れた道だったが、なんとかなるレベルだ。できるだけフラットなところを選んで走る。

 

薄暗い林道に差す日の光が美しい。

 

林道にはいくつか分かれ道があるので、ときおり地図アプリで現在地を確認しながら、アップダウンの続く林道を進む。

 

林道区間が終わり、また舗装路になった。

 

大平の集落だ。

ここは秋には多くの彼岸花が咲く。隠れた彼岸花の名所だ。

f:id:independent-traveller:20200604082149j:image

(この写真は以前来た秋の様子)

 

f:id:independent-traveller:20200604082400j:image

こちらも山あいの静かな集落といった佇まいで、優しい景色だ。遠くに農作業をしている人の姿が見える。

f:id:independent-traveller:20200604205048j:image

そのまま大平の集落を抜け、県道69号に戻った。

まだ少し時間があるので、もう一つ、小さな山の上を目指すことにした。

大平のすぐ近くにある鳶ヶ巣山だ。

山頂までは短い上りだが、なかなかの斜度である。

途中、長篠市街を望む場所が気持ちいい。

ここは長篠の合戦の際に武田方の砦があったところで、山頂にその様子を伝える看板がある。

f:id:independent-traveller:20200604082805j:image

山頂は木々に覆われていて展望は開けていないので、そのまま隣の万灯山に向かう。

f:id:independent-traveller:20200604083331j:image

草に覆われた道を進んでいくと視界が開けた。

f:id:independent-traveller:20200604083425j:image

しばらく景色を眺めると万灯山を降り、県道69号に戻った。

 

昼食を済ませて帰ろうと、お気に入りのお店「長生うどん」に行くとDaMONDE の仲間たちと偶然会うことができた。

f:id:independent-traveller:20200604205624j:image

思わぬところで話が出来てよかった。

 

ずっと食べたかったカレーうどんを平らげると、仲間と別れ、家路についた。

 

ほんの数時間のライドだったが、あまり行かないところに行って、いい時間を過ごすことができてよかった。

三河は素晴らしい。

 

 

 

風切山 - 奥三河低山ハイキング -

これはまだコロナの緊急事態宣言が出されるまえの頃の話だ。

 

珍しく豊橋里山に行って子供達はけっこう歩ける、ということが分かり、新城市の山に行った。

 

選んだのは、新城市にある風切山。風切山は桜の名所である桜淵公園からアクセスできる山でここも標高356mと比較的低い山だ。

 

ちなみに風切山の情報は新城市のスポーツツーリズムのページに詳しく載っており、私もこちらを参考に歩いた。

 

風切山めぐろーどコース – 新城市スポーツツーリズム

 

今回は自分の子供達と長女の友達のTちゃんを連れて行くことになった。

 

午前11時頃、桜淵公園を出発。

まずは山の入り口にある荒沢の滝に向かって県道沿いに北に向かう。

 

子供達は元気よく歩いて行く。

f:id:independent-traveller:20200409082217j:image

暖かくなってきて、いろんなところに花が増えてきた。女の子達はタンポポや他の花を摘んだりして、道草しながら楽しそうに進んでいく。

「あ、つくし」次女はつくしを見つけると摘み始めた。長男もそれを見ていっしょに摘む。どうするのか聞くとお母さんに煮てもらうらしい。なるほど、それで一生懸命な訳だ。

長男は次女のつくし取りをいっしょにしながら、トカゲを見つけたらしく、捕まえようとしたが、逃げられたようで残念そうだ。

荒沢の滝の入り口には段々になった田圃が広がっており、彼岸花の名所として知られている。

今の季節はタンポポがたくさん咲いている。長女とTちゃんがタンポポで花束を作っている。

f:id:independent-traveller:20200409081915j:image

ほのぼのとした様子を妻とTちゃんのお母さんに伝えようと写真を撮るとTちゃんが「送っちゃダメだよ。お母さんにあげてびっくりさせるんだから。」と言う。かわいい子である。

f:id:independent-traveller:20200409082344j:image

桜淵公園から荒沢の滝の入り口まで子供の足でも20分あれば行くかと思っていたが、文字通り道草をして小一時間かかった。山の上でお昼を食べようかと思っていたが、もう12時であった。子供達にお腹が空いたか訊ねるとまだ大丈夫というので、お昼は歩いた調子で決めることにした。

 

田圃の横の獣害除けの柵を開けて荒沢の滝へ向かう。

 

沢沿いの斜面を上がっていく。荒沢の滝には不動明王が祀られており、赤いのぼりが道に何本も立っていた。

f:id:independent-traveller:20200409082817j:image

田圃の入り口から荒沢の滝まではあまり時間は掛からなかった。随分前に私が来たときにはほとんど水がなかったが、今回はまずまずの水量があった。

f:id:independent-traveller:20200409083033j:image

子供達は滝壺のそばで水に手を入れ、「冷たい!」といいながら、キャッキャっと楽しそうだ。

山から降りてきたのだろう年配の夫婦がやってくる。軽く挨拶をして、我々は山道に戻った。

 

先に行く長女たちが分かれ道で「どっちー?」と振り返って聞いてくる。

 

風切山のハイキングコースには要所要所に看板が立っており、迷う心配はない。このルートは初めて来るが、他のルートで風切山に登ったことが数回あるので道の心配はしていなかった。

 

しばらく行くと「だんご山」というところに出る。

少し視界の開けたところで古いベンチがあった。

f:id:independent-traveller:20200420083129j:image

ここで少し休憩。おやつを食べる。子供達は自分のカバンからおやつを出して食べ始める。私はタンブラーのコーヒーを飲み、飴を一つ口にいれた。

 

ベンチとその隣には東屋があったが、そちらは破損しているのか使用禁止になっていた。さらにその先には石碑があり、「山の神」と彫られていた。

f:id:independent-traveller:20200420082802j:image

「山の神」というのがどんな神様かよく分からないが、安全に山で過ごせるようお賽銭置くと手を合わせておいた。

 

ベンチの近くの斜面にカタクリ花が咲いていた。

f:id:independent-traveller:20200420083235j:image


f:id:independent-traveller:20200420083229j:image

子供達はカタクリを見るのは初めてだったようだ。

「綺麗なお花だね。」

子供達はしゃがんでカタクリの花を眺めていた。

 

カタクリの群生地からしばらく行くと年配のご夫婦とすれ違う。子供達は元気に挨拶した。

 

そこからさらに行くと老人福祉センターに出る。

ここでも少し休憩。老人福祉センターが開いていたらトイレを借りようかと思ったが、週末は開いていないようだ。

 

ここから本格的に風切山の登りに入る。

 

このから先は何度か来たことがあるのでルートの心配はない。

f:id:independent-traveller:20200522221133j:image

子供たちは相変わらずワイワイいいながら、楽しそうに登っていく。上の子たちについていけない長男と後ろからゆっくりついて行く。

 

風切山の山道には280を超える石仏が祀られており、少し進むと次の石仏に出会う。

f:id:independent-traveller:20200522082017j:image

先を行く長女とTちゃんは石仏と出くわすたびに律儀に手を合わせていた。

 

次女のペースが遅れてきた。

「お父さん、お腹空いた」

確かにそういう時間だが、せっかくなら山の上でお昼を食べたい。次女を励まし、先に進んだ。

 

それからしばらく山道を進むと林道に出る。ここは景色がいい。新城市内が一望できる。

f:id:independent-traveller:20200522081913j:image

ここでお昼ご飯でもよかったが、次女以外は山頂まで行く気になっていたので、次女を励ましつつ、そのまま進む。

 

長女たちが前で何か騒いでいる。

Tちゃんが何か捕まえたようだ。Tちゃんは手の中のトカゲを見せてくれた。最近、トカゲが捕まえたくて仕方がない長男はTちゃんを羨望の眼差しで見ていた。

f:id:independent-traveller:20200522082100j:image

Tちゃんはトカゲを長男に渡してくれたが、長男はトカゲを逃してしまった。長男は残念そうだが、Tちゃんは「いいよ」と言ってくれた。

 

私はしばらくTちゃんと話しながら歩いた。Tちゃんのお父さんは仕事が忙しく、Tちゃんとなかなか遊べないが、休みの日には山に行ったり、アウトドアショップに行ったりするらしい。

 

Tちゃんは「これお父さんに買ってもらったんだ。」と首からぶら下げたバードコールを見せてくれた。

Tちゃんがバードコールを「キュッキュッ」と鳴らすと森の中から鳥の声がして、バードコールに応えていた。

私は思わず「おおっ」と声を上げた。

 

鳥が応えてくれたのがよほど嬉しかったのだろう、Tちゃんはその後もしばらくバードコールを鳴らしていた。

 

山頂まであと少し、というところで長男がまた遅れてきた。お腹が空いたと何度も言っていた次女は長女たちと先に進んでいる。

f:id:independent-traveller:20200522082212j:image

疲れてきた長男を励ましながら、先に進む。

山頂近くの分岐で長女たちが待っていた。

「こっちだよ。もうあそこがてっぺんだから」

女子3人は元気に走っていく。

 

山頂に着いた。

新城市の山の南側が見える。子供たちに、どのあたりが何かを説明したが、あまり伝わらなかったようだ。行ったことのない場所の話をしてもそうなるよな、と思った。またいろいろ連れて行かないと。

 

時計を見るともう2時近い。腹も減るわけだ。

 

私は荷物から敷物を出して広げる。

山頂は風があり、日向にいても少し肌寒いくらいだ。

 

子供たちはカバンからお弁当を出して広げる。

みんな揃っていただきますをした。

 

Tちゃんがみんなにミニトマトを配ってくれる。口に入れると甘みと優しい酸味が口に広がった。

 

私はバーナーストーブを出すとお湯を沸かし、フリーズドライのお吸い物を作る。妻が作ってくれたおにぎりとよくあった。

 

日が陰って、吹き付ける風が冷たい。

子供達にお吸い物を回す。温かいものを用意してよかった。

 

f:id:independent-traveller:20200522213843j:image

 

子供たちは持ってきたおにぎり弁当をあっという間に平らげてしまった。

たくさん歩いてたくさんエネルギーを使ったのだろう。体を動かしてたくさん食べるのはいいことだ。

 

子供たちはまだ食べ足りない様子だったので、私はチキンラーメンを作ると子供たちに分けた。


f:id:independent-traveller:20200522082209j:image

結局、チキンラーメンは子供たちがほとんど食べてしまい、私は自分用にもう一つ作った。二つも要らないかと思っていたが、念のため持ってきてよかった。

 

 

遅めのお昼を終えると、来たルートとは別のルート、ちょうど車を置いた桜淵公園のすぐ正面にでる道で山を降りた。

 

帰り道は途中から舗装路だったが子供たちは「だるまさんが転んだ」を始めてしまい、なかなか車に戻るまで時間がかかってしまった。

 

桜淵公園に戻り、Tちゃんに「楽しかった?」と聞くと「うん。またお願いします。」とTちゃんはペコリと頭を下げた。

 

またTちゃんを連れて山にハイキングに行きたいものだ。


f:id:independent-traveller:20200522082205j:image

 

家キャンプ

例年ならゴールデンウィークは家族で長野にキャンプに出かけるのだが、今年はそういう訳にもいかず、かわりに家の庭でキャンプをすることにした。

 

我が家は住宅街にあるので、いろいろ制約はあるが、庭とウッドデッキを使ってテントとタープを張り、食事は出来るものは、少し火を焚いて作ることにした。

 

まずは庭にタープを張る。

タープはあってもなくても良かったが、雰囲気を出すならあったほうがいいな、と思い、張ることにした。普段のファミリーキャンプ用にするかソロキャンプ用の小さいものにするか迷ったが、ソロ用のものを広げてみたところ、うちの狭い庭にはちょうどよかった。

 

テントはウッドデッキの上にいつも使っているファミリー用のテントを張る。しかし、ウッドデッキを一杯に使って何とか張れる、といった感じになってしまった。

 

普段キャンプ場でテントを張るときには気にならないが、相当広い場所を使っているんだな、と今更ながら気付かされた。

 

タープの下に焚き火台と椅子を並べるとそれらしい感じになった。

 

子供達が早速焚火がしたいと騒ぎ始める。

 

「夕方になったら始めるね。」

 

昼間はご近所さんが洗濯物を干しているだろうからあまり煙を出してもいけないと思ったのだ。それに家にストックしてある薪や炭の量もある。そのあたりを考えて、毎日夕方から、ということにした。

 

約束の夕方になり、以前、庭木を剪定した際に、適当な大きさに切って置いた太めの枝を薪にして焚火を始める。

 

子供達は焚火の周囲に椅子を並べると、うちわや古いテントのポールで作った火吹き棒で一生懸命、薪に風を送る。

3人の子供達が一斉に風を送るが、風が弱かったりしてなかなか火が強くならない。私はときおりうちわで強く煽いで、火を安定させた。焚火も数をこなさないとうまくならない。子供達も早く火起こしができるようになると助かるのだが。

 

剪定したユーカリを火に焼べるといい香りがした。

ユーカリはよく燃えるので薪にはちょうどいい。

 

初日の晩ご飯は芋煮。

我が家のキャンプの定番である。妻がキッチンで材料を切って鍋に入れて、外に持ってきてくれた。

 

焚火の上に鍋を置く。

 

f:id:independent-traveller:20200515221709j:image

 

家の中から飲み物や箸などをお盆に載せて持ってきた。焚火を囲む横のウッドデッキの上に置く。

 

外が暗くなってきた。

玄関やウッドデッキの明かりを調整して、ある程度明かりが焚火の周りを照らすようにした。

 

こうしてみると、今まで家の使い方というのを限られた使い方しかしていなかったのだなと、改めて思った。

f:id:independent-traveller:20200515223907j:image

芋煮の味付けをし、キャンプでいつも使っている器にそれぞれ芋煮をつける。私は長年愛用のチタンのシェラカップ

 

それ以外の食べるものと言えば、焚火で炙ったキノコやベーコンぐらいのもので、質素なものだが、外で食べると立派な食事になるから不思議なものだ。

 

子供達は食事を終えるとお風呂に行き、わいわい言いながらテントに入って行った。騒ぐと声がご近所迷惑になるから、騒いじゃダメだよ、と子供達に言っておいたが、思いの外、すんなり寝てしまった。

 

私はいつものキャンプのように焚火の前でゆっくり酒を飲んだ。読みものはアウトドア用品のカタログ。

 

f:id:independent-traveller:20200515222205j:image

それから結局、庭でのテント泊は3泊4日になった。

 

朝は少し早く起きて、外でコーヒーを入れて飲む。

早起きしたきた子供にはココアをいれてあげた。

 

アウトドアチェアに座って庭でコーヒーを飲むことはこれまでしたことがなかったが、思いの外よかった。最近は在宅勤務の朝は天気が許せば、そういう時間を取るようにしている。

f:id:independent-traveller:20200515222342j:image

 

家キャンプをしている間、昼間は人気の少ない川原に自転車で行ってちょっとピクニックみたいなことをしたり、ウッドデッキで食事をしたりした。

 

f:id:independent-traveller:20200515222525j:image


f:id:independent-traveller:20200515222521j:image

 

f:id:independent-traveller:20200515222427j:image

 

それからゴールデンウィークの間、キャンプ気分だったせいか、テレビをほとんど見ることがなくて、煩わしい情報から解放されてとても自由な感じがした。

 

そんな穏やかな日々はあっという間に過ぎていった。

 

f:id:independent-traveller:20200515224333j:image

 

ゴールデンウィーク最終日、タープとテントを片付けてしまうとさっぱりして、なんだか寂しかった。

ダモンデトレイルではないが、終わって魔法が解けたようだった。

 

とはいえ普段と違う家の使い方をして、まだ家の楽しみ方を知らなかったんだな、と我が家の可能性がまだまだあるということを実感することができた。

 

極論を言ってしまえば、結局、自分がどうするか、どこまで追求できるのか、どこまで楽しめるかなのだ。

 

旅をしていた頃、ネガティブになりそうな自分によく言い聞かせていた。

「世界のあり方を決めるのは自分なのだ。」と。

 

 

 

 

 

在宅勤務のあとはライドへ

コロナの影響で私も週のうちの何日かは在宅勤務をするようになった。

 

今日は思うところがあり、急遽ブログを書くことにした。その前にゴールデンウィークの家キャンプの様子でも書くつもりだったが。

 

***************

 

在宅でも仕事が終わらなければ残業もするが、そうでなければ、定時に終わってあとは自由な時間だ。

 

今、職場までは片道2時間弱だ。全く無駄な時間でしかない。

 

こんな状況で不謹慎だが、在宅勤務が半ば強制的に導入された在宅勤務の日は非常にゆとりがあり、正直職場に行くのがバカらしくなる。

 

朝いつもよりゆっくり起きて、いつもはできない家族との朝食。

その後、家の小さな庭にアウトドアチェアを出して、コーヒーを飲みながら新聞を読む。これは家キャンプをしたときに発見した気持ちのいい家は朝の過ごし方。

それから仕事にとりかかる。

 

昼は家族と食事をし、子供たちとカードゲームを一、二戦。

 

また再び仕事をし、夕方仕事を終える。

 

今の季節なら外は十分に明るい。

今日は仕事を終える連絡を職場にして、そのままホームグラウンドのトレイルへマウンテンバイクで向かった。

 

最近でも定期的にライドをしているが長い時間のライドやグループライド、市外へ出るライドは控えている。

また、息苦しくてもマスクは一応している。

マスク、というものの、通気性のいいスポーツ用のTシャツを切っただけのものなので、まあエチケットマスクというやつだ。

 

夕方の住宅街をヘルメットにマスク、サングラスのオッサンがまあまあなスピードで山向かって走って行く。怪しさ満点。悪くない。

 

山のアプローチに着く。一番短いルートにしようかとも思ったが、せっかくなので、少し時間のかかるルートを選択。

 

上りはいつもよりやや早いペースで走る。

マスクをしたままはやや息苦しい。最近の山は以前より人が多く。いつ人に会うか分からないのでマスクは着けたままだ。

 

山の中腹の平坦な場所に出る。人気は皆無だ。

 

水を飲もうとマスクを外す。

その瞬間、懐かしい香りが鼻腔に広がった。

 

一人旅のキャンプの香りだ。

f:id:independent-traveller:20200512214643j:image

 

少し湿っぽい森の香り、と言えばいいだろうか。

ホームグランドの山でどうして今まで気がつかなかったのだろう。

 

私は深呼吸をした。

 

そうか、旅していた頃嗅いでいたこの香りは夕方の森の香りだったのだ。

確かにこの時間に山に入ることは殆どない。

それこそ旅の途中でテントを張るときぐらいだ。

 

こんな状況にならなければ、こんな時間に山に入ってこの香りを嗅ぐこともなかっただろう。

 

私は再びマスクをし、マウンテンバイクのペダルを踏み始めた。やや下り基調の未舗装をまだ新しいバイクが路面を舐めるように捉えていく感覚が心地良い。

素晴らしいバイクだ。

 

f:id:independent-traveller:20200512221025j:image

視界の開けた場所に出る。ここはいつ来ても気持ちがいい。

 

日が沈むのが見え、私は先を急いだ。

 

あとはシングルトラックの下りだけ、というところで休憩していると、森の中から小動物が出てきた。

 

タヌキ?いや、ハクビシンだ。

 

ハクビシンは私の姿を認めると、シマッタ、といった様子で慌てて森へ戻って行った。

 

僅かな時間だったが、楽しい出会いだった。

 

周囲はまだ暗くはないが、トレイルに降りていくとトレイルの中は薄暗い。

 

f:id:independent-traveller:20200512222326j:image

 

走り慣れたトレイルをバイクの走破性に任せて降っていく。いつものトレイルが少し刺激的だ。

 

トレイルから車の通る道に出ると、道行く車はヘッドライトを付けている。

 

私もライトを取り出すとバイクにつけた。

 

もう夕食の時間だ。

家に帰らないと。

 

家路を急ぎながら、今後の働き方、もっと言えば生き方について考え直さないといけないな、と真剣に思った。

 

 

 

 

 

 

松明峠 - 東三河低山ハイキング -

これはまだコロナウィルスの影響で子供達の学校が休みになった頃のことだ。

 

買い物に連れていくのも憚られるので、たまには子供達と山に行くのもいいなと思い、週末、近くの山に行くことにした。

 

豊橋の二川にある松明峠、ここは東山とも呼ばれている。何度か行ったことがあるところなので、コースにも不安はなく、初回のハイキングにはうってつけである。

 

ある週末、昼食を食べると子供たちにお茶とリュックを持たせて、松明峠へ行くことにした。

 

豊橋の二川あたりから豊橋自然歩道があり、ずっと歩いて行くと静岡との県境の山々を歩くことができる。うまくルートを繋げば新城の山まで行けるちょっとしたロングトレイルだ。

 

この日、子供達と向かった松明峠は、豊橋自然歩道の取っ掛かりから片道約40分とお手軽な山である。

 

私たちは伊寶石神社の横の駐車場に車を置き、歩き始めた。

コースをきちんと覚えている安心感もあるが、ここは看板もしっかりしているので迷う心配はない。

f:id:independent-traveller:20200401081946j:image

神社の正面横からトレイルが伸びており、そちらに進んでいく。トレイルの入り口には誰かが置いていった木の杖がいくつか残されていた。

子供達が使いたがったが、「それは大人のサイズだし、一度持って行ったらまたここに返さないといけないよ。だから、自分でちょうどいい長さの棒を拾って杖にしたら?」と私が言うとさっそく杖になる棒を探し始めた。特に必要とも思えないが、持って歩きたいのだろう。子供らしいなと思った。

f:id:independent-traveller:20200401082025j:image

 

神社裏から一旦、車の通る道に出て、再びトレイルに戻る。ここからまずまずな登りが始まる。入り口の看板で現在地とこれから向かう松明峠の場所、それからトレイルを歩いて行くといける山のことなどを子供達に説明する。子供達に馴染みのある石巻山まで歩いていけると言うと、子供達が驚いていた。

 

「おとうさん、ハチがでるってかいてあるよ」

地図の横に描かれたスズメバチ注意の看板を見て、長男が怯えた様子で言う。

「大丈夫、今の季節はいないよ。」私は長男にそう伝えたが、長男は信用していないのか怯えたままだ。

 

「お父さんどっち?」先を行く長女と次女が分かれ道まで来ると振り向いて確認してくる。

 

「右だよ。」私が答えると二人は元気に先に進んでいく。一番下の長男は上二人のペースについていけないので私と一緒に後ろからついていく。

 

ときおり他のハイカーとすれ違う。

「山で人に会ったら必ずあいさつするんだよ。」

子供達に言い聞かせる。基本的なことだが大事なことだ。

それからはすれ違うハイカーに長男が元気よく「こんにちは!」と大きな声であいさつをしていた。

長男は小柄なので、頑張っているように見えるのか行き違う人はみんな笑顔であいさつしてくれた。

 

普段から山に来るわけではないが、出会う人々はいつもより子供連れが多い。山で会うのは年配の人が多いのだが。うちのように外に連れ出すのに山に行こうと考える人がいるということだろう。

 

f:id:independent-traveller:20200401083040j:image

長女と次女は一緒に歩きながら、足元に花を見つけると教えてくれる。うちの子供達は花が好きだ。

f:id:independent-traveller:20200401083204j:image

急な登りが続くエリアで長男の歩くペースがだいぶ落ちてきたので、先を行く二人に声をかけて休憩。

 

それぞれ石の上に座り、私は持ってきた飴を子供達に配った。子供は疲れるのも早いが元気になるのも早い。長男は飴を舐めてしまうと先程までの疲れた様子はどこへやら、再び元気に歩き出した。長女は飴の味を長く楽しみたいようで、まだ口の中には飴を残していた。こういうところにも子供の個性が出る。 

 

休憩のあとしばらく歩くと、峠に出る最後の階段までくる。なかなか急な階段だ。

「ここを登れば峠だよ。」

私がそういうと、上の二人は競い合って峠を目指して上がっていく。

 

f:id:independent-traveller:20200403082204j:image

私は長男と一緒に後から追っていく。

 

松明峠に到着。

 

峠からは南側の太平洋と北の山々両方がよく見える。子供達に北の山の稜線を指しながら、あっちが石巻山で、あそこまでこのまま山道で歩いていけるんだよ、と教えた。

南はのんほいパークの観覧車の向こうに太平洋が広がっている。南側のほうが木が払われていて視界がよかった。

 

f:id:independent-traveller:20200406082641j:image

 

峠には我々以外にも二組の親子連れがいた。

同じことを考える人はいるものだな。

 

子供達は峠のベンチでそれぞれのカバンの中からおやつを出して食べ始める。

私はバーナーストーブを持ってきて温かい飲み物でも入れようかと思っていたが、この日は汗ばむ陽気で冷たい飲み物が欲しいところであった。

私もタンブラーに入れて持ってきたコーヒーで一休み。子供達は思った以上によく歩いた。これからもう少し時間のかかる山でも大丈夫かもしれないな、と思った。

 

休憩後、来た道を引き返し、山を降りていく。

 

f:id:independent-traveller:20200406082602j:image

下りはペースが早い。

長男と次女が仲良く歌を歌いながら、道を降りていく。先を行く長女は分岐のあるところで待っていてくれる。

 

スタート地点の伊寶石神社まで戻ってくるのはあっと言う間だった。子供達は元気なものだ。

車に戻ると「よく頑張ったね。」と飴を子供達に配った。

 

少し時間の余裕を見ていたが、それが必要ないくらいに子供達はしっかり歩いた。また山に連れて行こう、と思った。